TX-0の操作方法
目次
TEST モード詳細
TX-0 では、通常は PC の示すアドレスから内容を取り出し、命令として解釈をすることでプログラムを実行します。
TEST モードでは、メモリではなく TBR の内容を命令として解釈します。
この際、TAC の値が AC にセットされます。
TEST モードの動作を示した文書は、58年時点のものしか存在していません。
その後の改造で増加した命令が、TEST モードでどのような扱いになっているかは不明です。
しかし、エミュレータでは増加した命令も TEST モードで動作確認できるように作っています。
これは、命令デコーダをわざわざ通常モードとテストモードで2重に持つような無駄はしないだろう、と考えるためです。
命令のの最上位2ビットが 10 のものは、TX-0 では「分岐命令」を意味します。
本来は様々な条件により分岐を行えるのですが、テストモードでは動作が異なります。
まず、条件は考慮されません。必ずジャンプを行います。
そして、動作モードが、TEST モードから通常の実行モードに切り替わります。
つまり、TEST モードから、アドレスを指定して実行を開始することが出来ます。
テストモードは、次のような用途で使用することを想定しているようです。
・メモリ格納命令を使い、実行中のプログラムの変数データなどを変更して動作テストする
・加算機能を使い、メモリ上の変数データを AC に取り出して表示する。
・分岐命令でプログラムを任意のアドレスから開始する。(前述)
メインコンソール右上に、STEP と REPEAT という二つのトグルスイッチがあります。
これらのスイッチは、テストモードでの動作を指定するものです。
テストモードでは、TBR に指定したアドレスが MAR に転送されます。
MAR は、メモリアクセス時の対象アドレスを意味します。
STEP を ON にすると、命令実行後に MAR が増加します。
なお、PC は常に MAR+1 にセットされています。
REPEAT を ON にすると、同じ命令を繰り返し実行します。
このため、0番地へのメモリ格納命令を、STEP、REPEAT ともに ON の状態で TEST モードに入ると、あっという間に全メモリが TAC の内容で埋め尽くされます。
READ-IN モード詳細
READ-IN モードは、紙テープを入力もとに変えただけで TEST モードと類似の動作をします。
TBR と TAC の替わりに、紙テープの連続したデータを使用します。
紙テープでは、1line に 6bit のデータを記録できました。
これを 3line で 18bit 、1word のデータとなります。
データは先頭から 6bit づつ区切られているのではなく、3bit 飛ばしで拾い出した形で入っています。
詳細は TX-0 命令の r3c の説明をお読みください。
最初に読み込んだ word は、MBR に送られます。
続いて読み込んだ word は、AC に送られます。
そして、MBR の内容を命令として解釈します。ここら辺はテストモードと同じです。
以下繰り返しです。
基本的には、メモリ格納命令と、そのメモリのデータが並ぶことになります。
TEST モードと同じく、分岐命令は通常モードへの切り替えを行い、必ずジャンプします。
これは、メモリにプログラムが用意できた後に、そのプログラムを実行するのに使用されます。
TEST モードでは、opr 命令も実行可能でした。
しかし、READ-IN モードでは、opr 命令はメモリ格納命令と同等に扱われます。
また、加算命令は分岐命令と同等に扱われますが、実行を続けずに TX-0 を停止状態にします。
実行に際し、なんらかのユーザーの準備が必要な際に使用します。
準備完了後に RESTART ボタンを押すと、実行を開始します。
TEST モードと同じく、動作の詳細を示した文書が 58年時点のものしかありません。
エミュレータでは TEST モードと同く、増加された命令も使用可能にしています。
しかし、動作目的が「紙テープのデータをメモリに読み込む」ことなので、58年時点で使用できた基本命令以外を使用する理由も、特にありません。
参考文献 | |||
A FUNCTIONAL DESCRIPTION OF THE TX-0 COMPUTER | JT.Gilmore,Jr. & H.P.Peterson | 1958 | MIT |
Focusing Light Pen | 1960 | MIT | |
OPERATION OF THE OFF-LINE FLEXOWRITERS | 1960 | MIT | |
THE TX-0 INSTRUCTION CODE | 1960 | MIT | |
TX-0 INSTRUCTION CODE | 1961 | MIT | |
THE TX-0 INSTRUCTION CODE | 1965 | MIT | |
THE TX-0 INSTRUCTION CODE | 1966 | MIT | |
Bitsaver で保存・公開されているTX-0紙テープイメージ | |||
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