2015年11月の日記です

目次

01日 プリンタ買った
03日 レフ・テルミン 命日(1993)
05日 林間学校
05日 jsdeferred でアニメーション
07日 シュガーラッシュ見た
07日 wreck it ralph
09日 太陽暦採用記念日
09日 歯医者
12日 Edge でもドット絵拡大!
13日 DIGA DMR-BRW500
15日 追悼:ジーン・アムダール
16日 デイビッド・パターソン 誕生日(1947)
17日 ハーマン・ホレリス 命日(1929)
17日 ハムスター死去
23日 「ちきゅう」一般公開
23日 三菱みなとみらい技術館
24日 巧妙な確率
27日 エイダ・ラブレイス 命日(1852)
27日 NTT工事延期
28日 中将棋(あるいは私的ゲーム論)
29日 PONG 発表日(1972)


プリンタ買った  2015-11-01 10:32:19  コンピュータ

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プリンタが壊れたので新しいのを買った。


壊れたプリンタは…あれ、日記に書いてなかった。

ツイッターでは購入した時に書いた記録があったけど、それで満足して日記に書き忘れたかな。



幸い、壊れたプリンタがどこの会社か書いていなかったので、思い切り悪口を言える(笑)


購入して1年以内に一度故障しました

こちらも日記には書いておらず、ツイッターの記録だけど。


1年だと保証期間内で、初期不良なので新品交換、と言われました。

でも、新品に交換したことで保証は終わりになります、と。


え、新品ということは、また初期不良の可能性もあるのだよね。保証打ち切りってどういうこと?

と思ったら、案の定また1年以内に故障。


ノズルが激しく目詰まりしたようで、黒がほとんど出ない。

よりによって黒。書類印刷もできない。




保証もないし、自分でメンテナンスできないか調べてみる。


激しくインクを減らす「メンテナンスモード」を使っても治らなければ、修理に出すしかないらしい。

いや、それはもちろんメーカーはそういうだろうさ。でも、大抵は自分でできることがあるはずだ。


しかし、ネットで修理法を調べても、該当機種は「修理はあきらめたほうが良い」という状態。

安く作るためにメンテナンス性を一切考慮しておらず、できることはほとんどないらしい。



2度、3度とメンテナンスモードを繰り返しても状況は改善せず、インクが激しくなくなっていくのがわかる。

この会社のインク、すごく高いんだよね。


一応、目詰まりしたインクを「溶かす」ための、溶剤のカートリッジを売っている業者があった。

それなりの値段だけど、当たり前だが確実に治る保証はない。


しかも、これで治った場合も最初はインクに溶剤が混ざってしまうので、「メンテナンスモード」を2~3回繰り返して…となっている。


ということは、溶剤を買った上に、新品のインクも買い足す必要があるというわけだ。

これで1万円くらい行ってしまう。新品の安いプリンタが買える。



とはいえ、安い機種がメンテナンス性が悪い、というのは今知った通り。

メンテナンス性が良い機種があって安ければ考えてみよう、と探してみる。




そして見つけたのがブラザーの機種。


今回壊れた機種の前は、HP のプリンタを使っていた。これが結構頑丈で、なかなか壊れなかった。

その HP プリンタを探していたころにはブラザーの機種も調べたことがあったが、主に業務用で、家庭のことはあまり考えていない、という印象だった。


今回調べ直したら、結構評判が良い。

といっても、やはり家庭用としてはマイナーメーカー。評判の良さは、いろいろな「前提付き」だった。



元々業務用で強かったので、写真印刷などは苦手で、白黒文書の印刷などには強い、そうだ。

特に、ランニングコスト重視の人にお勧め。業界でも一番安い部類になる。



文書よりも写真印刷が多い、綺麗であれば高くてもよい、というような人は買わないほうがいい。

ネットの評判でも、安いからと購入して「写真印刷がきれいでない」と怒っている人もいた。


我が家は写真はほとんど印刷せず、白黒文書ばかりだ。

この機種の想定顧客層に適合する。




いろいろ考慮して、購入したのはブラザープリビオ DCP-J557N で、実売6千円程度。


夏には、キャンペーンで実売3千円程度だったらしい。

安かろう悪かろう、ということもないようで、ランニングコストとしては一番安い部類だし、メンテナンス性も考慮されている。


接続は USB か WiFi になる。


AOSS などに対応しているので、WiFi 接続はそれほど難しくない。


我が家では AOSS などに対応していない(笑)

でも、タッチパネルでキーボードを使ってパスワードなどを設定できるので、非常に簡単だった。


#以前の機種は、画面表示されたキーボード上を十字キーと決定ボタンで選んで…というやり方で、イライラした。



まだ1か月程度しか使っていないが、使い勝手についても書いておこう。



インク節約モードというのがあって、レイアウト確認とかに使うものなのだけど、「べた塗りを白抜きにする」というすごい印刷方法を使ってくれる。


ベクター画像であれば、塗りを省略した線だけになる。

ピクセル画像であっても、同じ色が連続した場所は認識して「白抜き」にしてしまう。

(完全に抜けるわけではなく、まだらになる。インク節約が目的ならこれで十分)


元々インクは安いのだけど、さらに安くできる。




ところで、この機種はインクカートリッジをプリントヘッドに載せない。


最近の機種は、プリントヘッドにインクカートリッジを直接搭載するものが多いのね。


古くは、目詰まりしてもノズルごと交換できるようにするため、だった。

インクカートリッジに、インクを噴出するノズルがついているのね。


でも、ノズル部品は結構高いので、最近は「ノズル一体型カートリッジ」というのは見なくなった。

ヘッド側にノズルがあり、昔からの名残でその上にカートリッジを搭載する形。


これだと、ヘッドが重くなって、精密に駆動するのにパワーのあるモーターが必要になり、値段を上げる要因となる。



一方で、購入機種はインクカートリッジはヘッドとは別の場所に固定してあり、ヘッドまでパイプでつながっている。


ヘッドが軽く、駆動にパワーがいらなくなる。

とはいっても、インクを送るのに別のポンプが必要となり、値段を上げる要因となる。


…一長一短ということだな。

仕組みとしては後者のほうが複雑になるので、メンテナンスの必要が増す。



そのため、購入機種は基本的に「電源を完全に切ってはならない」。

インクが乾いて目詰まりするのを防ぐため、時々少し噴霧して乾燥を防ぐ。


電源スイッチをオフにしていても、プラグが抜かれない限りこの作業を自動で行う。

それを知らずに、「勝手に動くので電気代が無駄」とプラグから抜いてしまうと、故障の原因となるそうだ。


#ネットで評判を調べていたところ、使わないときはプラグを抜いていたら壊れた、という記事があり、コメント欄で上記の仕組みを解説している人がいた。

 もっとも、ヘッド直接搭載でも「乾燥を防ぐ」噴霧は時々やっているはずなのだけど。



ちなみに、カートリッジがヘッドに載っていないので、「大容量インクタンク」を使うこともできる。


カートリッジがプリンタの前面にはみ出す形になって、そのはみ出した部分に「インク注ぎ口」があるので、インクが無くなっても補充できる。


純正品でないので故障などについては自己責任となるけど、いわゆる「詰め替えインク」って、詰め替えを考慮していない純正カートリッジに、無理やりインクを注入するものが多いんだよね。

うまくいかないとインクが漏れて周辺を汚したりする。


上に書いたインクタンクは、詰め替えしやすいようにカートリッジから作り直してしまったものなので、簡単に扱えるのがうれしい。



#実は、HP のプリンタでも同じような形式の非純正大容量タンクが使えるものが存在していて、以前に知人が使っているのをうらやましく思ったことがある。

 ただ、その HP プリンタは業務用で本体が高かった。

 今回は本体も安いのに、非常にランニングコストの安いインクが使える。




また別の話。


用紙をカートリッジ内に入れてセットする方式なので、用紙を変えたいときには、いちいちカートリッジを抜かないといけない。


うちでは主に「裏紙」を印刷に使っていて、重要な書類だけきれいな紙を使うのね。


以前使ってたプリンタは、前からロードするだけだったから、上に新しい紙を追加すればそれで大丈夫だった。

ここはちょっと面倒くさくなった点。


とはいえ、抜き差しは簡単にできるし、慣れてしまえば気にならないレベルだと思う。




最後に、壊れたプリンタに話を戻す。


この会社のプリンタは昔から結構有名だったのだけど、僕は長いこと使ってなかった。

以前には所有していたのだけど…20年以上も前だ。X68k で使っていた。

当時すごく評判が良くて、プリンタ買うならみんなこれを選んでいる、という感じだった。



今回、久しぶりに買ってみたら「新品から1年以内に壊れ、修理も不可能」というのを2回連続で繰り返したことになる。

20年もたつと、同じ会社だからと言って信用はできないのだなぁ。


もう、当分の間この会社のプリンタは買わないと思う。



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林間学校  2015-11-05 16:13:31  家族

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昨日と今日、長男(小五)が林間学校に行ってきた。


2週間くらい前から風邪気味で、熱は特にない(夜になると微熱が出て、37度前後)のだけど、非常に疲れやすい。

親としてはちょっと心配だった。


先ほど帰ってきて、風邪でやっぱり疲れはしたけど、非常に楽しかったそうだ。




長女・次女は、長男が家にいないのが何だか不思議な感じだったらしい。

長男、下の面倒見が良くて、親が忙しいときも何かと世話を焼いてくれるので助かる。


3歳の時に次女が生まれたときは、おむつ替えだって手伝ってくれたし、次女に至っては半分は長男が育てていた、と思っている。



居間だって、風呂も一緒に入ることが多いし、寝るときも同じ部屋だからね。


長女は、今朝起きたときも、長男がベッドにいないから居間にいるかな、と思ったらしい。

起きてきて探してから「そういえばいないんだっけ」と言っていた。




夕食時には土産話をたっぷり聞けるだろう。

今日は長男の好きな夕食を作ってやろうかな、と思う。


…カレー好きの長男、昨日は飯盒炊爨でカレーを作ったはずだ。

2日連続はないな。後で何食べたいか、本人のリクエストを聞こう。


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jsdeferred でアニメーション  2015-11-05 17:29:41  コンピュータ

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お手伝いしているゲーム作成での話。


いわゆるソーシャルゲームで、スマホ端末を使って Javascript で画面などを動かしている。

ゲームエンジン自体はサーバー側で持っていて、端末側は結果をそれらしく見せるだけ。


Javascript 側では、「それらしく見せる」ために、jsdeferred を使っている。

最近の流行というか、普通に使われる書き方ね。



next(function(){
 処理 A
 return wait(1.0)
}).
next(function(){
 処理 B
 return wait(1.0)
}).
next(function(){
 処理 C
 return wait(1.0)
});


とか書くと、処理 A の 1 秒後に処理 B を、さらに1秒後に処理 C を行ってくれる。


なんでこんな書き方するのか、については言及しない。

上のような処理を Javascript で普通に書いていると、非常に面倒くさいことになるのだ、とだけ言っておこう。




僕ではない誰かが作ったアニメのファイルを改造してほしい、と頼まれた。

特定の状況で、今までにはない別のアニメを割り込ませる。


上に書いたように、next で処理をつなぐ書き方なら、割り込みは難しくなさそう、に思える。



でも、実際にはそうではない。

かなりややこしい呼出し手順…古い言い方なら「スパゲティプログラム」になっていた。



function 処理A {
 ~~~
 処理B();
}

function 処理B {
 ~~~
 処理C();
}

function 処理C {
 ~~~
 処理D();
}


まず、概略としてはこんな感じになっている。

~~~で示してある部分は、いろんな処理が入っていると思って。もちろん next をつないである。

そして、最後の next の中で、次の処理を呼び出している。



なんでひとつながりの next にしないで、ある程度のまとまりで関数化してあるかというと、アニメは「タップで飛ばす」ことができるからだ。

処理 A の最中にタップされると、処理 A の部分のアニメの残り部分は飛ばされて、処理 B の部分から始まる。


その処理のために、別の関数が用意してある。



function タップ {
 switch(シーン番号){
 case 0:
  処理A の終了処理
  処理B();
  break;
 case 1:
  処理B の終了処理
  処理C();
  break;
 case 2:
  処理C の終了処理
  処理D();
  break;
 }
}


