回し車を改造する
目次
はじめに
唐突ですが、ハムスターを飼い始めました。

飼い始めて最初に驚いたのは、なにも教えずとも躊躇無く回し車を回したことでした。あれは芸みたいなもので、教えないと回さないのかと思っていた…
で、あまりに良く回すので、どのくらい回すのか知りたくなりました。
LEGO LOGOの回転センサーを使えばできるだろう、とすぐに思いついたのですが、そのままでは回し車をカウントするためだけに、パソコンを一日中動かしておかなくてはなりません。
どうにかならないか…と考えること数日。自分で計数器(数をカウントする装置)を組み立てようかとまで考えたときにひらめきました。
家に改造しても良い計数器があるじゃないか!
数年前に買って今は使わなくなっている散歩計「てくてくエンジェル」なのですが、こいつを改造すればなんとかなりそうです。
こいつが噂の「てくてくエンジェル」
一時期の万歩計ブームを作り出したゲーム(?)です。
名前は散歩計となっていますが、これは万歩計が登録商標であるため。以降は歩数計と呼ぶことにします。
裏蓋を開け、どのようにカウントを行っているのかを調べてみます。
中に入った磁石が歩いた振動で揺れたときに、その磁気を感知してカウントを行っているようです。
さらに電気的なことを調べてみると、センサーは磁石が近づくと ON になり、離れると OFF となる単純なデジタルスイッチのようです。
このセンサーを、LEGO LOGO のような光センサーに置き換えるには…と調査を開始したところ、衝撃の事実が判明しました。
すでに同様の改造を行っている人がいる!
しかも、かなり有名らしいです…もしかしたら特許ものじゃないかと考えていた自分が恥ずかしい…
しかし、同時に光センサーなど無くても磁石で十分とわかったので改造してみます。実は、ハムスターが鳥みたいに磁石を嫌うんじゃないかと心配だったので (^^;;
その1 磁石によるカウント
まずは歩数計本体をばらします。磁石ははずし、センサーもニッパーなどで切り取ります。
はずした場所には電線をはんだ付けし、電線の先に切り取ったセンサーを取り付けます。
改造といっても回路を延長しただけですね (^^;
これがセンサー部分です。ガラス管のような部品はおそらくこれだけなので、誰が見てもわかると思います。
これが回し車です。おそらくどこの店でも一番安い値段で売っている、塩化ビニル製のものです。
内径は約13cm。一周回すと41cm走ったことになります。
裏に磁石をつけます。重さのバランスを考えて、2つつけました。
1周で2カウントされることになるので、1カウントは約20cmとなります。
てくてくエンジェルには、自分の歩幅を入れておくと歩数と掛け合わせて移動距離を出してくれる機能があります。そこで、歩幅は20cmとして登録してみました。
回し車を飼育ケージの金網に取り付け、金網の隙間にセンサーをセロテープで貼り付けます (^^;
回し車を回すと歩数計がカウントしました。問題なさそうです。
最初の問題点
取り付けた翌日、わくわくしながら歩数計をチェックします。(注:ハムスターは夜行性なので、主に深夜に回し車を回します)
およそ 600m 走ったようです。…そんなものなのか? 本には1日に10Km程度は走る動物とあったが…
その日の夜に注意して観察すると、ハムスターがいつものようには回し車を回さず、嫌がっているようです。
いろいろ確認すると、問題点がわかりました。
カウントのために取り付けた磁石によって、回し車が金網に引き寄せられていたようです。
それによって回し車の普通は接触しないところが接触し、回すとガタガタと激しく振動する上に、回すのに力がいるようになっていました。
早速改造。接触するのは仕方が無いので、それによって回転が悪くならないように、プラ板でワッシャ−を作ってやります。
…しかし、これも根本対策にならず。
実は、数日間悪戦苦闘したのですが、ワッシャ−は軟らかい塩ビの回し車を削ってしまうようです。さまざまなワッシャ−を作り、試しましたが、一番走る日でも 5km 程度。そんな日でも、見ていると以前のように喜んで走っているようには見えないのです…
その2 光によるカウント
一念発起し、やはり当初計画どおりの光によるカウンタを作ることにします。
LEGO LOGO で使っていた光センサーは「フォトリフレクタ」と言うそうです。反射型フォトインタラプタと呼ぶ場合もあります。
出力はアナログなので、適当な閾値で ON/OFF が切り替わるようなスイッチ回路を組む必要がありそうですが…自作回路なんて作ったことが無いのですが、きっとなんとかなると考えて秋葉原に行きます。
買ってきたものは、フォトリフレクタ・適当な抵抗・適当なトランジスタ。まじめな回路を組もうと言うのではないのだから、適当でもなんとかなるはず!(笑)
