腕時計型端末

目次

前史

腕コン腕ターミナルリストコンピューター

Ruputer

ハードウェア

表示入力ソフトウェアキーボード入出力

標準アプリ

ファイラー時計ワールドタイムスケジューラーメモ帳電卓ファイルビューワゲーム

ユーザー作成のソフト

エミュレータ

個人的な思い出

余談


個人的な思い出

Ruputer は、それほど売れませんでした。

発売から2年後に秋葉原で投げ売りになっているのを発見し、僕が購入したのはその時。


その頃にはすでにユーザー作成のソフトがある程度あったので、インストールして遊んでみたりしたけど…結局そこどまり。

当時の僕は HP200LX を使っていて、主な用途は「電車内でのテキストの入力」でした。


Ruputer はデータビュワーとしてはよく出来ているのだけど、入力に関しては絶望的。

面白いレアアイテムを入手した、というだけで、最初に購入した電池が切れた時点で終了…


電池の持ちは、非常に悪いです。

16bit CPU をボタン電池(CR2025)2個で駆動しているのだから、推して知るべし。


公称としては電池寿命は1か月程度、時計としての使い方は考えず、使用時以外はスリープする設定なら5か月程度持つことになっています。


でも、入手したばかりで面白くて、はげしく動くゲームとか遊んでいたら、2週間程度で電池切れになったのではなかったかな。

最近の「充電しても1日しか持たない」スマホに比べればずっと省電力に思いますが、充電池ではなくて交換なので辛いです。


電池ホルダーちなみに、Ruputer の電池持ちが良くない問題はセイコーインスツルメンツもわかっているようで、標準で「交換電池を持ち歩くためのキーホルダー」が付属しています。

交換にも工具は不要で、Ruputer 本体の裏蓋は、10円玉を工具として開けられる構造。


写真は電池を持ち歩くためのキーホルダー。正式名称は「電池ホルダー」です。
CR2025 が2枚入ります。

CR2025 は、今でこそ100円ショップで2個100円で入手可能。
でも、当時は定価で1個300円位するものでした。安売りでも、1個200円したのではないかな。

Ruputer の使い勝手は、あまり良くないものでした。

すでに書きましたが、カーソルポインタは画面の下にあり、決定キーは画面の右側にあります。指一本では操作できません。


携帯電話であれば、左手で持ち、右手で操作します。(右利きを前提としています)

この場合、横のボタンは左手で押してもいいかもしれませんね。


でも、腕時計だと左手は「なにもできない」のです。せっかく両手があるのに、右手でしか操作できない。

左手は、操作している長い時間、ただ前に突き出しているだけです。


腕時計って、本来は両手で何か作業しながらでも時計を見られるようにするものでした。

懐中時計が普通の時代にすれば、それは「時計を取り出すための3本目の手」を得たと言うこと。


でも、腕時計型端末と言うのは、長い時間「腕を片方使えなくするもの」なのです。

形は腕時計と同じですが、その効果は正反対。これなら、懐中時計のようにポケットから取り出し、端末を持つ手も駆使して操作した方が便利です。


…つまり、携帯電話の方が腕時計端末よりずっと便利なのです。

腕時計端末は「未来感あふれる」感じがしましたが、使ってみるとコレジャナイ未来でした。



Ruputer 発売時は携帯電話がまだ電話機能しか持っていなかった時代なので、上に書いたのは正確な表現ではないです。
でも、HP200LX 、Zaurus 、Palm など、ポケットサイズの端末はそれなりにありました。
Ruputer はそういうものに比べて、恐ろしく不便でした。

もちろん、腕時計バンドを外して「懐中時計」にしてしまえば、問題はかなり解消します。
Ruputer を実用的に使っていた方の記録などを見ると、多くの人がそうしていたようです。

しかし、腕に付けるのでなければ、Ruputer である必要もなく、そうなると他の端末の方が魅力あるんだよね。

余談

さて、Apple Watch 、売れるといいですね。


Ruputer が通った轍を踏むのか、それとも違うものになるのかは、出てみないとわかりません。

ただ、僕には Apple は Apple Watch の限界がちゃんと見えていて、それでも売れる仕掛けを付けてきたな、と感じています。


Ruputer は、コンピューターらしく使おうとすると片手が何もできなくなる、というのが弱点でした。

これは Apple Watch もおそらく同じです。


なので、コンピューターらしく「せずに」ただの時計に徹するのが基本戦略なのだろうと思います。

もちろん、iPhone との連携はしますし、Apple Watch 側でもアプリが動かせると言っていますが、基本的には iPhone から情報を受け取って表示するだけ、と言う方向でしょう。


でも、それだけじゃ魅力が無い…だから、大きな仕掛けを入れてきました。健康管理がそれです。


アメリカだと、自分の体調管理に気を使っている、とさりげなくアピールするのは、仕事での昇進に必要なことです。

自分の体調も管理できない人間が、部下の管理などできない、と考えられていますから。


近年では、この傾向にうまく乗ってヒットした商品に、「Wii Fit」がありました。

Apple が生体センサの機能を付けているのも、おそらくは最初からこの効果を狙ってのこと。


iPhone を買った上に Apple Watch まで購入できる、と言うのはある程度金を持った中流層でしょう。

そして、その層が一番、仕事で役職を狙えそうな層でもあります。


この層にとっては、Apple Watch は実用性よりも、昇進のためのアピールアイテムとして魅力があるのです。

だからこそ、「センスが無い」と思われるようなものではいけない。出来るだけ、ごく普通のものにしなくてはならない。


発表時に、そのデザインが「普通の時計」であることが驚きを持って迎えられましたが、おそらくは以上のような理由があってのことです。


…おそらくは、Apple 自身が「腕時計端末」に実用性があると思えていないのでしょうね。

だから端末の魅力ではなく、健康管理機能をアピールして、「仕事での昇進」という別の魅力をちらつかせてきたわけです。


そして、おそらくは「日本での発売は未定」な理由もこれ。

日本では自己管理のアピールって意味がないし、そうなると Apple Watch は何の付加価値もない、魅力に乏しい商品になります。


アメリカである程度売れれば、Apple Watch を使った「キラーアプリ」が現れるかもしれません。

そうなれば、そのアプリこそが付加価値になります。


多分、日本での展開はそれを待ってから…と言うことなのでしょう。


前ページ 1 2 3 4 5

(ページ作成 2014-10-05)
(最終更新 2014-10-06)

戻る
トップページへ

-- share --

38000

-- follow --




- Reverse Link -