さて、前述の静嘉堂文庫美術館は、明治安田生命の本社ビル内にある。
このビル…「明治生命館」は、建物としては最初に国指定重要文化財となったものだ。
(現在、実際の本社機能は隣接するビルにほとんど移管されている)
美術館の中にはトイレがない、という表示があったため、入る前に「ちょっとトイレに行っとこう」とトイレ表示のある方へ進んだ。
そこには、建築当時のままだという古めかしいエレベーターがあった。
うわ、カッコいいと思い写真を十分に撮る。
そういえば、すぐ近くには「私設郵便函」と書かれた…つまりはポストもある。
写真撮ったのだけど、なんか変な感じだな。ポストの上の方に、ガラスか何か嵌め込まれた透明な部分があり、天井まで続いている…
「それ、上の階から投函した郵便物も、全部ここに入るようになっているんですよ」と、ビル入り口の警備をしていた警備員の方が教えてくれた。
なるほどー、と感心していたら、館内の見取り図を持ってきて「エレベーターなども先ほどから興味あるご様子でしたが、こちらにある物は実際に乗ることができますよ」と、別の個所のエレベーターを教えてくれた。
それは興味ある。美術館見終わったら行ってみます。
というわけで、エレベーターを見に行く。
入ってみたら、中はさすがに改装されていた。
というか、本当に建築時のエレベーターは、第二次大戦中の金属供出で壊されてしまったそうだ。
戦後返還されたときに当時の技術で作りなおしたもの…を、さらに「見た目がそのままになるように」最近の技術で作りなおしているようだ。
(本当のところはわからない。金属供出で壊されたのは事実だが、その後のことは僕の見立てに過ぎない)
で、1階と2階をつなぐだけのこのエレベーター、2階で降りたら受付があって「いらっしゃいませ」とあいさつされた。
あ、すみません。エレベーター乗ってみたかっただけです…と謝ったら、ここは重要文化財であるビルを、昔の内装のままに一般公開しているエリアらしい。
せっかくここまで来たのだから見ていくか。警備員の人に「エレベーターに乗れる」なんて言われて、うまく誘導されたようだ。
まったく予定外の時間だったのだが、見てよかった。
明治生命は第1次世界大戦から第2次世界大戦の間に本社ビルを作りなおしたのだが、皇居の目の前という立地条件もあり「誰が見ても立派に見えるような」建築を目指したようだ。
実際、強固に作られていて今でも古さを感じさせない。
皇居の前という便利さもあり、第2次大戦後に GHQ に接収・使用される。
(本部ではない。本部になったのは、すぐそばにあった第一生命館。こちらは現在は存在しない)
一般公開エリアは、当時のままの調度品などがおかれた部屋を回れる形。
100年近く前の建物だが、「吸引掃除機」のための仕掛けがあったり、全館空調があったり、各部屋に大きい時計があったり、非常に先進的。
というか、それを「先進的」とするのが古臭くはあるのだけど。
吸引掃除機は今では当たり前に使われる、いわゆる「掃除機」だけど、当時はモーターで吸引する装置を、今ほど小さくは作れないのだ。
ビルの地下に巨大な真空ポンプモーターがあって、その吸引パイプがビル内の各所に作られている。
蓋を開け、ホースをつなげば掃除機として使える、というやり方だ。
全館空調も同じく。今みたいに小さなエアコンなんて作れない。各部屋に大きな吹き出し口があり、ダイアルで空気量だけ調整できるようになっている。
時計も、この当時は小型のムーブメントなんてない。マスターとなる時計が一カ所にあり、1分ごとに「パルス」を送り出す。
各部屋の壁に埋め込まれた時計は、パルスを受けると分針を「1目盛り」だけ動かす。これだけの仕組みなので、時計を作るよりはずっと簡単だ。
何よりも、正確な時計を作るのが難しい当時、時刻調整をやるにしても「マスター1カ所で」行えば、全部に反映されるというのは非常に便利な仕組みだっただろうと思う。
(今でいえば電波時計のようなものだ)
しかし、100年前だとこれは最先端技術だっただろう。
あ、ちなみに、ここに書いたのは僕がこういうの好きだから知っていただけで、解説はどこにもないです。知っている人がいると面白いけど、そうでないと「ただ骨董趣味の部屋を見せられているだけ」になるかも。
まぁ、それだとしても、当時の豪華絢爛さは伝わってくるすごい作りなのですが。
天井とか、細かな立体細工が沢山あるので見上げて歩くことをお勧めします。
昼ご飯。
明治生命館横の「明治安田ビレッジ」で食べる予定だったのだけど、来る際に有楽町駅近くのビッグカメラ地下にコメダ珈琲があるのを見つけた次女が「コメダで食べてみたい」と言っていたので予定変更。
すでに時間は1時近く。予定外の明治生命館を見たので、予定より遅くなっています。
コメダ…案外高いよね。軽食にドリンク付けると2000円近くなってしまうので、ハンバーガー・ホットドックと「水」で。
しかし、値段は高いが量は多い。妻には量が多かったようで、少し気分が悪くなってしまった。
午後の間ずっと、時々休みながらの行動になります。
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