こいつがフォトリフレクタです。テレビのリモコンなどでも使われる、赤外線発光素子と赤外線受光素子を並べてくっつけただけという、ありがたい装置です(笑)
赤外線は目には見えませんが、デジカメを通して見ることが出来ます。知っておけば工作のときに何かと役に立つでしょう。
まずはフォトリフレクタの原理を知っておきましょう。とても簡単です。
- 赤外線発光素子は、電気を流すと赤外線を出します。(このとき、+−をつなぐ向きがあるので注意)
- 受光素子は、受け取った赤外線の量で抵抗が変わります。たくさん赤外線が入ってくるときは抵抗が小さいのですが、赤外線が入ってこないと抵抗が大きくなります。
- 素子同士は隣りに並んでいるので、発光素子の光が直接受光素子に入ることはありません。しかし、至近距離にものがあったときには、反射して光が入るようになります。
ここで、抵抗が問題になるようなので、テスターを当てて測ってみました。最終的には、白黒の紙を回し車につけてその色を判別しようと考えているので、同じような状況の抵抗を測ります。
発光側には乾電池2本(2.4V)をつなぎ、色のついた紙の上に持っていったときの抵抗を読みます。
僕の部品知識の無さで、ここでよくないことをやっていました (^^; 電子部品って 3V駆動とか多いので2.4Vくらい 大丈夫だろうと思っていたら、このLEDは1.6V駆動でした…
これに気付くまで2週間くらい2.4Vをかけつづけたのですが、幸いなことに壊れてはいません。
しかし、本当は抵抗(40Ωくらい?)を入れて適当な電圧に落としてやる必要があります
| 黒いプラスチック | マジックで黒く塗った紙 | 白い紙 | アルミホイル |
| 50K〜100KΩ | 40K〜70KΩ | 20K〜60KΩ | 1K〜30KΩ |
上の表はおよその値です。紙との距離も重要なのですが、手で持って動かしているのでそこらへんがいい加減です (^^;
上の表を見ると、白い紙にマジックで線を書いたくらいではうまく取れない可能性がありそうですが、アルミホイルと黒いプラスチックなら大丈夫そうです。
さて、実際の改造ですが、実は最初から試してみたいことがありました。それは
アナログ出力のフォトリフレクタを、そのままデジタルスイッチ代わりにつなげたらどうなるか?
ということです。実のところ、デジタル回路はいたるところに「閾値回路」が最初から組み込まれているので、これでもうまく動く可能性があると考えていました。
結果から先に言えば、予想通りでした。念のためにトランジスタなども買ってきましたが、回路らしい回路なんて組む必要も無かったのです。
この写真は最終的に出来上がったものですが…
電池ボックスは、赤外線発光素子に直結しているだけです。歩数計は歩数計内の電池で動きます。本当は、電源を共通にしたいところですが僕の知識ではそこまで出来ません (^^;
受光素子は、磁気センサーの代わりに歩数計につながります。このとき、+−があるので注意する必要があります。(適当につないで、動いたら大丈夫、って程度ですが)
つまるところ、回路は「赤外線を出すだけの回路」と、「本来の歩数計の磁気センサの代わりに、受光素子をくっつけたもの」の2つがある、というだけです。
これはてくてくエンジェルがたまたまうまく行っただけかもしれませんが、多分他の歩数計でも大丈夫です。
電気回路部分がなんとかなったので、回し車を改造します。軸受け部分の周囲に、このように銀紙と黒いプラスチックテープをつけました。
ちなみに、黒いプラスチックテープとは5inchフロッピーのライトプロテクトシールのことです (^^;
軸を差し込んだところです。軸をケージに固定するための板に穴をあけ、センサーを差し込めるようにしてあります。
半透明の塩ビなので、黒い部分が透けて見えています。
回し車を回すと、問題なくカウントします。
フォトリフレクタの特性上、色だけでなく距離も重要なので、センサーの設置時には何回か回転させて試験したほうが良いでしょう。
この方式にしてから、いきなり 8kmも走るようになりました。
新たな問題点
ここで新たな問題が発覚…あまりに激しく回すもので、安物の回し車だと耐え切れないらしい(笑)
飼い始めたときは生後まもなく、体重も軽かったので大丈夫だったようです。しかし、わずか1ヶ月の間に体重は2倍に増え、力も強くなっているようです。
本気で走り始めると、回し車が激しくぶれます。ケージが共振して大きな音を出します。そして、そうなると驚いて走るのをやめてしまうのです。
せっかく気持ちよく走ってもらうために磁石をはずしたのに、これは残念…
その3 新しい回し車
というわけで、早速回し車を新調することにします。電気工作は秋葉原が遠くて簡単には出来ませんでしたが、ペットショップなら近所にもあります。
ペットショップの展示品をさんざん手で回して選んだのがこれ。
