目次
2016-07-30 相模原JAXA公開日
2015-11-09 太陽暦採用記念日
2015-10-15 グレゴリオ暦の制定日(1582)
2015-06-01 冒険遊び場と変わった地震
2015-02-23 理科ハウス
2014-11-11 スーパーカミオカンデの完成した日(1995)
2014-09-07 TenQ
2014-04-04 ジョン・ネイピアの命日
2012-12-18 ふたござ流星群
2012-12-17 湘南台こども館
2012-12-05 水星とプラネタリウム
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JAXA へ行った。
相模原のJAXAが一般公開していたので、子供と遊びに行ってきた。
実は、数年前に子供と一緒に行ったことがある。
その時は公開日ではなくて、過去の衛星の模型などを見られる展示室が1つあっただけ。
一般公開日となると、やはり規模が違った。
マッハ4の風を吹かせられる大型風洞実験や、電波ノイズを完全になくしてしまう電波暗室など、大掛かりな設備も公開される。
いろいろと面白いものを見られたのだけど、全部書いているととりとめがないので、ざっと気になったものだけ記しておこう。
裏門側に駐車場があり、そちらから入ったので、メイン展示である「正門側」は最後に行った。
その都合で、地味な研究を細かく見ていて、普通は見た人が喜ぶようなハヤブサの模型とかは、疲れていてどうでもよくなっている。
なので、心に残ったのは「研究」が中心だ。
まず、宇宙太陽光発電衛星の話。
まぁ、SFでおなじみ。ジオラマなどを使って概念説明をしたり、実際にマイクロ波で離れた場所にある LED をつけて見せたり。
ここら辺は以前から度々見たことあるのね。
でも、どこにでもある普通のトランシーバーで、模型自動車を走らせるのは興味深かった。
子供たちは、ラジコンとの違いが分かっていない。
ラジコンは電池を模型に搭載し、電波で「操作するための信号」を送る。
でも、この模型は信号は送ってないから真っすぐしか走れない。
電池がないのに、走ることができる。
トランシーバーの電波は、どこにいるかわからない相手に届けるために、四方八方に飛んでいく。
それだけパワーが分散するので、距離が離れるとあっという間に受けられる電力が減ってしまう。
(実際、模型自動車はトランシーバーを近づけると速くなる)
宇宙発電では、できるだけ減衰しないように、特定方向に向けて電波を飛ばす。
…と、ここまで説明してやっと「おー、すげー」って長男が納得した。
進化したテクノロジーは魔法と変わらない、とはアーサーCクラークの言葉。
裏を返せば、「なんかすごそう」と思っていても、何がすごいのかわからない。
ある程度理解して、やっとそのすごさが伝わる。
小型レーダー人工衛星を開発中のグループ。
CCD カメラが小さく安くなり、画像で地球を監視できる衛星は非常に増えた。
でも、可視光は自然の影響を強く受ける。夜では写らないし、曇っていても地上が写らない。
災害が起きたとして、その災害現場の状況を速やかに知りたいとき、「曇っているからダメです」では役に立たない。
そこで活躍するのがレーダー衛星。雲や雨でも地上の様子を知ることができる。
しかし、分解能の高いレーダーを搭載した衛星を作ろうと思うと、今までは 1000Kg級になってしまっていたらしい。
そんなに重いと打ち上げるのもお金がかかるし、衛星自体の開発にもお金がかかる。
そこで、100kg 級で高解像度レーダー衛星を作ろうと頑張っていて、2020年ごろの打ち上げを目指しているらしい。
レーダーでどの程度の画像が得られるのかと聞いたら、分解能 1m 程度で、10km 四方くらいの「写真」が撮れるそうだ。
レーダーって、パラボラみたいな指向性の強いアンテナを動かしながら「スキャン」していくイメージがあるのだけど、強い電波を照射し、帰ってきた電波を小さなアンテナの集合体で受けることで、写真のように画像を得られるらしい。
ハイブリッドロケットの開発。
ロケットを宇宙に飛ばすには、燃料だけでなく「酸素」が必要になる。
よく使われているのは、冷やして液体にした酸素と、液体燃料を混ぜて燃やす方式だ。
これを液体・液体方式と呼ぼう。燃料漏れなどがあると、液体であるがゆえに食い止めることができず、爆発するという危険性がある。
扱いにくいのであまり使われず、日本のお家芸となっているのが、固体燃料と、固体の酸化剤を使う固体・固体方式だ。
あらかじめ混ぜてロケットの中に詰め込んである。酸化剤は酸素化合物なのだけど、熱を加えると還元されて酸素を放出する。
その酸素と燃料が結合して燃焼する。
反応が始まると止められず、爆発するという危険性がある。
これらの方式の危険性をなくすために、ロケットエンジン内に固体燃料を詰めて置き、液体の酸化剤を少しづつ振りかけながら燃やす、という方法が研究されているそうだ。
固体・液体方式。「ハイブリッド」と呼ばれている。
海外の例で、この方式で研究中のロケットが事故を起こした例があるそうだ。
エンジンは燃焼を停止し、地上に落下。パイロットは脱出し、怪我はしたが命に別状はないという。
平面指向性アンテナ。
最初の方に書いたけど、電波が四方八方に飛ぶと力を失う。地球から遠く離れたところに電波を送るには、指向性を高めたい。
パラボラアンテナなんかがよく使われるのだけど、これは繊細なものだし、微妙な湾曲があるので、ロケットにコンパクトに詰め込みにくい。
そこで、最近の人工衛星では平面で指向性を持ったアンテナが使われることが多い。
…と、ここまでは知っていた。
実際には、平面にして強度を保つため、ハニカムを金属板で挟んだ構造にしたりしているらしい。
また、パラボラを使わないのは、単にコンパクトにしづらいから、ではないそうだ。
パラボラが太陽に向いてしまうと、光が焦点である「アンテナ」に集中してしまい、すごい熱を発生する。
宇宙では空気がないため、熱を空冷することもできず、熱をどう逃がすかは重要課題だ。
パラボラはこの面でも、使うのが難しいようだ。
その「熱を逃がす」話では、ヒートパイプと、同じ太さの様々な金属の棒を持って、氷水に突っ込むという実験が大人気だった。
あまりに人が並んでいたのでやらなかったのだけど。
ヒートパイプは、銅などで作ったパイプの中に金属などで編まれた「リボン」を入れ、少しの液体を入れ、気圧を下げて密閉したもの。
一部のハイスペックなパソコンなどでも使われているので、原理を知っている人も少なからずいるだろう。
気圧が低いので、液体は蒸発しやすい。
ちょっと熱を持ったところがあると、蒸発して気化熱を奪う。
そして、冷えたところでは結露して凝集熱を放出する。
液体に戻ると、リボンに吸収され、毛細管現象ですぐに全体に広がり、乾いてしまった「熱いところ」に移動する。
気体分子は、邪魔をするものがなければ音速で移動する。
なので、ヒートパイプは音速で熱を伝えることができる。
これは、どんな金属で作られたヒートシンクよりも熱伝導が速い。
JAXAではなく、国分寺市の特設ブース。
日本初のロケット、ペンシルロケットの実験を行ったのが国分寺市だったそうだ。
ペンシルロケットの実験話は知っていたけど、場所までは記憶になかった。
その「実物」のうち1つが市に寄贈されているそうで、実物展示してた。
実物は、後部の羽根以外失われているため、欠損部分は木で作ってある。
市報で「ペンシルロケットと私」という、いろいろな人にインタビューした記事が載っていて、連載第1回~4回までのコピーと、最新版である第8回の載った市報が配布されていた。
5~7回も置いてあった形跡はるのだけど、もらいに行った時点で無かった。
人によって書いてあることの面白さは全然違うのだけど、だからこそ読んでみたかった。
中庭休憩スペースは、銀河連邦の他の国からの出店でいっぱいだった。
…銀河連邦は、JAXA の施設がある町で構成している…まぁ、お遊びだな。
実質的には姉妹都市提携しているのだけど、本来の名前ではなくそれぞれの市が「共和国」を名乗り、全体で連邦としている。
それぞれの特産品の屋台を出していた。
そして、それとは別にリポビタンDのブース。
JAXA といえば…というか、「はやぶさ」といえばリポビタンDだからね。
ブースの前にいくと、スタッフの人が「ファイトー」と声をかけるので「いっぱーつ」と返せば、無料で1本もらえる。
栄養ドリンクは子供が飲んじゃいけないんじゃ…とおもったら、リポビタンD Kids という商品があるそうで、それをいただいた。
次女は「美味しいからもう一本もらいたい」と言っていたのだけど、薬だから用法用量を守りましょう。
宇宙ヨット(と言っていいのか?)のイカロス、ペーパークラフトになっていた。
単にペーパークラフトが作れる、というのではなくて、あの独特の帆の畳み方を学習してもらうためのもの。
次女が作りたい、というので、順番待ちを並ぶ。
数人しか並んでいなかったのですぐに順番が来るだろう…と思ったのだけど、その場でペーパークラフトを作るので、一人当たり5分くらいかかる。列が全然進まない。
やっと順番が来たころ、長蛇の列になっていたので「家で作りたい方、紙だけお持ち帰りできますよー」とスタッフの方が配布し始めた。
なんだ、そんなのあるなら、それでよかったのに。
イカロスの仕組み展示。
イカロスは、太陽の光を受け、その光の圧力で移動することができる。
ここまでは知っていた。
その姿勢制御は、液晶を使っている。
液晶を透明にすると、帆に直接光が当たり、強い力となる。
液晶を半透明にすると、光は乱反射し、力は弱まる。
これで、エンジンを使わずに姿勢制御ができる。
よく考えたなー、という感じ。
そういえば、SoftBank のペッパーいました。
会話できるようにはなってなくて、一方的に研究内容の説明していただけだけど。
よくできたロボットではあるけど、ハードウェアとして使われていただけで、自慢の人工知能は見られず残念。
…と、思いつくままに書いたのだけどこんな感じかな。
なかなか楽しめました。
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今日は太陽暦採用記念日。
つい1か月ほど前、10月15日に、「グレゴリオ暦の制定日」というのを紹介しました。
グレゴリオ暦…今のカレンダーと同じものを、ローマ教皇グレゴリウス13世が制定した日(1582)。
でも、これはローマ帝国内だけで通用する暦でした。
これがよくできているから、徐々にほかの国にも浸透していきます。
1752年9月14日にはイギリス帝国が導入。
アメリカを含む、イギリス領の植民地も一緒に導入となります。
だから、アメリカ生まれの UNIX で cal コマンドでカレンダーを表示すると、1752年 9月には面白い表示が見られる。
そして日本では、1873年の元日からグレゴリオ暦(日本では、単に「太陽暦」とも呼ばれます)を導入することにして、1872年の 11月 9日に「太陽暦の採用」を発表したのです。
…この 11月 9日って、旧暦ですね。太陰暦。
でも、現在の 11月 9日が「太陽暦採用記念日」ということになっています。
まぁ、記念日なんていい加減なものだしね。
ちなみに、1872 年の旧暦 11月 9日は、えーと…現在の 12月9日にあたりますね。
本当は、発表と同時に太陽暦の導入、としたかったようです。
当初の案では、本来 29日で終わりの旧暦 11月を 31日までに延長し、11月の終わりで年を終わりにする、というものだったとか。
上に書いたように、このときは運よく新暦と旧暦が「1か月違いの同じ日付」でした。
だから、新暦 12月と同じように、31日までにしてしまえば、そのままスムーズに新暦に移行できる。
でも、さすがに発表即導入、というのは反対意見も出て、「12月3日を翌年の元日とする」ことになったそうです。
それでも、告知から導入まで23日しかありません。非常に混乱したようです。
ちなみに、このときに「六曜カレンダー」が発行され始めます。
六曜って陰陽道などで使われた、と思っている人がいるし、それは事実その通りなのだけど、一般には浸透していなかった。
陰陽道だって、平安時代にブームになった程度だしね。
江戸の末期にはお手軽な「占い」としての六曜が流行するのだけど、暦に書き込んだりはしません。
この日はいいことあるよ、とか、気を付けて、とか書かれた紙を神社仏閣で配布しただけ。
おみくじと変わらないレベル。まぁ、気軽なエンターテインメントです。
この六曜、旧暦を使っていれば、非常に簡単に計算できるようになっていました。
逆にいえば、六曜がわかると旧暦の日付がなんとなくわかります。
さて、明治時代に入り、新暦導入に当たって、旧暦を使ってはならないことになりました。
カレンダーを作るのも禁止です。
でも、六曜までは禁止されていない。
そこで、カレンダーに六曜が併記されるようになります。
事実上、禁止された旧暦カレンダーを作っているのと同じ。
それでも、庶民がこれが「旧暦を知るのに役立つ」と思って使っていただけ。
いまでも、平成の年号を「昭和」換算する人がいますが、それと同じこと。
たまたま江戸時代に流行した占いと同じ言葉が書いてあるだけで、そこに深い意味はありません。
…でも、時代が経って、今でも六曜が印刷されたカレンダーはあって、すでに旧暦なんて誰も使わなくなっている。
この六曜は何のために書かれているんだ? と、知らない人が江戸時代の占いを持ち出して、その日は縁起が悪い、とか言い出す始末。
昭和の中期に非常に流行し、弊害もたくさん出ました。
最近は多くの人が「根も葉もない迷信」だと理解してきたけど、まだ結婚式や葬式の日程で六曜を気にする人がいます。
(だからカレンダーにも印刷されているのですが)
話を変えます。
わずか1か月足らずの告知で太陽暦を導入した理由ですが、「諸外国に合わせる」という必要性もありました。
でも、給与支払いのため、という側面もあった模様。
江戸時代は、士官する武士には録が与えられました。これ、今でいえば「年棒」のこと。
1年間いくら、という契約なのですね。
でも、明治になって月給制に変わりました。
そして、太陰暦では「閏月」があります。1年が13か月になる年があるのです。
1873年が、ちょうどその年でした。
そのままでは、13か月分の給料を払う必要があります。でも、太陽暦に移行すれば12か月分で済みます。
1か月分の給料が浮くのです。
さらに、最初に書いたように「11月を 31日までとして、12月をなくす」方法で太陽暦を導入すれば、1872年も1か月分が浮きます。
なんと、2か月分も給与支払いが無くなってしまう。
これが、1か月足らずの告知で強引に太陽暦を導入した理由だったようです。
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今日はグレゴリオ暦が制定された日。
ただし、イタリアでの話ね。
グレゴリオ暦を定めたのは、ローマ教皇グレゴリウス13世。
ローマ教皇だから、その勢力範囲はイタリア・スペインあたりなのだ。
ともかく、1582年の10月15日に、グレゴリオ暦は定められた。
ちなみに、この「10月15日」は、グレゴリオ暦によるもの。
その後はずっとグレゴリオ暦なので、今の 10月 15日と同じ意味だ。
じゃぁ、その前は10月15日は10月15日ではなかったのか、という話になる。
そう、違った。前日はグレゴリオ暦ではなく、ユリウス暦となっていて、10月4日だった。
つまり、グレゴリオ暦の1582年10月15日は、ユリウス暦の1582年10月5日だった。
…そろそろ混乱してきましたね?
