CoolDown!

夏です。暑い季節がやってきました。

私は「夏は暑いのが良い」と信念をもっているのですが、暑ければアイスを食べますし、余り暑いとやっぱりクーラーをかけたりします(笑)

でも、昔は当然クーラーなんてなかったし、アイスを作るのも一苦労だったんですよね。今回は、そんな「冷やす工夫」の話し。


氷で氷点下まで冷やす

むかしばなしの王女でも
アイスクリームを食べられない
アイスクリーム アイスクリーム

僕は王子ではないけれど
アイスクリームを召し上がる
スプーンですくって ペロッペロッペロッ
舌に乗せると トロントロン
喉を音楽隊が 通ります

上に書いたのは、童謡「アイスクリーム」の一部です。(詳しい資料がないため、正確でないかも。作詞/作曲者もわかりません (^^; )

この歌にもあるように「アイスクリーム」といえば現代技術の作り出したデザートで、昔はなかった・・・と思われがちですが、実は結構古くからあるのです。

1550年ごろといいますから、実に400年前の出来事です。イタリアで作られ始めたアイスクリームの製法がフランスにわたり、商業的に発売された記録が残っています。

これは冬の間に保存しておいた氷を使って冷やしています。氷を夏まで保存する工夫は世界各地で行われており、日本でも富士の裾野などに「氷室」という施設が作られました。(夏になると将軍家に献上されていた資料が残っています)

ただ、氷は 0 度であり、他のものを凍らせることは出来ません。水が凍り始める温度は、およそマイナス3度です。さらに、アイスクリームの場合不純物(乳脂肪分や砂糖)が入っているため、マイナス10度程度まで冷やさないと固まりません。

そこで0度の氷を使ってマイナス10度まで温度を下げる工夫が必要になります。その方法とは・・・知っている人も多いように、「塩を入れる」だけです。

氷がずっと0度を保っているのは、溶けるときに周囲の熱を奪うためです。しかし、塩を入れると氷は激しく溶けてしまいます。このため、周囲の温度を0度より下げてしまうことが出来るのです。

ちなみに、日本で最初にアイスクリームが発売されたのは横浜馬車道。値段は「金2分」だったそうです。(金4分で小判1枚と同額。小判1枚は、今でいう5〜6万円)

高価な食べ物だったんですね。


冷蔵庫やクーラーのしくみ

この、「凍っている」「溶けている」、つまり固体と液体の間にどのような違いがあるかといえば、多くの人が知っているように「分子が自由に行動できるかどうか」です。

自由に動く「気体」分子を無理に圧縮し、圧し固めてやると液体になります。このとき、動くためのエネルギーは行き場を失い、熱に変化します。つまり、圧縮された気体は熱をもちます。

では、この熱を逃がした後(熱くなっているのですから、放っておけば冷めます)、急に圧力を元に戻すとどうなるか? そう、今度は周囲から熱を奪って、周囲を冷やすことが出来ます。

これを連続して行うのが、クーラーや冷蔵庫の仕組です。一般的にフロン、最近ではLPガスなどをポンプで圧縮し、外を移動させる間に冷ましてから、室内で噴射(圧力を解放)してやれば、低温を保つことが出来るのです。

ポンプで圧縮した気体を室外で冷やし、室内機の内部で噴射してやると、温度が下がる。この気体を再び圧縮し・・・を繰り返してやれば、連続的に冷えて行く。



ガス冷房機のしくみ

しかし、クーラーが非常に電気代がかかるのはどこの家庭でも実感していることだと思います。これをビルなどの大型建築物で使うのには、コスト的にかなり問題があります。

そこで、「ガス冷房」という巧妙な仕組が実用化されています。なんと、火を燃やして周囲を冷やそうというのです。

システムが大がかりなためまだ家庭には普及していませんが、今年から家庭用の機種も一部地域で発売はされるそうです。


後に追記:このページは1997年に書かれています。今年とは1997年のことです。

ガス冷房システムは、大きく分けて2つのブロックからなっています。この2つのブロックを、「気体A」と「Aを良く溶かす液体B」の2つの物質が巡回します。(気体や液体の種類は企業秘密だそうで、良くわかりません。アンモニアと水、とか、吸収率が非常に高い組み合わせです)