あぁ、なるほどなるほど。タップしたらスキップするのだから、そういうことになるわな。


…でも、このプログラムは実はおかしい。


ここで「終了処理」と書いてあるのは、アニメの最後の状態に持っていく、というだけ。

処理 A の終了処理であれば、強制的に処理 A のアニメの最後の状態にする。


でも、処理 A のプログラムは動き続ける。next を使っていると、一定時間後には次の部分が動いてしまうから。


一応、元のプログラムを作った人も考えたようで、 wait で指定した「待ち時間」をキャンセルする処理を入れていた。

これ、すぐに次の next に移る、というだけで、プログラムはやっぱり止まらない。


だから、プログラム中にすごい数の…しつこいくらいに、現在のシーン番号を確認して、致命的な処理をしないためのプログラムが入っていた。

致命的でなければ…つまりは、アニメがおかしくならなければ、無駄な処理をしてもかまわない、という書き方。

本当に無駄なだけなら構わないけど、やっぱりいつバグが出るかわからない、恐ろしいプログラム。




さて、本当に恐ろしいのはここから。


上の例はなんとなく「流れ」を読んでほしかったので、処理は A B C D …と進むように書いてある。


でも、本当はそうではない。状況によって間が飛ばされる。

次への呼び出しはこんな感じ。



function 処理A {
 ~~~
 if(フラグ1){
  処理B();
 }else if(フラグ2){
  処理C();
 }else{
  処理D();
 }
}


「フラグ」と簡単に書いたところは、複合条件のこともある。


そして、類似した内容が処理ごとの最後に繰り返し書かれているし、タップした際のスキップ処理ごとにも入っている。


条件で「間を飛ばす」だけではなく、排他的に呼び出したりもする。

とにかく、多数のややこしい処理の条件分岐を、多数の場所に同じように書いてあって、でも少しづつ記述が違う。

そして、それらが全部同じように動くことが期待されている。



スパゲティプログラム、っていうのは、goto 文が当たり前だった時代の、混乱した流れを持つプログラムの蔑称だ。


でも、goto 文があるからスパゲティプログラムができるんじゃない。

現代にだってスパゲティを生み出すプログラマは存在する。



1つ弁護しておくと、このプログラムは一人の手によるものではない。

最初は素直な流れだったのだけど、ソーシャルゲームでは毎週のように「新機能」が追加されるので、拡張を繰り返すうちにおかしなことになったのだ。


そして、今手伝っている仕事では、「困った事態」になると僕が呼び出される。

もう、誰の手にも負えない状態になったプログラムに、さらに新しい機能を突っ込む必要が出て、何とかならないかと相談されたのだった。




さて、換骨奪胎。

プログラムの一番「中心となる部分」…つまり、処理を呼び出す流れの部分を総入れ替えして、周辺の部分はそのまま使いまわそう。


処理の流れを整えるための関数を、一つ用意する。

各シーンの最後は、「次のシーンへ」飛ぶ代わりに、この関数を呼び出すようにする。


また、画面タップで処理を飛ばす際も、引数付きでこの関数を呼び出す。



var sceneNum=0;
nextScene(){
 switch(sceneNum)
  // シーンの終了処理(スキップした時用)
 }

 sceneNum++;

 //条件によりシーンを飛ばす処理
 if(sceneNum==1 && フラグ1)sceneNum++;

 switch(sceneNum){
  // シーンの呼び出し処理
 }
}


これで、複雑怪奇なスパゲティ部分をなくすことができる。



next の中で使われる wait に関しては、sWait という関数を使って置き換える。

sWait の中身は後で書くことにして、先に呼び出し側を示そう。



function 処理A {
 next(function(){
  処理
  return wait(1.0)
 });
}


というプログラムなら、次のように変える



function 処理A {
 var scene = sceneNum;
 next(function(){
  waitHandle = sWait(1.0,scene)
  処理 A
  return waitHandle;
 });
}


変わった点は2つ。

現在の sceneNum を処理の冒頭でコピーしておき、sWait に渡すこと。

そして、return で直接 wait を書くのではなく、処理の前に wait の値を得る処理を行い、最後にその値を return すること。


なんでそんな風にするのかは、 sWait の中身を示せばわかる。



function sWait(sec,scene){
 if(scene!=sceneNum)throw "force end";
 return wait(sec);
}


scene にコピーされた値が、sceneNum と変わった場合…つまり、タップされてシーンが変わったら、throw 命令で例外を発生する。

そうでなければ、通常の wait と同じように振る舞う。


throw で例外が起きると、jsdeferred は next でつながれた処理を、全部打ち切ってしまう。

だから、シーンが変わったらこれですべての処理を打ち切ることができる。


また、処理の「前」に sWait 呼び出しを書くのは、前回の wait で示した時間待っている間にタップされ、シーンが変わった際には、「処理」を行ってはならないからだ。



これで、「シーンが変わったのに、前のシーンの処理が実行されておかしくなる」ことは無くなる。

そうした事態に備えて入れられていた、小さな条件分岐は全部なくしてしまって構わない。

ごちゃごちゃとしたプログラムが、すっきりとしたものになる。



処理をまとめた関数の冒頭で scene を定義する。

wait を全部書き換える。

最後の「次の呼び出し処理」を全部書き換える。

シーン番号を確認する条件分岐を全部消す…


というのは、結構な作業量ではある。でも、機械的な作業だから難しくはない。


そして、これによりスパゲティとおさらばすれば、新たなシーンの追加も難しくなくなる。




「処理」と「処理の流れ」は別物なのだけど、これをしっかり分離して考えるのは、プログラムにかなり慣れた人だけだと思う。


ゲームなんか作っている人は理解しているかもしれない。

ゲームって、条件分岐の塊だから、その分岐をうまく分離しておかないと無用な混乱を引き起こす。



jsdeferred は、javascript が苦手とする「小さな流れ」を作り出すためのツールで、結構有用だ。

でも、それはあくまでも小さな流れ。条件分岐を必要としない流れのみ。


条件分岐を必要とする大きな流れは、別の個所でまとめて処理して、流れを「整流」してやる必要がある。

小さな流れの中に条件分岐をごちゃごちゃと書き込むと、バグの元だ。




上に書かれている程度なら、ここに書いたようなややこしい手法を使わないでも、力技でも乗り切れる。

でも、力技で乗り切っていれば、いつかバグが出る。


実際に任されたプログラムは、他の理由による処理の混乱も混ざっていて、本当に「ちょっといじればバグが出る」状況になっていた。



ここでは jsdeferred の話として書いたけど、こういう仕事は昔から時々やっている。

自分のプログラムが拡張に従ってややこしくなって…という時もあるけど、大抵は他人のプログラムの整理だな。



その時々で、どう書き直せばスマートになるかは違うので、一概に方法を示すことはできないのだけど、とにかく「処理」と「処理の流れ」を分離することが重要。


この考え方は、いつだって役に立つ。



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シュガーラッシュ見た  2015-11-07 20:41:51  その他

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シュガーラッシュ見た

いや、表題の通りです。

ディズニー映画の「シュガーラッシュ」を見ました。


もう3年も前の映画ですね。ちょっと機会があって、子供と一緒に見ました。


ネタばれになるから詳しく書けないけど、ここに書き記そうと思う程度に素晴らしかった。

子供も楽しめたけど、おっさんほいほい。というか、40代の人は子供の10倍楽しめる。


脇役のゲームキャラや、会話の中に出てくるだけの「あれやこれ」をどれだけわかるかも楽しみ。

ゲーム大国であった日本へのリスペクトもすごくて、ゲーム以外にも小ネタいっぱいです。


お話の舞台となるゲームが3本あって、これは架空なのだけど、元ネタをすごく感じる。

何が元ネタだろう、と想像するのも楽しい。



そして、スタッフロール後の10秒間。

「わかる人にしかわからない」けど、わかる人にはすごくしびれる演出。

監督さんが、本当にゲームを愛しているのがわかります。


このお話は、いつまでも続く。終わりなんてない。

でも、とりあえずはここでおしまい、という演出です。


ゲームをよく知っている人にしか伝わらないけど、それで十分。


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wreck it ralph  2015-11-07 22:03:02  その他

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wreck it ralph はシュガーラッシュの原題ね。


さて、先ほど書いたとおり、シュガーラッシュを見ました。

で、登場する「架空の」ゲームの元ネタは何だろう? と考えるのが楽しいので、書き記す次第です。


あまりネタバレする気はないけど、まだ見てない人は読まない方がいいかも。




まず、お話の中には多数の「実在のゲーム機」と、3つの「架空のゲーム機」が登場します。


架空のゲームの内一つは、一人称シューティング。

よくあるタイプのゲームとして描かれていて、そこら辺が元ネタでしょう。


日本での題名となっている「シュガーラッシュ」は、明らかにマリオカートが元ネタ。



そして、主人公のラルフが登場するゲームですが、ありそうでない感じのゲームです。

映画公開時に、日本のディズニーとイギリスのディズニーが、それぞれ別個に「実際のゲーム」を作っているのだけど、どちらも映画の描かれ方とちょっと違うものでした。

(現在、イギリスの物だけ公開継続中。日本のものは見てないので内容知らないけど、イギリスのほうが映画に近かったらしい。でも、かなり違う)


#2017.3.8 追記

 イギリスサイトのものは Flash で作られたゲームですが、現状では Chrome は一部サイトを除き Flash を実行しない方針に切り替わっています。

 そのため、Flash を常に許可する必要があるかもしれません。



映画の中のゲーム、壊れたところを次々修理していく1画面ゲーム、と言う点では、フリスキートムかな、と最初は思いました。

でも、どうもそうじゃない。


主人公はジャンプするし、ラルフは主人公より大きな凶悪なキャラとして、画面上部に居座る。

どうも、ドンキーコングのイメージが入っているように思います。



と、そのつもりで見れば、ゲームのタイトルは「Fix it Felix JR」です。しっかり「JR」と入っている。

劇中でも、主人公の Felix は、父親ゆずりのアイテム、「金のハンマー」を持っていることになっています。

ということは、このゲームは2作目なのか。




ドンキーコングでは、コングは悪役で、マリオが主人公でした。


でも、ドンキーコングJRでは、ドンキーコングは悲劇の囚われ役。

「見世物にするために」捉えた悪役はマリオで、主人公はコングの息子である、ドンキーコング JR です。


Felix が JR だとすると、もしかしたら1作目が存在する?



ところで、ディズニーが公式に作った、Fix it Felix JR の「新作入荷」を伝える、ゲームセンターの TV-CM があります。


#2017.3.9 記述変更

 上記、以前はディズニーのページにリンクしていましたが、そちらのページが書き換わって非公開になったこと、You Tube で公開しているのを発見したことを受け、記述変更しました。

 元の記述は、HTML のコメントに残してありますので、気になる方は HTML ソース見てください。



この中で、ゲーム名の「Fix it Felix JR」が出てくる際には常に、「featuring Wreck it Ralph」と添えられています。

わざわざ、ラルフが出てくるゲームであることを言っている。


ということは、すでにラルフは「宣伝に利用できる」ほどに人気があったのでしょう。

人気ゲームとしての「Wreck it Ralph」が存在したのではないでしょうか。


そして、その待望の続編である Fix it Felix JR が入荷したよ、というのが、リンクした CM 映像のように思います。


#そういえば、主人公達の名前、ディズニー伝統の「同じ音を重ねる」にちゃんとあわせてありますね。

 Mickey Mouse が MM 、Donald Dack が DD 、とかってやつね。

 Wreck では W を発音しないので、Wreck it Ralph が RR、Fix it Felix が FF です。




では、この「Wreck it Ralph」…「映画にも描かれていない架空のゲーム」は、どんなゲームだったのでしょう?


おそらくは、2つのゲームを混ぜたイメージなのではないかな、と思います。



1つは、Rampage


日本ではあまり知られていませんが、アメリカでは人気のあったゲームです。

怪獣になって、ビルを破壊するゲーム。


ゲーム開始時に主人公(怪獣)を3体の中から選ぶことができるのですが、そのうち一人が「Ralph」という名前です。



もう一つが、Wrecking Crew。

ビルの解体工事をするゲームです。壁を叩いて壊しまくる。


ゲームセンター用とファミコン用があって、かなり違う内容です。

ファミコン用がアクションパズルゲームなのは有名だけど、ゲームセンター用は「対戦も協力もできるアクションゲーム」だったのね。


そして、ファミコン用では「金のハンマー」というアイテムが出てくる。


この二つのイメージが混ざったものが、Wreck it Ralph ではないかと思うのです。



そして、ドンキーコングと JR では「主人公と悪役」が入れ替わっていたように、続編では主人公のラルフが悪役に変わったのかもしれない。

その際に、前作にもでてきた「金のハンマー」が新作の主人公の持つ「父親ゆずりのアイテム」として登場したのではないか…


と、そういう妄想です。




映画の中に、「悪役はヒーローにはなれない」という台詞があります。


もちろん、皆がそう言う中で、ラルフは見事に活躍をして、ヒーローとなるわけです。