ユリウス暦は、紀元前から使われていたカレンダーの計算方法だ。
厳密にいえば、紀元前 45年の1月1日から始まっている。
ただし、この「1月1日」というのは、現代的な表現だ。
当時は月に名前をつけ、その名前で表現した。今でもその名前で呼ぶほうが多いけど、ともかく当時は「1月」とは言わない。
古代の天文技術というのは結構優れていて、1年が365日と1/4くらい、と理解していた。
そこで、1年は365日、ただし4年ごとに閏日を挟むことになった。
暦は春、3月から始まる。
3月は、31日まで。4月は30日まで。
以降、奇数月は31日、偶数月は30日とすると、12か月で 366日となる。
これだと、普段は1日多くなってしまう。
そこで、閏年以外は、最後の月である2月を1日減らして対応した。2月は 29日までだ。
ところで、「月の名前」は、最初のほうは神様の名前が入っている。でも、最後のほうは「8番目の月」とか、即物的になってくる。
ところが、ユリウス暦を定めた皇帝ユリウスは、自分の誕生日である7月に、自分の名前 Julius をつけて、July としてしまった。
以降の月は1つずれる。
次の皇帝アウグストゥスも、ユリウスにならって、続く8月に自分の名前を付け、August とした。
以降の月はさらに1つずれる。
さらに、8月を 31日にしてしまった。偶数月は 30日、という原則が、これ以降崩れてしまう。
この影響で、2月は28日までになってしまった。
そして、オクトーバー(8の月)、ノベンバー(9の月)、ディセンバー(10の月)は、それぞれ2つずれて、10月、11月、12月になった。
プログラマなしっていると思うけど、Oct は8進数、Dec は10進数ね。
オクトパスが蛸、というほうが、Oct が8、と納得してもらえる例かな。
ところで、さらに次の皇帝ティベリウスに、側近が「9月に名前を付けては」と進言したらしい。
でも、ティベリウスは「暦は皆が使うものだから、皇帝といえども自分の名前を付けて混乱させて良いものではない」と一喝したという。
かっこいいぜ、ティベリウス。
…と、上の説を中学の頃からずっと信じていたのだけど、これはどうも13世紀の学者が唱えた説にすぎず、最近の研究では違うようだ、となっているらしい。
たった今知りました。間違っているかもしれないとなっても、面白いから書いたけど。
先に書いたように、3月から暦が始まるとすれば、オクトーバーは正しく「8番目の月」だ。
だから、名前を付けて後ろにずれた、ということ自体違うらしい。
30日と31日を交互にしていたのに…というのも、ユリウス暦以前の太陰暦で大の月と小の月がぐちゃぐちゃで、それをそのまま受け継いだものらしい。
アウグストゥスが自分勝手な間抜けではなかった、ということだ。
それはさておき、ユリウスとアウグストゥスによって完成した「ユリウス暦」は、1年が 365.25日だった。
実際の地球の動きは、1年が 365.2422 日なので、そのままだとユリウス暦は少しづつ早くなっていってしまう。
大体、1年で675秒ずれる。1日は 86400秒なので、128年たつと1日分ずれる。
紀元 325年に、春分の日を3月21日とする、と決められた。
しかし、やっぱり少しづつずれていく。
このずれが、1500年代の後半では、325年と比較して、およそ 10日分ずれていた。
(1582-325 = 1255 。128年で1日、と考えると、およそ10日ずれる計算で合っている)
そこで、グレゴリウスが、暦の計算方法を改めた。
128年で1日早まるのだから、100年に一度は「閏日をなくす」ことにした。
これだと、まだ28年分の端数が出る。そこで、400年に一度「やっぱ閏日を入れる」ことにした。
まだ400年で12年分の端数が出ているが、そこまでは考慮しない。
これが 128年分たまったら1日ずれてしまうわけだが、4000年程度はかかる計算になる。
実用上は考えなくてよいだろう。
そして、グレゴリウスは、この暦の計算方法を使うことにするのと同時に、ずれた10日分を無理やり修正した。
そのため、1582年の 10月4日の翌日は、10月15日となったのだ。
グレゴリウス暦は、なかなかほかの国が採用するのに時間がかかった。
1752年9月14日には、イギリスが導入している。
このころのイギリスは帝国であり、アメリカを含む植民地も一斉に変わった。
このため、1752年9月をグレゴリオ暦の導入日、とする人も多い。
UNIX の cal コマンドなんか、1752年9月を表示するとちゃんと「2日の翌日が14日」の表示をしてくれる。
日本では1873年に導入している。
それ以前は、ユリウス暦ではなく太陰暦を使用しているため、12日ずれる、なんて生易しいものではない。
12月2日の翌日が、1月1日になってしまった。
しかも、十分な周知がなされないまま、無理やり導入してしまった。
実は、政府は1872年度の予算が足りなくなっていて、公務員の給与が払えない状態だった。
そこで、12月を1か月分なくすことで、早く来年度予算を決めて解決しようとしたらしい。
話はポンポン飛ぶが、「ツェラーの公式」というものがある。
グレゴリオ暦であることを前提に、年月日を元に曜日を知るための公式。
W = y + [y/4]+[h/4] - 2h + [ 13*(m+1)/5 ] + d
年は、上2桁と下2桁に分けて考える。上が h 、下が y だ。
m は月で、d が日。
ただし、年は3月に始まるものとする。1月と2月は、前年の 13、14月として処理する。
出てきた W を、 7で割った余りが曜日になる。
式の意味を解析するのは楽しいのだけど、長くなるので今はやめておく。
僕はプログラマーで、占いなんかも作ったことがあるのだけど、上の式を理解しているといろいろ応用が利く。
7で割るのではなく、6で割れば六曜に対応できる。
12で割れば十二支に、10で割れば十干に、組み合わせれば干支に対応できる。
他にも、日付によって「繰り返し」で計算する占いって、結構多い。
まぁ、占いを作るような時しか使わないので、すぐ忘れてしまう式でもあるのだけど、忘れても調べればすぐわかる。
存在を知っている、ということが大切。
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毎年恒例冒険遊び場。
…なのだけど、毎年は3月の最初の土曜日。雨の時は1日延期。
ところが、今年は3月の土日が2日共雨。「中止」となってしまったのだけど、5月の最後の土日に再度開催してくれた。
いつもと同じつもりで行くと、およそ3か月ずれたことで遊びが大きく違っている。
いや、同じと言えば同じなのだけど、心構えが違う。
3月頭にやると、焚火の近くには人が自然と集まった。でも、5月末だとそれほど集まらない。
冬にはやらない「水鉄砲づくり」が大人気。
山肌を登って遊ぶ子も、冬よりも身軽に動ける。
一方で、半袖の子も多いので山遊びは多少危険でもある。かすり傷の怪我多し。
風船で遊んでいる子もいたが、冬は大丈夫だったのに、夏はやたら割れる。
イネ科の雑草は葉がとがっているから、触れると割れてしまうんだな。
ちょっと季節が違うだけで、遊び方もいろいろ変るなぁ、と思った次第。
その土曜日の夜、ちょっと大きな地震があった。
妻は好きな歌手のコンサートがあって出かけていた。
子供たちを風呂に入れた後で、長男はまだ風呂に入っていて、僕は座って本を読んでいた。
あれ、何か揺れた気がする、と思っても子供は気づいていない。
気のせいではないことの確認のためテレビを付けたら、地震速報が出ていた。
8時24分、地震がありました、というテロップ。
この速報を確認している時、2度目の揺れ。今度は少し大きく、長かった。
時計を確認した。8時27分。
NHKは臨時ニュースに切り替わった。
震源は小笠原諸島沖、となっているけど、小笠原と埼玉で震度5。
この時点で、「刺激されて連動された、2震源の地震ではないか」と思う。
妻からメールが来ていた。
コンサートは終わって帰宅中だったけど、電車は緊急停止した、とのこと。
その時点での情報をメールで送る。
その後、マグニチュード8.5、震源は地下590kmと…
590km? とんでもない深さだ。でも、これを知って瞬時に理解。
2回揺れたのは、震源が2つあるのでも、余震と本震だったのでもなく、P波とS波だったのだ。
完全分離されてしまい、3分もずれるほどの「遠く」からやってきたことになる。
特にそれ以上新しい情報もなかった。
子供は寝る時間なので、寝かしつける。
子供が寝てから起きてきてテレビなどで情報収集。
妻が載っている電車は、ずっと様子見で動かないままのようだ。
10時半から政府の記者会見があるというので、NHKでは10時24分からもう一度臨時ニュースになっていた。
この会見の様子と、解説などが終わったのが11時。この時点でも、まだ電車は動いていない。
これは、妻は今日中には帰ってこないかな…と覚悟して、寝ようかと思ったところに妻が帰宅した。
電車動いてないとテレビで言っていたけど何で? と聞くと、徐行運転だけど動いてはいたらしい。
ただ、すでに乗っている人・駅のホームで待っている人だけを運び、駅への入場は制限していたみたい、とのこと。
そのため、表向きは「動いていない」ことにしてあったようだ。
翌日からの新聞記事などを見て、地学先攻だった妻が「多分」で解説してくれた。
(専門会見ではないが、全くの素人でもない。間違えているかもしれない、とあらかじめ断っておく)
震源が小笠原沖であるにも関わらず、埼玉でも揺れが大きかったのは、地震波の伝わり方と関係がある。
地面には、地震波を伝えやすい部分と、伝えにくい部分がある。
これは深さとだいたい関係していて、深いほうが伝えやすい。
普通は、それほど深いところで地震は起こらないので、震源近くが強く揺れ、遠くになるほど弱くなる。
ただ、地震というのは震源から「地表」に向かうだけでなく、地下にも向かう。
地下で伝えやすいところに達し、その内部を伝わって再び地上に現れることがある。
中学の理科(地学)で習う「モホロビチッチ不連続面」というやつだ。
今回の地震では、大深度で起きたために、伝えやすい部分を直接動かしてしまった。
そのため、非常に広い範囲に揺れが伝わり、日本全国で震度1以上を観測することになった。
そして、地震波が屈折するときに、2つに分離した。
(水面の光の屈折の際に、反射も同時に起こるために2つに分離するようなものだ)
そのため、小笠原だけでなく、埼玉近辺にも強く波が伝わった。
これが、震源から遠い場所でも強く揺れた場所があった理由。
これほどの大深度(翌日夜、震源は地下 682km、マグニチュード8.1に修正。その後得られたデータを精査した結果)で地震が起きること自体が珍しい。
新聞では、日本の下に潜り込むプレートが世界一古いから…と説明してあったけど、それがなぜ地震につながるのか?
