トースト
Toasts. …Toasts? トーストって何なの?
Llama の現在のモードを通知する方法を選ぶ選択肢の中に、Toasts はありました。
うーむ、良くわからない。この項目は作者さんも説明が必要と思ったのか「this is the brief messages that pop up」とか書いてあります。
Windows のミュージックプレーヤーで右下で曲名表示するのを思い浮かべろ、とも書いてある。pop up なのだし、Windows の通知領域で、下からピロっと現れるようなやつのことかな?
…と想像して、トースターみたいに、通知が下からぴよーんと飛び出すイメージかと考えました。
で、最初は「飛び出す」って訳に。
後で知りましたが、Toasts って、Android の画面表示メソッドの名前なのね。
Windows で「Tips」と呼ばれる、マウスカーソル近くに小さな枠を表示して中に文字を書き込む表示方法があるのだけど、あれに類似のもの。
画面中央下寄りのところに、小さな枠を表示してメッセージを表示します。
さて、これがAndroid 独自の用語で、スマホ一般の言葉ですらない、とわかったところで悩みます。
そもそも、なんでトーストっていうんだろう。パン焼き…画面に焼印を押すイメージ?
Toast の意味をネットの英和辞書で調べます。乾杯の意味もあるのか。でも、これも違う気がする。
…あ、あった。乾杯から派生して、名誉であるとか、ちょっとした挨拶の意味もあるらしい。
つまりは、「ちょっと一言」表示するからトースト、なんですね。
ワインにトーストを入れることがあるから乾杯の意味になった、と書いてあるページは多数あれど、何故ワインにトーストを入れるのか書いているページがあまりない。
まず、古代のワインは今よりすっぱかった。今はビンに入れて密閉できるけど、古代は壷にいれていて、酸化しやすいのだ。
酸化したものはアルカリで中和できる。身近にあるアルカリは、植物性の焦げだ。パンをこんがり焼いて浸すと、中和してワインの味がまろやかになる。
次に、香りを楽しむためには、口の中で空気と混ぜると良い。そば食いがそばを勢い良くすするのも同じ理由だ。
コーヒーや紅茶を楽しむのにクッキーを一緒に食べたり、チーズを楽しむのにクラコットを使うのも同じ理由。
もちろん、パンにも香りを広げる力がある。
つまり、焦がしたパンをワインに浸して一緒に飲むと、味がまろやかになり、香りが広がるようになる。
これは古代の習慣の話ではない。
僕は酒は好きだが酒飲みではない。なので、ワインをあけたが飲みきれず、そのまま数日経ってしまうことがある。
そんな時、トーストを入れると確実にうまくなる。ぜひお試しあれ。
さて、意味が理解できたところで、訳語に悩みます。挨拶、とか、ちょっと一言、では意味が伝わらない。いっそのこと、今後この言葉が一般化することを願って「トースト」のままにするか…
最終的には「枠付表示」としました。小さな囲みのなかに表示するのだから。これで伝わるかはわかりませんが、「トースト」と言われるよりはわかりやすいと思います。
将来的に、技術者だけでなく、誰もが皆この表示方法を「トースト」と呼ぶのだと了解する時代が来たら、訳語を変える可能性もあります。