ゲームが動いている時間はやっぱり悪役を演じないといけないのですけどね。


これ、映画的には「あきらめずに努力すれば世界は開ける」ということだと思います。

それだけ見ればいい話。


…でも、先に書いたように、ゲームに前作があったとしたら、ラルフはもともと「ヒーロー」としての素地を持っていたのでは?

あきらめなかったから、ではなくて、もともとヒーローとしての才覚があった?



多少ネタバレ含みですが、お話の中にもう1体、「不当に低い地位」に甘んじているキャラクターがいます。

最後には本来の地位に戻れる。ハッピーエンド。


でも、ここは「あきらめなかったから世界が開けた」のではなくて、「元の地位に戻った」だけの話。


ラルフも「本来の地位」はヒーローだったのではないかな、なんて思うのです。



…あきらめずに自分で世界を切り拓いた、というほうが夢のある話なのですけどね。

夢を壊すつもりはないのだけど、架空のゲームに架空の前作があるとして、そこでのヒーローラルフの活躍を見てみたい気がします。




先にかいた通り、シュガーラッシュ面白かったです。

ここに書いたような「妄想」を考え始めちゃうくらい。


人気があったので続編を作っている、という噂も出ているようです。

作曲家や声優が続投のオファーがあったと明かした、という情報でまだ公式には発表してませんけど、ちょっと楽しみ。



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太陽暦採用記念日  2015-11-09 11:28:23  天文 今日は何の日

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今日は太陽暦採用記念日。


つい1か月ほど前、10月15日に、「グレゴリオ暦の制定日」というのを紹介しました。

グレゴリオ暦…今のカレンダーと同じものを、ローマ教皇グレゴリウス13世が制定した日(1582)。


でも、これはローマ帝国内だけで通用する暦でした。

これがよくできているから、徐々にほかの国にも浸透していきます。



1752年9月14日にはイギリス帝国が導入。

アメリカを含む、イギリス領の植民地も一緒に導入となります。


だから、アメリカ生まれの UNIX で cal コマンドでカレンダーを表示すると、1752年 9月には面白い表示が見られる。


そして日本では、1873年の元日からグレゴリオ暦(日本では、単に「太陽暦」とも呼ばれます)を導入することにして、1872年の 11月 9日に「太陽暦の採用」を発表したのです。



…この 11月 9日って、旧暦ですね。太陰暦。

でも、現在の 11月 9日が「太陽暦採用記念日」ということになっています。


まぁ、記念日なんていい加減なものだしね。


ちなみに、1872 年の旧暦 11月 9日は、えーと…現在の 12月9日にあたりますね。




本当は、発表と同時に太陽暦の導入、としたかったようです。


当初の案では、本来 29日で終わりの旧暦 11月を 31日までに延長し、11月の終わりで年を終わりにする、というものだったとか。


上に書いたように、このときは運よく新暦と旧暦が「1か月違いの同じ日付」でした。

だから、新暦 12月と同じように、31日までにしてしまえば、そのままスムーズに新暦に移行できる。



でも、さすがに発表即導入、というのは反対意見も出て、「12月3日を翌年の元日とする」ことになったそうです。


それでも、告知から導入まで23日しかありません。非常に混乱したようです。



ちなみに、このときに「六曜カレンダー」が発行され始めます。


六曜って陰陽道などで使われた、と思っている人がいるし、それは事実その通りなのだけど、一般には浸透していなかった。

陰陽道だって、平安時代にブームになった程度だしね。



江戸の末期にはお手軽な「占い」としての六曜が流行するのだけど、暦に書き込んだりはしません。

この日はいいことあるよ、とか、気を付けて、とか書かれた紙を神社仏閣で配布しただけ。


おみくじと変わらないレベル。まぁ、気軽なエンターテインメントです。



この六曜、旧暦を使っていれば、非常に簡単に計算できるようになっていました。

逆にいえば、六曜がわかると旧暦の日付がなんとなくわかります。


さて、明治時代に入り、新暦導入に当たって、旧暦を使ってはならないことになりました。

カレンダーを作るのも禁止です。


でも、六曜までは禁止されていない。

そこで、カレンダーに六曜が併記されるようになります。

事実上、禁止された旧暦カレンダーを作っているのと同じ。


それでも、庶民がこれが「旧暦を知るのに役立つ」と思って使っていただけ。

いまでも、平成の年号を「昭和」換算する人がいますが、それと同じこと。


たまたま江戸時代に流行した占いと同じ言葉が書いてあるだけで、そこに深い意味はありません。



…でも、時代が経って、今でも六曜が印刷されたカレンダーはあって、すでに旧暦なんて誰も使わなくなっている。

この六曜は何のために書かれているんだ? と、知らない人が江戸時代の占いを持ち出して、その日は縁起が悪い、とか言い出す始末。


昭和の中期に非常に流行し、弊害もたくさん出ました。

最近は多くの人が「根も葉もない迷信」だと理解してきたけど、まだ結婚式や葬式の日程で六曜を気にする人がいます。

(だからカレンダーにも印刷されているのですが)




話を変えます。


わずか1か月足らずの告知で太陽暦を導入した理由ですが、「諸外国に合わせる」という必要性もありました。

でも、給与支払いのため、という側面もあった模様。


江戸時代は、士官する武士には録が与えられました。これ、今でいえば「年棒」のこと。

1年間いくら、という契約なのですね。


でも、明治になって月給制に変わりました。

そして、太陰暦では「閏月」があります。1年が13か月になる年があるのです。


1873年が、ちょうどその年でした。

そのままでは、13か月分の給料を払う必要があります。でも、太陽暦に移行すれば12か月分で済みます。

1か月分の給料が浮くのです。


さらに、最初に書いたように「11月を 31日までとして、12月をなくす」方法で太陽暦を導入すれば、1872年も1か月分が浮きます。

なんと、2か月分も給与支払いが無くなってしまう。


これが、1か月足らずの告知で強引に太陽暦を導入した理由だったようです。




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歯医者  2015-11-09 17:34:24  その他

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1か月くらい前に、なんだか歯茎が腫れて疼いた。


それで気づいたけど、なんか歯に穴が開いてる。虫歯のようだ。

痛くなるようだと嫌だな…と思いつつ、とりあえずリステリンなどを使って歯周病退治。

腫れはひいて問題が無くなった。


とはいえ、歯に穴が開いているのは虫歯だろう。

過去に治療し、金属をかぶせてあるすぐ横に穴が開いているようだ。


えーと、15年ほど前に、虫歯が神経に達したことがあった。

あの時は、かぶせた下で進行していたので虫歯に気づかなかったのだ。


あの時は、大きく削ったうえ、神経を抜かないといけなかった。



最初に疑ったのは、その歯が大きく削ってあったから薄くなって、そこが崩れたりしたかな、ということ。

歯茎が腫れたのもそこまで虫歯が進行していて、でも神経がないから気づかなかっただけ、というような可能性だ。



早く歯医者行かないとな、と思いつつ、忙しくてなかなか行けなかった。




急に思い立って、先週歯医者に行ってみる。

その時は非常に混んでいて、予約だけしてきた。


そして今日、治療に行く。

初回だから状況を確認して次回から治療かな…と思ったら、非常に仕事が速かった。


レントゲンを撮って、内部が大きく削れていることを確認。

すぐに麻酔。歯茎から吸収させるシート状の麻酔? から初めて、少し感覚がマヒしたら注射。

全く痛みを感じない。


その後、かぶせてある金属を破壊して、虫歯になっているところを削る。

結果として神経が露出してしまうので、これは神経抜いたほうがいいでしょう、とそのまま作業に入る。


目を閉じていたのでよくわからないのだけど、電気針で神経を焼き切ったのではないかな。

昔は細いドリル見たいので掻きとっていたはずだけど、道具にコードがついていて、ピコピコ音を出していた。


で、これまた作業中全く痛くない。


その後消毒して、仮のかぶせ物をして終了。

全部で1時間くらいかかった。


次回歯の型を取って、次々回かぶせて終わり、という感じかな…




先ほど、過去の日記を調べたら、たぶんこの歯は 10年前に治療した奴だな。

一番奥の歯を、神経近くまで大きく削った、と書いている。


それこそ、削って薄くなっていた歯が崩れたのかもしれない。




現在、治療終了から1時間半。

そろそろ麻酔が切れてきたようで、神経抜いたところが疼いている。


痛くはないのだけど、非常に、なんというか…むずがゆい。


もしかしたら、完全に麻酔が切れたら痛くなるのかもしれない。

痛み止めはもらってあるのだけど、もう少し様子を見よう。



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Edge でもドット絵拡大!  2015-11-12 20:46:18  コンピュータ

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2年前に、ドット絵拡大についてのページを書きました。


GIF とか PNG とかでドット絵書いて、見やすいように拡大する設定で WEB ブラウザで表示しようとすると、「スムーズに」拡大されてしまい、ドット絵らしくなくなる、という問題があるのね。


それをどうやって回避すればいいのか。ドット絵らしく表示するための方法論でした。



最初は CSS でやっていたのだけど、主要ブラウザで Chrome だけが対応していなかったので、Chrome は Javascript で、という形でした。


念のため書いておくと、Chrome だけ対応していないというのは、対応が悪かったのではない。

CSS でやる方法が、草案段階で没になったので、いち早く対応して「機能を削除した」のでした。


むしろ、対応が素早いのが Chrome だけだった、という状況。




時々ツイッターで自分のページの URL とか検索してるのだけど、この「ドット絵拡大表示」のページを書いてくれている人がいた。


自分でもずっと見ていなかったページ。久しぶりに見てみるか…と思ったけど、「書いた当時の」最新情報だと断っている個所がいっぱいある。


その当時、CSS3 は策定中で、まだ決定していなかったのね。

Javascript で使っている機能も、やはり策定中の草案にすぎなかった。


2年もたっているし、当時とはブラウザを取り巻く状況も違う。

急に思い立ち、状況を調べ直してみた。



CSS の勧告は、いまだに行わていなかった。

それどころか、勧告前の「勧告候補」も2年前と変わっていない。


しかし、2年の間に「草案」ではドット絵拡大のための CSS が復活した。


でも、これはまだ草案だ。

にもかかわらず、Chrome が今年の1月に対応したらしい。


草案の時は、「独自実装扱い」で対応させる、というのがルールなのだけど、正式な扱いで対応している。

ルール違反で行儀が悪いのだけど、ともかく CSS だけでドット絵の拡大ができるようになった。


また、Opera が以前とは CSS の書き方が違った。

というより、Opera は Chrome のエンジンを使うようになったので、Chrome と同じ、ルール違反の書き方で対応できる。


さらに、Safari も以前と CSS の書き方が変わった。

ややこしいのだけど、「CSS 対応をやめる前の Chrome」と同じ書き方が、現在の Safari で使える。



…こんなに書き方がころころ変わる、というのは将来の保証がないということでもある。不安が残る。

とはいえ、これで Javascript がいらなくなる!




…と思いきや、マイクロソフトの新ブラウザ、Edge は CSS に対応していなかった。


「またマイクロソフトか」とか言い出す人がいそうだから書いておくが、まだ草案段階だからね。


草案よりも技術的妥当性のある「勧告候補」の文書では、CSS 対応しないのが「正しい」のだ。

Edge は、正しく仕様に従っているに過ぎない。


過去にもこんな話あったな



…とはいえ、Edge なんてまだ全然普及していないし、Edge のためだけに Javascript が必要になる、というのも微妙だ。


以前は Chrome のために使っていた Javascript をちょっと改造しただけなので、僕のページには置いたままにしてある。

でも、CSS のみで対応する、って人がたくさんいてもいいとは思う。




いろいろ調べたついで、ページ内容を細かく書き直した。

大筋では変わらないのだけど、最新情報になっている。


歴史的経緯については残したうえで、最新状況を追記してある



追記前の方法では、Edge には対応していなかった。

古い方法だけど Chrome はちゃんと動いていたし、事実上 Chrome になった Opera も、ちゃんと動いていた。


というわけで、Edge でもドット絵拡大に対応できた!



Chrome が CSS 対応になった、というほうが話としては重要な気もするけど。



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DIGA DMR-BRW500  2015-11-13 18:08:55  コンピュータ 住まい

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ハードディスクレコーダーを購入した。パナソニック DIGA DMR-BRW500。

すでに今年の新作が出ていて、1年前の製品だ。だから安かった。


チューナーの数とハードディスク容量の組み合わせでいえば、「一番の普及帯の、安いほう」。

2チューナーで、500GB HDD。


実は、5年ほど使っていたレコーダーと同じ基本性能だ。




ハードディスクレコーダーを買ったのは、今使っている機械に不満があるわけではない。

だから、同じ性能の機種を選んだ。


でも、今のレコーダーは、CATV 会社からの貸与品なのだ。

そして、CATV には不満がある。


CATV をやめようと思って、その第一歩としてレコーダーを買ったわけだな。



CATV には、もう10年ほど契約している。

今の家に入居した時、視聴難地域なので CATV に入らないとテレビが見られない、とハウスメーカーの人に言われたのだ。


これ、ハウスメーカーの人がいろいろ調べてアドバイスしてくれたことには感謝しているのだけど、情報が少し間違っていた。