「古い」というのは、プレートが生み出されてからの時間がたっている、という意味だ。
海嶺でプレートが作りだされ、海溝に沈んでいく。
アメリカ西海岸沖のナスカ海嶺で作りだされたプレートは、日本海溝・マリアナ海溝に沈んでいくのだけど、この「太平洋プレート」は、非常に大きい。
大きいから、海嶺から海溝まで達するのに時間がかかる。これが「世界一古い」という意味だ。
そして、時間がたっているので、一番冷えて、固まっていて、重い。
重いから、海溝では一気に沈み込む。日本海溝は狭くて深いし、マリアナ海溝は世界一の深さだ。
そして、冷えているものが一気に沈むから、地球内の熱で温まるまでに、かなり深いところまで行く。
温まって「溶けて」しまえば、柔らかくなって地震が起きることは無い。
でも、まだ固いうちに力がかかって、割れれば地震になる。
これが、今回大深度で地震が起きた理由。
実のところ、そのくらいの深さでもたびたび地震は起きているのだけど、深すぎて地表に揺れが届かないという。
今回はマグニチュード8を超える「大地震」だったために、地表でも揺れた。
しかも、震源が深いので北海道から沖縄まで、日本全国が揺れる珍しい地震となった。
ちなみに、緊急地震速報が出なかったことに対して批判している人たちがいるようだ。
先に書いたように、これほどの大深度地震はめったに観測されないので、データが無い。
たまたま埼玉が強く揺れたけど、プレートは日本全国にほとんどつながっているわけで(だから全国揺れたわけで)、どこに揺れが強く伝わるかは、まったく予想できなかったともいえる。
データを積み重ねれば、地中の状況が逆算できて、地震の伝わり方を予測できるかもしれない。
でも、そのためには「めったに起こらない」珍しい地震が、あと100回くらい起きてくれなくちゃ。
めったに起こらないタイプの地震なのだから、「次に起きたらどうするのか」と心配するものでもないと思う。
妻にとっては、土曜日は「冒険遊び場」に子供たちと行って、その後コンサートに出かけ、地震の影響に巻き込まれて深夜にやっと帰宅…という大変疲れる日だったようだ。
#夕ご飯も食べてなかったようで、帰ってから「もう寝る前だから少しだけ」とサラダ食べてました。
しかし、マグニチュード8を超え、人口密集地域で震度5を超えたにもかかわらず、大きな混乱が無いというのは日本がある種異常なところ(良い意味で)だろう。
エレベーターは首都圏で多数止まって大変だったようだ。
現状の集計で1万3000基が止まっていて、まだ集計が出ていないメーカー分も含めればもっと増える様子。
「止まる」のは良いとして、再始動は法律の問題があって、国家資格を持つ専門家にしかできないらしい。
これだけ多数止まると専門家の数が足りず、混乱した。
ビル管理者が自分で再起動してもいいように、柔軟に運用できるように法的整備が必要だ、という議論が始まっている。
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申し訳ありませんが、現在意見投稿をできない状態にしています。 【あきよし】 指摘に1年以上気付いてませんでした (^^; ありがとうございます。誤字修正しました。 (2016-09-04 14:21:42)【JANYSKA】 「モホロビチッチ不連続面」の「チ」が抜けて「モホロビッチ不連続面」になっていますよ (2015-06-01 15:25:08) |
昨日日曜日、子供と一緒に逗子の「理科ハウス」に行ってきました。
世界一小さな科学館、と標榜しているところです。
妻が別の用事がある間、子供と僕だけで遊びに行く予定でした。
ところが当日は雨。屋内で遊べるところを探します。
で、理科ハウスなのですが、小さいことはわかっていて、「1時間で飽きて出ることになる」覚悟で行きました。
結論から言うと、1時間で飽きたりしない。
1日は無理かもしれないけど、半日遊べます。
とはいえ、僕等がいたのは2時間半ほど。
妻の用事が終わったので帰ろう、と子供に声をかけると「えー、もっと遊びたい」と答えが返ってきました。
小さな科学館…普通の2階建ての家よりも狭いです。
狭小住宅をそのまま使った、と考えてよい広さかな。
駐車場は、3台分しかスペースがありません。
もっとも、奥に長いので6台止まれます。
後から来た3台は、奥の車が出るときに「車動かしてくださーい」と声をかけられることになりますが、家が狭いからすぐに持ち主がわかる。
狭いけど、科学を伝えるための小道具は沢山あるらしいです。
だから、毎週のように展示内容を変えているのだとか。
季節変動もあるので、昨日何を見たかをここに書いても、後から見たいと思っている人の参考にはならないかもしれません。
でも、書き記します。
まず、玄関を入ると受付があります。
この時、受付には誰もおらず。駐車場が3台埋まっていて、後ろに停めてもいいですか? って聞こうとしたのだけど。
丁度、プラネタリウムの公演開始で人手が必要だったようです。
すぐに受付の方が来たので、駐車の了承を貰います。
「プラネタリウムみますか?」と聞かれました。
今の季節しかやってない、ということは知っていたのですが、公演時間に間に合わなかったこともわかっていました。
でも、この日は希望者が多いので臨時公演することにしたのだそうです。
見る場合、一人百円。
理科ハウス自体の入場料は、中学生以下無料。高校生以上は百円です。
子供3人分もふくめ、入場とプラネタリウムで500円。
…ですが、入場料はここで払うんじゃない。
徴収ボックスがあるので、そこに入れます。
このボックスが優れもの。
磁石を使ったコイン選別機になっています。
コインは鉄じゃないから、磁石に「くっつく」のではないよ。
磁界の中を導電体が動くことによる誘導電流と、その反作用によって通過時に抵抗を受ける。
軽い上に電気が発生しやすい、アルミ貨の1円玉は、すごく通過が遅くなります。
一方、50円玉はほとんど影響を受けない。
面白いのが5円玉で、わずかな影響を受けた結果、選別用の仕切り板の上で弾んで、一番遠くへ落ちる。
きっと、狙った設計ではなくて偶然なのだけど、いい動きをします。
子供が面白がるので、100円以上入れてしまいました。
箱の上には、ちゃんと「入れすぎても返しません。寄付ありがとうございます」って書いてあります。
プラネタリウムの臨時公演します、というお知らせがあり、ドームに入ります。
ダンボールで作ったと思われるドームの中に、学研「大人の科学」のプラネタリウム。
学研のプラネタリウム、安いけど非常に良い、と聞いていました。
でも、実物見るのは初めて。
…非常に良くできていました。
ちゃんとドームを作ってあることもあるけど、美しく投影されます。
丁度この日、火星と金星が最接近する日だったんですよね。
そんなことも説明してくれましたが、生憎雨だったので夜の確認はできてません (^^;;
全天での星の動き方、北極星が動かないこと、北斗七星とカシオペアから北極星を探す方法、オリオン座、ベテルギウスがもうすぐ爆発しそうなこと…あたりを説明しておしまい。
小さなドーム内なので、子供の興味に従って臨機応変に説明を変えていきます。
小さいからこそできることがある、とわかります。
プラネタリウムの後、その「暗闇」のスペースを使った実験がありました。
一応出来る実験は6種類。でも、時間の関係で、その中で3種類選んで、と言われます。
…結局、子供の意見がまとまらず4種類やったのですが。
1)ガムテープが光る実験。
ガムテープをはがす際に剥離静電気が発生し、その静電気の作用が…ごにょごにょっとなって光る、というのは知っていました。
でも、あまり試したことは無かった。
接着面同士を半分に折り返してくっつけ、それを暗闇ではがすと、わずかに光る。
これは面白いから家でもやろう、と子供に言っていると、ガムテープの種類でかなり光が違う、と教えてくれました。
良いガムテープを探すのが大変だそうですが、それを探すこと自体を楽しんで、と。
後でやったら、家で2つあるガムテープのうち1つは、少し実験方法が異なりますが光りました。
家のガムテープは、ロールから引きはがす時に光りました。
2)虹を探す
マイクロビーズを張り付けた青い紙があり、これを青空の水滴にみたてて、懐中電灯で照らして虹を作ります。
光の入射角と見る角度が重要。紙に対して斜めに照らし、照射側から見ると良いようでしたが、最初は正面から照らしたのでなかなか見えず。
3)青空と夕焼け空の色を作る
少し白濁した水を入れたペットボトルに、懐中電灯の光を照らす実験。
ペットボトルの横から、短い距離に光を通すと青っぽく見えます。
ペットボトルの縦方向、長い距離に光を通すと、最後が赤っぽくなります。
この「距離」によって青空と夕焼け空の色が変わる、という実験。
4)紫外線で光る物
紫外線ペンライトでいろんなものを照らすと光ります。
蛍光ビーズとか、届いたハガキとか、洗濯洗剤というのはありがち。
剥いたオレンジの皮とか、ビタミンB2入りドリンクとか、ハイレモンも光るのね。
そして、一番驚いたのがルビー。紫外線で照らすとすごく輝く。
ルビーレーザーってこれか? と思ったのですが、今調べたらそれとはまた違うらしい。
ただ、エネルギーを得ると輝く性質があって、ルビーレーザーは違う方法で輝かせているようです。
1階は、プラネタリウムの周りに望遠鏡の原理など天体関連の展示がいくつか。
別の一角は、本のコーナー。
「僕たちの鉱石ラジオ」とか「数学ガール」とか、欲しかったけど結局買ってない本がゴロゴロ。
うわーすげー。近所にいたら通って全部読みたいような蔵書。
そのすぐ近くはミュージアムショップ。
というか、棚2つに物販品並べてあるだけだけど。
すごく面白い施設なのに、入場料は大人百円だけ。
申し訳ないので何か物販買おうと思っていたけど、帰りにあわただしくて何も買えなかった。
また今度行ったら、是非なんか買おうと思います。
#入場料は先に書いたように、100円「以上」なので、寄付してもいいのだけど。
2階に上がってみます。
階段も面白い。1段毎を地層に見立て、年代が書いてあり、紙粘土で作った化石が貼ってある。
手すりもDNAを模したビーズが入っている、アクリルパイプで作られている。
手作り感があるのだけど、安っぽい感じはしない。センスいい。
2階に上がったら、丁度静電気の実験をやっていました。
今から百人脅しやる、というので、是非参加をと呼びかけるのだけど「痛いんでしょう?」とその場にいる子供たちは及び腰。
大人の参加でもいいですよー、といわれ、「あ、じゃぁ僕やる」と、今来たばかりで全然わかってないのに手を挙げます。
何事も体験だし、これやって見たかったんだよね。
うちの長男(10歳)と長女(7歳)も参加。次女(5歳)は、怖いからと逃げる。
大人が僕と、別のお父さんの二人だけだったので、この二人がスイッチ役に。
僕がライデン瓶(ビニールコップで作ったコンデンサ)もって、もう一人のお父さんがそこに触れる。
…あれ?
