節電入門

目次

前書

電力システムとピーク電力

1) 深夜にできることはできるだけ深夜にする2) 昼間の電力はなるべく使わない

余談

終わりに



前書

ある程度暮らしに慣れたら、「スウェーデンハウス」での暮らしについて書こう…と、建築ページを作り始めた時は思っていました。

でも、特に書くことないのね。スウェーデンハウスだから、といって特別なことは何もないし、オール電化だって特別なことは何もない。

それなりに暮らし方にノウハウは溜まってきたけど、公開して人に薦めるようなことは何もないんです。


…と思っていました。

ところが、世の中の状況が変わってきた。


2011年3月11日の震災以降、節電への協力が呼びかけられています。

これに関しては、多くの人が節電の方法などを書いたページを作っています。これについては、特にいまさら言うことはない。

でも、どうも「違うんじゃないかな」と感じるものもある。節電を呼びかけている人自体が、いわゆる「家計節約の節電術」には詳しいのだけど、電力会社のシステムとか、社会システムには無理解な節がある。


僕だって、そんなに詳しくないです。

でも、別のページにも書いたように、オール電化というプランの存在意義を考えると、社会システムを理解した節電のポイント、というのがあるのです。


そして、ポイントをわかって節電するのは、わからないで節電するのに比べ、ずっと豊かな生活が送れます。


数年たって電力の供給が十分になった場合、または居住地が東京電力・東北電力の管内ではない場合、このページに書いてあることはそれほど役立たないかもしれません。

それでも、オール電化を選択している人は、目を通してみてください。

ポイントを抑えた節電によって、家計を助ける役には立つと思います。


電力は、基本的に電力会社管内で消費されます。電力会社間での融通は多少ありますが、流通量に技術的な制限があるため、関西で節電したから被災地が助かる、と言うようなことはありません。


電力システムとピーク電力

まず最初に、電力システムの話をしましょう。節電と言うのは電気を節約すること。ならば、その電気を知らなくては話になりません。


まず、絶対的な前提条件。


発電した電気が空中に雲散霧消することはありません。発電した電気は、必ずどこかで「消費」される必要があります。

電気は基本的に溜めておくことはできません。


需要と供給のバランスは、ぴったり一致する必要があります。

バランスが崩れた場合、電力を供給するための設備に大きな負荷がかかり、最悪の場合損傷します。

そうなると、復旧に時間がかかり大停電が引き起こされます。


以上が前提ですが、この前提を守るには、厄介なことが一つあります。


需要は、刻々と変化します。季節によっても変わりますし、曜日によっても、時間によっても変わります。

需要変動はある程度予測され、供給をそれにあわせて変動させています。

僅かなずれは僅かな負荷となり、発電効率が落ちたり、僅かな電圧低下となって影響が吸収されるため、大停電には至りません。


しかし、需要と供給のバランスの崩れが「僅か」でなくなった場合、相変わらず大停電の危険性があります。

供給が時間によって変動するとはいっても、システム全体の最大供給量を超えて供給することはできません。


そのため、通常は最大の需要が見込まれる時間…夏の午後2~3時ごろの需要を見越して、最大供給量を設計しています。


ところが、2007年には新潟県中越沖地震が起こり、柏崎刈羽原発が停止しました。

その後、完全復旧しないままに、2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震で多数の発電所(原発だけではない)が停止したため、供給力が大幅に低下し、需要が供給を上回る状況になりました。


先に書いたように、需要と供給のバランスが大きく崩れた場合、大停電の危険性があります。

そこで、この春は「計画停電」…つまり、地域ごとに故意に停電を起こすことで需要を強制的に低下させ、全体を巻き込む大停電を回避しました。


計画停電の時間帯が朝6時20分から午後10時までに限られ、深夜から明け方にかけては停電の予定がなかったのは、元々需要が低い時間帯であるためです。


つまり、この時間帯の節電には、それほど意味がありません。


逆に、午後の時間帯に最大2グループが同時に停電するように計画が作られていたのは、この時間帯は需要が高いためです。

つまり、この時間帯の節電は、非常に効果があります。



電力料金の仕組み

通常契約の電気料金は、ブレーカーのアンペア数で決まる基本料金に加えて、電気を使った量による従量制料金が追加されます。


この従量制ですが、120kWh までは第1段階、300kWh までは第2段階、それ以上は第3段階と、使えば使うほど割高になるようになっています。

普通の商売なら、たくさん使ってくれるところには割引したりしてくれるものですが、電力は先に書いたとおり、最大供給量を超える供給はできない、有限の資産です。そのため、たくさん使おうとする人からは多めにお金をとることで、皆が自然に分け合えるような仕組みを作っているわけです。


しかし、先に書いたように、実際の「需要と供給」は、単に使用した量では測れません。

需要がピークの時間の電気料金は高く、需要が少ない時なら安くする、というのが、より「経済学的な」正しい料金の決め方になります。


実際、そのような料金プランが幾つかあります。

深夜のみ供給して安くしたり、深夜の料金を優遇したり…


オール電化住宅で一般的に使用されているのも、このようなプランです。


時間帯により、午前10時から午後5時までは「昼間料金」、午後11時から午前7時までは「夜間料金」、その中間は「朝晩料金」となっていて、深夜料金は第1段階より割安に、昼間料金は第3段階より割高になっています(朝晩料金は中間)。


これにより、需要の少ない深夜の電力を積極的に使い、需要の多い昼間の電力は節約することになれば、電力会社としては助かるわけです。


オール電化の家では、このことに気をつけて生活するだけで、電気料金を節約することができます。

そして、これはそのまま、最大供給力が切迫している時期の、効果的な「節電方法」となります。



効果的な節約・節電方法

単純に言えば、ピーク時間帯はできるだけ電気を使わない代わりに、それ以外の時間の電気は気にしすぎるな、と言うことです。


24時間常に節電していればそれに越したことはありませんが、頑張りすぎると疲れてしまって長続きしません。

ピークさえ外せば構わない、くらいの気持ちで望んだ方が健全です。


では、具体論。

これは、今回の震災以前から、我が家で実践していた方法です。


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(ページ作成 2011-04-11)
(最終更新 2011-04-13)

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