2001年12月04日の日記です

12/3  2001-12-04 01:10:29  COMP
やっとこさ、仕事が一段落…したのかな (^^;;

KDDIが12/1から新しい携帯を売り出した。
先にも日記に書いたのだが、さらに詳しいことを見ると、結構良く出来ている。悪くない。
が、今までの仕様とはぜんぜん異なっている。

今までKDDIが使っていた WAP と言う規格は、非所に良くできていた。
詳しくはどっかに解説ページがあるので読んでもらうと良いが、そういうページは技術解説が多いので、ちょっと思想解説をしておこう。
OldGood を最近更新していないので、WAPをめぐる「プチ」OldGoodだ(笑)


通常、インターネットWEBでは、コンテンツの指定に URL を使用し、転送に HTTP を使用し、内容の記述に HTML を使用する。(ティム・バーナース・リーの三大発明と言うやつだ)
しかし HTTP はヘッダ情報が多く、結構オーバーヘッドが大きい。HTMLはタグに冗長性が多く、表示に結構パワーがいる。
そしてなによりも、これらは高速なネットワークでの仕様を想定している。

これでは携帯電話に使いにくいので、WAPではHTTPとHTMLを携帯電話向けに定義しなおす。
HTTP(HyperText Transfer Protocol) は、もっと無駄を省いた WAP(Wireless Aplication Protocol)とし、HTML(HyperText Markup Language)は、HDML (Handheld Device Markup Language) となる。

HDML の特徴は、アクセスを極力控えるために「キャッシュ」と「変数」という二つのメモリを活用する点にある。
また、必要以上にスクロールをすると小さい画面では見づらいため、1つのURLで送信できる内容を、複数の画面に分割できる。画面1枚をカードとよび、一度に送られる複数のカードをデッキと呼ぶが、これらをうまく組み合わせると非常に多彩なことが出来る。

HDML はベンチャー企業が策定した言語規格だったので、WAPが世界標準として採用されると同時に、WML(Wireless Markup Language)という「よりよい」言語が作られた。
基本的には同じものだが、タグなどが多少整理されたり、新機能が追加されている。


さて、KDDI がWAPを採用したのは、HDMLからWMLへの移行中の時期だ。
HDMLはすぐに過去のものになることがわかっていたが、WMLはまだ仕様が決まっていなかった。
そこでKDDIは「携帯に送る前に、サーバーで中間コードにコンパイルする」という、なかなか良いアイディアを出した。

こうすることで、言語の表面的な記述は問題ではなくなる。HDMLでもWMLでも、意味的には同じだ。ユーザーが欲しいのは単に情報なのだから。
しかも、この方法ではコンパイルされることでタグが圧縮されるので、通信が速くなり、通信費も安くなると言うおまけがつく。一石三鳥だ。

すばらしい、すばらしい。すべては丸く収まるはずだった。


しかしそうは簡単にいかない。
KDDIが準備中に、実はNTTがi-modeのサービスを始めていた。
i-modeは、URL-HTTP-HTMLという、通常のWEBとまったく同じ仕組みをもつ。そして、通常と同じだからこそ急速に対応コンテンツを増やしていた。

KDDI が WML決定前にHDMLを採用してしまったのも、実はここらへんの理由が絡んでいるのではないかと思うが詳しくは知らない。

i-modeでは、WAPのように通信を控えたりはしない。冗長なデータもバンバン送る。同じURLでもキャッシュなど考えず、バンバン再送しまくる。
そのためDoCoMoは大儲けだ。もうけた金で宣伝し、また儲ける。

そしてKDDIはシェア争いに負けた。まぁ、ここらへんは KDD - セルラー - IDO - TU-KA の連携がうまくいかなかったせいもあるが。


WAPの仕様を策定している団体では、i-modeの成功を受け、i-modeの仕様をWAPに取り入れることにした。そうしてWAP2が出来上がった。

WAP2は、URL - HTTP - HTML でコンテンツを送信する。WAP と言う名前がついているが、通信レイヤーは WAP ではない。
HTML 部分は、XML による HTML 実装である XHTML だ。そのため拡張性は高く、HDMLのように「デッキ」などを作ることも出来る。
そして、やはり中間コードにサーバー側でコンパイルするため、HDML との互換性がある、と KDDI は言っている。…というか、言っていた。

WAP2 は、これはこれでよく出来た仕様だ。最初に書いたとおり、悪くない。
しかし、WAP1 とはまったく思想が違い、「成功したものを取り入れる」ことが中心になっている。

結果、KDDIが「互換性がある」と説明していた WAP2 は、実は全然互換性が無い。
たしかに簡単なものは、なんとなく動く。動作はいろいろおかしいが、情報を見る程度は出来る。
しかしその程度だ。これを互換性というのなら、英語とフランス語にだって互換性がある。


ここのところ仕事が忙しかったのは、WAP2が「互換性が無い」という事態が発覚したのが、WAP2のサービスイン半月前になってからだったため。
表面的な手直しで済むようなものならともかく、場所によっては1からプログラムしなおすくらい大変なものを、2週間前に情報提供して「対応してください」は無いと思う。
しかも、提供情報は不完全なもので、こちらは他に問題点はないのか検証するところから始めないといけなかった。
そういうわけで、ここしばらくはかなり多忙を極めたのだ。


今でもKDDI的には互換性があることになっているし、実際「英語とフランス語程度には」互換性があるので、ここではこれ以上は突っ込まないことにしておく。
WAPの仕様が Ver.2 になってあまりにも変わりすぎたので、KDDIも被害者なのだろう。

最後に書いとくけど、僕はKDDI嫌いじゃないからね。
ここにいろいろ書いたのは、「何で忙しかったのか」ということで、KDDIの悪口を言いたいんじゃない。
最初に持った携帯電話は IDO だったし、そのころは他の人にも IDO を薦めまくっていたんだ。そして、いまでもHDMLの先進性を気に入り、なくなってしまうことを残念に思っている。

結局、WAP2 って i-mode だからね…

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