頂上までの道

愛車朝7時、愛車で家を出発。数年前のキャンプの時とは、愛車が変っております。

実は、いろいろあってすでに予定より1時間遅れ。6時には出発予定だったのですが…


朝御飯海老名サービスエリアで朝食を食べます。この時点ですでに8時半。妻のは「東京とんこつラーメン」、僕は「ジューシーメンチカツ丼」を食べました。S.A.の店に味を求めてはいけないのですが、この店は丼というものがわかっていないと思います。ラーメンはおいしかったのですが。

朝飯の後、登山中の昼飯を買います。妻が1人でおにぎり2個を買おうとしたのですが、ばてたらそれほど食べれるものではないと思い、二人で3個にしておきます。

水分補給のために、500ml のペットボトルを一人2本。合計4本を購入します。実はこれ以外に、なぜか家に有った350ml のペットボトル2本を持ってきています。これだけあれば足りるはずだけど…本来は1人3リットルはあったほうがよいというデータもあるらしいです (^^;

当初予定では9時から、遅くても10時には富士登山開始だったのですが…海老名 S.A.出発の時点ですでに9時。



今回登山ルートとした富士宮口は、距離も一番短く初心者向きだそうです。到着は10時40分頃。

事前にネット調査した際に、駐車場代金について触れられたページが1件も無かったため料金が不安だったのですが、無料でした。

売店で1,000円の金剛杖を購入。妻はいらないというので僕だけ。実は、ボーイスカウトでは山歩きで杖を使うことが推奨されるのですが、妻は大学の地学部出身で、「なにも持たずに単身藪の中などに分け入る」ことを得意としています。


推奨されるといっても、考え方は団・人によってそれぞれ。ボーイスカウト運動創始者とされるベーデンパウエル卿が、その著書の中で「杖を持っていると便利」と書いているというだけの話です。ちなみに、杖の長さは「杖の頭を持って地面につくと、ちょうどひじを90度曲げた状態になる」のが良いとされます。

5合目看板登山開始はちょうど11時となりました。富士宮口5合目、標高2,400mからの登山開始です。

このときの装備は、厚手のTシャツの上に厚手の長袖シャツ、下はジーンズにトレッキングシューズ、手には軍手と先ほど購入した金剛杖、頭には帽子にサングラス。首筋を汗拭き兼用のタオルで保護して熱射病対策…と、見た目だけは完璧?


6合目 雲海荘6合目、標高2,500mまではすぐです。時間は11時13分なので、13分しかたっていません。

ここらへんは地面も歩きやすく、まだまだハイキング気分。妻と僕では当然歩幅も違うので、「自分のペースで歩こう」と決めてあります。


妻は去年の大山登山で、「前半はしゃぎすぎて後半バテた」ことを気にしており、ゆっくりと着実に登ることを心がけていたようです。

そのこともあり、ここらへんまでは、僕の方が先に進んでしまい妻を待つ、という形だったのですが…


新7合目 御来光山荘新7合目、標高2,780mに達するときには、妻の方がはるかに先に登るようになっていました。僕が新7合についた時間は11時57分。

妻がはしゃぎすぎてばてるのではないか、というのは杞憂だったようです。休憩所の間を、まったく休憩なしに一気に登ってしまうのです。それに対して僕は休み休み。まぁ、無理は出来ないので…


7合目 山口山荘7合目、標高3,010mまでたどり着いたのは12時45分でした。妻をずいぶん長い時間待たせてしまっています。

別に疲れてはいないのです。元気は十分あります。しかし、息がすぐ上がってしまい、あるくのが辛いのです。もしかしてこれは高山病?

