2014年11月22日の日記です


セガ・サターンの発売20周年  2014-11-22 12:47:18  コンピュータ 今日は何の日

今日はセガサターンの発売日(1994)。

発売 20周年です。


サターンの発売日としては去年も書いたし、今日が土曜日なので昨日も書いた

でも、ツイッターでセガ公式氏が昨日「仕掛けた」ので、昨日今日とサターンファンが盛り上がって自分の思い出話を語り続けている。



で、時々見かけるのがサターンの「マスコットキャラ」の…であったはずの…ペパルーチョの話と、「なんでソニックじゃなかったのか」という話。


ソニックの人気を上層部が過小評価していたのではないか、ということを呟いている人もいました。

えー、それは流石に違うと思う。



真相は知りませんが、当時の噂としては理由をちょっと聞いていましたし、最近サターンの話を調べていた際の情報とも合致します。

なので、どうも…多少の信憑性はあるんじゃないかな、と思っている噂話を書いておきます。




サターンの話の中で、サターンが当初はメガドラ互換として考慮されていた話を書きました。

当初はメガドライブ 32 という開発名だったようです。


System 32 の機能を大幅に取り込みながらも、メガドライブ互換。

…つまりは、ポリゴンなんて出なかった、ってこと。


そのころから、セガはポリゴンゲームも作りはじめていました。

なので、メガドライブ 32 はポリゴン機能も付け加えられ、その頃から「ジュピター」と名前を変えた模様。



この頃の CPU が何だったかは知りません。

でも、メイン CPU にはそれなりに強力なものを据えて、サブ CPU に 68000 を搭載したのではないかな。


想像ですが、メイン CPU は Z80 をエミュレートさせても、十分に 3.58Mhz の速度を出せる程度の速度は持っていたでしょう。

そして、メガドライブと同じように、68000 とメイン CPU は、どちらも同等のバスに接続させる。


こうしておけば、メガドライブのソフトも Z80 部分をエミュレートすることで動かせます。

68000 を音楽用にして、メイン CPU をネイティブで動かせば、十分なパワーも引き出せます。



実は、メガドライブも同じような仕組みで、「mkIII 互換」になっているのは、セガファンなら知っているところ。




メガドライブの互換機、というのは非常に重要だったと思います。

日本ではメガドライブはあまり売れていませんでしたが、世界的にはすごい大きな市場を作った機械。

この市場を「丸ごと捨てる」という判断はあり得ません。


そして、ソニックはこの市場を代表するビッグキャラクター。

おそらく、ジュピターがメガドライブ互換のまま完成していたら、当然のようにソニックのゲームも同時発売されていたのではないかと思います。



しかし、当のアメリカ市場で、3Dゲームの旋風が巻き起こることになります。




パソコン用には3Dゲームが流行し始めていました。

3DOの開発の噂もありましたし、PS-Xの噂もありました。


どうも、一番ライバル視したのはPS-Xのようですが、この機械に負けないようにジュピターは大幅に設計をしなおし、サターンに変わります。


どうやらこの過程で、「メイン CPU とサブ CPU を同じバスにつなげる」という選択は捨てられた模様。

同じバスを奪い合うと性能が低下するために、性能向上を狙うとこの選択は無かったのでしょう。


サターンに音楽用としての 68000 は残っていますが、メインとして使うことはできません。

これは、「メガドライブ互換にはなり得ない」ことを意味します。


メガドライブの互換性を気にしすぎると、性能が低くて他社との競争に負ける。

しかし、メガドライブの互換性が無くなれば、大きな市場を手放すことになる。


非常に難しい選択を迫られた形です。




サターンにはメガドライブの互換性は望めない。

…どうも、技術的にこのことがはっきりしたのは、かなり遅かったようです。

逆に言えば、互換性を考慮できないか、ぎりぎりまで設計の見直しが続いていたのかもしれません。


しかし、互換性が保てないとはっきりした時点で、セガは「互換性を持った後継機」の路線を諦め、メガドライブの延命策を始めます。



この方法も、念のための2系統。

一つは、メガドライブの「後継機」ではなく、「周辺機器」でパワーアップを計る方向。

もう一つは、そのままメガドライブの市場を維持する方向。


前者はスーパー32X ですね。

メガドライブがすでに「拡張」に耐えられないほど古いハードになっていた上に、戦略決定が遅かったため、スーパー 32X のハード自体を十分練り込む時間もなく、歴史的な大失敗しました。