持っている手はピリっとしたけど、逆の手は全然大丈夫。
その場の子供も全員、あれ? という感じ。
もう一度実験したけど同じ状況でした。
「電気来てないんじゃない?」と言い出す子がいたので、少なくとも片手に痛みを感じたから電気回路は繋がってるよー、と説明。
職員の人が「そうそう、よくわかってくれてる」と言ってくれる。
この実験やると、いつも「電気来てない」という子がいるのだとか。
実験道具は置いてあったので、後で自分一人でやりましたけど、結構電気を溜めるのが難しい様子。
1度だけ、自分でもびっくりするくらい痛い放電がありました。
この時は出してなかったけど、ヴァンデグラフ起電機が片隅に置いてありました。
「あー、高校で実験したことある」と言ったら、それが置いてあるのすごいでしょう、これ高いんですよー、と職員の人に自慢されました。
うん。高そう。ぜひ実験見たかった。
2階も季節ごとに展示を変えるらしいけど、今は冬だから静電気実験なんでしょうね。
片隅には顕微鏡も置いてあり、ヒツジの毛糸とアクリル毛糸の違い、とかみせてました。
2階で、職員の人に呼ばれて子供が発表を行うことになりました。
この施設、子供は無料だから、近所の子は良く通ってくるらしい。
そして、そんな子の中で自然発生的に「巻物」を作るのが流行して、いろいろ作られているらしい。
巻物は、自分の研究をまとめた、ちょっとした発表資料です。
床に置いて転がしながら見せていきます。
この子の作った巻物は、ミジンコの一生、と題された物。
内容は全然一生ではなくて、クイズです。でも面白かった。
ミジンコの目が実は一つしかない、というのは結構有名。
じゃぁ、「生まれたばかりのミジンコの目はいくつでしょう」。
えっ! 生まれた時は数違うの? そんなこと、疑問にも思わなかった。
答えは2個、なんだそうです。
卵は状況により体内、または水の中に生み出されるのだけど、体内で生まれたばかりの子供を見ると目が2つあるのだとか。
この子はミジンコが好きで、池で水をすくってきてはここの顕微鏡で観察しているらしい。
多分、うちの長男の1コ下くらいの年齢。
自分で観察し、調べ、資料にまとめ、発表している、というのが素晴らしいです。
2階にトイレが2つ。
「植物細胞の部屋」と「動物細胞の部屋」と扉に書いてありました。
小部屋を細胞になぞらえて、中にはそういう飾りつけがしてあります。
植物細胞の部屋は、壁を全部細胞壁に見立てた薄い布で囲んであり、核や葉緑素やゴルジ体が天井から吊り下げられています。
子供たちが本読みたいというので、1階の本のコーナーへ。
ちょっとしたパズルとか、カリンバ(指ピアノ)とかも置いてありました。
そしたら、そのコーナーに来たおじいさんが、何か箱に入った実験道具みたいなものを置いて去る…
なんだろう、と思ったら、手作りのモーター各種でした。
1つはエレキットのモーター。子供の頃に見たことがある。
見てたら、おじいさんが戻ってきました。
口下手な人で、すぐにはわからなかったのですが、話を総合するとこういうこと。
このおじいさん、近所に住んでいる方でした。
孫も時々遊びに来て、理科ハウスで楽しんでます。
じゃぁ、何か協力できることを、と思っているのだけど、理科はよくわからないので、何か展示物を作っては寄付しているのだそうです。
このモーターも、古道具屋で見かけたものから取ったものとか、本を見ながら自作してみたものとか、合計4つあったのですが、自作したものだけが動かない、と。
原理がちゃんと理解できてないから、どうしていいんだかわからなくてそのまま持ってきたけど、後はここに来る人に何とかしてもらおう、ということでした。
次女が興味を持って、電池をつなぎ変えては動かして遊びます。
ちなみに、自作モーターは僕も子供の頃に作ったことがあります。
やっぱり動きませんでした(笑)
今なら知識あるから、是非これを修理してみたいところだけど、時間が無い。
他にもいろいろ作ったんだよ、とあの展示や、この展示をどう作ったか教えてくれます。
そして、今日もこのモーターともう一つ、新しいの持って来たんだ、と…
玄関のところに、伊能忠敬の四分儀(象限儀)のようなものが置いてあります。
「江戸時代の望遠鏡らしいんだけど、本に載ってたのを作ってみたんだ」と。
素晴らしい!!!
えーっと、望遠鏡は付いているんだけど、望遠鏡として使われたものではないです。
これで星を見て、その角度と方向を計ることで、自分がいま地球のどこらへんに居るかを確認できたんです。
今で言ったら、GPSみたいなもの。
#僕、小学生の時に「尊敬する人物」とアンケートを取られて「伊能忠敬」と答えてます。その程度には好き。
と、おじいさんに説明すると「へー、すごいんだなぁ」と感心してました。
本で形を見たからと言って、それらしいものを再現してしまう人の方がすごいわ。
そんな正確じゃないけど、小学生に説明する程度には使えるよね、と聞かれました。
十分だと思います。別にこれで測量しようとするわけでもないし、説明用には十分すぎる。
丁度妻から用事が済んだとの連絡が来たので、これで最後にして帰ります。
ここでミジンコの研究をしている小学生の発表に偶然出会い、近所で展示物作成に協力しているおじいさんに偶然出会いました。
…ほんの2時間半いただけで、そんなうまい偶然あるもんか。
これは、それだけ多くの子供が通っていて、多くの近所の人の支援がある、ということでしょう。
理科ハウス、地元の人に愛されています。
こんな施設がある街は、非常に幸せだと思います。
あとで妻に話したら、是非行ってみたいとのこと。
子供も「来週にでもまた行きたい」と言っています。
せっかくだから、展示が入れ替わったころがいいな。
でも、そう遠くないうちに、再訪したいです。
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先日、子供と「日本科学未来館」に行ってきました。
ここには、スーパーカミオカンデの1/10模型があります。
…というか、なんだろう。サイズ的に1/10だけど、姿を伝える「模型」とは違う、別の機能がある。
スーパーカミオカンデは、ニュートリノを検出する装置です。いわば入力装置。
でも、科学館にある模型は、過去の「検出データ」を目で見られる形で再生する、出力装置になっています。
ここら辺が説明不足なので、多くの人が「なんだかチカチカ光っていて綺麗だけど、意味わからない」状態のまま通りすぎます。
非常にもったいない。
世界中、宇宙中のすべての物質は、分子から作られています。その分子は原子の組み合わせです。
原子は電子と原子核の組み合わせで、原子核は陽子と中性子の組み合わせです。
この陽子や中性子は、さらに小さなクオークと言う物質の組み合わせで出来ています。
そのクオークの仲間として「レプトン」と呼ばれるものがあり、電子はレプトンのグループに含まれます。
そして、「ニュートリノ」も、同じくレプトングループの中にあります。
原子の大きさと比べても非常に小さいため、ニュートリノは原子を素通りしてしまいます。
電子のように電荷を持たないため、引きあったり反発したり、という反応もありません。
理論上は、ニュートリノは非常にありふれた物質で、いたるところに存在しています。
しかし、それを捉えることができないため、余りにもわからないことが多い、謎の存在でした。
1900年初頭には存在が予測されていたのに、やっと捉えたのは 1950年代。
それでも、データが少なすぎて謎が多かったのです。
数式から性質などを想像するしかない存在でした。
ニュートリノの性質が数式で「予測」された当時(1970年代)、数式が示す「宇宙全体の重さ」と、実際に観測されている宇宙全体の重さがあまりにも違う、ということが問題となっていました。
この差は仮想的な物質として「ダークマター」(暗黒物質)と呼ばれ、実際に観測が難しいニュートリノに重さがあり、宇宙全体のニュートリノをあわせたら差を埋められるのではないか、と考える人もいました。
一方で、ニュートリノの性質を予測した数式では、ニュートリノには「重さが無い」ことが示されていました。
いったい、重さが無い物質なんて存在するのか? これも議論の的でした。
数式を仔細に検討した結果、特定条件さえ満たせれば、ニュートリノに「重さがあっても構わない」こともわかります。
では、仮に重さがあったら何が起きるのか、ということも数式を元に予測されます。
この結果、ニュートリノの重さの違いは、星の大きさに関係することがわかってきました。
ニュートリノの重さがわかれば、宇宙にある星の大きさや数を、大体推計することができます。
それはつまり、宇宙全体を知るためには、ニュートリノの重さを知ることが重要だ、ということでもあります。
ところで、この「ニュートリノ」の性質を予測した数式は、大統一理論と呼ばれるものです。
理論物理学の打ち立てた、その時点での最高の数式でした。
理論物理学は湯川秀樹博士や朝永振一郎博士(共にノーベル賞学者です)をはじめとして、日本のお家芸です。
その二人に師事した(といっても、二人ともあまりに忙しく、ほぼ独学だったそうですが)佐藤文隆博士は、教え子であった佐藤勝彦博士と共にビッグバン直後の宇宙で何が起きていたか、を数式を元に予測します。
これによれば、すでに知られていた4つの「力」…重力、電磁力、素粒子間に働く「弱い力」「強い力」は、最初は1つだった、ということになります。
では、今からでもすべてを一つにまとめた数式が作れるのではないか?