妻は大丈夫なようです。もともと高校時代は陸上の短距離をやっていたので、酸素が薄い状態での運動はなれているとか。

一緒によく献血に行くのですが、ヘモグロビン濃度などを見ても妻の数値は高めで、僕は標準値の下限ぎりぎりです。科学的な数値を見ても、妻は空気が薄いのに強く、僕は弱い、ということです。


とりあえず、ここで昼御飯にします。ここの休憩ベンチは、風上にトイレがあるため非常に臭いです。そのため、実際に昼飯を食べたのは、山荘よりも少し登ったあたり。

「ばててしまうと沢山は食べれない」と思って少なめにしておいたおにぎりが裏目に出ます。妻はぜんぜん疲れておらず、僕も息苦しくは有るが疲れていないのです。とりあえず、1個半づつ分けます。

妻を気遣って僕の荷物を重めにしていたのですが、妻が多めに荷物を持つように替わってくれました。申し訳ない。ここからも無理せずマイペースで進むことにしよう、とだけ決めて次の休憩所まで出発。


それにしても、「新」と「元祖」の7合目ってなんでしょうね。せっかくだから新ではなく「本家」とかにしていただきたいです。


8合目 御来光拝観所8合目、標高3,250mに付いたのは13時46分です。さきほどゆっくり御飯を食べたことで体が慣れたのか、それほど悪いペースではありません。

しかし、「なんか大丈夫そう」なんて思い上がったことを考えたのがいけなかったのです。ここでほとんど休憩を取らずに先に進んだのが大きな間違いでした。


最初のうちこそ余裕があったのですが、途中で非常に気分が悪くなります。気分が悪いときは杖をついて上半身を水平にし、頭に十分血がまわるようにしてやれば、ここまでは大丈夫だったのですが…

ダメです。どうしても気分悪いです。しゃがみこむとしばらくして回復するのですが、また立ち上がると立ちくらみのようになり、すぐにしゃがみこまないといけない状態に。

「重度の二日酔いのよう」というのがいい表現かもしれません。とにかく、座っていれば何とかなるとしても、それ以外の何をするのもつらいのです。

しゃがみこんで目を閉じ、気力の溜まるのを待ちます。なんだかそのまま眠ってしまいそうです。しかし、そうしてしばらく休んでいると、また歩き出せるような気分になります。しかし、10歩もあるくとまた気分が悪くなり…


8合目過ぎの鳥居8合目を過ぎてからは、周囲の風景も一変します。砂礫の多かった地面も、8合目付近からは大きな岩が大きくなります。足が滑らないのはありがたいけど、登るのは結構大変。植物もほとんど生えなくなってきます。

そんな場所だから(?)、鳥居などが立ちはじめます。ここから上は「神の住む世界」なのでしょう。不信心者は入れないのかも知れません…などと、意識が朦朧とした中で考えます。

しゃがみこんでばかりで運動していないことと、標高が高くなっていること、さらに吹き付ける風で体が冷えてしまっています。上着を来よう…と思ったのですが、先ほど荷物を交換したときにリュックサックごと交換したため、上着は妻が持っていることに気がつきました。


9合目 萬年雪山荘自分でも「大丈夫だろうか」と不安になりながら、やっと9合目、標高3,460mにたどり着いたのは15時20分でした。1合登るのに1時間半以上もかかってしまっています。もう、「高山病っぽい」なんてものではなく、はっきりと「高山病」です。

さすがに妻が心配そうですし、僕も辛いので休憩を取ります。まずはウィンドブレーカを着込みますが、それでもまだ寒い。山荘に入り休ませてもらうことにします。


ココアとカニパン暖かいココアを頼みます。紙コップ1杯で400円。物価は非常に高いですが、暖かく、甘いものを口に出来るのが非常に嬉しいです。

昼御飯を少なくしすぎてお腹がすいているので、200円のカニパンも購入。気圧差で、袋がパンパンに膨れています。本当はチョコレートバーかビスケットを持ってくるつもりだったのですが、朝家を出るのが遅れて慌てたため、買うのを忘れていたんですよね。