ハードを「開発する」という決定から、発売まで1年無いんだよね。

同時発売のソフトの開発も考えると、ハードの実質的な設計期間は3か月程度だったのではないかと思います。


それでも、こちらではサターンにはなかなか出なかったソニックシリーズが、すぐに発売されています

ソニックは登場しない、外伝的作品ですけど。



で、メガドライブ延命策のもう一つ、「そのまま市場維持」です。

…これが難しいのは、最初からわかっていたでしょう。


でも、そのための戦略の一つが「ソニックはメガドライブのキャラクターだ」という宣言です。


ソニックの人気を過小評価なんてしていない。

むしろ、非常に大きく評価しているからこそ、「ソニックの続編はまだメガドライブで出る」としておけば、メガドライブの市場を保てるのではないか、と考えたのでしょう。




もっとも、この宣言自体、非常に玉虫色なんですね。


どうも、どこかで「メガドライブのキャラクターだ」と言ったようなのですが、そのことを聞かれたセガの人間は「いや、メガドライブと言うことは無くて、あれはセガのキャラクターですよ」なんて言ってたりもする。


でも、そういうときにも必ず、「サターンにはサターンで活躍する新しいキャラが必要でしょう」と付け加えたり…

要は、言質を取られないようにのらりくらりとかわしながら、ソニックの新作はまだメガドライブで出るんじゃないか、と期待させようとしている。


これ、結局「市場維持するためにも、ソニックはメガドライブと共にあるような幻想を見せておけ」という戦略だったのではないかと思います。

いつか市場がしぼむとは分かっているから、決して言い切ったりはしないのだけど。




で、サターンのキャラはペパルーチョ、ということになるのですが、これは単に宣伝上の戦略。


プレステは、発売日の少し前から「モータートゥーン・グランプリ」のキャラクターイラストをチラシなどに使っていました。


#モータートゥーンは当時ソニーが直接作っていたゲームで、後の「グランツーリスモ」の元になるゲーム。


かなり使っていたし、初代マスコットキャラ、と思っていたのだけど…

Wikipedia にもプレステのマスコットキャラ一覧、ってのがあるのだけど、載ってないね。


まぁ、ともかくプレステは「かわいいゲームキャライラスト」を使ってチラシとか作っていたのね。

じゃぁ、サターンもやらなくちゃまずい。


でも、ソニックはメガドライブ市場を温存する戦略があるので使えません。

注目タイトルはバーチャファイターでしたが、「アキラ」は…一般向けのかわいいキャラとは言えない。



そこで、開発中のゲームのキャラから、ペパルーチョが選ばれた。ただそんだけ。

「クロックワークナイト」を作っていたチームは、サターンを背負って立つキャラになるなんて、全く考えていなかった模様。




急にメインキャラの重圧を背負わされた、クロックワークナイトの開発チームの方には同情を禁じ得ません。

「ソニックに続く看板キャラだったのに、いつの間にか消えた」とか言ってあげるのは、ちょっとかわいそう。


看板キャラだから、当然「同時発売で」と言われたと思うのですが、そんなつもりで開発してない。

じゃぁせめて2週間遅れで、となったのでしょうが、おかげで、未完成だったのに「上巻」って名付けて半分だけ発売することになっちゃうし…


#クロックワークナイトの発売は、本体発売からおよそ2週間後の、12月9日。


でも、「上巻」って名付けて発売したので、下巻を発売することが約束されました。

ここで、「アイディアコンテスト」を行ったのは流石。転んでもタダでは起きない。


このゲーム、上巻はスーパーマリオタイプの普通のゲームなのね。

3Dを活かした演出はあるのだけど、「3Dじゃなくちゃ」と言うほどのものは無い。


でも、下巻はすごいです。横から見ている2Dゲームなのにも関わらず、3Dじゃないとできないことが詰まっている。


アイディアコンテストで応募された中から、実際に面白いアイディアを詰め込んだのですね。

数人の開発チームで作っていても出てこないような仕掛けが、これでもかと詰め込まれている。


それでいて、ちゃんと2Dゲームなので、遠近感が掴めないで遊びづらい、とかいうこともない。

それまでのゲームでは見たこともないような突拍子もないアイディアを、ちゃんと遊びやすいゲームにまとめ上げているのだから、たいしたものです。


名作です。遊んでない人は今からでも是非。




そんなこんなで、ソニックのゲームがセガサターンでなかなか発売されなかった理由と、ペパルーチョがマスコットとされた理由の「噂」を書いてみました。


もう一度書いとくけど、当時聞いた噂だよ。

ここには書けないこともあって、それなりの信憑性はあると信じているけど、核心に迫る事実は何も知らないので間違えていても責任はとれません。




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申し訳ありませんが、現在意見投稿をできない状態にしています

【sh】 海外のフォーラムで、32Xのソニックは元はセガサターンで(主役もソニックとして)出すつもりだったという噂がありました。実はその頃のものらしき開発中ROMデータというのがネットに流出して出回っているんですが、それがメガドライブ用のROMなんですよね... 互換性を予定していたのと関係あるのかもと妄想してます (2017-08-27 00:54:49)


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