無限につづく
目次
比較する
平方根を求める方法の解説で、「比較する」ということを少し書きました。
以下に転載しますので、読んで無い方は読んでみてください。
りんごが5つ、バナナが7つありました。
どちらが、どれだけ多いでしょう。
最初に「バナナが多い」と考えて、7-2を計算するのは…まぁ、小学校の算数ならそれでいいでしょう。
でも、今は「比較って何だろう」ということを考えているのだから、計算式を立てる前に「バナナが多い」などと「比較」するのはやめておきます。
とりあえず、文章の中に出てきた数字を、そのままの順番で使ってみましょう。
5-7=-2
りんごがー2個多い。つまり、りんごのほうが2個少ない。
これは、バナナが2個多い、という意味です。
なんだか、バカみたいに詳細に書いているように見えるかもしれません。
でも、さらに詳細に考えてみると、「比較する」ことの本質が見えてきます。
バナナ1個とりんご1個で、ペアを作って並べます。
すると、ペアが5組できた時点で、りんごがなくなってしまいます。
残ったバナナは2個。つまり、バナナが2個多い。
この方法では、引き算は使いません。それどころか、数すら使わずに「バナナが多い」ことは理解できます。
ペアを作る、というのは、「対応させる」ということです。
2つのものを対応させる、というのが、「比較する」ことの本質。
1、2、3、…と数えていくのも、「数」という抽象概念と、実際のものを「対応させている」のです。
そして、対応付けが終わった時点で、抽象概念を使って「数」を把握した、と考えます。
りんごは、5まで対応付けたところでなくなったので、5個。
バナナは、7まで対応付けたところでなくなったので、7個。
りんごとバナナを対応付けたら、バナナが残った。
残ったバナナは、2まで対応付けたところでなくなったので、2個。
これが、最初に書いた文章題の、詳細な意味なのです。
便利な「数」
対応付ける、と言う意味では、数は非常に便利な概念です。
わたしたちは普通は10進数を使っていますが、これは、0~9の10種類の数字記号を使うだけで、どんな数でも表せる、と言う意味です。
桁数によって、いち、じゅう、ひゃく、せん、まん…と呼び名は変わりますが、この呼び名は本質ではありません。
名前が付いていなくて読めなかったとしても、位取りすることで大きな数字を表せるからです。
0が後ろに1000個も付いていたら、もう読み方も定まっていません。でも、確かに数は存在します。
位取りで数を書いていれば、どんなに大きな数でも、さらに1つ大きな数を、簡単に作り出すことができます。
数がなければ、「りんごより多い」とか「手の指の数と同じ」のような表現しかできません。
でも、幸いわれわれは数を知っているので、どんな量でも的確に表すことができます。
月までの距離が38万キロとか、宇宙にある全原子の数が 10の80乗程度(1 の後ろに 0 が80個付く数字)とか、途方も無いような大きな数であっても、表現することは可能です。
どっちが多い?
さて、それでは問題です。
自然数と、整数では、どちらが多いでしょう?
自然数と言うのは、1から始まって、2、3、4、5、…と永遠に続く、普通に数え上げるときの数のことです。
0や、1/2、3.5 などは自然数ではありませんが、1000000000000000000 は自然数です。
整数は、自然数に「0」と「符号をマイナスにした自然数」を加えたものです。
-100 も -1 も、 0 も 25 も、整数です。
簡単そうに見えて、非常に厄介な問題です。
直感的には、整数は自然数より多そうです。だって、整数の定義は、自然数をマイナスにしたものと、0を含みます。
整数が全部でいくつあるかはわかりませんが、この数を仮に N だとすると、整数は 2*N+1 はありそうです。(マイナスがあるので2倍、さらに0も含むので+1)
でも、この答えは「自然数と整数の数は、同じ」です。
狐につままれた気分!
なんでこんなことになるの?
説明は、長くなるので次のページで。