町内会で共同アンテナがあって、町内会費に上乗せして管理利用料を払えば使えたらしい。


でも、せっかく CATV 入ったのだし、それなりに面白い番組もあったので使っていた。

特に、子供たちが小さいときには、アニメ番組が豊富にあることが非常に役立った。


その意味で、CATV に加入したことは間違ってはいなかった。



当初は、外部ハードディスクに録画可能なセットトップボックス、だった。

その後、DVD も使えるセットトップボックスの貸与が始まったので、5年ほど前に乗り換え。


貸与料金が少し高くなるのだけど、2チューナーになって便利だったし、問題はなかった。




でも、この5年間、CATV 業界には再編のあらしが吹き荒れている。

今のセットトップボックスの契約を結んだ会社は、その後別の会社と合併し、さらに別会社と合併した。


つまり、サービス会社の名前が2回変わったわけだが、古いプランはそのまま残された。

もちろん、新規契約は受け付けていないのだけど。


元の会社…最初の5年間は、生き残りのためにどんどんプラン内容が拡充されていった。

受信できるチャンネル数が増えたりしたのね。


でも、2番目の会社になった時に、値上げはあっても拡充はなかった。

3番目の会社は、お値段据え置きのままだけど、サービス内容も据え置きのまま。


…いや、チャンネル数は変わらないけど、周辺サービスは使えなくなったな。

元々ビデオオンデマンドサービスとか使ってなかったけど、廃止になった。

「選択肢が無くなる」ということは良いことではない。


そして、今まではそれほど変わらない額で「ちょっといいプラン」にも移行できたけど、今から移行できるプランはすべて、大幅値上げとなる。


まぁ、今のプランはそのまま使えるから、そのまま使っていればそれで構わないのだけど。


#ちなみに、安いプランなので全部 SD 画質です。

 以前は +500円くらいで HD に変えられたのだけど、今から帰ると +2000円ほどかかる。




そうこうするうちに、子供たちが CATV 番組よりも、「友達も見ている地上波番組」のほうに興味を持つようになった。

それで、ふと気づくとここ数か月、CATV チャンネルの番組を見ていない。


それじゃ、もう CATV の意味はないから解約するか、と思うようになった。


ちなみに、DVD 付きセットトップボックスの貸与も含め、月額は5千円弱だ。

ハードディスクレコーダーを買い直す、多少工事が必要となる、と考えても、2年もたてば元が取れる。


それで、DIGA を購入したわけだ。




DIGA 購入と同時に、CATV に問い合わせをした。


実は、数年前に(今の会社とは前の会社の時に)地デジ移行に伴って、町内会の共同アンテナ線に CATV 会社が接続した。


セットトップボックスがないと CATV のチャンネルは見られないが、地デジは見られるようだ。

そして、それまで町内会で徴収していた管理費は、CATV 会社に払うようになった。


これ、今から入るといくらいになりますか? という問い合わせだった。


前の会社がやった契約だから事実確認に時間がかかったらしく、返事が来るのに時間がかかった。

結果「現在もサービスはしているが、新規受け付けはしていない」とのことだった。




実は、今は地デジだけでなく、BSもそれなりに見ている。

CTAV の地デジサービスが使えたとしても、BSは見られなくなるな…と思っていた。


で、もう一つ候補として考えていたのが、NTTのフレッツテレビ。

光回線でテレビ放送波を送り、家の屋根裏でデコードしてテレビアンテナ線に繋げるサービス。


これが、月額 660円(税抜き)。

CATV が地デジのみ配信を受け付けたとしても、500円以上だったらこちらに乗り換えようと思っていた。


今現在、フレッツ光は使っているからね。


CATV の返事が来て 30分後には、NTT のサイトで申し込んでいた。

ついでに電話もフレッツ光電話にしてしまえ…と思ったけど、こちらはテレビ工事の後にすることにした。


なぜなら、フレッツ光にするには、電話番号乗り換えのために電話を一時休止しないといけなかったから。

フレッツテレビ申し込みで、連絡先に電話番号書いてしまったのだよね。



しばらくして、NTT より電話あり。

我が家の光回線、ずいぶん古いタイプだけど自分でも速度把握してなかった。


ごく初期の 100M タイプだったので、ついでに 1G に速度アップ。(+200円/月額)

光電話も一緒に申し込める、と言われたので申し込み。電話は直前まで使えるそうだ。


工事日は…混んでいるそうで、今月末になった。

まぁ、CATV 見られているし、いろいろ都合があってすぐには解約できないので、慌てません。



光テレビを導入しても、信号線は混合するので CATV もそのまま見続けられる、とのこと。

だから、CATV の解約は光テレビ導入後でよいらしい。




さて、CATV をすぐには解約できない理由を、解消しないといけない。


貸与されているセットトップボックス内に、大量に番組が溜まっているのだ。


「おいておきたい」けど「DVD に焼くの面倒くさい」から貯めているものも多数。

そもそも、見たくて録画したけど、見る暇がないものも多数。


どちらにせよ、いったん DVD に追い出す必要がある。


今後録画するのは、購入した DIGA 側に行うようにセットした。

(BSの放送はまだ CATV 側でしか見られないので、地上波のみだけど)


これで、CATV のセットトップボックスが空っぽになれば、いよいよ解約できる。

番組データを人質に取られているような状態だな。



ちなみに、CATV のセットトップボックスは、DIGA の CATV 対応版だ。

DIGA 同士なら「番組の移行」もできるはずだけど、これにはインターネット接続が必要。


CATV のセットトップボックスは、「CATV インターネット」に対応していて、テレビアンテナケーブルをそのまま使う。

というわけで、お互いを同じネットワークに繋げて番組移行、はできない。




購入した DIGA の性能とか書いてないけど、昨日セットアップしたばかりだからまだ全然使ってないのよ。


CATV 解約まではこの話題続ける予定なので、そのうちまた書きます。



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追悼:ジーン・アムダール  2015-11-15 18:32:22  コンピュータ 今日は何の日

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アムダール氏が11月10日に亡くなられていたらしい。


IBM System/360 の設計主任を務めた方。


IBM の機械は、科学計算用、事務処理用、などとラインナップが分かれていた。

これは当時のコンピューターとしてはごく自然なこと。


科学計算用なら速度が重視されるし、事務処理用なら正確さが重視された。


今でもコンピューターの計算は正確だ、と思っている人がいるけど、正確なんかじゃない。

科学計算なら、宇宙を表現するような大きな数値も扱えないといけない。その一方で、科学の世界には「有効桁数」という概念があり、ある程度の桁数が保証できれば、計算が正確である必要はない。


#むしろ、話は「正確とは何か」という哲学的領域になる。

 機械的にただ計算をすることを正確だとは、決して言わない。


正確さは不要で、速度だけが重視されるので、コンピューターが得意な2進数で計算を行う。



その一方で、事務処理用では国家予算を扱えるほどの大きな値も、1セント単位の細かな値も、どちらも正確に扱える必要がある。


話が複雑化するので詳細は省くが、コンピューターは「1セント」を正確に表現できない。

小数点以下を表現する「2進数」は、小数点以下を表現する「10進数」に正確に変換できないためだ。


#1セントは、0.01ドル。


そのため、事務処理機では、コンピューターが苦手な10進数で計算を行うように作ってある。

コンピューターは2進数で計算している、と現代では言われるが、そうではない時代もあったのだ。


とはいえ、コンピューターの苦手な方法で計算をしているので、当然速度は遅い。

でも、事務処理用では、小数点以下の10進数も正確に計算できることのほうが大切だった。




System/360 (1964) は、こうした「専用機」ではなく、汎用の計算機を目指して設計された。

浮動小数点演算も、BCD 演算も両方とも使えるように設計されていた。


それまでのコンピューターは、1バイトが 6bit のものも多かった。英語の文章を記述するには、これで十分だからだ。


しかし、System/360 は1バイトを 8bit とした。

System/360 自体は 32bit を1ワードとして動作し、最大4ワード(128bit)までを一度に計算できた。



System/360 は大ヒットし、それ以降のコンピューターを規定してしまった。

今の PC も、浮動小数点と BCD の演算を両方とも行えるように設計され、8bit を1バイトとしているものが多い。


その意味では、アムダール氏の考案したコンピューターの子孫だ。




どんな世界でも、新しい世界を切り拓くのには予想外の困難が待ち受ける。


この時代、まだコンピューターはハードウェアを直接プログラムして計算を行うものだった。

でも、「なんにでも使える」 System/360 は、非常に幅広い要求にこたえるため、システムを扱いやすくするためのソフトウェアを必要とした。


後の世にいう「OS」、オペレーティング・システムの誕生だ。


アムダール氏とは直接関係ないが、System/360 用の OS である、OS/360 の開発は困難を極めた。

これまでは、コンピューターとはハードウェアを作るものであり、ソフトはおまけのようなもの、簡単に作れるものだと考えられていた。


OS/360 の開発は従来考えられていたものよりも、はるかに困難だった。

ここで初めて、コンピューターにとって一番重要なものは、ハードウェアではなくソフトウェアだ、という認識が生まれる。


OS/360 の開発困難は、後に原因などが整理され、書籍「人月の神話」として刊行される。


これ、今でも役立つ話が多い。

プログラマ向けの話ではなくて、プロジェクトマネージャー向けの話だし、もっと言えばコンピューター業界に限らず、あらゆるプロジェクトにおいて参考になる。


一言でいえば、「知的生産活動は、工場で製品を作るような人月計算で見積もれるものではない」ということを解説している。


なんだ、そんなことわかっているよ、経験しているよ、という人も多いかもしれないけど、当時も「なんとなく肌で感じていた」という人が多くても、理論だってなぜそうなるのかを解説している本はなかった。

いや、今でも少ない。


そして、この本では「じゃぁ、どうやって見積もればよいか」ということもちゃんと解説している。

プロジェクトが見積もり通りに進まずにデスマーチ進行になった、という経験を持っている人は、この本を読むべきだ。


ちなみに、デスマーチプロジェクトから「自分の身を守る」方法を知りたい人は、「デスマーチ」も併せて読むこと。

「デスマーチ」は人月の神話を読んでいることを前提に書かれているのだけど、もう一歩話を踏み込んで、失敗しそうなプロジェクトを立て直す方法と、「巻き込まれて自分がひどい目に合わないように」するための方法を書いている。




さて、話を戻す。

アムダール氏は、System/360 を設計した後にさらに良いコンピューターの提言を IBM に対して行ったのだけど、この提案は却下された。


当時の IBM は、コンピューターを作りたかったわけではない。

IBM はビジネスに役立つサービスを提供する会社で、コンピューターはそのための道具に過ぎなかった。


この考え方は、非常に大切だ。今だって重要だと思うけど、多くのコンピューター会社はコンピューターそのものを目的としている。

それで何をするか、というのはユーザーの責任で、コンピューター会社は知ったこっちゃない。


ともかく、IBM では、コンピューターは道具に過ぎなかった。

コンピューターが安定していることを重視したし、そのためには新製品を矢継ぎ早に出す必要はなかった。



アムダールは IBM をやめ、アムダール社を作る(1970)。

そして、System/360 互換でもっと良いコンピューターを作り始める。互換機ビジネスだ。


そのころ、日本では国策として IBM 互換機を作ろうとしていた。

正確にいえば、コンピューターを作る技術を持った会社6社を、政府主導で3グループに分け、どのようなコンピューターを作るか政府が決めた。


1グループは、独自アーキテクチャのもの。

1グループは、IBM 互換機。

1グループは、IBM に対抗しうる会社の互換機。



IBM 互換機グループは、富士通と日立が割り振られた。

互換機とはいえ、IBM の回路を真似してしまうと IBM との訴訟になる可能性がある。


同じソフトが動くようにしつつ、独自設計をする必要があった。




富士通は、アムダール社と提携する。

アムダール氏は System/360 を設計し、回路が何を目的としているか熟知していた。


そこで、アムダール社では、IBM の回路とは違う形で、全く同じ目的を実現するように設計を行っていた。

そのアムダール社と提携するのであれば、IBM との訴訟問題はおこらない。


後にアムダール社は富士通の子会社になるが、そのずっと前に、アムダールは自ら興した会社を去っている。




アムダール氏は、「アムダールの法則」の提唱者としても知られている(1967年提唱)。


プロセッサの数を2倍に増やしても、性能は2倍にはならない、とする法則。

今なら誰もが当たり前に知っているが、昔は計算装置が増えれば、増えた分だけ性能は増加する、と考えられていた。


これを、論理的に「そうじゃない」と示したのがアムダールの功績。

一時期は過大に評価され、マルチプロセッサ化は全く無駄だ、という主張も聞かれていた。


後にジャック・デニスが超並列を研究し、マルチプロセッサ環境で速度を上げるための方法論を示している(1990年代)。


これを受け、最近ではマルチプロセッサが流行している。

もちろんアムダールの法則は今でも有効だが、性能を上げるための方法論がかなり進み、十分マルチプロセッサを有効活用できるようにはなったようだ。




なんかとりとめのない話になった。

アムダール氏は、名前は知っていても、それほど詳しいわけではないし、どうしても話が散漫としてしまう。


コンピューター業界にとって重要人物の一人ではあった、と認識している。


氏のご冥福をお祈りいたします。



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今日は、デイビッド・パターソンの誕生日(1947)


RISC と RAID の生みの親、とされています。


一般に RISC のほうが功績とされるのですけど、僕はへそ曲がりなので(笑)RAID から説明しましょう。

