PC以降の音楽演奏
目次
NEC PC-6001(1981/11)
NEC の PC-6001 は、音楽演奏ができた最初期のマシン、として多くの人が記憶しているのではないかと思います。
最初に MML が搭載された機械、と思っている方も非常に多く、MORIYA Ma.氏の調査もそこから始まっているわけです。しかし、すでに見てきたとおり、音楽演奏自体は他の機種でもできましたし、MML らしきものもすでに確立してきています。
本当に PC-6001 がすごかった点は MML にあるわけではなく、音楽専用の LSI を搭載し、3重和音+ノイズを出すことができたことです。
…なんかすごそうに聞こえるけど、PSGチップ AY-3-8910搭載ってことですね。国内のパソコンとしては初めて、 PSG搭載した機種でした。
BASIC はやはりマイクロソフトのもので、MML も if800 とほぼ同じ文法です。おそらく、マイクロソフト製 MML としては2作目の物。
演奏データ形式
if800の流れを汲む、マイクロソフト製の MML なので、ここでは、違いだけを書きましょう。
・休符は R になりました。(if800 は P)
・音域が8オクターブになりました。(if800 は5オクターブ)
・A=440Hz は O4 となり、科学的表記と一致しました。(if800 は O3)
・N の数字の範囲は 1~96 になり、オクターブも含めた音階指定になりました。(if800 は、1~12 で、オクターブ別指定)
・PSG のエンベロープを細かく指定するための指定が増えました。
・和音を出すために、カンマ区切りで3つのMMLを並べられるようになりました。
P が R に変わったのが一番重要な変化で、これによって現代的な MML の基礎文法が完成します。(その意味では、PC-6001が最初の MML、というのは事実です)
ところで、PC-6001には、MML と同時に、パソピアにも存在した SOUND 命令があります。しかし、SOUND 命令の使い方は、全く異なるものでした。
パソピアの SOUND 命令は、実質的には音符一つを生成するものでした。PC-6001 の SOUND 命令は、PSG のレジスタに値をセットする命令になっています。
「トッカータとフーガ ニ短調」は次のようになります。
l16aga8a2gfedc+4d2r4
もっと知りたい
PC-6001あたりになると有名すぎて…今でも熱い人は「知っている」前提だし、そうでない人は詳しく語れない。この機械を上手に説明したサイト案外少ないのね。
なつかしのパーソナルコンピュータ、というサイトから。まぁ、そつなくまとめている程度ですが、その程度のまとめが案外少ない。
そもそも、今回の調査を開始したきっかけは、Moriya. Ma さんのページの記事でした。
きっかけ記事は先にリンクしているので、ここではあえて僕のおすすめ記事をリンク。
TINY 野郎 mkII さんのページから。このゲーム、かなり好き。
ふたたび、次回へ続く…
さて…今回の目的は、「PC-6001 よりも古い MML を探す」なので、PC-6001 の紹介で終わりにします。
PC-6001 の MML は、現代の MML と「互換性のある」ものです。上位互換だけどね。(PC-6001 で書かれた MML は現代でも演奏できますが、現代の MML を PC-6001 で演奏できるわけではありません)
これで一通りの歴史の流れは提示しました。
でも、これで終わりじゃない。まだ「最初の MML」に関して、全然考察していないから。
次回は、歴史の裏を深読み(邪推かもしれない)しながら、MML の成立過程を探ります。