山の中に入るというのに、忘れ物があっても金で解決できるのは富士山の便利なところだなぁ、と思います。


焼印の炭火山荘の入り口のところで炭火を焚いていました。とにかく体が冷えているので、暖かくてありがたい。火に当たっていると、「焼印お願いします」という人が来ました。登山の記念に、各山荘では金剛杖に焼印を押してくれるのです。

炭火は、そのための焼印を暖めているものでした。ただで火に当たっているのは悪いなぁ、と思い、自分の杖にも焼印をもらいます。200円。

この山荘では30分ちょっと、16時まで休ませてもらい、さらに上を目指します。予約を入れてある頂上の山荘は最終チェックインが18時ですので、後2時間で頂上まで行かなくてはなりません。もし無理そうなら、先に妻が登って事情を説明してもらうことにします。


今度は慎重に登ります。気分が悪いからといってしゃがんでしまうと、再びたつときに立ちくらみを起こしてしまい、まともに歩けなくなります。そこで、今度は「しゃがまない」ことを自分に課して登ります。

しゃがまないためには無理をしないことです。いままでよりも多めに休みを取るつもりで、少しあるいては立ち止まります。結果的にはこちらの方が速いはず。

しばらくこの方法であるいているうちに、気分が悪くなったときの対処もわかってきました。

富士山の登山道は特に険しいものではなく、それほど疲れないことが問題なようです。疲れれば自然と呼吸が多くなるのですが、そうはならないのです。酸素が薄いため、呼吸の数が変らないということは、取り込める酸素が少なくなるということです。

そうとわかれば、疲れていなくても意識的に「疲れた呼吸」をするようにします。これが良かったようで、だんだんと歩くペースが元に戻っていきます。


9合目の山荘の名前に「萬年雪」と有ったように、ここらへんには所々万年雪があるようです。そんな景色を楽しむ余裕も取り戻し、登ってゆきます。

9合5勺目 胸突山荘9合5勺、標高3,590mについたのは16時29分でした。ペースを取り戻しています。

到着して休憩しようと思ったら、妻に「ちょっとあっちの方で休憩しよう…」といわれます。何かわからぬまま従いましたが、「ベンチに座っていると、山荘のおばちゃんの勧誘が激しい」とのこと。

頂上の山荘の悪口をいい、ここの山荘に泊まった方が得だと言い続けるのだそうです。頂上の山荘は朝無理やりたたき起こされて追い出されるけど、ここはいつまで眠っていても良いとか。…みんな御来光前におきたいのに、それは宣伝文句になるの?

頂上の山荘は無理やり土産を買わされる、とかも言っていたようですが、そんなことは有りませんでした。頂上には焼印は無いから、最後の焼印をここで押していきなさい、とも宣伝していました。これはまぁ嘘ではないのですが、正確な話でもなく…

まぁ、ここまで来たら頂上まで、と思う人も多いでしょうし、なかなか宿泊客がいないのでしょうね。経営的に苦しそうな気はするので勧誘したいのはわかりますが、しつこい勧誘は逆効果だと思います。



さて、このペースなら18時までに問題なく頂上につけそうです。念のため、10分ほど休みを取ってから出発しました。

やはり妻の方が歩く速度は速く、あっという間に離されます。しかしここはあせらずマイペースで、着実に登ります。ちなみに、妻は休憩所で僕を待つとき以外の休みをまったく取っていません。普通は5時間くらいで登るらしいのですが、僕は6時間ほど、妻は3時間ほどで登っている計算になります。

山頂の鳥居最後の5勺は順調に進み、17時ちょうど、山頂の鳥居をくぐります。

鳥居のすぐ向こうには、目に入るように看板が立ててあります。「やったぞ! 富士は日本一の山」

ついに登頂しました。感激です。しかし、チェックインに間に合ったという安堵感と、まだ少し頭が痛いのでやっとゆっくり休めるという安心感の方が強かったかも。

ちなみに、写真の奥にさらに写っている鳥居は、山頂の祠前のミニ鳥居で、登山道のものではないです。


(ページ作成 2002-08-09)

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