というのも、RAID のほうが必要としている人多いと思うから。




ハードディスクは安いけど信頼性が低い。

信頼性が低いというのは「いつか壊れる」ということです。まぁ、当たり前。


当たり前なのですが、壊れると致命的で困ります。

ディスクが壊れてデータを失った、という経験、誰にでもあるのではないでしょうか。


これ、SSD の時代でも話は同じだと思ってね。

ハードディスクのように物理動作が無くなった分、壊れにくくはなっている。でも、いつか壊れます。



パターソン博士と、共同研究者は「壊れないハードディスク」を開発しました。


といっても、当たり前だけど機械は必ず壊れます。

開発したのは、壊れたとしてもデータを失わないで済む方法。


これが RAID です。論文発表は 1988年。



複数台のディスクを組み合わせ、「冗長性」を持たせてデータを記録します。

冗長性って、同じことを複数のディスクに書き込む、ということね。


どれか一台が壊れても、ほかのディスクにも同じ内容が書いてあります。

だから、壊れても復活できる。


2台が同時に壊れたりするとダメだけど、そこは確率問題だから。

1台壊れてすぐに「元の状態に復旧」していれば、2台が故障することは減らせる。



この冗長性の計算には、できるだけ容量を無駄遣いせず、でも信頼性を上げるために複雑な数学を使っています。

一番わかりやすいのが、数学を一切使わずに「同じ内容を2台に書き込む」ことですけどね。


2台に書き込んでいると、片方が壊れてももう片方から読みだせます。

その代わり、2台あるのに容量は1台分。容量としては最大の無駄遣い。


この「2台に同じ内容を書く」のが RAID 1 。



本当は、RAID の目的は「データ保全」だけではない。

物理的な動作のあるハードディスクを、高速に使用する、なんてことも考えられている。


目的によって RAID 6 まで考えられています。

速くてデータ保全もできる方法は費用もかかったり、費用を抑えて高速にするとデータ保全性が悪かったり。



データ保全性を考えた際には、RAID 1 を使うのが良い、とデータ復旧会社の人は言っています。

容量の半分無駄になるから、経済性は悪いのだけどね。


RAID って、複雑な数式を使うから、データとしては暗号化されたような状態。

RAID 1 は単純に2台に同じデータを書き込むだけだから、最悪状況からの復旧もやりやすいのだそうです。


「人間の目で見てわかるデータ」も冗長性として重要、ということか。




つづいて、RISC の話。

こちらは、パターソン博士以前にもう基礎的な考え方は始まっていて、博士の仕事は状況を整理し、その有用性を広めた部分になります。



黎明期のコンピューターは、非常に低機能でした。

計算機として作られたため、計算機能はそれなりにある。でも、決して使いやすくはありません。


以前に書いた記事ですが、Whirlwind のアセンブラや、FORTRAN の実行制御命令を見てみるとよくわかります。

条件分岐、はあっても、サブルーチン呼び出しはありません。


サブルーチン呼び出しするためには、呼び出す前に変数に「戻り先」を入れて置き、呼び出された側で最後のジャンプ先を自己書き換えして、呼び出し元に戻す、というような技法が必要だったのです。



名著「ハッカーズ」に、PDP-6 (1963) の制作話が出ています。

PDP-6 は DEC 社が作成したものですが、商業的には失敗でした。


ただ、この機械の設計段階で、MIT のハッカーたちに何度も意見を聞いています。

設計担当者が、MIT 出身の先輩だったのです。


結果として作り上げられたマシンは、当時のコンピューターとしては非常にプログラムしやすいものでした。


レジスタを16本も持ち、スタック構造を作り出すための命令があります。

レジスタ内の値をアドレスとしてアクセスを行う、というような命令もありました。


これらを使うと、サブルーチンを簡単に呼び出すことができましたし、以前なら何ページ分ものプログラムが必要だった「10進数プリントプログラム」を、ほんの数命令で作れるようになりました。



PDP-6 自体は失敗でしたが、こうした「アセンブラでのプログラムの作りやすさ」は、この後の PDP シリーズに受け継がれていきます。

最終的には PDP-11 (1970) で、究極の命令セットと言われるようになるのです。




PDP-11 の命令セットが「究極」とまで言われるのは、直交性が非常に高いためです。

この「直交性」自体が現在では死語ですが、命令とデータの使い方を、自由に選べることを言います。


これ、非常にプログラムが作りやすいんです。…アセンブラでは。


IBM も、System/360 (1964)では、直交性の高いシステムを作り上げています。

(スタック構造が入れられるのは、1970年の System/370 から)



しかし、1970年代の半ばに、System/370 で実際に使われているアプリケーションを詳細に調べたところ、意外なことがわかります。

ほとんどがコンパイラが作り出したプログラムでしたが、直交性の高さはほとんど活かされておらず、ほんの一部の命令の組み合わせしか使っていないのです。


これはある意味、コンパイラの「癖」でした。

人間ならば、生成されるコードの速度よりも、記述しやすさを優先したくなることがよくあります。

そのため、直交性の高さが役立ちます。


しかし、コンパイラはたとえ複雑な記述になったとしても、速度やメモリ効率を優先します。

その結果、使いやすくても遅い命令はあえて使わない、一部の命令の組み合わせを好んで使う、などの偏りが現れたのです。


逆に考えれば、コンパイラが使わない命令を、苦労して回路にくみ上げる必要はありません。

一方、「よく使う」とわかっている命令は、できるだけ高速に実行できるようにしたほうが良いです。



IBM はこうした実験として、IBM 801 (1976) を作り上げています。

狙い通り、回路規模は小さいのに高速に動作するコンピューターとなりました。


ただし、これは実験プロジェクトであり、製品として世に出たわけではありません。


#のちの POWER 命令セットになります。XBOX 360 や Wii U などが使用している PowerPC もこの命令セットを採用したプロセッサの1つ。



IBM 以外でも同じような動きはあり、コンパイラが普通に使われる世の中で、直交性にこだわって設計を複雑にすることにどれだけの意味があるのか…設計者が懐疑的になり始めていました。




各社がまちまちの方法で「直交性よりも良い設計指針」を求めていた中で、これをまとめたのが今日紹介する、デイビッド・パターソン博士でした。


カリフォルニア大学バークレイ校で、バークレイ RISC プロジェクトを開始します(1980)。


このときに「RISC」という言葉を作り出しました。

Reduced Instruction Set Computer の略。「簡略化された命令を持つコンピューター」と訳しましょうか。


これに対し、パターソン博士は従来の CPU 命令を「CISC」と命名しました。

Complex Instruction Set Computer の略。「複雑な命令を持つコンピューター」です。



…この言葉、翻訳では表現できない恣意的な語彙選択をしています。

自分がこれから作ろうとするものを「素晴らしいもの」に見せるための言葉選びがうまい。


Complex って、単純に「複雑」というような意味なのですが、いわゆる「コンプレックス」や「嫌悪」のような負のイメージのある言葉です。

それに対し、Reduced というのは、小さくした、とか簡略化した、という意味合いなのだけど、「方程式を解く」とか「征服する」とか「ダイエットする」というような、物事を良い方向に導くイメージのある言葉。


CISC と RISC は、冒頭の部分以外同じ言葉になっています。

だから、この2者の比較は、「Complex と Reduced のどちらがいい?」と聞いているのと同じ。


そんなもの、誰だって Reduced って答えます。悪いイメージの言葉と良いイメージの言葉を並べているんだから。



かくして、RISC プロセッサの大ブームが起こります。


パターソン博士の定義では、RISC とは1クロック実行できる程度の簡略な命令だけを持ち、使い方の区別がない多数のレジスタを持ち、すべての命令が同じ長さで…というようなものでした。


これ、いわゆる「RISCプロセッサ」がみな取り入れた特徴。

こうすることで、CPU の設計が非常にすっきりとするので、回路も単純で実行速度を上げられるのです。


でも、RISC ブームによって、Intel の…CICS の代表みたいな CPU も、「RISCだ」と言い出した。

Pentium の時に、RISC の特徴を大幅に取り入れたのね。一番重要な部分は今まで通りだったのだけど、これによって「RISC」を名乗りだした。


今ではなし崩し的に…RISC か CISC か、って論争自体がどうでもよくなった感はあります。




ちなみに、パターソン博士が作った「バークレイRISC」は、その基本設計を元に SUN が SPARC プロセッサとして商用化しました(1985)。


SUN はその後無くなってしまいましたが、富士通と提携していました。

SPARC の後継である SPARC64 は、今でも富士通がスーパーコンピューターなどに使っています



その SUN は BSD を商用化することを目的に作られたベンチャー企業でした。

BSD とは、「Berkeley Software Distribution」の略。バークレイ校が改造して広めた UNIX の一種でした。


そして、CPU までバークレイ RISC の流れを汲むものにしたわけです。


SUN のワークステーションの信頼性はすごくて、何年も電源入れっぱなしで動いてる…とか、UNIX の信頼性を高める伝説を多数作っています。


#Linux の話として一時期語られることが多かったのだけど、SUN 由来。

 この話がよく使われたころの Linux はそんなに信頼性高くなかった。今ではずっと良くなったけど。



SPARC プロセッサ、「リングレジスタ」という非常に面白い特徴を持っていて、速度の遅いメモリへのアクセスを極力減らしています。


特に、C言語のような「関数呼び出しでスタックを多用する」言語では効果絶大。

というか、C言語の呼び出しを前提に考えられたような機構。


解説すると長いのでここには書きません。興味を持った人は調べてみてね。



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ハーマン・ホレリス 命日(1929)  2015-11-17 11:02:08  コンピュータ 歯車 今日は何の日

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今日は、ハーマン・ホレリスの命日(1929)


あえておかしな説明をすると、コンピューターの画面の横サイズが 640ドットを基本としている…SXGA 解像度だとこの2倍の 1280ドット、フル HD 解像度だと3倍の 1920ドットとなっているのは、ホレリスの影響です。




アメリカでは、10年に一度、西暦の末尾が「0」の年に国勢調査が行われます。

19世紀中ごろ、アメリカには次々と移民が押し寄せ、10年で 1.3倍程度のペースで人口が増えています。

それに伴い、集計にも時間がかかるようになっていきました。


1880年の国勢調査の結果が出たのは、1889年でした。


1880年の国勢調査の集計に手間取っている間に、次の…1890年の国勢調査は10年以内に集計が終わらないだろう、という予測がたっていました。

それでは、何のための国勢調査だかわかりません。


1888年、国勢調査局は、国勢調査の統計作業を効率化するための発明コンテストを開きます。




ホレリスは、1879年にコロンビア大学を卒業しています。

その後、国勢調査局でしばらく助手として働き、この大変な集計作業を知ることになります。



1882年、ホレリスは MIT で教員の職を得ます。

そして、その間にパンチカードを使ってデータの集計を行う機械を試作します。


当時、パンチカードはよく使われた技術であったことに注意してください。

パンチカード自体は彼の発明ではありません。


パンチカードで音楽演奏を行うオルガニートは、1860年には発明されているそうです。

音楽用のパンチカードは、1848年ごろに発明されているそうですし、1725年にはパンチカードによって模様を作り出す織機が発明されています。

(とくに有名なジャカード織機は 1801年発明)



ホレリス自身、電車の車掌が切符に穴をあけているのを見て、パンチカード集計機を着想したと言っています。

車掌が切符に穴を開けるのは、日本でも 1980年代中頃までは、普通に見られた風景でした。


#行き先を変えたくなった際、車内で車掌から切符を買うことができた。

 その切符は路線図の書かれた大判のもので、出発駅と目的地に穴を開けて使用した。



1884年にはこの機械で特許を得て、再び国勢調査局に戻ります。

そして、1888年に先に書いた発明コンテストが行われ、ホレリスの機械が選ばれます。


1890年の国勢調査で、早速ホレリスの機械が使われました。

ホレリスの機械により、2年で集計が終わる、と見積もられました。


実際には予定より早く、1年半で集計作業が終わっています。

しかも、この集計作業は2回行われ、誤りがないことの確認まで終わっていたのでした。




1896年、ホレリスは「タビュレーティングマシン」社を興します。


タビュレーティングマシンというのは、「集計機」の意味ね。タビュレートには、作表、という意味があります。


先に作った機械は、国勢調査専用のものでした。

しかし、ホレリスはこれを改良し、配線板を組み替えることで自由な集計が行えるようにしました(1906)。

「プログラム可能な計算機」としたのです。


当初、販売ターゲットとしては世界の国勢調査局を考えていたようですが、同じように膨大なデータ処理を必要とした保険会社などにも販売が広がります。


1911年には、類似の機械を作り始めた別の4社と合併し、会社規模を大きくします。

1920年には、集計結果を自動的に印刷できる機械を開発。


そして、1924年には社名を変更し「インターナショナル・ビジネス・マシーン」…頭文字をとってIBMとしています。




最初の国勢調査で使われたパンチカードは、24の項目について、12の選択肢から選べるように作ってありました。


1928年、項目を 80まで対応したパンチカードが作られます。

選択肢は 12まででしたが、このうち 10個を使って数字を選ぶことで、連続した項目を使って「00から99まで」のような選択も可能としました。


