火が最高の友となる・・・

人間がほかの動物と違うといわれる点はいくつかありますが、そのうちひとつに「火を使うこと」があります。

道具は猿でも使うことがあるのですが、火を恐れずに使えるのは人間だけだとされています。(ボノボのカンジ君は火を使う類人猿ですが)


キャンプにおいても、火の扱いは重要な課題です。薪をくべて燃やす、というのが「アウトドア」っぽくてあこがれの人もいるでしょうが、コーヒー一杯飲むのにも薪で火を起こしているのは大変です。


野外での生活には、それなりの「道具」というものがあります。今回は携帯用コンロの使い方です。

なお、今回は社会の歯車との連動企画ですので、そちらもあわせてご覧ください。

ガスボンベ式

初心者には、CampingGAZに代表されるガスボンベ式のコンロが人気があるようです。

この手のコンロは扱いが簡単で本体が安価であるという長所を持ちますが、反面、火力が弱い、ボンベが高い、交換用ボンベを持ち歩かなくてはならずかさばる、などの欠点があります。


ガスボンベ式のコンロは、バーナー・五徳・火力調整つまみのある本体と、固定用の脚を兼ねるボンベ部分に別れています。本体部分の五徳は折りたたみ可能なので、使うときには組み立ててから使います。


ここら辺で説明図があるとよいのですが、筆者がこのタイプのコンロをもっていないため、写真がありません。ごめんなさい。

本体とボンベを繋ぐ部分はねじ込み式になっているので、しっかりと固定するだけで準備は完了です。つまみをひねってガスをだし、着火してください。機種によっては着火用の装置がついていることもありますが、普通はマッチで着火します。


ボンベタイプのものは各社から発売されていて、基本的に互換性があるようです。本体部分は機種によっては着火装置がついていたり、風防がついていたりします。また、ボンベ部分も背の高い大容量のものと背の低い通常のものがありますが、料理をするときには背が低い方が使いやすいです。


このほか、イワタニカセットボンベもガスボンベ式コンロに数えられますが、あれは基本的に屋内で使うことを想定して作られているため携帯には適しません。

このボンベを利用して携帯用に作り直したものもあるにはあるのですが、ガスが非常に安いこと以外に利点は無いようです(安いのは十分魅力的な利点ですが)。

ガソリン式

今回の話の中心です。こちらはキャンプ慣れした人には人気のあるもので、通常ホワイトガソリンを燃料として使用します(無鉛ガソリンが使えるタイプもあります)。

長所は火力が強く、燃料がやすいことです。短所は火をつけるまでの手順がややこしく、本体が高価であることでしょう。


使い方は、まずタンク部分のキャップをはずして燃料をいれることから始まります。八分目まで入れたらキャップをしっかりと締めてください。

燃料キャップ。とりたたて説明することはない。
 矢印で「燃料キャップ」と書いてある質実剛健さが、なんか軍用みたいでかっこいい(笑)


燃料が入ったら、ポンピングレバーを出し入れして空気を送り込みます。レバーが固く感じられるまでしっかりと入れてください。

ポンピングレバーは、ネジによって固定されているので反時計回りに2〜3回まわしてから引き出す。穴があいているので空気が漏れないように親指で抑え、気合いを込めて何回も押し込むべし!
 ただし、むやみやたらと力を込めて引き抜いてしまった人が筆者の知り合いにいるので、無茶をすべきではないと思う(笑)
 最後は押し込んで時計回りにねじ込み、固定しておく。


ここまでで、使う準備は出来ました。燃料弁を少し開いて着火します。このとき、空気弁のある機種ではこちらも開いてください。

燃料弁。写真のように完全に内側に入っているのがOFFの状態。下側に回し、外を向いたのが全開である。火力調整はこの開き具合で行う。
 筆者のもっているタイプは空気弁はない。最近のタイプでは空気弁がなくても着火できるように工夫されているので、今後買う人も空気弁はないだろうと思う。


最初は火が安定していないはずですが、30秒程度置いておくと安定します。そうしたら燃料弁を開いて火力を強くしてください。空気弁のある機種では、ここで炎が青くなるように空気量を調節します。


あとは燃料弁で火力を調節しながら、普通に料理が出来ます。火を消すときも、燃料弁を完全に閉じるだけです。


キャンプが終わってまだタンク内に燃料が残っているときは、本体が完全にさめてから燃料タンクののキャップをゆるめ、空気を抜いておいてください。それさえ守れば、燃料が残ったままでも大丈夫です。


ガソリン式を作っているのは、どうやらコールマン一社のようでそれが値段が下がらない原因にもなっています。(おそらく特許を持っているのでしょう)

しかし、ガソリンタンクの大きさによってPeak1、SportsStarII、TwoBarnerと機種をわけていますので、自分の好みに応じて選んでください。


一番使い勝手がよいのはSS2ですが、徒歩でキャンプを行うのであれば小さなPeak1を選ぶべきでしょう。なお、TwoBarnerは見栄えはよいのですがあまりつかいものになりません。


ランタン

コンロではありませんが、ランタンもコンロとほとんど同じ仕組みを持つものですのでついでに説明しておきましょう。こちらもガスボンベ式とガソリン式があり、特徴や使い方もほとんど同じです。

中央がガソリン式、左がボンベ式のランタンです。右にはなぜか鍋が置かれています。  (写真が第1回、第3回で使ったものと同じですが・・・手抜きではなく、ディスク容量の節約です。多分)


コンロのバーナーにあたる部分に、ランタンでは「マントル」と呼ばれるガラス繊維の布袋を使います。この袋をガスが出てくる部分に結び付け、まずこの袋に火をつけて灰にします。

灰になった繊維は非常にもろく、触れば壊れてしまいますが、高温にすると強い光を出します。これがランタンが光る原理です。

2つぶら下がっている袋状のものがマントル。マントルの個数によって「ワンマントルランタン」「ツーマントルランタン」などと呼ばれるくらい、マントルは重要な部品です(ここが光るわけですからね)。
 ちなみに、宣伝に「270Wの大光量」等と書かれていても、野外では周囲に壁がないために反射光が十分得られず、屋内の100W電球より暗い印象を受けます。


最初のこの作業さえすんでしまえば、ランタンの使い方はコンロなどとそれほど変わりません。

使っているうちにマントルが壊れてしまうと、火が制御しきれなくなり危険ですので、替えのマントルは多めに持ってゆくようにしましょう。


個人的なお薦めは、コンロもランタンもコールマンのガソリン式のものです。とくにランタンは、2マントルランタンに、別売りのリフレクター(反射板)をつけたものがお薦め。ものすごく明るく、夜の暗さを楽しむためにわざわざ火力を落としたほどです(笑)


対してガスボンベ式のものは、コンロはともかくとして、ランタンは懐中電灯の方が明るい・・・とまで思わせるものが多いです。それでも、夏のキャンプでは懐中電灯よりもランタンのほうが良いのですが。(明かりによって来た虫が、熱で死んでくれるため。懐中電灯はまわりに虫がビッシリつくので、結果的に暗くなります)


今はどうか知りませんが、昔はボンベ式コンロのCampingGAZの宣伝に「キャンプでは、火が最高の友となる」というカッコいい文句が書いてありました。

今回の見出しもそこからとったものです。


何回かキャンプをやった人間なら、この言葉を骨身にしみて理解できるでしょう。他の装備は安いものを購入しても構いませんが、コンロだけは良いものをそろえたいものです。

(ページ作成 1997-05-11)

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