エコキュートとオール電化

目次

エコキュート

湯切れの心配があるガスよりも給湯効率が悪い2階ではお湯が使えないお湯が直接飲めない設置面積が大きい冬は効率が落ちる

エコウィル・エネファームとの比較

オール電化

ライフラインを電気だけに頼るなんて怖いオール電化はピーク電力を上昇させる


オール電化はピーク電力を上昇させる

電力というエネルギーの問題点は、需要の変動に対し、供給量を変動しにくいことです。

それなのにみんながオール電化を使い始めたら、電気の需要が増えてしまうため、問題をより深刻にさせる…つまり俗に言うところの「エコではない」という主張があります。


では、まず「ピーク電力」とは何かを示しておきます。ピーク電力を増加させる、というのだから、その敵を知らなくては話が出来ない。ピーク電力とは電力需要が最大になる時間帯に必要とされる電力であり、一日の間であれば午後2時から3時、需要のほとんどは業務で使われるものであり…つまりは「みんなが一番働いている時間」に電力が使われる、ということになります。

年間であれば、夏場の午後2時から3時が電力のピーク。先に書いたように「みんなが一番働いている時間」に加え、一番気温が上がる時間であり、冷房機がフル稼働しているためです。こちらもほとんどが業務で使用される電力ですが、夏休みで子供たちが家に居る、などの要因もあり、家庭での電力も増加します。

まぁ、そんなわけですから、「ピーク電力」とは、「午後2時から3時の電力」だと思っておいて良いでしょう。


もうひとつ、「オール電化」がピーク電力を上昇させる、というのだから、オール電化を定義する必要があります。いろいろと考えられますが、一般的には深夜電力を利用して温水を貯蓄し、ガスコンロではない電熱調理器を使う住宅のこと。まぁ、エコキュート+IHというスタイルが一般でしょう。


では、エコキュート、もしくはIHクッキングヒーターは、午後2時から3時の電力需要を上昇させるのか? まず、エコキュートは「深夜に働くもの」なので、関係ないです。そして、IHは「調理に使用されるもの」なので、朝、正午、夕方が主な利用時間です。午後2時から3時にはあまり使われません。つまり、オール電化はピーク電力を上昇させるものにはなり得ないのです。


むしろ、オール電化は「電力需要の平滑化」、つまり時間帯による差を減らすことを前提に考えています。先に書いたように、電力需要のピークは夏の午後2時から3時。夏場は冷房の使用が増える、家庭での電力需要も増えることがポイントでした。では、これを減らすのに効果的な方法は?

答えのひとつは「昼食を作るのに、ガスをつかわさせない」ことです。ガスコンロは室内の空気を温めるため、冷房の効率を下げ、電力需要を増やす方向に働きます。まぁ、こんなものは微々たるものだろうけどさ。

オール電化住宅に適用される電力プランが、夏の昼間の時間帯が一番電力が高く設定されている、というのも抑制効果となるでしょう。通常の電気料金だと、電気は「使うほど高くなる」ことで抑制効果を働かせています。あまり電気を使わない人なら1段階目。まぁまぁ使う普通の家なら2段階目、無駄遣いするような家なら3段階目、となるくらいに、境界線が設定されています。

ところが、オール電化時の夏の昼間の料金は、通常料金の3段階目よりも高いです。これって、べらぼうに高いものだと考えてよいです。自然と、オール電化住宅に住む人は冷房の温度を上げる。…もちろん気にしない人だっているでしょうが、「ピークを減らす」ことが目的であれば、何割かの人が電気を使わないようにするだけでも効果があります。


さて、最初の命題に戻ります。オール電化はピーク電力を上昇させるのか? さまざまな要因が絡み合うため一概に言えませんが、「少なくとも上昇はさせない」と僕は考えています。

余談ですが、十分な平準化が達成された時、何が起こるかというと「火力から原子力への切り替え」でしょう。変動部分を火力でまかない、ベース部分は原子力でまかなう、というのが電力会社の基本戦略ですから。

これにより、少なくとも CO2 の排出量は減り、京都議定書的には「よりエコロジーになった」ことになります。原子力発電がエコなのかどうかは議論が分かれるでしょうが、ここでは「IHはピーク電力を上昇させるか」が争点なので、深い考察は避けます。




以上、2ページにわたって、「IHやエコキュート、オール電化に対する批判」の中から、「間違った事実に立脚したもの」に対して事実を回答しました。

IHやエコキュート、オール電化が良い、と言っているのではありません。ガスがよいといっているわけでもありません。

間違った情報に振り回される人がいるのは悲しいことなので訂正を加えたいだけです。そして、訂正を加えた結果として「ガスだろうが電気だろうが、本質的には変わらない」ことをご理解いただければと思います。

それぞれ得手不得手はありますが、どちらかが優れていてどちらかが悪い、というようなものではありませんよ。外野の意見(僕のこのページを含め)なんか気にせず、自分がよいと思ったものを選びましょう。


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(ページ作成 2009-04-09)
(最終更新 2016-11-25)

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