このパンチカードはコンピューター時代になっても入力装置として使われ、12の穴あけ位置に複数同時に穴を開けることで、文字を表現することも可能となります。



FORTRAN は、このパンチカードを使ってプログラムをするように想定しています。

そのため、1行は 80文字でした。


その後、コンピューターに CRT が接続されるようになると、パンチカードと同様の情報が表現できるように、横に 80桁表示できる、というのが普通になります。


80桁の文字を、横 8ドットのフォントで表現するのであれば、横は 640ドットとなります。

また、この倍数であればフォントを工夫することで 80桁の表示が可能です。


このことから、今でも横方向のドット数は 80の倍数であることが多いです。




ホレリスは、1929年の今日、心臓発作で亡くなっています。

彼自身は、コンピューターの登場以前に生きた人であり、コンピューターとは無関係です。


しかし、コンピューターの発展に大きな影響を与えた人物だと思います。


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ハムスター死去  2015-11-17 20:24:42  ペット 家族

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つい先ほど、ハムスターに餌をやろうと思ったら、昨日の分を食べていない。

(ハムスターは夜行性なので、いつも夜8時ごろに餌をあげている)


もう年なのでもしや…と思ったが、もし寝ているだけだったら無理やり起こしたらかわいそうだ。

いつものように、砂場の掃除など一通り済ます。

多少寝坊した際でも、がたがたやっていると大抵起きる。


しかし起きてこない。

これはいよいよか、と思って巣箱のふたを開け、そっと巣材をかき分けて中を見てみる。

寝ているように横になっていたが、おなかが動いていないように思う。呼吸していない。


そっと触ってみたら冷たかった。

死んでしまったようだ。




我が家に来たのは2年半前


ハムスターの平均寿命は2年、とよく言われるのだけど、これはゴールデンの場合だ。

ジャンガリアンはゴールデンよりも小さく、寿命も若干短い。


今まで10年以上常に飼ってきていたが、短いものでは1年、長いものでも2年ちょっとだった。


今回死亡したハムスターが、歴代最長寿。


10年前とはペットを販売する業者に対する法律も厳しくなり、生後2か月移行でないと売れない。

なので、2歳10か月以上だったのだろう。


うちに来てすぐ、大きな病気をした。

ハムスターの病気は、大抵致命的だ。動物病院に行っても無力だ、とすでに知っている。

(過去には、連れて行ったこともあるからだ)


しかし、回復した。

回復しても臆病になってしまい、常にびくびくしていて、人の気配がするとすぐ隠れてしまっていた。



やっと頻繁に姿を見せるようになったのは、1歳を超えてから。


そして、食べ物に頓着しない。

ハムスターといえば、ほお袋に食べ物を詰め込んで歩く姿がかわいい…という人も多いのだが、食べ物を運ぼうとせず、エサ入れでそのまま食べる。

少し食べたらほっといて、後で気が向いたらまた食べる。巣には運ばない。


ただし、お気に入りのニンジンのヘタだけは、回し車の下まで運んで食べていたっけ。



非常にマイペースで、手の上に載せてもあまり逃げ出さなかったし、かんだりもしない。

だから、非常に子供たちにも愛されていた。


とはいっても、前の子がすごいよく噛んだので、子供は怖がってそれほど手に載せなかったのだけど。



この、食べ物を必要な分だけしか食べないのと、マイペースに過ごしていたのが長寿の理由だったのではないかと思っている。




死んでしまったようだ、と子供たちに伝えると、まず長女が大泣きした。

もう小学校2年生の長女がそんなになくと思わなかったが、考えてみると我が家に来たのは保育園の時だ。


「物心ついたときから一緒にいた」といっても良いレベルなのかもしれない。


死んだと気づいたとき、次女はお風呂に入っていたが、長女の鳴き声がするのでどうしたのか聞いてきた。

そして、ハムスターが死んだと伝えると、こちらも大泣きした。



歴代最長寿で、子供たちに愛されていた。

ハムスターの寿命は短いが、十分に幸せに生きたと思う。




泣きじゃくる長女と次女に、ハムスターの寿命は短いから、また飼ったらまた死んでしまい、寂しい思いをするかもしれない、と伝えた。


でも、また飼いたいという。それでいい。


悲しい気持ちは僕も理解できる。最初に飼ったハムスターが死んだ時は、やっぱり悲しかったから。

でも、いつか死んで別れる時が来るとわかっていても、それまでを十分かわいがれるなら、ペットがいる生活は豊かだと思う。



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「ちきゅう」一般公開  2015-11-23 11:27:02  歯車 社会科見学 家族

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JAMSTEC の所有する地球深部探査船「ちきゅう」を一般公開する、というので家族で見に行ってきた。


時々書いているけど、妻の友人に JAMSTEC 勤務の人がいるため、子供たち(と僕)は JAMSTEC 関連の話題にそれなりに詳しい。

でも、「ちきゅう」は、話としては知っているけど実際に何をやっているのか、などは全然しらない。


しんかい 6500とかは何度も実物見ているのだけどね。




「ちきゅう」は、地球の中がどうなっているのかを探るために、海の底に穴を開けて土壌サンプルを採取するための船。

海の上に浮かんでいる船から、深い海の底までパイプを伸ばし、さらにそのパイプからドリルを繰り出して穴を開ける。


この際、穴を開けるといってもただ掘るのではない。真ん中に一本、綺麗に「掘り残し」を作るように周囲だけを掘る。

そして、この掘り残しを海上に浮かぶ船まで、そのままの形で持ち上げる。

これによって研究者は「海底の地層」をそのまま手に入れられる。



海の底よりもさらに深いところまでパイプがつながっているわけだけど、内部にものをきれいに通すためにも、このパイプが僅かでもたわむことは許されない。

波や潮の流れがあるにも関わらず、ハイテク制御により船は微動だにしないように作られている。


とにかく最先端技術のかたまり。



なんで、わざわざそんなに掘りにくい海の底を掘るのか、と子供が疑問を持った。

話は簡単で、「地球の内部」を知りたいからだ。

山のてっぺんと海の底、どちらが地球の中心に近いだろう、と考えると船の意義は自然に見えてくる。




船は24時間体制で研究を続けていて、ほとんど寄港しない。

人員交代や物資補給はヘリコプターで行われる。


建造5年目に、定期点検で一度日本に戻ってきて、その時は神戸で見学会を行ったらしい。

今回は10年目の定期点検で、横浜で見学会が行われた。


見学会は予約制で、1時間ごとに区切られている。

うちは、22日の12時の回に予約を入れた。11時に受付開始だった。




さて、我が家から受付となる横浜みなとみらい地区の最寄り駅である桜木町まで、電車で30分ほどかかる。

家から駅までも 30分程度。桜木町から会場までも、歩いて 15分は見といたほうが良いだろう。


12時の回だと、子供がおなかすいたと言いそうなので先にご飯を食べていこう。

…などと考えると、9時には家を出たい。休みの日だとはいえ、平日とあまり変わらない朝のスケジュールとなった。



桜木町から日本丸の前を通り、汽車道を通ってワールドポーターズへ。

これ、1年半前にも通ったコースだ。


次女(6歳)に「プリキュア映画で出てたところ」といっても、あまり覚えていないようだ。

1年半前に、通る前と後で2回ビデオ見たのだけどな。


プリキュアに別に興味はない長男(11歳)は映画のシーンまでよく覚えているようで、あそこに誰がいた、みたいなことまで言っている。




ワールドポーターズに入ればなんかご飯食べられるだろ…と思ったら、まだ開店していなかった。

マクドナルドは8時から営業している、と書いてあったのでマクドナルドを探す。


探している間に音楽が鳴り始めてシャッターが開いた。

10時半営業開始らしい。


じゃぁ、マクドナルドよりもう少しいいもの食べよう、とフードコートへ。

いろんな店があるので各々好きなものを食べる。

食べ終わったら11時15分。あと15分で受付しなくちゃ。先を急ぐ。


受け付け会場がどこかよくわからなかったのだけど、すぐ見つかった。

受付のあと、実際の船までバスで輸送していた。この列が長くて、30分ほど。


子供たちをトイレに行かせておいたほうが良いだろう、と考え、目の前の赤レンガ倉庫にトイレを借りに行く。

妻が付いていき、僕はバス待ちの列へ。




バスに乗って20分程度、「ちきゅう」は本牧ふ頭の、普段は関係者以外立ち入り禁止の区域に停泊していた。


見た人は大きさに驚く…と散々言っていたのだけど、まずバスが遠くにいる段階で見えてしまったことで、そのような驚きはない。

小さく見える段階で姿を見てしまい、だんだん近づいても「予想できた大きさ」に見えるだけなので。


大きさは大体、8階建てのビルくらいを想像してもらうといいと思う。

ざらにある大きさ。特に大きい、という感じはない。


ただし、そのビルの屋上に、大きな櫓が立っている。掘削のためのパイプを下に送り出すための装置。

それでもまだ、高層ビルを考えると全然小さい。


大きいといっても想像を絶する大きさではないんだな…という感想。



でも、いざ船に乗る段になって気づく。

これ、ビルじゃない。しっかりした地面の上に立っているのではなく、水の上に浮いているんだ、と。


そう考えると、とんでもない大きさ。

船をよく知らないから大きく感じないだけで、船を知る人が見ればみんな「大きさに驚く」のだろう。

素人ゆえの勘違いで驚愕していないだけだったのだ。



ちきゅうは、最大乗員 200名だけど、常時 150人程度で運用しているそうだ。

船員が 50人、掘削技術者が 50人、研究者が 50人。


これが、2チームに分かれ、2交代制で 24時間働いている。

ということは、12時間労働。過酷な仕事環境だ。

ヘリコプターで乗船して、大体1か月滞在すると、ヘリコプターで下船する。


乗員が200人の船、というと、旅客船としてはそれほど大きくはない。

でも、この 200人が1か月暮らせる設備が整っていると考えると、ここは人口 200人規模の村なのだ。


その村が、8階建てのビルに収まり、水の上に浮いている。5年の定期検査の時くらいしか寄港しない。

SFのような世界だ。




「ちきゅう」に乗船しても、全然揺れない。

船が大きすぎて揺れにくいというのもあるし、そもそも微動だにしないための装置がつけられている船なのだ。


船内ツアーはコースに従って自分で見て回る形だったけど、基本的に研究設備部分の紹介だった。


地層サンプルは、10m 程のものが、1~3時間で掘れるそうだ。すごい速度。

そして、これが船上にあげられると、CT スキャンや超音波により、非破壊検査が行われる。


この非破壊検査の結果、「貴重な部分」を避けるような形で、1.5m 程度の長さに分断される。

長いままでは研究しにくいからね。


さらに、縦に真っ二つにスライスして、中身を直接観察できるようにする。

1.5m もある、泥も石も一緒に含まれるものを、形を崩さないように真っ二つにできるのだ。すごい技術だと思う。


その後の作業は必要に応じて違うようだ。




酸素を追い出して窒素を充填できるグローブボックスがあった。

映画なんかで見たことある人も多いと思うけど、ガラスの箱に、手を突っ込むグローブがついているやつね。

あれで、完全に外の環境と遮断した状態で、サンプルを操作できる。


というのも、深海のさらに海底の泥の中に生きる生命がいるのだとか。

そんなところでは酸素は届かない。酸素がなくても嫌気性細菌なら生きられる。


そして、嫌気性細菌にとって、酸素は猛毒だ。だから、殺さずに研究するためには、酸素を追い出せる環境が必要なのだ。



サンプル表面の写真撮影をできる特殊装置もあった。

1.5mの長い表面に密着する形で、細長い写真を撮影できる。


特筆すべきは、この「写真」が、人間が見るためのデータではない、ということだ。

RGB 分解するのではなく、連続スペクトルデータとして撮影を行える。


光の三原色って、人間の目がそういう仕組みになっている、というだけで、光の性質とは違うものだからね。

ここで使われている撮影装置は、人間の目では見えないものも含めて、完全なデータを記録するものなのだ。


同じように、X線を照射して蛍光を記録する撮影装置もあった。

サンプルの質量と密度を精密測定する機械もあった。




面白い、と思ったのが「電子天秤」。


重さと質量は違う。

たとえば、体重計に乗って体重を測るとする。


同じ体重計を使って北極点で測ったデータと、赤道上で測ったデータではわずかに重さが違う。

赤道上のほうが、遠心力によって重力が相殺されていて、体重が軽くなる。

(コップ1杯の水程度にも変わらないけど、厳密には軽くなる)


正確に測りたければ、天秤を使う。

10g の分銅と釣り合う試料は、北極点で測っても赤道で測っても、10g の分銅と釣り合う。

重力が変動するとき、その影響は分銅と試料の両方に現れるためだ。


このようにして、重力変動の影響を受けないように正確に測られた重さを、「質量」と呼ぶ。



さて、科学では質量が大切なので、今でも科学者は古臭い天秤ばかりを使う…と子供の頃に聞いていたし、今でもそうだと思っていた。


でも、ここには「電子天秤」というものがあった。

電子天秤と呼ばれるものは世の中にもあるのだけど、ここにあるのはそれを改造した特別なもの。



天秤と名前がついているように、やはりものを載せる場所が2つある。

というか、改造した精密な「はかり」を、2台コンピューターに接続してある。


でも、この2つで「釣り合うように」分銅を交換したりする手間は必要ない。

片方に質量のわかっている分銅などを載せ、その質量を電子天秤に「教えて」やると、もう片方に載せた資料の「質量」を教えてくれる。


片方をキャリブレーション用に使い、もう片方の値を計算で補正しているのだな。


詳しくは教えてもらわなかったけど、この「2台の秤」の個体差も時々キャリブレーションする必要があるのではないかと思う。

これも簡単で、全く同じものをそれぞれに載せて、重さが違うというような判定になってしまったら、計算で補正すればよい。



さて、様々な測定機器があったけど、電子天秤のようなものは、揺れる場所では使えない。

地上でも、わざと機器を重くしてあって、しっかり据え付けて使うようなものだ。


それが船の上で当たり前に使えるという。

これもまた、「ちきゅう」のすごさがわかるエピソードでもある。




見学順とは前後するが、操舵室も見学できた。


普通の船の操舵室は、レーダースクリーンが「波長別に」いくつか並んでいる。