1970年代にはそのような試みが行われていました。
まず、弱い力と電磁力は、早々に1つの数式にまとめられていました。これを標準理論と言います。
「違うと思っていた力が、実は1つの数式にまとめられる」ことを示した標準理論が、他の力もまとめてみよう、という試みにつながったとも言えます。
ここに強い力をまとめたものが、当時「大統一理論」と呼ばれていました。
これ、以前に紹介した当時の小説「HARLIE」の中でも、重要な小道具として出てきました。
SF 小説に出てくる程度には、専門家でなくても当時の人が注目するトピックだったのです。
#さらに後には、重力も含めた「超弦理論」になります。
1980年ごろには、この「大統一理論」の数式は完成しました。
非常に美しい数式で、素粒子の振る舞いや、理論上は大量に存在するはずの反物質が宇宙に少ない理由、ニュートリノが捉えにくい理由など、すべて説明が付いたそうです。
もうこの数式に間違いない、と誰もが思いました。
でも、まだ「これが正しい」とする証拠はありません。検証する必要があります。
日本のお家芸である理論物理学が作りだした、珠玉の宝石。これを検証するために莫大な税金をつぎ込んで作った施設…それがカミオカンデでした。
カミオカンデは、岐阜県神岡の神岡鉱山跡に作られた施設です。
「ン」はニュークレオン(陽子を含む仲間)、「デ」はディケイ(崩壊)の意味で、陽子崩壊を観測する施設でした。
先に挙げた大統一理論が正しければ、非常に強固であるはずの陽子も、時間と共に崩壊するはずでした。
非常に長い時間がかかるのですが、大量に陽子があれば、確率問題として短期間に観測ができます。
陽子が崩壊すると、電子と陽電子が飛び出して…複雑な理論は置いときますが、最終的に「非常に弱い光」に変わります。
透明な物質中でこの反応を起こせば、外側から観測できます。
そこで、カミオカンデが建設されます。
大きなタンクの壁面に、非常に暗い光でも検出できる「光電子倍増管」がびっしりと並べられ、中を純水で満たしました。
水分子も陽子を持ちます。そして、水は透明です。
陽子が崩壊すれば非常に弱い光を放ち、それは光電子倍増管でとらえられるはずです。
陽子が崩壊した時の反応は、宇宙から降り注ぐ宇宙線でも引き起こされます。
このため、宇宙から最も遠いところ…鉱山の地中深くに施設が作られました。
(多くの宇宙線は、地面によって遮られます。ただし、なんでも貫通するニュートリノは別です)
カミオカンデは莫大な税金をつぎ込んだ施設ですが、実は同様の施設は海外でもいくつか作られていました。
ただ、カミオカンデの検出力はその中でも群を抜いた設計でした。
これで世界初の検出に成功すれば、理論物理における日本の地位は、一層固まるでしょう。
…が、半年も観測すれば検出されるはずの陽子崩壊は、1年たっても、2年たっても観測されませんでした。
中には「自然は不勉強で、大統一理論をまだ学んでいないのだ」と言い出すものもいたとか。
つまり「陽子は崩壊すべきだ」と言いたくなるくらい、大統一理論は美しいものだった…のだそうです。
しかし、観測結果は非情でした。
世界中の同様施設でも状況は同じ。これは、大統一理論が間違っている、ということに他なりません。
莫大な税金をつぎ込んだのに…
カミオカンデの責任者だった小柴昌俊博士は、どう言い訳をしたものか、ずっと悩んでいたそうです。
1987年、超新星爆発が観測されます。
超新星爆発は、星が死ぬ瞬間の姿です。
星は内部で「燃える」エネルギーによって形を保っていますが、この燃える力が尽きると、急に形を保てなくなり、急速に縮みます。
そして、星全体が中央に一気に落ち込むと、その圧縮力によって最後のエネルギーが放出され、大爆発するのです。
この超新星爆発は、1987A と名付けられました。1987はもちろん年号、A は、その年最初の、という意味です。
でも、当時はコンピューター観測もなかったため、数年に一度しか超新星爆発は観測されていません。
それらも、大抵は非常に遠いところにある別銀河の物です。
1987Aは、すぐ近くにある銀河で起こった爆発で、十分肉眼で観察できる明るさでした。
このようなものは、300年ぶりでした。
#残念ながら南半球でないと観測できないもので、日本からは見えませんでした。
星が爆発するときに何が起きるか、もまた、理論物理学によって詳細に解き明かされています。
爆発するときにはまずエネルギーが光として放出され、その次に大量のニュートリノが放出されます。
そして、このニュートリノは、地球を当たり前に通過します。南半球でしか見られない爆発であっても、ニュートリノは日本に届くのです。
カミオカンデは、このニュートリノを捉えました。
先に書いた通り、ニュートリノはいかなる物質も貫通します。
しかし、確率問題で、ごくまれに「原子核に」ニュートリノがぶつかった際に、陽子崩壊と同じように非常に暗い光を放ちます。
そして、たまたま大量の水…つまり原子核を蓄え、非常に暗い光でも捉えられる実験施設がそこにあり、300年に一度のチャンスを捕まえたのです。
このデータはやがて、海外の類似施設とも照合され、全く同時刻に別の施設でも同じ反応が出ていたことが確かめられました。
つまり、観測データは偶然ではなく「1987A 由来のニュートリノの反応」と確かめられたのです。
陽子崩壊を観測する実験装置として、莫大な税金をつぎ込んで失敗に終わったカミオカンデは、「ニュートリノの観測器」として一躍有名となります。
#当時は、「光のあとにニュートリノ」と考えられていた。
その後、観測データの解析や、そのデータを基にした数値計算により、光よりも先にニュートリノが放出され、その後爆発が起こり光が放出されるとわかっている。
この爆発の際にもニュートリノは放出され、光よりも遅れて届く。1987Aでは、この遅れてきたニュートリノの観測に成功した。
カミオカンデは元々陽子崩壊の実験施設であり、ニュートリノを「捉えることも出来るだろう」とは考えられていましたが、そのために十分な性能を持っていたわけではありませんでした。
そこで、改めてニュートリノ補足用の施設として、スーパーカミオカンデが作られます。
今度の「ンデ」は、陽子崩壊の意味ではなく、「ニュートリノ」と「ディテクション」(検出)の意味です。
そして、スーパーカミオカンデでは多数のニュートリノを補足し、質量があることも確認しました。
これらの功績により、小柴博士は 2002 年にノーベル賞を受賞しています。
さて、最初の話に戻ります。
日本科学未来館には、スーパーカミオカンデの模型があります。
本来光電子倍増管が付けられている部分は、すべて LED になっていて、「検出した」パターンを光ることで示します。
1/10 模型ですが、中に人が入れるほど大きいです。
光る際、片側の壁面が一斉に光ることがあります。
これは、ニュートリノと原子核が衝突して光る際、その光は衝突地点から「円錐形に」放射されるためです。
まぁ、衝突地点から懐中電灯で照らしたようなものを想像してください。
そのため、大量のニュートリノが流入した際には、流入とは逆側で、一斉に光が検出されるのです。
ここまで「ニュートリノ」と書いてきましたが、実際にはニュートリノには3種類の「型」があります。
スーパーカミオカンデでの、光のパターンなどを解析すると、捉えたのがどの型であるかもわかるそうです。
そして、ニュートリノに「質量があるならば」、この3つの型は時間と共に入れ替わる、とも予測されていました。
これをニュートリノ振動と言います。
スーパーカミオカンデでは、まず太陽で発生「しているはず」のニュートリノと、実際に捉えられるニュートリノが違うことから、ニュートリノ振動が実際に起っていることを確認しました。
ただ、この時点では理論と違う、というだけで、理論が誤っている可能性もありました。
その後、250km 離れた施設から「人工的に作ったニュートリノ」を打ち込む実験で、作ったのとは明らかに違うニュートリノが検出されることを確かめています。
これらの実験は、ニュートリノに質量があることを意味していますが、質量を特定するには至っていません。
今回の話、つい先日読んだ「宇宙物理への道」(佐藤文隆著)をネタ本としています。
この本、図書館で古くなったので「不要」とされてリサイクル扱い(自由にもらってよい)になっていたのを貰ったまま、数年放置していたもの。
「そういえば読んでない」と読んだら、非常に面白かった。
佐藤文隆博士、ノーベル賞取っているわけでもないし、申し訳ないけど「知らない人」だった。
でも、文中に書いた通りノーベル賞学者に囲まれて研究していて、博士自身非常に重要な理論を打ち立て、研究した人でした。
ホーキング博士の「肉声を聞いたことがある」人も珍しいのではないかな。
理論物理は興味はあるのですが、専門家ではないので間違いがあったらごめんなさい。
その際は怒らず教えてください。修正します。
2015.10.7追記
文中では2002年にノーベル賞を受賞した小柴昌俊博士の名前を「カミオカンデの責任者」として出していました。
2015年のノーベル物理学賞に、小柴博士の教え子でもある梶田隆章氏が選ばれました。
スーパーカミオカンデでニュートリノに質量があることを突き止めた功績。文中に書いた実験の責任者だったようです。
太陽からのニュートリノ、と文中では書きましたが、宇宙線が地球大気に入ってきたときのエネルギーで発生する「大気ニュートリノ」がかなり重要だった様子。
大気ニュートリノは地球表面すべてで発生しているのに、真上からのものだけが観測され、真下から(地球を貫通してきたものが)観測されない、という謎がきっかけだったそうです。
スーパーカミオカンデでは、3種類あるニュートリノのうち、タウニュートリノを観測できないのだそうです。
そこで、「地球を貫通している距離の間に、ニュートリノ振動が起きてタウに変化した」と考えたのだとか。
この時点では「ひらめき」にすぎませんが、そのひらめきを裏付けるために、1日に1~2個しか観測されない大気ニュートリノのデータを数年分検証し、仮説を裏付ける十分な証拠を集めます。
スーパーカミオカンデは国際的な研究施設で、データだけなら他の人でも見られたはず。
でも、そのデータを見ても、「下から来ないのはおかしい」と考える人はいなかったわけです。
まさに、1%のひらめきと99%の努力、を地で行く話。
エジソンの残した言葉だけど、「ひらめきがなくては、努力しても無駄だ」という意味だからね。
努力することが大事だ、みたいに受け止められて、エジソンは悲しんでいたようですが。
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別年同日の日記
申し訳ありませんが、現在意見投稿をできない状態にしています。 |
少し日が開いてしまったのだけど、8/30 に TenQ を見てきました。
せっかくなのでレポートを。
TenQ 、東京ドームシティ内に出来た、新しい施設です。
プラネタリウムでも科学館でもなく、宇宙を新しい切り口で見せてくれる、という話題の施設だったのですが…
最初に断わっておきますが、辛口評価です。
以前に、メガスターで有名な大平さんの作ったイベントでも、かなり辛口の評価を出しています。あれ、人気あるんですけどね。
説明しておけば、僕も妻も天文は結構好きなのですが、「科学」視点で見ています。
星が好きな人には、星を見ると言う行為(夜通し起きていたり、真っ暗な中で孤独を味わったり)自体が好きとか、星座の歴史的背景(メソポタミヤ文明やギリシア神話など)が好きな人もいますが、全然視点が違うことを断って置きます。
僕が辛口の評価だから出来が悪い、と言うわけではない、と言う意味です。
さて、TenQ 。
まず、入り口でシステムに疑問を持ちます。
込み合っている中で映像を楽しんでもらうため、一定時間ごとにまとまった人数を入場させる方式なので、最初に整理券をもらう必要があります。
この整理券をもらうためには、入場資格を持つことを示す必要があります。
基本的に入場人数を制限しているので、あらかじめ予約を入れ、料金を前払いしている「証明」をするのね。
整理券をもらった時点で、入場資格を持っていることは確定しています。
中に入ると、待合スペースがあります。ミュージアムショップも併設しているので、先にお土産物を選んだりしといてもいいでしょう。
そして、時間が来ると整理番号に書かれた数字で呼び出しがかかるので、整理券を見せて入り口前に並びます。
先に書いた通り、整理券を持っている人は「入場資格」を持っていることが確認されているはずです。
でも、入場時刻になったら、一人づつ、入場チケットに印刷されている QR コードを入場ゲートに読み込ませないと入れないのです。
このゲートが1台しかない上に QR コードの認識効率が悪く、子供(5歳児から)も必ず「一人一枚」読み込ませながら入らないといけないので、妙に手間取ります。
一人入るのに 5 秒程度かかると思ってください。ただ入れるだけなら、一人1秒もかからないはずなのに。
この先は映像を見せるスペースがあるのですが、「見せる準備」が整ってから入場が開始され、全員が入場できるまでに5分程度かかります。
この間、お客さん全員が「待たされる」のです。
このシステム、絶対に考えた人は頭が悪い。
この時点で、展示内容も頭が悪いのではないか、と言う危惧が頭をよぎります。
入り口入ると、どうやら「ビッグバン以前の虚空」を表現したらしい長い通路があります。
…単に通路です。まぁ、これは変に突っ込む必要もないからいいや。
その後、プロジェクションマッピングで展示のオープニングを飾る映像体験が…
…プロジェクションマッピングすることに意味が感じられません。
むしろ、ただの映像にした方がよかったのでは?
