2014年08月27日の日記です


レフ・テルミンの誕生日(1896)  2014-08-27 11:17:44  コンピュータ 歯車 今日は何の日

今日はレフ・テルミンの誕生日(1896)。


不思議な電子楽器「テルミン」に名を残す、ロシア生まれの博士です。

ロシア革命後、人間が近寄ったことを感知する「近接センサー」を研究している過程で、人間との距離を音階・音量で表現する楽器「テルミン」を作り出しました(1920)。




僕は音楽にはそれほど詳しくなくて、テルミンも「音を出した」ことはあるけど、演奏とは程遠いレベル。

もっとも、テルミンの演奏は非常に難しく、音楽ができれば使える、と言うようなものではないです。


音楽って、本来連続している音の周波数をあえて「区切る」ことで、人間が認識しやすい数にまとめることで成り立っています。

だから、ピアノでは鍵盤があるし、ギターではフレット(弦の押さえられる位置を決める凸部)があります。


でも、テルミンは「距離」によって音階を決めるので、音が自由に出せすぎてしまい、音楽になりません。


バイオリンもフレットがなく自由な音が出せてしまうため、テルミンは演奏方法は全く違うものの、「バイオリンと類似する楽器」として使われることが多いようです。


ただ、バイオリンの物まねをするのであれば、最初からバイオリンを使う方がいい。

テルミンの性能を最大限に引き出した演奏は、テルミンでしかない味わいが出ます。



「テルミン」と言う映画があります。博士の辿った一生をインタビューなどを中心にまとめた映画ですが、公開された 1993年に博士は亡くなっています。

(作成時点では博士は生きていてインタビューに答えているので「半生記」とすべきなのかもしれません。

 しかし、事実としては博士はインタビュー直後に無くなってしまったため、事実上は博士の一生を追った映画となっています)


日本では 2001 年に夏に公開され、興味があったので見に行きました。

恵比寿ガーデンシネマでの単館上映でした。


映画の内容は…えーと、よく覚えてない!


僕のページ、1996 年からやっているけど、2000年前後に一旦閉鎖して、2001年秋から再公開しています。

そのため、テルミン見た、と言う日記もありません。残念。



手元に今、映画のパンフレットというか、映画について書かれた小冊子があります。

映画館で買ったものなのですが、いわゆるパンフレットのサイズではなく、文庫本サイズ。


普通のパンフレットにしていないのは意味があって、カバーの中に3冊が収まっているのです。


1つは、楽器テルミンと博士の一生について解説した冊子。

もうひとつは、テルミンに魅せられた音楽家や、関係者、映画を一足先に見た著名人などからのメッセージ集。


最後の一つは、冊子ではなくて折りたたまれた紙。広げると、テルミンの回路図が描いてあります。

テルミンは古いだけに回路が単純で、その気になれば簡単に作れます。




メッセージ集には、ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンや、最高のテルミン奏者であるクララ・ロックモア、シンセサイザーの始祖として有名なモーグ博士の談話も載っています。


モーグ博士は、「モーグ」シンセサイザー(1965)の開発者として有名ですが、元々テルミンに感化され自分でテルミンを作って販売し、その過程で音を自由に作り出す原理を学んでシンセサイザーを作成したのだそうです。



PDP-8 で MUSYS(1969)を作った Electronic Music Studios Inc. もシンセサイザーメーカー…ということはモーグの影響を受けていますし、MML の始祖と僕が考えている SCORTOS(1977) も、モーグのシンセサイザーを含むいくつかの電子楽器をコンピューターで操作するシステムでした。


なので、テルミン - モーグ - 現代のコンピューター音楽というのは、明らかにつながっているのです。




クララ・ロックモアは、博士から直接演奏法を教わり、博士より上手に演奏ができるようになった、当時最高のテルミン奏者でした。


奏者はそれなりにいたのですが、クララの演奏は次元の違う音です。

映画では、多くの演奏者が出演するのですが、明らかにレベルが違っていました。


クララの演奏は、Youtube などで見ることもできます。


最初に人間との距離によって演奏する、と書きましたが、クララの演奏では手の形を変えています。

厳密に言えば、人間との距離、ではなく、アンテナが電圧を持つことで人間との間に静電気が溜まり、この静電容量によって音を変えています。


距離が変われば静電容量も変わるのですが、電場中の「面積」が変わっても静電容量が変わります。

クララは、手の形を微妙に変えることにより、これをコントロールしているのです。


演奏には非常に集中力が必要なだけでなく、周囲の観客の動静までもが「静電容量」に影響を与えてしまいます。

このため、演奏中は周囲の人も静かにしていなくてはならないそうです。




映画を見に行った頃は、「テルミン」というのはそれほど有名ではない楽器でした。


それ以前にテレビで見たことがあって興味を持っていたのですが、日本で映画公開するまでに 8 年かかっているので、たぶんテレビで見たのもアメリカでの映画公開後だったのでしょう。


今では日本でも知名度が上がっています。

「テルミン」と言えば、名前くらいは知っている人が多いのではないかな、と言う程度には。



先に「クララ・ロックモアの演奏は次元が違う」と書きましたが、それは映画公開前の話。

今では、日本でも非常に高いレベルの演奏を行うテルミン奏者が多数います。


遊んでみたいなら雑誌の付録で入手できてしまうくらい。


もっとも、最初に書いた通り僕はそれほど音楽に詳しくなくて、生演奏のコンサートを見に行ったこともないですし、テルミンも持ってはいません。




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