2015年02月24日の日記です


当時の雰囲気  2015-02-24 11:25:16  業界記

僕の配属されたAM1研がどういう部署だったか、当時の雰囲気を少し書いておきます。


僕が入社する前のことはそれほど知りません。

でも、歴史的に見れば、AM1研は業務用開発の中では一番古い部署です。第1、だからね。


もっとも、最初から第1だったわけではなく、第2が出来た時から第1になりました。これも当然。

第2は、言わずと知れたAM2研。「3Dゲームに特化した研究を行う」名目で、1研から分離した部署です。


実のところ、現在2研の初期のゲームとして知られている多くのゲームが、分離前の時期に作られています。

「鈴木裕作品」と「2研作品」は違うものなのだけど、混同して考えられている。


まぁ、この混同はセガの方針でもあった可能性大です。

詳細は知らないのだけど、セガのゲームの中で「高級ブランド」のイメージを作ろうとした感じ。


だから、AM2研のゲームには積極的に部署名が付けられました。

さらにあとで出来たAM3研もそういう感じ。

(僕の入社時にはすでに3研もあったので、こちらの出来た経緯も詳しくは知りません)




で、AM1研の作品では特に「AM1」を前面に押し出すこともなく、「セガ作品である」という表記になります。


部内では、自分たちはセガとしての商品を作っているのであり、作品に携わった人の個性をことさら強く主張する必要はない、と言う雰囲気でした。


先に書いた、手相を作った時にスタッフロールを隠しで入れたけど、簡単には見られないようにした、というのもそのため。

部署内の雰囲気が「作家性は不要」だったので、スタッフロールを入れることに後ろめたさがあったのです。



まぁ、後には時代の流れもあって多少は開発スタッフが前面に出ていくことになるのですけど。

(雑誌取材で開発者インタビューとかを求められるようになったので、名前を出さざるを得なくなるのです)




作家性を求めない、という意味では、1研はチームも固定していませんでした。


ゲームを作るために人材が集められて、そのゲームが終わると解散する。

別のゲームに携わっている最中でも、これはこの人でなきゃ、ってことになると配置換えになったりもします。



他の部署は良く知らないのですが、2研では新人の時に配属されたチームで固定だった、と聞いています。


チーム内の連携は非常に強くなり、作家性が強くなります。

一方で、チーム間のライバル意識で開発した技術が共有されず、同じ部署内であっても、他のチームに技術的な質問をして「企業秘密」という答えが返ってきたりしたそうです。


1研では、セガのゲームを作っている、という意識があったため、同じ社内である2研や3研に技術を教えることもありました。

逆に教えてもらえることはほとんどないのだけどね。




セガのゲームを作っている、という意識は、「会社として必要なものは請け負う」という意味合いでもあります。


AM2件は3Dに特化した部署でした。

結構3D以外も作ってるんですけど、まぁ当初の設立意図としては明確な方向性を持っている。

3研も2研ほど強烈な方向性は無いものの、やはり方向性がありました。


それに対し、AM1研は「方向性が無い」というのが方向性でした

禅問答みたいだけど、ようは何でもやるよ、ということ。


それが会社にとって必要だ、と上層部が認識し、開発を指示したとします。

2研や3研がやりたければ、そっちでやればいい。でもやりたくない仕事は1研が引き受けます。



これがね、当たり前だけど儲からない仕事ばかりなんだ。

各部署には均一な売り上げノルマがあったのだけど、僕がいた間には1研はノルマ達成したことないんじゃなかったかな。


#いや、1度くらいはあったかも?


2研は大抵ノルマ達成していましたが、それでも達成できないこともあったような…

その程度に厳しい目標なのですが、1研は全然ダメだった。


多分、部長は針のムシロだったと思います。

でも、儲けにならない仕事を上層部から貰ってくる。

自分が取ってきた仕事だから、ノルマ達成できなくても部下を責めるようなことは無い。


会社にとって必要な仕事を請け負うことで、ノルマ未達成の「免罪符」を得ていたのかもしれません。

しかし、結果的に1研の中では伸び伸びと仕事ができました。今更ながら良い部長だったと思います。




会社にとって必要な、儲からない仕事、って何か書いた方が良さそうです。


ゲームセンターが「ゲームをやりに行くところ」だと思っている人は多いと思います。


でも、当時はゲームセンターってもっと気軽に来てもらう空間を目指していたし、実際気軽に入る人がいました。

そうなると、別にゲームが好きなわけでもない、ゲームをしたいわけでもない人もやってくる。


営業のサラリーマンが、次の約束までに時間が空きすぎてるから暇つぶしに来るとか、お母さんが買物する間に子守を頼まれた父親が子供と来るとか。


すると、バーチャファイターとか、グラディウスとか、難しすぎて遊べないわけです。


麻雀とか、野球ゲームとか、クイズとか、わざわざゲームセンターで遊ぶ意味あんの?ってゲームありましたよね。

あれは、そういうサラリーマン向け。

ゲーム内容の説明がなくても、見た瞬間にやることがわかる。ゲームが特に好きでもない人には重要です。


子連れには「アンパンマンのポップコーン工場」とか人気があります。

ゲームですらないけど、ハンドルぐるぐる回すと絵が動くから、子供は遊んだ気になる。


AM1研では、そうしたものの開発を引き受けてました。

(そういうの「だけ」ではないよ。ちゃんと普通の、ゲームらしいゲームも作ってた。)




サードパーティのサポートをやっていたのもAM1研。

もしかしたら他の部署でもやっていたかもしれないけど、大抵は1研に回ってきていた。


サポートって、手間がかかって割には合わない。

でも、ゲームセンターには多様なゲームが必要、という信念のもとでは、割に合わなくてもやらないといけない仕事なんです。


多くの名作、迷作が送り出されました。

迷作は出したくないんだけど、いろいろとやむを得ない事情もありまして…


部内開発のゲームだと、開発中でもつまらないと判断されると即打ち切り、って厳しさがあったんですよ。

でも、他社のゲームだとそういうわけにもいかない。ものすごくつまらなくても販売ルートに乗せたゲームもあります。


逆に、すごく技術力高くて、ゲームも面白かったんだけど、販売できなかったサードパーティゲームもあったな。

勝手に基板改造してたの。これはさすがにルートに乗せられず、発売されなかったはずです。




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