火を焚こう

野外生活で、火というのは非常に頼もしい存在です。

料理をするだけでなく、暖を取ったり、明かりにしたり・・・。前回紹介したようにコンロの火でもことは足りるのですが、焚き火はなにか、人の心に訴えるものがあります。


最近のキャンプ場では火を焚くことが禁止されている場合もあるのですが、焚き付けの方法は覚えておくと何かと役に立ちます。ぜひ、一度挑戦して見てください。

準備

準備と言うほどのことでは無いのですが、火を焚く時にはいくつかの物を準備しましょう。


まず、燃やすもの。当然です。しかし、これがなかなか難しいので、詳しくは後程説明します。

マッチ。ライターでもいいですけど、野外ではマッチの方がなにかと役に立ちます。

軍手。火を扱う時は、やけどを防ぐ意味でも、木のトゲから手を守る意味でも、絶対に軍手をしてください。

鉈(なた)。薪をわったり削ったりするのに必要です。鉈は刃物ですから、周囲に人がいない所で使ってください。


あとは、水の入ったバケツ、スコップ、などがあればいいでしょう。


火を燃やす時は、まず浅い穴を掘ります。(キャンプファイアーなどではこの限りでない)

かまどとして使う場合は、手前をなだらかに、奥と横は急にした穴が良いでしょう。

かまどを作るときの穴の掘り方。
 この図は横から見たところで、右が手前になる。風の有る時は、手前が風上に来るようにするとよい。
 この穴の横に大きな石を置いて網を乗せてもよいし、木で三脚を作って上から鍋を吊すのも良い。


燃やすものを選ぶ

火を焚くというのは、ただ物を燃やせば良いと言うのとは違います。その火を別の目的に利用しようと言うのですから、目標は安定して長く燃える火を作り出すことです。


まず、わかりやすいことですが「強く燃えるものは、早く燃え尽きる」ということを頭に入れてください。紙や枯れ葉などは燃えやすいので入れたがる人が多いのですが、そんなものは何の役にも立ちません。

最終的には、太くて重い木に火が付けば、安定して長時間燃える火が得られます。


しかし当然、燃え難いものはなかなか火が付きません。そこで、小さな火を徐々に大きくしていくようにするわけです。

薪を組む

まず、地面におがくずや枯れ葉、新聞紙などを積み上げます。新聞紙を使う場合は、くしゃくしゃに強く丸めた感じにするのが良いでしょう。

つぎに、この山の上に小枝を置きます。円錐状に立て掛けるように置き、出来るだけ頂点に力が集まるように(崩れ難いように)します。


小枝に混ぜて、さらにもうちょっと太い枝を、少しだけ置いておきます。

このとき、密集させ過ぎると火が付き難いので、所々に隙間を残すようにしてください。

 枝の置き方。
 図で、内側の灰色の部分が新聞紙。新聞紙を囲むように、円錐を作るように薪を組む。この時点では細く、燃えやすい薪を使うこと。



小枝、と書いてありますが、実際には薪を割ったものでいいです。人差し指から親指くらいの太さならいいと思います。
 これは、地面に直接木を置くと湿ってしまい、火が付き難くなるのを防ぐと共に、火は上に燃え広がるので、新聞紙から枝に火を移しやすくしているわけです。

で、下の新聞紙に火を付けます。周囲の数箇所から着ければより良いでしょう。マッチならば簡単ですが、ライターしかない場合は、強くねじった新聞紙に火を着け、その火を移しましょう。


強くねじれば、新聞紙も長く燃えつづけるようになります。一説によれば、新聞紙1枚を強くねじった場合、薪一本に相当する火力を得られるそうです。

上の枝に火が燃え移りましたか? 燃え移れば、薪を足して行きます。少しづつ太い薪を入れて行っても大丈夫でしょう。このとき、薪の周囲に鉈で切り込み(ささくれ)を作ってやると、火が燃え移りやすくなります。


このような、ささくれた薪を作ると火が移りやすく、火力も持続します。


急に沢山の薪を入れ過ぎると、空気の流れを止めてしまい、火は衰えます。また、薪を乱暴に投げ込むとせっかく燃え始めた火を衰えさせます。

火を大きくするのは根気のいる作業です。気長にやりましょう。


薪をくべるとき、「火は上に燃えるものだ」ということを忘れないでください。

新しい薪は上に置きます。このとき、空気の流れる道を考えて置くようにします。

新しい薪になかなか火がつかないときは、細い薪を上に置いて火をつけた後、下に入れ直します。


どうしても火がつかない薪があったら、さっさと取り除きます。

薪を動かすために、ながい棒を用意しておくとよいでしょう。


新しい薪を入れた時、火が十分に強ければ、勢いよく風を送り込んでかまいません。小さな火なら風で消えますが、大きな火は風によってさらに勢いを増します。(逆に、これが山火事などを恐ろしくする原因です。注意しましょう)

良く燃える火からは、あまり煙が出ません。

ここまでくれば、この火は簡単には消えません。火が衰えたら1本薪を入れる、という程度にして、火を利用しましょう。

後片付け

火が燃え終わったら、必ず水を掛けて完全に鎮火したのを確認し、穴を埋め戻しましょう。

キャンプ場などの場合、そのまま炭を埋めてしまうのは迷惑なので、炭はごみ袋に取ってから穴を埋め戻します。

焚き火のテクニック

単純ですが、知っておくと役に立つことをお教えしましょう。


濡れた薪が燃えないのは当然です。これを火に入れれば火は衰えます。しかし、火の近くに置いておけば、やがて乾きます。


自然の枝を利用する場合、杉の枝は便利です。日本には杉林がたくさんあり(花粉症の原因ですね)、そんな林には、杉の枝がよく落ちています。

杉の枝は燃やすには丁度良い太さですし、枯れ葉は非常に強く燃えます。葉がついたままの枝は、格好の薪になります。


焚き火でクッキングを行う場合、火に掛ける前の鍋の外側に、薄く泥を塗っておきましょう。(底だけでなく、側面も上の方まで塗ること)

焚き火に掛けた鍋には非常に多くのススが付き、また、ススは水を弾く性質があるため、洗うのに非常に苦労します。しかし、泥を塗るだけで、ススは泥と一緒に水に流れます。


枝(串)に刺したマシュマロを火であぶり、固まった表面だけをつまみとって食べる「焼きマシュマロ」は、キャンプの時によく食べられるデザート(?)です。

普通にマシュマロを食べるよりもおいしいです。キャンプには、ぜひマシュマロを持参しましょう。(アメリカ製の、日本のものよりも固いマシュマロの方がうまく行きます)

(ページ作成 1997-07-13)
(最終更新 1998-05-17)

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