太陽系の惑星たち

目次

サターン

ジュピター

マルス

タイタン

ヤヌス

ネプチューン

ビーナス

プルート


ビーナス

サターンは「最大5画面」の重ね合わせができますが、画面表示 LSI の VDP2 は「6画面」の重ね合わせに対応しています。残る1面は、あらかじめ将来の拡張予定として設計してあったのです。

「ビーナス」(金星)の名を持つ拡張機器が開発されていたそうです。ビーナスはもちろん美の女神でもあり、画面を美しく増強するという意味でもありました。


あまりにも情報が少なくて噂の域を出ないのですが、ビーナスの正体は、外付けの VDP1 だったようです。

つまり、VDP1 を二つに増強し、スプライトの描画性能を2倍に引き上げる拡張機器でした。…PC Engine スーパーグラフィックスみたいな発想です (^^;


しかし、VDP1 にフレームバッファの RAM を付けて発売するとなると、どうしても値段は高くなります。家庭用では対応ソフトなどの問題があって商業的に厳しく、対応ソフトが出なければビーナスを買ってもらえません。そして、ビーナスが普及しなくては対応ソフトなんて出ません。

…ちょっと前にスーパー32Xが通った道ですね (^^;; セガとしては、同じ過ちを繰り返すわけにはいきません。


では、業務用なら使えるのでは? 開発したビーナスを ST-V で使用する実験は、実際行われていたようです。実験では、確かに非常に多くのスプライトを表示できたそうですが…


VDP1 はもともと 30万ポリゴンを表示できる能力を持っています。ただ、3Dゲームでは CPU の性能がボトルネックになっていて、描画性能を上げることに意味がありません。

2Dゲームであれば演算能力の問題は生じないでしょう。しかし同時に、2Dゲームではこれほどの数のスプライトを出す必要もなくなります。

結局、ビーナスは開発が途中で打ち切られたようで、製品化はされませんでした。


外付けするのは VDP1 である必要はなく、フレームバッファの形式が同じであればよかったのだろうと思います。となると、もっと高性能なボードだって作ることはできたでしょうね。

もしサターンがプレステに負けず、アメリカのメガドライブ並みの市場を作れていたら、後年スーパー32X みたいにパワフルな外付けユニットが作られていたかもしれません。…って、やっぱダメな気がしますね (^^;


公開翌日追記:
ビーナスは、Normad(携帯型メガドライブ)のプロジェクト名だった、という文献があるようです
ただし、Normad はゲーム機としてはサターンの前の世代に属します。発売はサターン後ですが、惑星名シリーズがつけられたことに少し疑問を感じます。

ここでは、上記周辺機器の話題について、情報源を明かせません(当時この話を教えてくれた人に迷惑かかるから…これ、開発中機材の話で、社外秘情報のはずです)。
そのため、怪情報扱いとし、Normad と名称がぶつかっていることは追及しません。


追記:2016.1.22 (意図が伝わりにくい点があったので文面修正:2017.11.6)
ST-Vがまだ「タイタン」と呼ばれていたころの、性能などをざっくりまとめた紙資料を保持している人がいて、見せてもらう機会がありました。

社内の開発者に概要を説明するためのもので、もちろん社外秘。
でも、ここに「ビーナス」に相当する拡張機器の説明も載っていました。

それによれば、ビーナスにはVDP1 を搭載しているだけでなく、ジオメトリ演算用の DSP も搭載していたようです。
ということは、3D性能のボトルネックである CPU を、演算から開放できる。

上に書いた「描画性能だけ上げることに意味がない」というのは間違っていたことになりますが、性能評価してお蔵入りになったのは事実。
何か別の種類の問題などがあったのかもしれません。

(32Xの失敗を受けて家庭用を諦めたのであれば、ST-V専用品として使った場合にはサターン移植できないことになってしまう。これでは、業務用と家庭用で同じ基盤を使っているメリットが薄れてしまい、使わない十分な理由になる。)

プルート

プルートプルートは冥王星。太陽の光も届かない冥界(死後の世界)の王です。…当時は惑星でしたけど、今は惑星ではなくなっています


そんな悲しい開発名をもった機械が存在したようです。そして、名前の通り日の光も当たらないまま、ひっそりと消え去ったようです。

もっともこの機械、真贋論争があります。僕はどちらか知りませんが、単に面白いから取り上げます(笑)


性能としては、NetLink 内蔵のサターンのようです。日本では XBAND という通信対戦用モデムカートリッジが発売されたのですが、同じように通信対戦を可能とするもの。(性能や通信方式などは違う)

セガはこれ以前からメガドライブでメガモデムを発売したり、ゲームと通信の融合を試みていました。後のドリームキャストでは最初からモデムを内蔵していましたし、セガサターンのモデム内蔵版が試作されていた、というのもあり得そうです。


でも、XBAND はそれほど普及しませんでしたし、NetLink もアメリカとフィンランドで販売されただけだそうです。

拡張ハードが人気ないのに、その拡張ハードとの一体型モデルに価値は無い…というのが発売されなかった理由でしょうか。

光が当たることもなく、今は他の仲間と同じかどうかすら疑われている…そんなところまで「冥王星」と同じにしないでもいいのに。




以上、数多い「サターン」の仲間を紹介しました。惑星名でいえば、マーキュリー(水星)、アース(地球)、ウラヌス(天王星)を残すのみ。

…いや、地球はジェネシス(創世記)で言及しているのかもしれない。マーキュリーはゲームの販売で実現したのかもしれない。

えーと、ウラヌスはこじつけが思いつきません (^^; 無理やり揃えないでもいいのだけど。


そういえば、普通に発売された周辺機器には開発名なかったんですかね。

レーシングコントローラーやマウス、バーチャガンとか。土星には衛星がいっぱいあるから、もしかしたら一個づつ衛星の名前が付けられていたりして。

もしそういう情報お持ちの、当時セガのハード開発部門にいたような方がいらっしゃいましたら、情報お待ちしております。



参考文献
その他、WEB上の各種ページ


今回は、ネット上の数多くの「掲示板」の情報をもとに構成しています。
EGM、Gamepro、EDGEなどの情報をソースとする「転載」は掲示板上で確認できたのですが、実際の雑誌や、該当する記事の写真などは見つけられていないため、参考文献として確定できていません。
各機種の写真などは、引用させてもらった場合は本文中で写真引用もとへリンクをしています。
サターン、マルスの写真は から GPL に従って引用させていただいております。元ページへのリンクはしていません。


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(ページ作成 2013-11-22)
(最終更新 2022-08-21)

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