でも、地球では1つの波長ごとに、2つのスクリーンがある。

というのも、船体中央に大きな「櫓」が立っているため、櫓が邪魔でレーダーの死角が生じてしまうため。


現代のレーダースクリーンは、ベクタースキャンの CRT ではなくて、パソコン画面上にデータをプロットしたものになっている。

じゃぁ、2枚を合成することだってできそうなものだけど、これはあえてやっていないのだろう。

合成すると「元データ」を加工することになるし、レーダーに一番求められる機能は、生のデータを提供することだから。



以前別の船を見たときにも感じたけど、レーダースクリーンを含むパソコン画面は、トラックボールで操作されるようになっている。

狭い制御パネルの中でマウスを動かすスペースは確保できないからね。

今回は違ったけど、以前見た船では Logicool のトラックボールとかそのまま使っていたな。


各種装置にもそのまま Intel Inside マークがついていたり、案外普通のものを組み合わせて作られている。

「船」というハードウェアはすごいけど、それを制御する部分は、信頼性が確保できるのであれば何でも構わないのだろう。


そうそう、船の中でハッピーハッキングキーボードが使われているのを見つけられたのも有意義でした。



見学時間はわずか1時間程度だったけど、なかなか興味深いものをたくさん見せていただきました。

下船後、仮設テントのお土産屋さんで、「ちきゅう」の来年版カレンダーを買って帰りました。


以前もらった普通ではないカレンダーとは違って、普通のカレンダーだったよー(笑)



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さて、先に書いた「ちきゅう」の一般公開が終わってみなとみらい地区に戻った時、まだ時間は2時過ぎだった。


「これで帰るの?」と子供たち。

帰りたいか、まだ遊びたいかと聞くと、まだ遊びたいとのこと。


じゃぁ、以前から興味あった場所に行ってみよう。




ランドマークタワーのすぐ横、「三菱みなとみらい技術館」。

ずっと前から存在は知っていて気になっていたのだけど、来たことがなかった。


ワールドポーターズからはちょっと遠い。

次女の足では歩くだけで疲れるだろうから、肩車。


歩いて15分くらいはあったかな。

三菱重工のビルがあって、その一角に技術館はあった。


こども科学館ではあるものの、企業科学館なので、企業技術の宣伝の色合いもある。

でも、ここは宣伝色が低めでよくできている、という評判を以前から聞いていた。


入館してすぐ、次世代交通システム「トラム」の運転シミュレーションがあった。

他にもこうしたシミュレーションは多数あったのだけど、大抵長蛇の列。今回は遊ぶ時間が短いのでパス。


その先に、ちょっとしたゲームコーナー。

真っ白のジオラマで作られた「街」に、プロジェクションマッピングで様々なものが映し出される。


ここに、トラックボールで操作可能な「カーソル」が表示され、様々なものを探すゲーム。

8人同時プレイ可能。



2つのシナリオがあるようだけど、とにかく街の電気供給バランスが崩れることが予測される。

そこで、街中の「発電システム」と「蓄電システム」、それに「節電可能なポイント」を探し出して調整していく。


ゲームプレイの前にはカーソルを動かして街の中の様々な「次世代技術」を見つける形のチュートリアルもある。


もちろん、すべてのシステムは、実際に三菱重工が手掛けている技術だ。




奥のスペースは JAMSTEC コーナー。

はからずも、また JAMSTEC 。しんかい 6500 がメインの展示。しんかい 6500 は三菱重工が作ったものだ。


「ちきゅう」の模型もおいてある。ちきゅうはあまりに大きいので数社で作っているけど、やはり三菱重工も参加しているらしい。


今計画中のしんかい 12000…または「スーパーしんかい」をイメージした操作シミュレーションもあったけど、これも先に書いたように長蛇の列。

シミュレーション系は1回のプレイ時間が長いので、並んでいる人数がそれほど多くなくても、なかなか順番が回ってこない。


しんかい 6500の組み立てゲームとか、ソナーを使って深海探検するゲームとか、ゲームも多数。


次女のお気に入りは、コンピューター画面で「ロボット深海魚」を自由に組み立てると、大スクリーンで泳ぎだすもの。

チームラボがやっていたようなやつを、もっと簡単にした感じ。




1階の別コーナーは、JAXA コーナー。

JAMSTEC と JAXA は、最近一緒にイベントを行ったりもしているけど、それぞれ深海と宇宙を研究する組織。

ライバル関係なのかな。協力できるところでは協力し、競うところでは競っている感じ。


で、三菱重工は JAXA のロケットなんかも作っている。

JAMSTEC と JAXA はライバルだけど、三菱重工の技術が両者を結び合わせているのかもしれない。


JAXA コーナーの片隅に、MRJ の操作シミュレーターも置いてあった。

三菱リージョナルジェット。


1965年の YS-11 以来、国産旅客機はなかったのだけど、現在作成中の新しい旅客機。

先日初飛行しました。


MRJ の開発には JAXA も協力しているのね。

その関係もあって JAXA コーナーの一角なのだろう。




2階は、予約が必要な実験コーナーと、「乗り物の歴史」「発電」コーナー。


汽車の時代、プロペラ軍用機の時代、戦艦の時代からいろいろ模型が並べてある。

もちろんすべて三菱の手掛けたもの。


てこや油圧ピストン、動滑車など「力と距離を交換する」仕組みについても、触って実験しながら学習できるようになっている。

先日長男に「動滑車」について聞かれて仕組みを説明したのだけど、実物を見て理解を深めたようだ。



発電に関しては、各種発電所の仕組みや、世界中でどこに存在しているかの一覧など。

洋上風力発電所が波で倒れないための工夫、みたいなものも模型でわかりやすく展示してある。


実験コーナーは予約してなかったので全く見てません。



5時閉館で、2時間程度しか見られなかったので、あわただしく見て回った。

子供たちはもっとゆっくり見たかった様子。また機会があったら来ましょう。



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巧妙な確率  2015-11-24 12:40:55  その他

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一昨日のお出かけのあと、子供たちと夕食を食べにガストに入った。

(ガストがいい、というのは長女・次女のリクエスト)


ガストでは、子供向けに「ラッキーセット」という商品を販売している。

セットを買うとガチャガチャのコインがもらえる。つまりは、何かおもちゃがランダムでついてくる。




次女(6歳)、以前にガストに来た時に、女の子用のおもちゃで「鏡」を入手している。

自分の髪の毛を飾るのが好きな次女、この鏡はお気に入りでよく使っている。


その鏡の入った女の子向けセットガチャガチャがまだあった。


鏡、髪ゴムなどを入れられる小箱、櫛、それらをまとめて入れられる巾着袋、の3つのうちのどれかが出る。



ガチャガチャを回す前に、「何が出ても文句なし」だと言い含めた。

わかっている、という次女。すでに持っている鏡が出るかもよ、と言ったら「それは考えてなかった」という顔つき。


結局、出たのは巾着袋だった。

長女曰く、次女は以前から巾着が欲しいと言っていたそうで、次女的にはあたり。


#このセットのものではないが、小さな櫛はすでに持っているので。




さて、ここからが今回の本題。

味をしめた次女、「ガストにあと2回行けば、全部揃うかも~」と言ってきた。

揃うかも、でいえば、確率問題だから揃う可能性はある。


でも、そんなに簡単にはいかないよ、とやんわり伝えた。


いや、子供が夢を見ているのは構わない。

問題は、大人になっても同じようなことを考える人が結構多い、ということだ。


4種類のおもちゃが入ったガチャガチャで、すべてが同じ確率で出るとしたときに、4種類そろえるのに何度回せばいいか。


まぁ、4回で種類が揃うなんてことはないだろう。ダブったりするから6回くらい?

と多くの人は考える。



1度目は何が出たってかまわない。4種類のうち、4種類どれが出てもいいので、4/4 の確率になる。

2度目は、1度目と違うものが出てほしい。 4種類のうち、3種類のどれかが欲しいので 3/4 になる。

以下同様に、3度目は 2/4 で、4度目は 1/4 。これを全部掛け合わせると、3/32 = 0.09375


次女が期待するように、4回ガチャを回して4種類全部を入手できる確率は、1割未満しかない。




じゃぁ、何度くらい遊べばコンプリートするのか。


n種類の景品がランダムに当たるとき、n種類全部を揃えるのに「期待される」景品を引く回数は、以下の式で求められる。


n * (1/1 + 1/2 + ... + 1/n)


なんでそうなるのか、はややこしいので言及しないけど、この式に n=4 を当てはめてみれば答えは出る。


4 * (1/1 + 1/2 + 1/3 + 1/4) = 8.333...


これは「期待値」であり、この回数景品を引いたら、半分の確率でコンプリートできるよ、という回数。

8回だと微妙だけど、9回なら半分以上の確率でコンプリート。もちろん運が良ければこれ以下の回数だし、運が悪ければ青天井。


なんだ、4種類に対して8回だから、大体2倍か、なんて思ってはならない。

10種類になれば、大体 30回、3倍の量を引かなくてはコンプリートできない。



古い話だけど、動物の森カードe なんて、全 308枚あったぜ。

4シリーズに分けて発売されて、1シリーズが64枚~90枚。


たとえば、90枚のセットをコンプリートするには、457枚買わないといけない計算になる。5倍だ。

1セット5枚入りで発売されていたから、92セット買わないといけないな。


それを、4シリーズ分。

うちの妻が3セットコンプリートしていたのだけど、よくやったな。


#1セットコンプまで自力でやって、それで余ったカードをトレードして3セット揃えたのですが。

 手元に1セット残して余ったものをオークションにかけたら、つぎ込んだ金額が大体帰ってきたらしい。


#そもそもこれは「トレーディングカード」であって、一人で集めるような設定の数値になっていない。

 一人では集められず、トレードすることが前提だから「トレーディングカード」なのだ。




また別の話。

以前書いたかもしれないけど、探したら見つからなかったので多分書いてない。


以前、ドーナツ屋でスクラッチくじをもらったことがある。

6つの隠された絵のうち、3か所を削る。3カ所とも当たりが出たら、ぬいぐるみがもらえる。


外れたから全部削ったら、ちゃんとすべてのカードに当たりが3か所入っている。

だから、必ず当てられる。絶対当たらない、というインチキはない。


その場で確率計算してみると、非常に巧妙な確率。


最初の1カ所は、6 カ所のうち 3 つ入っている当たりを出せばいいので、3/6。

2番目の個所は、残り 5カ所のうち、2つ入っている当たりを出せばいいので、 2/5。

そして最後の1カ所は、4カ所のうち1つを当てればいいので、1/4。


これを全部掛け合わせると、1/20。5% の割合で当たりが出る。


でも、多くの人は「6カ所中3カ所あたりがあるのだから、半分の確率」と考えるだろう。

認識と実際に大きなずれがある。


このときのカードは 300円で1枚もらえた。

ドーナツ屋の客単価が 600円だとして、1人2枚もらえる。1グループ5人程度で来ると、10枚ある。


2~3回グループで訪れると、1人はぬいぐるみが当たる、という設定になる。

もしくは、店に滞在している間に、誰かお客さんの一人くらいはぬいぐるみを受け取りに行くかもしれない。


これがまた巧妙で、周囲に当たった人がいるのを見せて「あぁ、やっぱちゃんと当たるんだ」と安心感を与える程度の設定。


先に書いた「半分当たり」という勘違いと合わせると、自分が外れたとしても今回は運が悪かっただけ、次はきっと当たる…と勘違いしてもらいやすい。


これで「私も欲しい」と思ってもらえれば、何度もお店に足を運んでもらえる。

非常に巧妙な確率設定にしてある、と唸った。




余談だけど、確率は大学でみっちり勉強した。

1年の時の講義を、3年になってもまだ聞いていたくらい。


#2回も落とした、とも言う。教授が厳しくて落とす人多数の講義だったのよ。

 3年目はさすがにわからないところは教授に直接聞きに行き、おかげで確率は非常に詳しくなった。



そして、僕はゲームプログラマなので、確率は大切な道具です。

大学の時3年も確率を勉強したのは、非常に役に立った。


いや、冗談ではなく、3年もやり続けたから肌感覚として確率がわかるようになった。

1年で単位取得した人は、頭は良かったかもしれないけど理解は浅かった。



それでも、巧妙な確率設定って結構難しい。

上手な設定は、多くの人が勝手に勘違いして、幻想を抱いてくれる。

ゲームを作るうえでは、確率設定次第で面白さが全然違ってしまうこともある。




いわゆる「ギャンブル」に限らず、世の中ギャンブルだらけ。

上のスクラッチのように、多くの人が「半分」と思うものが、実は 5% しかない、なんてことは良くある。


確率の怖さを知らないと、ギャンブルであることにも気づかずに、ギャンブルに巻き込まれたりします。

もっと多くの人が、少しでよいから「確率」という数学分野を知っているといいと思う。


#保険とか、実はギャンブルです。比喩ではなくもともとギャンブルの一種

 自分の生活に合った適正な掛け金を設定しなくては、損をするだけになります。


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エイダ・ラブレイス 命日(1852)  2015-11-27 09:32:26  コンピュータ 歯車 今日は何の日

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今日は、エイダ・ラブレイス伯爵夫人の命日(1852)。


「世界最初のプログラマ」と呼ばれる女性です。

今では勘違いとわかっているけど、初期の「プログラム」に多大な功績をしたのは事実。


その功績から、「エイダ」は、プログラム言語の名前にも使われています。



以前、誕生日に記事を書いているため、詳細はそちらをご覧ください



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NTT工事延期  2015-11-27 11:29:43  その他

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先日からお伝えしている「高いからCATVやめる」計画の続報。


先日書いたのは、NTT に工事を申し込んだところまででした。