プロジェクションマッピングは、映写機(プロジェクター)で、スクリーンではなく建造物等に映像を投影する技術です。
スクリーンのような平面ではなく、凹凸のある建造物に映像を投影すると、映像がゆがんでしまいます。
しかし、あらかじめ凹凸を測定し、コンピューターで計算して、歪みを最初から考慮した「変換映像」(日本語で写像、英語ではマッピング)を作ったとしましょう。
すると、凹凸のある建造物をスクリーンとしても、画像はゆがまずに正しく表現されます。
これが「プロジェクションマッピング」です。
この際、映像は「建造物の窓などの凹凸を活かした」ものにするのが普通。窓には、はっきりと「窓」だとわかる映像をあえて投影します。
しかし、長い映像表現の中で、時々その枠組みを超えて見せる。たとえば、開くはずの無い窓でも、両開きに開く映像を投影してみる。
…すると、人間の脳は、動くはずのない建造物が動いているかのように錯覚を起こすことがあります。
この錯覚(眩暈)体験が、プロジェクションマッピングの醍醐味。
でもね、TenQ は屋内施設で、壁はもともと平面。
ここに、「プロジェクションマッピングをしたいから」わざわざ凹凸を付けています。
プロジェクションマッピングが「必要だった」から使ったのではなく、プロジェクションマッピングしたいという要求が先にあって、そのために凸凹を付けているのです。
何かが表現したかったのではなく、まず技術ありき。
まぁ、百歩譲ってそこまでは良しとしましょう。
この際、観客は正面、または下から映像を見上げる形になるのに、映写機は天井から下向きに投射する形になっています。
そのため、凹凸の下には「影」ができ、映像に隙間があいてしまうのです。
建造物へのプロジェクションマッピングであれば、相手が巨大すぎて映写機も下から投射します。
このため、映像に隙間は出来ず、先に書いたような「動かないものが動きだす」感覚を得られるのですが、TenQ では映像に影ができるせいですべてがぶち壊し。
つまり、技術ありきなのに、その技術の使い方を間違っている。余りにもお粗末な失敗です。
映像の内容自体は…一応、科学の歴史を非常に短い映像体験としてまとめたものでした。
でも、科学史を理解していないと良くわからないと思います。説明するのではなく「体験」してもらいたいのだろうけど、単に説明不足で意味不明な映像になっている。
次。
最大の売りである、4k x 4k のスクリーンによる、見おろし型の映像体験。
これがまた、がっかりする内容。
紹介される静止画写真などでは地球の映像が映っているものが多いため、見おろし型と相まって、「宇宙ステーションに滞在する気分で地球のいろいろな姿でも見せてくれるかな」と思っていたのですが…
最初はちょっと面白いです。
月面についた、アームストロング船長の足跡から始まり、だんだんズームアウトしていく。
どんどん、どんどんカメラが引くと、月の全体が現れる。
この時点で「Powers of Ten をやりたいのかな?」と思ったら…さにあらず。
宇宙の虚空を感じさせることなく、縮尺が完全に狂った形で月のすぐそばに地球が現れます。
その後は地球上の美しい光景とかを見せてくれるのだけど、実は 4k x 4k スクリーンは、数台のプロジェクターの映像をつないで作っています。
そして、その…つなぎ目が、明らかにおかしいのが見ていて気になるんですね。
星が現れれば、つなぎ目で2重に見えるのがわかる。映像がパンすれば、つなぎ目あたりで「うねる」のがわかる。
余りに気になるのでそのあたりを見ないように、広い画面の「ほんの一部だけ」を集中してみるようにしていれば良いのですが、映像は大画面を活かして、全体を見ないと面白くないような作りになっている。
さらに、これだけ大画面の映像なのに、MPEG か何かで圧縮しているようで、圧縮ノイズが出ます。
動きがダイナミックなところでは、背景の星などの「動き」データが圧縮時に省略されるようで、動きがガクガクになり、破綻します。
一例をあげると、太陽を回り込みながらプロミネンスを見せる CG 映像があります。
そこでは「動くプロミネンスのそばに背景の星が流れる」ようになっているのですが、視線が集まるプロミネンスの背景で、ガクガクと星が動いてしまうのです。
今 CG 映像と書きましたが、CG 多用されています。綺麗ではありますが、実際の映像の迫力、と言うのはない、作りものです。
そして、この CG が科学的におかしい…
惑星を次々と旅行するような映像で、「小惑星」といって、岩の塊が数個固まっているのが写るだけ、とか。
小惑星は「小惑星帯」なのだから、広がりを表現しないとおかしいだろう。
さて、実はツッコミどころが多すぎて困ってしまうのは、基本的にここまで。
プロジェクションマッピングと 4k 映像を最大の売りとしているのですが、その売りがダメなだけで、後はなかなか素晴らしい施設でした。
このあと、研究エリアに入ります。
学者が常駐している研究所をエリア内に設け、研究している姿を見せている…というのは、ほとんど意味を感じられない展示ではあるのですが、面白い試みです。
その研究所はエリアのほんの一部で、周囲には太陽系の惑星探査の成果がパネル・模型・映像で展示されています。
南極で発見された火星由来隕石のかけらを、触ってよい状態で展示していたり、NASA が送ってきた最新の火星映像(といっても、NASA が「公開してよい」と判断したものなので、2週間程度は前の物)を見せてくれたり。
科学館として、なかなか悪くない展示内容です。
ただし、ここの内容は急に高度になりすぎているのに、説明が不十分。
十分な知識を持っていない人には「なんだかよくわからない」ようでしたし、十分な知識を持っていても、展示意図が意味不明なものもありました。
(さんざん考えて、多分こういうことが伝えたいのだ、と類推することは出来ましたが、知識がないと絶対に伝わらない)
次。
子供も喜ぶ体験学習エリア。
タッチパネルで動かせる「ボール型ロボット」を操作して、時間内にゴールに入る、という面白そうなゲームが置いてありました。
このボール型ロボット自体も、惑星探査などを想定して作られた物みたい。
これは面白そう、是非やろう…と、行列を並んでやりましたが、出来が悪くてゲームの体をなしていませんでした。
「操作する」のだけど、「操作できない」のね。
ボールを前後左右に動かす、という指令をタッチパネルで送れるのだけど、ボールのどちらが「前」に当たるのかが、ボールが移動する際にランダムに変わりやすいのでした。
特に、ボールがどこかにぶつかると変わりやすい。補正の仕組みがあるのだけど、補正の仕組みは広いところでない使えないようになっている。
障害物のある細い橋を渡って通る、と言うゲーム内容なのだけど、橋の入り口に来るまでに壁が多数あり、ぶつかってしまう。
そして、どちらが前かわからない状態で橋を渡らないといけない。
「前」を補正したければ、広いところでないとできないので、一度橋から落ちなくてはならない。
…というムリゲーでした。
もしかしたら、タッチパネルだから操作性が悪い、と言うのもあったかも。
アナログジョイスティック使えたらもうちょっと簡単なゲームになった気もします。
それ以外は、体験学習エリアは基本的によく出来ていたかな。
「太陽系テーブル」という、知識を持った人には面白いのだけど、そうでない人にはなんだかわからない考えオチにちかい展示があって、それはなかなか楽しめました。
あと、宇宙に興味を持ってもらおうと「宇宙の不思議な話」などを文字で書いてあるコーナーがあるのだけど、内容はムーです。
アステカ文明に宇宙飛行士のレリーフがあるとか、江戸時代の宇宙人との遭遇記とされる「うつろ船」の話とか…
すでに否定されているムー的話題をそのまま紹介しているのってどうなの?
他には、宇宙関係の人の「偉人の名言」を映像作品にしたスペースとかありました。
わかる人には結構泣ける言葉もあるのだけど、名言って文脈から切り離すと意味を失うから。
(まぁ、ここでは「宇宙」という大文脈がったから、それほど切り離されてなかったけど)
ロシア語を習ったことのある妻によれば「ヤーチャイカ」がロシア語でそのまま表示されていたのが素晴らしかった、とのこと。
(ロシア人で、初の女性宇宙飛行士テレシコワの言葉。意味は「私はカモメ」。
自分が空から地球を見下ろしていることを詩的に表現した言葉として話題を呼んだが、「カモメ」は単に彼女の通信用コードネーム)
…と、これが TenQ の大まかな内容。
最初に書いた通り、僕は「科学」視点で見ているので、CG で合成された映像で迫力だけを出そうとするような部分には非常に批判的。
でも、そういう部分ですら、見もしないで批判することは無いよ、と付け加えておきます。
4k x 4k ディスプレイは、先に書いた通りつなぎ目の処理が悪いけど、それでも一見の価値はある映像を見せてくれます。
ただ、映像が素晴らしいものだったからこそ、科学的な部分が甘いのが残念でならないだけ。
お金を払う価値はちゃんとあるよ、と言うのを最後のまとめにしておきます
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今日はジョン・ネイピアの命日(1617)。
生まれは1550年なのだけど、誕生日は不明。
ずっと以前に、歯車のページで「ネイピアの計算棒」として取り上げている道具を作った人です。
該当ページを書いたのは、今からもう17年も前。
当時はこの道具のこともネイピアのことも知らず、科学館でやっていたイベントで見かけて面白かったので記事を書いた、と言う程度でした。
ネイピアは16世紀の数学者…と過去には書いたのですが、当時の学者が皆そうであったように、貴族で領主でもありました。
そして、これも当時の学者としては当たり前なことに、占星術師で天文学者で物理学者でした。
そんなにたくさんの知識を持っていてすごい、と言うのではなく、当時はこれらの学問は切り分けられてなかったのですね。
占星術を行うには毎日の惑星の運行を記録してあることが大切だったので、天文の観察は必須でした。
たくさんの観察記録を元に、天体の動きを数式で解き明かす…やはり数学者で物理学者で占星術師のケプラーによって、天体の動きが解明されたのは1619年。ネイピアの死後のことです。
さらに、ケプラーの友人で、同じように占星術師で錬金術師でもあったアイザック・ニュートンが、天体の動きだけでなく万物に働く力としてまとめ上げ、後にニュートン力学と呼ばれる物理学の基礎を作り上げていきます。
…話が少し横道にそれましたが、当時は占星術や錬金術は重要な学問の一分野だったし、それを研究するのは決しておかしなことではなかったのです。
さて、話をネイピアに戻しましょう。
彼はなかなか良い領主だったようです。
肥料の改良などを研究し、彼の領土に住む農民に対し伝えたりしています。
また、外敵から領土を守るための軍事兵器の研究などもしています。
まぁ、領土を守るのは当然のことですし、税収を上げるためにも農業の改良は必要です。
そう考えると、領民のことを考えていたというよりは、彼の利益になるからそうしただけなのですが、ただ税率をあげて利益を搾り取るよりもずっと良いやり方です。
彼は、物事を単純化し、誰でも扱えるようにし、普遍化することに深い興味があったようです。
農業の改良も、一部の「頭の良い農民」「ベテランの農民」だけが多くの収穫を得られるだけではなく、その技術の普遍化を狙っていたのでしょう。
そして、これは彼の中心的な研究分野であった数学でも発揮されます。
難しい掛け算を、ただの足し算に変えてしまう魔法の道具。それが「ネイピアの計算棒」(ネイピアの骨、とも呼ばれます)でした。
彼の業績はこれにとどまりません。
彼の生きていた時代は、大航海時代でもあります。
そして、彼は占星術師でした。
この二つのことは無縁ではありません。
占星術師は星の観察が仕事ですし、船乗りたちは星を観測して現在位置を知ります。
星の観察で現在位置を求めるには、多くの桁数の数値を扱う必要がありました。
そして、計算を間違うことは遭難、死を意味します。
#当時は小数点の考案前で、精度を上げる=桁数を増やす、と言うことでした。