桃色が気体A、青色が液体B、紫色が気体Aを溶かした液体B として表現。
 ポンプは省略しているが、黒矢印の方向に液体/気体が流れる。
 室外機から室内機に戻る長いパイプも室外に作られ、室外機で得た熱を放射してから室内に戻る。


まず、室内機で気体Aが液体Bに溶けます。非常に高い吸収率ですので、気圧は一気に下がります。気圧が下がると周囲の熱を奪いますから、室内機の周囲は冷えます。

ここで、気体Aを溶かした液体Bは、室外機に送られます。室外機では、この液体をガスを燃やした火で加熱します。(ガス冷房でガスが使われるのは、ここだけです)

この液体は、加熱されると気体Aを放出します。再び分離した気体Aと液体Bは、長いパイプを通って冷まされた後、再び室内機に戻されます。

ただこれだけ。これだけの仕組で「火を燃やすと冷える」システムの完成です。

実際には、燃やすガスには液化プロパンガス(LPG)を使用し、このガスを気化するときに周囲の熱が奪われる効果も利用して、さらに冷房効率を高めているそうです。


ペルチェ素子

上では非常に大きなシステムを紹介しましたが、最近は車に持ち込めるような小型冷蔵庫も開発されています。そこで使われるのが「ペルチェ素子」と呼ばれる、上に挙げたのとはまったく違う方法で冷却を行う方法です。

分子の運動エネルギーを熱エネルギーに変換することで冷却する、というのが従来の冷却方法でした。しかし、これと同じ様な現象は分子だけではなく、電子の世界にもあります。

2つの異なった金属を電線で結び、片側を冷やし、片側を熱すると電流が流れます。電流というのは「電子のもつエネルギーの差異」によって生まれるのですが、この実験によって、熱によってエネルギーに差が出来ることがわかります。

じゃぁ、逆に異なる金属に電圧をかけたらどうなるか? 冷えるんですねぇ、これが。金属の組み合わせによってどの程度冷えるかは異なりますが、この現象を利用したのが「ペルチェ素子」と呼ばれるものです。

ペルチェ素子には、現在では「異なる金属」の変わりにN型半導体とP型半導体を金属板に挟んだものが使われているらしい。
 図では金属板を灰色で表わした。ここにNとPの文字が書いてあるところが、半導体である。電圧をかけると、矢印の向きに熱が移動する。


ペルチェ素子は、高速動作・高密度実装のCPUの冷却などにも使用されるので知っている人も多いでしょうが、物理的な動作がないために非常に小さく、それでいて強力な冷却効果をもちます。ただし、かなり電力を使います。


ペルチェ素子についてはパソコン関連(?)の電子部品であることもあり、ネット上にも面白い記事があります。
 ここで2点ほど紹介しておきますので、興味のある方は見てみましょう。

 Fast&First内のPCチューニングのページ。
 ペルチェといえばCPUの(無茶な)クロックアップなのですが、ここまでするとは頭が下がります。
(多分、昔ASCIIのDOS/V EXTENDERSのページに載っていた人?)

 KamiKenさんペルチェの分解写真のページ。珍しいペルチェ内部構造の写真です。


というわけで、氷から電子素子まで、4種類の冷却方法を紹介してみました。夏はこれから本番ですが、体を冷やして風邪を曳かないように注意しましょう。


2002.7.29 追記

アイスクリームの歌の歌詞、かなり間違ってますね…

元は「NHKみんなの歌」で紹介されて広まった曲らしいですが、このページを作った後に「おかあさんといっしょ」で取り上げられたそうで、今では再び有名になっています。

こちらのページで歌詞・音楽共に聴けました。


日本ガス協会のページに、ガス冷房の原理が出ていました。簡単な説明ではありますが、ここのページよりは正確でしょう (^^;

(ページ作成 1997-07-20)
(最終更新 2002-07-29)

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