「回りやすさ」だけなら他にもスムーズに回るものがありましたが、軸が鉄で磨り減りにくそうなこと、車の側面が十分に広く、思い切り走れそうなことなどが選択の決め手となりました。
そして、すぐに改造を施します。例によって5inchフロッピーのライトプロテクトシールと、アルミホイルを貼ります。
構造上軸は外れなかったので、きれいに丸く貼るのはあきらめました。
前の回し車と違い、センサーを取り付ける場所が無かったので、センサーは金網側に固定することにします。
そのため、割り箸を適当な長さに切ったものにセンサーを接着し、逆側には取り付けのためのナットを接着しました。
適当なセンサーカバーもつけ、回し車とセンサーをケージにセットします。
ナットとビスは金網の隙間よりも狭いので、透明プラ板でワッシャ−を作っています。
「新しいのを買ってきた」というだけで、あまり改造箇所はありませんので記事は簡単です。決して手抜きなわけではありません (^^;
しかし、この回し車の効果は絶大でした…
前の回し車では最大 9Km だったのが、この回し車にしてからは最低 10Km となっています。
現在のところ、最も走った日で一日 18Km。普通は 13Km程度走っているという感じです。
また、振動ですべるとセンサーの位置からずれてしまう問題もあります。
100円ショップなどで売っている、滑り止めの網状になったゴムがおすすめです。
床にゴムを敷いてから設置すれば音もせず、すべりもしません。
このとき、ハムスターがゴムを齧らないように、回し車の足の上に紙等を載せておいてあげてください…
現在の問題点
大きな問題は出ていないので、そのうち何とかしたいと思うことを…
本来なら、閾値回路・スイッチング回路をちゃんと組んでやるべきでしょう。しかし、歩数計が閾値回路を持っており、それを流用していることになるのでそれはそれでよいと思っています。
しかし、閾値の調整はできるべきです。受光素子はもともと「可変抵抗」として動いていて、その抵抗値の「どこか」に閾値があります。
ならば、閾値の調整というのも簡単な話で、受光素子につながる線のどこかに可変抵抗を入れるだけです。
これだけで、うまくカウントしないときの回路調整が容易になりますし、銀紙・黒プラスチックという組み合わせ以外でも、微調整によって動作させることができるようになるでしょう。
もう一つの課題は電源です。赤外線を出すためだけに電池をつないでおくのは邪魔すぎます。
ためしに歩数計本体の電池から並列に電気を引くようにしたところ、歩数計が動かなくなりました。
あたりまえです。発光素子はほとんど抵抗が無く、歩数計はそれなりの抵抗があるからです。電気は抵抗の少ないほうに多く流れますので、歩数計には電気が流れなくなってしまったのです。
じゃぁ適当な抵抗をつけてやればいいんじゃないかな〜、と思っているのですが、そのためだけに秋葉原に行くのが面倒で実行していません。
終わりに
いま、全部書き終わってから、動作確認で一番最初に紹介したページを見に行ったところ…
リンクページで、すでに光学式を作っている人がいるのを知りました (T_T)
もっとも、リンク先が消えてしまっていて詳細不明。検索エンジンで探しても移転先などもないようですし…
追記 2003-03-03
上に書いた「軸が鉄で磨り減りにくそうな」回し車ですが、それでも半年程度が寿命でした…
プラスチックと鉄が双方削りあい、それで生じた粉がさらに削るのを助け、どんどん回転が悪くなっていきます。ついには明らかに回転が悪くなったので買い換えました。
もっとも、新しいものを買ってきても改造はシールを貼るだけ。簡単です。
「現在の問題点」に書いた「閾値の調整回路」や「電源の統一」は、結局行っていません。
LED を1個つけるだけだからそれほど電力は消費しないだろう…と思ったのですが、これは間違い。たとえ LED 1個でも、一日中つけているのですから1週間もすれば電池切れです。
だんだん電圧も落ちるので、多少閾値の調整をしてもあまり意味はありません。しょっちゅう電池を換えるので、電源を統一したらせっかく育ったエンジェルも(笑) 消えてしまいます。
もちろん、電池は充電池使用です。普通の電池を使っていたらお金が大変です。
ハムスターは、夏の暑い頃にはあまり走らなくなりましたが、寒くなると絶好調です。1日に15〜6Km走る日もありました。
ただし、本当に寒いのはダメです。ハムスターは寒さに弱いので、冬の夜は電気アンカを入れてやります。で、暖かくなると走るのをやめて眠ってしまうようです。
どうも、寒いから走って暖を取っているのかも知れません。
追記 2004-03-23
残念ながらハムスター死亡。うちに来てから2年と1週間でした。
(ページ作成 2002-04-17)(最終更新 2004-03-23)
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