大きな桁数で計算したのちに、適当な母数で割ることで最終的な値を求めます。
ネイピア自身、天文学者で数学者ですから、大きな数との格闘の苦労は知っていました。
そこで、この大きな数を小さくしてしまう、という方法を考案します。
これが、対数の発見でした。
先に書いたようにまだ小数点は発見されていませんから、対数は整数の比(分数)で表されます。
現在の対数とはずいぶん異なりますが、大きな数を小さくするだけでなく、掛け算を足し算に変えてしまう(計算棒と同じように!)という、魔法のような方法でした。
先に、天文学者のケプラーの話を出しました。
ケプラーの師匠はティコ・ブラーエという人で、彼は膨大な惑星の位置の観察記録を残しています。
ケプラーは、この記録を元に運動法則を解き明かしました。
ネイピアは、対数があれば天体観測が簡単になる、というアイディアを、ティコに対して披露しています。
これが 1594年の話で、その時にはすでに対数のアイディアを持っていたことになります。
しかし、対数を扱いやすくするためには、あらかじめ対数を計算した「対数表」が必要でした。
この表を作るのが難事業で、対数の発表は20年後、1614年となっています。一般には、この年が「対数が発見された年」とされています。
その後、イギリスの数学者、ヘンリー・ブリッグスがネイピアと共に対数の研究を行い、改良がおこなわれます。
ネイピアの対数は独特の式によって分数で計算されたもので、今の対数のような「底」の概念などはありませんでした。
そして、表は分数で表現されていました。
これを、10 を底とした「常用対数」に改めます。10進法を使っている場合、この方が使いやすいためです。
ところが、これでは表を分数で表現しにくくなり、対数表の記述が難しくなります。
そこで…ここで初めて「小数点」と言う概念が考案されます。
先に、当時は小数点の考案前、と書きましたが、小数点はネイピア晩年の考案なのです。
ブリッグスは、老いたネイピアに変わり、常用対数表を完成させます。
しかし、完成はネイピアの死後でした。
ネイピアの計算棒は、掛け算を足し算に変えるものでしたが、足し算の計算は人間が行う必要がありました。
後にシッカルトが、足し算部分を自動化する機械を考案しますが、これは現存していません。
難しい技術を単純化し、普遍化するという意味では、シッカルトはネイピアの意思を継いだのでしょう。
そして、「計算を自動化する機械」は、現在ではコンピューターとして我々の手元にあります。
これもまた、ネイピアがいなくては作り出されなかった機械かもしれません。
対数分野では、常用対数より後に、非常に扱いやすい「自然対数」が考案されます。
自然対数は、常用対数以前にネイピアが考えていたオリジナルの対数の概念をさらに推し進めたものでした。
この自然対数の底 e = 2.71828.... は、現在ではネイピア数と呼ばれています。
計算尺はネイピアが考案したものではありませんが、対数の性質を利用して、掛け算を簡易に行うための道具です。
ネイピアの死の直後、1620年には原型となる「対数尺」が発明され、1632年にその後普及する物と同じ「計算尺」が作られています。
歯車計算機が作られた後も、計算尺には利点も多かったために1970年代まで使い続けられていました。
電子計算機の普及まで、350年も使われ続けた「計算機」だと言っていいでしょう。
そして、分数に変わる「小さな数を表現する方法」として考案された小数点は、現代では我々は何も意識せずに使っています。
10進数の延長上にあるためわかりやすく、小学校入学前の子供でも理解できます。
これもまた、ネイピアの考案によるものなのです。
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ジョン・ネイピア 命日(1617)【日記 15/04/04】
別年同日の日記
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話は前後して、先週末の「ふたご座流星群」の話。
…なのだが、いきなりさらに話は1年くらい前に遡る。
こどもを寝かしつけているとき、窓の外に何か流れたのを、目の端で捕らえた。
「流れ星だ!」と思わず言ってしまった。
本当に流れ星だったのかどうかはわからない。
でも、長女の興味を引くには十分だった。
「私もお星様みたかった。お父さんだけずるい」と泣き出す。
その後も、ことあるごとに「流れ星見たい」と言っているのだが、なかなか狙って見られるものではない。
最近では、「星が流れる」というのが童話のような作り話ではないかと疑い始め、「流れ星って本当にあるの?」と聞かれる始末。
一応、「見たい」といわれ始めてから流星群はチェックしている。
しかし、数が少なすぎて子供には見せずらかったり、日本からは見えるのが深夜だったり、ちょうどピークの日に雨が降ってしまったり…
で、やっと先週の「ふたご座流星群」。
ふたご座はピーク前後の期間も長いため、1週間くらい前から気にしておく。
夜ランニングをしている妻が、「今日は見られた」などの報告。
(子供に期待されると面倒なので僕にだけ)
で、3日前からは僕も夜外に出て観察。3日前でもかなり流れる。
ネットで情報を見ても、今年は観測条件が良い上に、予想よりも多いと盛り上がっている。
ピーク時間は日本時間では朝8時になってしまうため、明け方に見るのを狙って、3日前から想定時間に見てみる。
この時期の朝は寒い。特に、先週は晴れが続いたため空気が乾燥して放射冷却もあいまってすごく寒い。
翌日は「十分と思われる」防寒対策をしたが、まだ寒い。
ピークの当日は、さらに温かい格好を用意し、準備万端で臨む。
ピーク前日、木曜日の夜。
子供がテレビ(ポケモン)を見ている間に、10分ほど外で観察。
うむ、結構流れる。これなら、子供が飽きない時間の中で流れ星を見せてあげられそうだ。
ポケモンが終わり、普段なら風呂に入る時間だが、「特別に」外に誘い出す。
長男は何か工作に熱中していて、行かないという。
次女は、なんだかわからないのに「一緒に行く」という。
できるだけ広い、東の空を見られる場所に陣取って、昇ったばかりの「オリオン座」を長女に説明。
次女は、真っ暗なので「怖い。家に帰りたい」と言い出す。面倒なやつだ。
ふたご座はオリオン座の少し北東、ここからふたご座流星群は流れてくる。
でも、この時間ではまだふたご座は見えない。
とにかく上を向いて、東から西に流れる星を探す、と教える。
妻がランニングに行こうと家から出てきた。
行く前に、次女を家に連れ戻してもらう。長男がいるので、10分くらいなら大丈夫だろう。
しばらく見続ける。
15分くらいで、長女は「2個見つけた」という。残念ながら僕はゼロ。
(長女が寒くないように、危険が無いように気にしていて、空が余り眺められないため)
これで満足したようで「もう家に入る」というので終了。
冷えた体を風呂に入って暖める。
子供を寝かしつけた後起き出し、普段なら翌朝行う、洗濯、皿洗い、炊飯の準備を済ましてから寝る。
これで、明日は起きてからすぐに観察にかかれる。
で、翌朝。
起きて観察の準備をし、妻にも観察しようと誘う。
(というか、天文は妻の趣味で、僕は面白いから付き合っているだけ)
妻がなかなか寝室から出てこない、と思っていたら、なんと、長女と一緒に起きてくる。
起きてしまったらしい。
仕方が無い。前日夜に観察しているので、長女も観察方法はわかっている。
星が動いているので、今度は西から東に流れ星が流れるよ、と教える。さらに、ふたご座も見えているので説明。
さすがにピーク時間が近いだけあり、良く流れる。
…が、暗闇に目が慣れてくる10分目くらいに、長女が「足が寒い」と言い出す。
十分防寒しているが、下半身のほうが寒いらしい。
家に入り、長い靴下に履き替えさせ、ズボンももう一枚上からはく。
せっかく目が慣れていたのに、戻ってしまった。
また出て目をならしている最中、「もう家はいる」と言い出す。
これで終了。長女は、昨日と合わせて12個の流れ星を見た、と言っている。
(いくつかは気のせいかもしれないが、いくつかは一緒に確認した)
結局、数日かけて準備して、観察時間は合計でも15分ほど。それも「目が慣れていない」時間のみという、非常に不満足な結果。
明け方まで観察していた妻いわく、「期待されていただけあって、すごく流れて楽しかった」らしい。
うむむ…
まぁ、子供が大きくなったらもう少し落ち着いて、一緒に観察できると楽しいかもね。
それまでは仕方が無いか。
で、この後に昨日の日記の通り、プラネタリウム見に行ったわけです。
プラネタリウムの解説者も、ふたご座流星群には当然ふれていました。
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別年同日の日記
15年 CentOS5+Xen3 から CentOS6+Xen4 への引っ越し
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3歳の次女の朝の口癖は、「きょう ほーくえん ある?」だ。
あるよ、と答えれば「いぇーい」と喜び、仲良しの○○ちゃんと遊ぶ、とかお手紙書いてもっていく、とか楽しみにする。
ないよ、と答えれば「いぇーい」と喜び、「じゃぁ くるまで どこか あそびにいく!」と言い出す。
遊びに行く、といわれたときは、僕は間髪いれずに「いやだ」と応える。
毎週のようにどこか遠くに遊びに行くわけにはいかないから。
金銭的にも贅沢だし、休みの日は部屋を片付ける約束だから。
まぁ、「いや」と言われたときの憮然とした反応が面白いから、軽くイジワルしているところもある。
しかし、大抵「いや」と言われると思っているからこそ「じゃぁ、どこか行こうか」と言われたときの次女の喜びようはすごい。
部屋はちゃんと土曜日に片付けたし、前日の雨もやんだし、妻の仕事もいまは忙しくない。
朝のうちに選挙の投票を済ませてしまい、日曜日は久しぶりの家族での外出となった。
こどもに「どこ行きたい?」と聞いたところ、どんぐりハウス(こどもログハウス…児童館のこと)という答え。
ただ、パッチンが作れるところはこないだ行ったから、別のところが良いという。
できれば、黒板があるところがいいという。
近所にこどもログハウスは数件ある。
パッチンのところ…は、港南台にある「どんぐりハウス」だ。
黒板のところは、藤沢方面にあるログハウス「のびのびランド」。
しかし、のびのびランドは少し高学年向けに作られており、次女は楽しめない。
洋光台に行こうと思ってしらべたら、こども宇宙科学館は現在改装工事中で休館しているらしい。
(すぐ近くに、洋光台のログハウス「おもしろハウス」がある)
というわけで、新規開拓。
ログハウスではないけれど、以前から興味があって行ったことのなかった、湘南台こども館に行ってみよう。
湘南台こども館は、こどもの学習を目的とした施設…となるのかな。
展示が2フロアしかないので、もっと小さな施設かと思っていたら、1フロアが非常に大きく、楽しめました。
根岸線周辺文化圏の人は、洋光台の「こども宇宙科学館」と、本郷台の「あーすぷらざ」、それと児童館が一緒になったもの、と思うと想像しやすいかと思います。
科学コーナーあり、民族楽器や民族衣装に親しめるコーナーあり、図書コーナーあり、ボードゲームやカードゲームを自由に遊べるコーナーあり、という感じですね。
自然を展示したコーナーは、自分が「虫」の視点で遊べます。
周囲は巨大な昆虫だらけ。地面のなかを示す断層から「穴」を覗くと、巨大なアリが卵の世話をしていたりする。
また別の穴には冬眠中の蛇が…
巨大な落花生が埋まっていたり、巨大なアンモナイトの殻や恐竜の卵が転がっていたり、ある意味カオスで面白い。
写真は巨大な「せみの幼虫」で、次女は怖がっていました。
ゲームコーナーには、いわゆる「世界の名作ゲーム」が置かれています。
僕が以前から遊んでみたいと思っていたカードゲームなどがいくつかありました。
「すすめコブタくん」とか「ハリガリ」とか「ココタキ」とか。10種類以上置いてあったかな?
