2016年07月12日の日記です


Chromebook で子供ができること  2016-07-12 11:01:24  コンピュータ

先に、Chromebook では13歳未満は「監視ユーザー」としてログインしなくてはならないことを書いた。


Google は未成年保護の観点から、13歳未満にはアカウントを発行していない。

Chromebook の利用には Google アカウントが必要なのだけど、監視ユーザーは、親の Google アカウントを間借りして利用できる。


その代わりに、何をやったかは親に筒抜けになる。

13歳未満は「アカウントが取得できない」ことを、「親の保護下にある」ことで回避ししているのだ。


非常によく考えられた仕組みだ。




では、子供が「監視ユーザー」として、何をできるか書いておこう。


まず、Chromebook の基本である、WEB アクセスはできる。

まぁ当然だね。これができないようじゃ Chromebook とは言えない。



…以上だ。他に何もできない。


Chrome 以外のアプリは一切使えない。Gmail も使えない。


管理者ならインストールできる…という公式情報もあったが、この情報は僕の勘違いだった。


(Chromebook のヘルプに書かれていたが、Chrome for work、または Chrome for education という特別バージョンの話だった。

 実機購入前で細かな違いの意味が分かっていなかった。)


公式ヘルプにも、監視ユーザーが「アプリをインストールできないようにする」ことができる、と書かれている。

この書き方だと、禁止しない(つまりインストールできる)方法もありそうだが、そうではなかった。



機能拡張も使えないので、自宅内の NAS へのアクセスもできない。

NAS に家族の写真などが置いてあるのだけど、それを見ることもできない。


先に書いたが、我が家では Chromebook は子供の Scratch 用として購入した。

Scratch 自体は、子供でも親の同意のもとでアカウント取得ができるし、作成したプログラムはクラウドに置かれる。


だから、WEB ができれば問題がない…ともいえる。


だけど、プログラムしながらちょっとしたメモファイルを作ることもできない。


子供が好きな Scratch で作られたゲーム、「ネコRPG」ではパスワード形式のセーブを採用しており、非常に長いのでコピペでファイルに保存したい。でもできない。


これでは子供に使わせるのにあまりにも問題が多い。

ただし、この状況の改善のため、努力は続けられているようだ。




監視ユーザーの機能が提供され始めたのは、2013年の秋。

このときは OS のβテスターに対する提供だったようだ。


その後、いつから一般提供され始めたかわからない。

でも、たぶん 2014年の3月中頃ではないかと思う。


というのも、この時期に急に「監視ユーザーがアプリを使えないのは問題がある」という不満が、いたるところで書き込まれ始めるからだ。



ところで、Chromebook は Google が開発している、とされることが多いけど、実は違う。

オープンソースの Chromium プロジェクトで開発されていて、Google はそのプロジェクトを主導する重要メンバーに過ぎない。


オープンソースなので議論もオープンにされているのだけど、監視ユーザーとアプリの問題はいち早く報告され、多くの人が「改善すべきだ」と意見を寄せている。



一方、同じような議論は Chromebook Central Help Forum(Google 公式のユーザーフォーラム)でも行われる。

こちらでも、多くの人が Google に「改善してほしい」と意見を寄せ、Google の社員も「積極的に意見を寄せてほしい」と前向きに回答している。



しかし、2014年の中ごろで、どちらの議論も停滞する。

Chromium プロジェクトでは、改善が必要であることはわかっているが、どうも実装しようとしていることの「矛盾」に悩まされ始めたようだ。


監視ユーザーは、できるだけ WEB 上に足跡を…個人情報などを残さないようにしたい。

WEB を閲覧する機能だけならともかく、WEB アプリを使い始めると、積極的に自分の「作品」を残してしまうことになる。




ともかく、改善が必要なことは認める。改善に努める。

そのためには、どのように改善を成し遂げるかの方針を決めなくてはならない。

これまでにもらった意見を元に考えるので、今後新しい意見を出すのは控えてくれ、という投稿が行われる。



「意見するな」は傲慢に思えるかもしれないが、まっとうな話だ。

非常に難しい課題に挑もうとして、仕様を定めている最中なのだ。


そこに横やりを入れられると、誰かが「仕様変更しよう」と思い始めるかもしれない。

プロジェクトにとって一番困るのは、この「土壇場での仕様変更」で、それを避けることが重要課題になったのだ。



Chromium プロジェクトはハッカーの集まりだから、意図を理解したのだろう。

意見を出す人は激減した。


でも、その後も「僕はこう思う」的なことを言い出す人が少しいたため、議論のための掲示板自体が閲覧専用にされた。



その後、2015年の秋になって、作業チームから「トリアージが必要だ」という投稿が行われている。

やろうとしていることが矛盾だらけで難しいことが予期される。


#トリアージ:医療現場で使われる概念で、とにかく現状を把握して優先度をつけること。

 この優先度をつけるのに手間取るようでは意味がないので、直感でつけて構わない。

 ただし、状況が変わるたびに優先度を見直すこと。



ユーザーフォーラムの方も、一部の人は Chromium の議論も見ているのだろう。

2014年中ごろから議論が低調になる。


ただ、こちらはあくまでもユーザーフォーラムなので、早く何とかしてほしい、という要求は時々出される。

上手くいかない理由を説明する人もいるのだけど、それはユーザーフォーラムに参加する人の意見にすぎず、Google 公式見解でもない。


Google は教育機関向け(つまりは子供向け)に特別な Chromebook を販売しているので、その商売の邪魔になる「監視ユーザー」機能は充実させるわけがない、というような邪推を行う人も出始める。




Chromium の掲示板はずっと停滞していたが、2016 年の5月末(最近だ)になって動きがあった。

掲示板は一般の書き込みは不可能みたいなのだけど、ある程度の権限を持った人なら書き込めるみたいなのだ。


そこで「ずいぶん経つけど、その後どうなってますか?」と質問が出た。

関係はわからないけど、どうも Chrome の全体責任者に近い立場の人が、監視ユーザー機能のチームの責任者に質問したようだ。


報告から2年もたつのに解決方法も提示されないので、ちょっと心配しているらしい。

いろいろと会話があるのだけど、返事は「監視ユーザーチームで作業中。」だった。



解決に向けて取り組みが進んでいる、というのは明るい話だ。

できることなら、早期に解決してほしいと思っている。


2016.7.14 追記

この問題、暫定的な方法で回避しました


あくまでも回避であって根本的な解決ではないのだけど、何もできないよりはマシ、という程度。




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