SSECの周辺装置

SSEC の周辺装置は多数ありますが、どれも3桁の番号が割り振られています。

プログラムの際には、この3桁の番号でアクセスを行います。


以下、3桁の装置番号を示しながら、その装置の概要を説明します。


目次

IBM - SSEC(別記事)

高速化のために(別記事)

SSEC のプログラム方法(別記事)

標準的な装置

リレー記憶表引き装置テープ記憶ダイヤル記憶プラグ記憶

追加の装置

プリンタカードリーダーカードパンチャ紙テープパンチャ

アセンブル

実際のプログラム例

おわりに

再訂正・NOP命令の誕生(別記事)


標準的な装置

SSECの機器は、おそらく開発当初から考慮されていたものと、開発中に必要性が認識されたように思えるものがあります。

…というのも、一部機器の装置番号が衝突しているのです。


衝突している装置は、必要に応じて取り付けたり外されたりもしたようです。

まずは、衝突が無いと思われる、常に使用できた装置から紹介します。



途中で出てくる画像は、断りのない限り COMPUTER HISTORY MUSEUM からの引用です。
画像はクリックで拡大できます。

リレー記憶

150本

装置番号:010~159


実際には、10本のリレー記憶が入る、15台の装置に分かれています。

3桁のうち、先頭2桁が装置の番号で、1の位の0~9が、その内部のリレー記憶の番号になります。


上2桁で装置が選択される部分までは「固定」なのですが、下1桁で選択される装置は、プラグボードによって桁単位で変更可能でした。

後ほど解説しようと思いますが、特許書面では記憶装置のプラグボードを変更することを前提としたプログラム例が記載されています。


表引き装置

SSECの表引き装置6グループ

装置番号:281~286


1台の装置内に、36台の紙テープ読み取り機がセットされています。

この読み取り機自体は、後に書く紙テープ装置の読み取り機と同じものです。


36台は、6台づつ6つのグループに分かれていました。

装置番号も6つあり、それぞれのグループに対応しています。


紙テープには20桁を納められますが、1行にキーと結果の両方を納めます。


グループごとに、「キー」となる数値の桁数を設定するスイッチがありました。

5桁のキーを設定すると、そのキーで検索できる結果数値は15桁となりました。


アクセスは、2つの「accumulation」命令(命令番号 02)で行います。

1回目の命令で、表引きのキーを送ります。すると、表引きが始まります。


対応する6台が同時に動き出し、どれか1台でキーを発見した時点で停止します。

紙テープは短いループになっており、全体をおよそ2秒で読み終わりました。


つまり、最悪でも2秒以内、平均1秒で検索が終了します。


2回目の命令で、装置から値を読み出します。

もし検索が終わってないなら、検索が終わるまで待たされ、結果を得ることができます。


36本のテープで、100,000桁を格納で来た、と特許資料に書いてあります。

1行を20桁として、1本のテープは 140行、6台で840キーまでの表を格納できたことになります。



三角関数なら、0.5度刻みの値を入れられる。45度分だけ格納して後は工夫するなら、0.05度刻みに出来る。  今から見ると精度が低いように思えるが、当時としては十分だったようだ。

テープ記憶

紙テープ装置30本

装置番号:

No.1: 403~422 503~522

No.2: 433~452 533~552

No.3: 463~482 563~582


実際の装置は3台に分かれていて、1台に10本のテープ読み取り機があります。


テープ装置は、同時にアクセス可能なように、2つの読出しバスがありました。

装置番号としては、奇数なら A バス、偶数なら B バスを使うようになっています。


このため、装置ごとには 20の連続した番号が割り振られています。

装置は、番号の中央の数値で判別できます。


百の桁は、4と5の2種類があります。


4の方でアクセスを行うと、読み出した後に次の行に紙テープが送られます。

5の方でアクセスを行うと、送られません。


紙テープは、ある程度の任意の長さでループさせるようになっていました。


SSEC の記憶容量は、「およそ 400,000桁」とされています。

このうち表引き装置の記憶容量は 100,000桁です。


リレー記憶は 20桁*150本 = 3000桁なので、ほとんど誤差のようなもの。

紙テープ装置は、300,000桁程度だったと思われます。


30本あるので、1本あたりは 10,000桁、500行程度を格納できたようです。


ダイヤル記憶

コンソール3台

装置番号:603


マーク1では60台用意されていた、10進ダイヤルを並べた装置です。

SSEC では、20桁のセットが3台あります。

しかし、プログラム中で自由に使えるのは No.3 の1台だけ。

装置番号 603 が割り振られています。


後の2台は何に使うかというと、「命令記憶装置」に直接数値を設定できます。

命令記憶装置は前回書きましたが、読み込まれた命令が保持されるリレー記憶で、その内容を読み取って命令が解釈されます。


ダイアルのしくみSSEC は2命令を同時に解釈しますが、ダイヤル記憶 No.1 が S1命令、No.2 が S2命令に送り込まれます。


プログラムを起動する際には、このダイヤルを使って「最初に命令を読み込む装置」を指定したようです。

もちろん、条件停止命令で停止した後も次のプログラムを指定して開始します。


この項最初の写真はPC WORLD中国の、IBM百年ページから引用。
SSEC の制御卓(Control desk)はIBM 本社に保存されているようなのですが、カラー写真は珍しく、IBM 公式ページより美しい…

それはさておき、縦になっている部分はほとんど動作状態を示す電球。机奥にダイヤルが並んでいます。
装置書類では3つなのですが、4列見えます。後で追加されたかもしれません。

途中の図版は特許のもの。
内部の仕組みが書かれていますが、ダイヤル位置を BCD に変換するしくみが見えます。
ダイヤル位置に応じて、bit を示す線に接点が作られているだけ。単純明快って大事。

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(ページ作成 2015-06-15)

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