…こぶたくんは、長男が遊ぶにはすでに簡単すぎるかな。
積み木として遊ぶのも面白い、というゲームなので、次女あたりがちょうどいいのかも。
ハリガリは次女には難しすぎる。長女がなんとか理解できるレベル。
でも、長男にはちょうど良いみたい。
…そろそろ、こども3人で遊べるゲームが欲しい、と思っているのですが、なかなか難しいみたい。
しかし、「ずっと思っていた」のが、実際触れて遊べる機会があって、少し答えが見えた感じ。
別のフロアは PC やビデオなどを中心としたメディアスペース。
「パソコンを体験してみよう!」というのは…20年前ならいざ知らず、今の子供はコンピューターは「あって当たり前」で、体験して喜ぶものではないと思う。
でも、こどもが楽しめるソフトをうまくそろえてあります。
Mac OS X が多いですが、「あえて」 OS 9 のマシンも残してあって、キッドピクスや まきがめ で遊べるようになっていました。
熱中してキッドピクスをいじり続ける長男…
別フロアに移動したい時間になり「家にあるよ」と教えると、「え! これ、家にもあるの?」と驚いていました。
もう、何年も起動していない古いマシンだけど、ちゃんと正規ライセンス持っているよ。
(しかも、僕と妻の2ライセンスある)
最上階にはプラネタリウムがあります。
子供向け番組もあるけど、この日は時間の都合で大人向けの「星☆図鑑」というのを見ました。
まず特筆すべきは、ここの説明員の人、本当に星が、プラネタリウムが、好きなんだなぁ、ということ。
入場開始から上映開始までの待ち時間、「他のプラネタリウム行ったことある人いますか」って質問をしてみたり、「先日全天集映画の試写会行ってきたんですよ。3日で40本見て、死にました」とか身の上話したり、喋り続けます。ラジオの DJ みたい。
いよいよ上映開始になっても、話の端々がなんか面白い。本当に、みんなに星を好きになってもらいたい、できれば今夜にでも空を眺めて欲しい、という気持ちが伝わってきます。
前半藤沢周辺で今夜見られる星空を開設し、後半はこのプラネタリウムのオリジナル番組、「星☆図鑑」。
宇宙にある星を分類し、大きさ・色・温度にある程度相関関係があることを示し、その相関から外れているものが「死ぬ間際の特別な症状の星」であることを示し…
知っていることなのだけど、改めて知識を体系立てて整理しなおすことができました。
もっとも、話が難しすぎて、長女・次女は飽きていました。
(長男は理解し、さらに質問してきた。変光星は大きくなったり小さくなったりしている、という話に対して「なぜ?」とか)
上映終了後、こどもたちをつれて外へ。
…妻が出てこない。ずいぶん待ってから出てきました。
説明員の人を捕まえて、「ここら辺で、カノープスはどこで見られますか?」と聞いていたらしい。
説明員の人は見たことが無い、とした上で、「七里ガ浜の高台で見られる、という情報を聞いたことがあります」と教えてくれたそうです。
…見たことなくても情報は知っている、というのが、やはり説明員さん、星が好きなのだろうな。
朝から行って、一日中遊んで、出たときには真っ暗でした。
プラネタリウムで見たとおりの三日月が空に浮いていました。
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いつものように4時半に起きて皿を洗っていると、5時ごろ妻が起きてきて「おっきいスマホ貸して」という。
おっきいスマホ、とは、仕事で借りている Galaxy nexus (SC-04D) のこと。
3G通信しなければ自由に使ってよい、といわれているので家で便利に使っている。
妻はしばらく空中であちこち動かし、「ちょっと出かけてくる」。
これで大体察しは付く。空中で動かしているのは、Google Sky Map を確認しているのだ。
ということは、なにか珍しい天体現象があるということだ。
なにがあるの? と聞くと、水星の西方最大離隔だそうだ。
って書いたところで何のことやらわからない人のほうが多いだろう。
太陽の周りを回っている惑星、一番内側は「水星」だという知識を持っている人は多いと思う。
では、水星を見たことある人は?
水星を見るのは結構難しい。太陽の近く過ぎて、太陽がまぶしくて見えないのだ。
見えるのは、太陽が地平線に沈んでいて、水星だけが空に現れる瞬間だけ。
「だけ」と書くのは簡単だが、このタイミングが難しいのだ。
太陽から見て、東側に水星が離れた場合、太陽が沈んだ直後に見られる。
つまり、夕方に水星が見られる。
妻はこのタイミングを狙ってここ2年くらい水星を見ようとしていたのだが、そのためには太陽が地平線・水平線に沈まなくてはならない。
家の近所でそのような条件の箇所が見つからず、なかなか見られないでいた。
我が家は鎌倉で…中学校の歴史で習うと思うのだが、鎌倉は山に囲まれている地形なのだ。
そこで、考え方を変えて、太陽から見て水星が西側に離れた場合、つまり明け方に見ようとしていた。
家の近所で出来る限り東の空が開けて…地平線が見えるような箇所を探していた。
西方最大離隔、とは、つまり今日が西の方角に一番離れる日だと言う事だ。
というわけで、今から見つけておいた場所に行ってみるつもり、とのこと。
新聞を取りに先ほど外に出たが、今朝は初霜が降りていた。しっかり防寒して、という。
僕も興味はあるけど、子供が起きてくるといけないから家にいる。
しばらくして、「みえた~」と言いながら帰ってくる。
しかも、「確認して帰ってきたら、家の庭からも見えてた~」とのこと。
せっかくなので望遠鏡で見る、と準備しているので、僕も外に出る準備をする。
庭先なら観察できるから。
見ると、たしかに水星が見えていた。
夏だと太陽は山の端から出るために水星観察が出来ないのだが、冬至の近い今は、ぎりぎり谷戸の中央、山の切れ目の部分に出てくるようだ。
水星のすぐ上には金星。さらにすぐ上に土星。ほぼ直線に並んでいる。
さらに直線を延ばすとスピカが光っているが、これは偶然。
惑星って、ちゃんと同一平面状にあるねぇ、と僕が言う。
そして平面が微妙にずれてるねぇ、と妻が言う。
実際それがわかる配置になっているのだ。
#以下、5日後の追記
一度見えるポイントがわかれば、「最大離隔」でなくても結構見えることがわかった。
水星の動きは速いが、5日経ってもまだ見える。
追記終わり。
さて、そんなわけで妻の以前から念願であった「水星を見る」という夢を果たしたわけだが、ついでにもう一つ。
今日大平さんのイベント行かない? と持ちかけてみる。
大平さんとは、メガスター作者として有名な大平貴之氏のこと。
(という説明でわからない人は、ここから先は読んでもつまらないだろうから帰ってよろしい)
その大平さんが、六本木ヒルズでスカイ・クルーズ・プラネタリウムというイベントをやっているらしい。
先日知って妻に教えたところ、見に行きたいと言っていた。今なら二人とも仕事が多少余裕があるんで、忙しくなる前に見に行こうという相談だ。
妻も異論はないようで、見に行く。
結構チケット高いです。2000円。
でも、これはプラネタリウム代だけではなく、展望台と、美術館の入場料金込み。繋がった施設だから込みこみなのね。
プラネタリウムイベント開館時間前だったので美術館を見に行く。
…知らない作家さん。というか、僕は美術作家なんてほとんど知らない。
えーと、美術品なので、実物を見ると迫力が違うと思います。
ネットでも検索は出来るだろうけど、絵に関しては多く語らないでおきます。
興味のある人は見に行きましょう。
と、前置きした上で。
中二病です。いい年した作家さんだけど、すごく中二。
前半、中二っぷりに「なにが評価されている人なんだろう」と理解できなかったのだけど、それはある程度時代を追いながら展示してあるから。
最初は、本当に中二病。自分の欲望を丸出しにするのが恥ずかしいから、斜に構えている。欲望を丸出しに見せたいくせに、見せたくないフリをしているのが、非常にウザい。
でも、最近の作品に行くに従い、中二っぷりが切れを見せ始めます。欲望丸出しで、斜に構えるところがなくなると、むしろすがすがしい。
で、最後は圧倒されて、確かにすごい人だと認めるようになりました。
代表的な作風は、かわいい女の子を裸に剥いていたぶること。
手足ちぎって料理していたり、手足切断して犬扱いしていたり、シューティングゲームのターゲットとして惨殺したり。
もう、エロ漫画でも描かないような、「かわいい女の子を自分の好きなようにもてあそびたい」という願望をそのまま出した感じ。中二としか言いようが無い。
でも、中二であることは本人も自覚しているし、それを確かな技術で描いていたりするので、エロ漫画とも違う独特の世界になりえている。
それ以外の作品も多数あった。たとえば、平安時代の巻物のように、綺麗な和紙を長くつなげて、崩し字の美しい綴りで言葉を書き連ねていた作品があった。
なんだろうと読んでみると、2ch のどっかのスレから抽出したと思われる罵詈雑言が、延々と書き連ねてある。
非常に美しい文字で。「美しい日本語」として。
ひとりでデモ行進が出来るマシン、というのもあった。
マイクに向かって演説をすると、最後の部分だけを後ろの人形たちが合唱する。シュプレヒコール、ってやつを自分ひとりだけで行える。
人形がおざなりに作ってあるいい加減さに、こういったデモ行進は「どうでも良いのだ」という感じがにじみ出ている。
デモ行進、という何かに対する反逆に対して、反逆している感じがある。
近年のテーマとしては、ダンボールで安っぽい彫像をつくる、ということがあるようだ。
ワークショップとして、素人に巨大なダンボール細工を作ってもらう。寄せ集めて芸術作品とする。でも、ダンボールだから展示が終わったら捨てる。
本来、長期保存が前提の「美術品としての彫像」を、気軽に、いい加減に作って捨てるもの、として再定義しようとしている。
結局、この作家さんとしては、すべてに反逆することから始まっているようだ。それと、中二的な悪ふざけ。
美しい絵にもどこか毒があるし、エロ漫画みたいな絵も、それが眉をひそめられることを理解したうえで描いているのだろう。
さて、目的ではなかった美術展の話を長々書いたのにはわけがある。
最終的な評価として、チケット代2000円のうち、1500円分くらいは美術展の料金だな、と思ったから。
…そう、期待していったプラネタリウムは、かなり期待はずれでした。
300円くらい出してもいいかな。残る200円は展望台の料金ね。
たぶんね、水星を見て喜んでいるような、本当に星が好きな人が見に行っちゃいけなかったんですよ。
しっかりと物は作ってあるし、言い方は悪いのだけど「大学祭かとおもった」。
やりたいことはわかるのだけど、なんだかスマートでない、もどかしい感じ。
六本木ヒルズだから、おしゃれなデートコースとして気軽に入るような人向けに作られているのだと思う。
…でも、その割にはウラシマ効果とか、泡状宇宙とか、40億年後のアンドロメダと銀河の衝突とか、そういう話も出てくる。
大平さんが星好きだからそういう話題を交えたかったのかもしれないけど、全体の中では「その話題出す必要あったの?」というような中途半端な扱いで、誰に向けてメッセージを出しているのか謎すぎる。
わざわざ鎌倉から電車で見に行くようなものではありませんでした。
星好きの人が見に行くようなものでもない。
おしゃれなデートコースに組み込むにしては、理系説明が面倒なのでこれも向かない。
(説明なんかすっとばして、キラキラ輝く星に「わーきれー」って言っているだけならいいけどね)
まぁ、たまたま通りがかって、理系の素養はあるけど星や宇宙論に詳しいわけではなくて、でも知りたいとは思っていて、2000円を気軽に出せる、という人なら見ても損は無いです。
(なんだかすごく狭いターゲットだな…)
翌日追記:
書いた後で調べたら、美術館に入るチケットもあって、1500円だった。
この金額で、展望台も入ることが出来る。
だから、主催者側としてはプラネタリウムは500円くらい、という認識のようだ。
まぁ、妥当な金額だと思う。
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