工事内容は、現在使っている 100M の光ファイバを 1G に変更し、余った帯域で電話とテレビ放送も送る、というもの。

1G ならさらに余剰があるはずなので回線は早くなりますが、そもそも家の中のサーバーが非力なのであまり意味はないです。




さて、先ほど工事にきて、内容の説明を受けたところ、考えていたものと食い違いがあったので、今日は工事をせずに延期に。


申し込んだ際に、テレフォンオペレーターとの間で「テレビ線工事はどうするか」という話があったのですね。


フレッツテレビのページには、フレッツテレビを導入すれば家の中のテレビ全部で使える、とあった。

そこの部分まではやってもらえるのですか? と聞いたのだけど、どうもここでお互いの考え方に相違があった。


テレフォンオペレーターに「壁から出ているアンテナ線まではテレビ信号が来るようになるのか」と尋ねたら、そうだという。

そこまで来るのであれば、テレビまでの配線は問題ない。

この「工事」は、よくわかっていないお年寄り向けなどのサービスかな、と思っていらないと答えた。



でも、実際には「壁から出ているアンテナ線」に信号が来るわけではなくて、増設される特殊な機器から信号が出るだけ。

テレビの横にその機器を置けば、そのテレビ1台だけで受信が可能になる。



工事に来てくれた人との話をしている中で、想像していることの相違が明らかになったので、いったん今日は工事を中止したほうが良い、とアドバイスされた。

僕もそう思ったので、せっかくご足労頂いて非常に申し訳ないのだけど、今日は工事中止。




しかし、無駄だったわけではない。

どういう形で機器を設置するのか、全く不明だったのだけど形態がわかった。



光ファイバーからイーサネット線に信号を乗せ換える ONU と、プロバイダとの間で接続を行うルーターと、通常の電話番号が使える(いわゆる IP 電話扱いではない)電話線を引き出す装置と、テレビの同軸ケーブルを引き出す装置は、全部で1台。


つまり、この装置の周りに「すべて」が集まっていなくてはならない。

家庭内のテレビ配線も、LAN 配線も、電話配線も、この装置を中心にして配置されることになる。



でも、当たり前だけどそんなに都合よく家の配線は集まっていない。

さらに言うと、ルーターが2段構成になってしまう。

(新しい機器は、電話は出ているが「IP電話」は出ていないことに留意。今までのルータを残す必要がある。)


2段構成はハングアウトが使えなくなる可能性があるから、あまりやりたくないのだけどなぁ。




今日来たのは光ファイバー工事担当の人。

テレビ工事担当の人は別になるので、どのように配線するのが良いかはわからない、という。


その家ごとに一番良い方法をとるので、場合によっては壁や天井に小さな穴を開けるし、いったん家の外に線を引き出すこともある、という。


なるほど。この言葉だけでもヒントになる。専門家ではないので、こんな些細な言葉でも「知らなかった」知識だ。


現在、光ファイバーと電話線は同じ部屋に引き出している。


今後は電話線が不要になるので、電話線の入っている管を使って、テレビの線を一度外に引き出すのが良いのだろうな。

で、外に出るとすぐにテレビ線用の別の管があるので、そちらから入れ直して、屋根裏にある家の中のテレビ線に接続する。

(屋根裏には、現在 CATV のブースターが設置されている。設置用にコンセントも屋根裏に置いてある)


現在テレビ専用の管は CATV が使っているが、どうせつなぎかえるときには CATV はあきらめるしかないのだろう。

先に線を引っ張り出してしまっても問題はない…かもしれない。

(ここのところは CATV 会社に聞かないとわからない)



ルーター2段構成を避ける方法は…これから考えないといけないな。





直後の追記


書き上げた直後に、NTTのテレフォンオペレーターから連絡があった。

工事内容変更の確認で、僕が注文した時の電話の人だった。


で、やっぱりこの人論理性がおかしい。僅かな時間話をしただけだけど、食い違うことがある。


そもそも、「昨日工事に行った」前提で話をしているし、記録上も昨日になっているという。

でも、僕は今日だと説明を受けていたし、実際工事の人は今日来た。


そのように説明しているのに、「でも記録では昨日になっている」と、自分の残した(?)記録のほうを信じている。


えーと、いちいちオペレーターの人がおかしいと指摘して感情を害することもないので、僕が勘違いしていて迷惑かけたけど、工事内容の変更お願いします、とだけ頼んでおいた。



テレフォンオペレーターが技術に詳しい必要はない。それは技術者の仕事だからだ。

今回、技術的要件で会話中に食い違いが発生した、というだけのことで、オペレーターの人が悪いとも思っていない。


でも、会話内容の記録が間違っていて、状況証拠的にも間違いが明らかなのに、記録を正しいと妄信して会話するのはオペレーターとして3流だと思う。

正しい取次ぎをするのがオペレーターの仕事なのだから。



さらに夕方追記


上記の連絡では、工事内容の変更の詳細日付などが確認できないということで、日程確定は後になっていた。

夕方4時半ごろ電話があり、来週の午後と決まった。


作業手順としては、光回線工事をして、その後別の会社の方が来てテレビ線工事、だそうだ。


今朝、回線工事の方が「テレビ線工事次第で置く場所など変わるかもしれないので、今日は工事しないほうが…」となっていた。

でも、結局テレビ工事は「光回線工事を終わらせた後、その場で一番良い方法を考える」方法をとるらしい。


じゃぁ、今日回線工事をして帰ってもよかったのではないか、とも思う。

回線工事の方も、全体の流れをちゃんと把握してはいないのだろう。


#それぞれ別の技能を持つ下請け会社に任せているのだろうから、把握していないことは問題ではない。


まぁ、僕にとってはこの猶予期間はありがたいものだった。

どのような機械を設置するか確認したうえで、「自分が工事してほしい内容」を再確認できたのだから。



回線工事の人には2度手間をお願いすることになって申し訳ないのだけど。


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中将棋(あるいは私的ゲーム論)  2015-11-28 10:09:39  コンピュータ 歯車

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長男が紙で中将棋の駒を自作し始めた。


しばらく前から将棋に興味を持っているのだけど、その興味は「将棋と類似のゲーム」にも向いている。

家にも象棋はあるし、チェスならパソコンで遊べるソフトもある。


でも、誰に似たのかマイナーなものを面白がる性格のようで、「家にある」ようなものでは面白くない。

最近では、「中将棋を遊んでみたい」と言っていたのだけど、どうもルールに不明な点があったようだ。


それを、図書室で中将棋について詳しく書かれた本を見つけ、ついに駒の自作を始めた、という次第。




話は急に変わるが、将棋って、「ウォーシミュレーション」の一種だ。

個性のあるユニットを動かし、それぞれの得意を活かし、欠点をほかの駒で補う形で戦う。


いわゆるウォーシミュレーション…パソコンでは現代大戦略とか懐かしいのだけど、そういうゲームではユニットごとの「強さ」もある。

隣接したマスで戦闘状態となり、サイコロと強さの勘案によって戦闘の勝敗を決する。


でも、将棋ではユニットの強さは存在せず、個性は「移動範囲」のみだ。


ウォーシミュレーションでは、1ターン(片方が戦略を考える期間)で、すべてのユニットが行動できる。

でも、将棋では1ターンに1ユニットの移動のみだ。



将棋が単純すぎるとか、ウォーシミュレーションがリアルだと言っているのではない。

どちらもシミュレーションにすぎず、リアル…現実には程遠い。


シミュレーションで大切なのは、現実のモデル化であり、モデル化に必要なのは、計算可能な範囲の複雑さの中で、最大限に現実を模倣することだ。


「気軽に」楽しむゲームとしてのシミュレーションとしては、計算可能な複雑さが低いため、将棋はうまくモデル化できている。


ウォーシミュレーションはコンピューター以前からボードゲームとして存在していたが、複雑すぎてマニアでないと遊ばなかった。

パソコンの普及により、計算可能な複雑さが上がったために一般に楽しまれるようになったに過ぎない。




さて、話を中将棋に戻す。


中将棋は、今ではほとんど遊ばれていない将棋の一種だ。



チェス(の元となったゲーム)が中国を通じて日本に入ってきて将棋となった。

その後、日本で改良されて「大将棋」というものが作られる。


この大将棋、記録に残ってはいるが、本当に遊ばれたかどうかすら怪しまれていたそうだ。

現代では「どうも本当に遊んだらしい」と考えられているが、怪しまれるほど複雑怪奇。


普通の将棋(本将棋と呼ばれる)は、縦横9マスの全81マス、双方8種類・20駒を使って戦う。

これに対し、大将棋は縦横15マスの全225マス、双方29種類・65駒を使って戦う。


規模…つまり、計算可能な複雑さが全然違う。同じ将棋という名前が付いてはいるが、大将棋はまるでウォーシミュレーションのようだ。

それがゆえに、考案されてもしばらくして廃れてしまったようだ。


そして、大将棋を少し整理し、簡略化した「中将棋」が普及する。


江戸時代には、将棋の強いものには幕府から給与が出ていた。

これが「ウォーシミュレーション」だから、太平の世においても武士の勝負勘を養うのに有用とされていたのだろう。


しかし、江戸時代が終わるとこうした給料も無くなり、急激に将棋が衰退する。

中将棋もその時に、事実上なくなっている。

(一部の愛好家が「文化を失くしてはならない」と頑張ったため、現代にもルールなどが伝わっている)



さて、幕府の庇護が無くなったから中将棋が無くなった、というのであれば、なぜその時に本将棋は無くならなかったのだろう?

本将棋は、先に書いた「計算可能な複雑さ」と「現実のモデル化」のバランスが、一番とれていたからではないのだろうか?


一番バランスが良い、というのを現代的に言い直すならば「ゲーム性が高かった」ということだ。

もっと簡潔にいえば「面白かった」の一言に尽きる。


面白いゲームだけが生き残り、そうでないものは淘汰される。

非常にわかりやすい話だ。




これ、今でも同じことが繰り返されている。


新しいタイプのゲームジャンルが確立すると、真似をする会社(フォロアー)が急激に現れ、差別化のために複雑さを増していく。

最初のうちは「より面白くなっていく」こともあるけど、ある地点を超えると、複雑さを増やすことがマイナス要因になっていく。


でも、差別化のために複雑さは加えられ続け、最期にはユーザーが離れ、そのジャンルが終焉する。

終焉するとは言っても、「一番面白かった」もの…最終形よりもはるかに単純だった時代のものは残り、後世に伝えられていく。



こう書いただけで、「あぁ、あれのことか」と想像してしまう人も多いと思う。


いや、ここで書いた「あれ」とは、僕が特定の何かを示唆しているという意味ではない。勘ぐらないでいい。

ただ、世の中すべてのゲームジャンルで同じ構造が見られるので、枚挙にいとまがなく、誰だって自分の好きなジャンルで例を挙げられるだろうということなのだ。



以前書いたけど、僕は「悪魔城ドラキュラ」というファミコンのゲームが好きだった。

スーパーマリオなどの横スクロールジャンプアクションに属するのだけど、ホラータッチの独特の世界観と、「ムチ」という特殊な攻撃方法が差別化要素となっていた。


このゲームは大ヒットしたので続編が作られる。

しかし、この続編が…好きな人もいたと思うので申し訳ないのだけど、僕にとっては余計なものだった。


どんどん新要素が付け加えられ、僕にとってはどうでもよいゲームになっていく。

X68k で、初代がリメイクされ、これは素晴らしい出来だった。もちろん「新しい要素」は加えられているのだけど、初代の良さを「邪魔しない」追加方法だった。


つまりは、初代は良かったけどそれ以降はつまらないと思っている人が、僕以外にもいたということだ。

「後世に残したい単純なもの」としてリメイクがなされたのだと思っている。



同じように、ROGUE も好きだが、NetHack や Angband は別に好きではない。

でも、風来のシレンは好きかな。ドラキュラにおけるリメイク、のような位置づけ。


スーパーマリオもたくさん続編があるけど初代が好き。

「夢工場ドキドキパニック」(のちのスーパーマリオUSA)も好きだけど、これは関係のない話か。


ミスタードリラーも初代が好き。


コラムスは、リメイクである97が好き。

初代も捨てがたいが、それ以外は別に好きではない。




複雑さを増す要因は2つある。


1つは、いわゆる中二病。「俺の考えたやつのほうがおもしろいぜー」って追加要素を入れるのだけど、いたずらに複雑化させるだけで、実は面白くない。


面白くない、と書いたけど、大抵入れたときには「おぉ、本当に面白れーじゃん」と周囲が受け入れる。

それは、既存のゲームに飽き始めているから。新しい要素が入れば何でも面白く感じる、というだけ。


このルール、実は面白くないんじゃない? と気づくのはかなり時間がたってからで、その時には周囲全員が遊んでいるルールを「今更戻そう」なんて誰も言い出せず、複雑なルールが残り続ける。


時々、思い切ってルールを単純化することで面白さを演出する、という試みをする人が出ることもある。

将棋においては、近年の「どうぶつしょうぎ」が良い試みだった。3*4マス、各自4種類・4駒で戦うのだけど、ちゃんと将棋として成立していた。



ゲームではないけど、SNSの世界では、思い切った簡略化を行ったのが Twitter だった。

でも、これは簡略化しすぎで、後で少しづつ機能を追加している。簡略化された世界観に合わず、ちぐはぐな拡張も見受けられる。

簡略化したいのか複雑化したいのかわからない態度に、日本以外では急速にユーザー離れが進んだそうだ。


逆に、いろんなSNSを分析し、問題点をすべて解消しようとして複雑怪奇な仕組みを作ったのが Google+ だ。

確かに問題は解消されているのだけど、複雑すぎる。複雑さを乗り越えてまで使いたいと思う人が少なく、ユーザーが少ない。



話を戻して、複雑さを増すもう一つの要因は、商業上必要な差別化だ。


根本からゲームを練り直してオリジナルを作るのが、一番の差別化になる。

でも、全くのオリジナルは、売れるかどうかもわからない。商売としてはギャンブルで、実はよくない。


それよりは、流行したゲームの後追いをしたほうがいい。

「本家」ほど売れないとしても、そこそこの需要は見込める。うまくいけば本家のユーザーをごっそりいただけるかもしれない。



こう考えると、元となるゲームをほぼ模倣しつつ、新しい要素を一つだけ付け加える、というのが最良の戦略とわかる。

これが、商業的なゲーム作成における、一番上手な差別化の方法だ。


数多くのフォロアーのゲームのうち、ヒットが出ると、またそのフォロアーが出る。

繰り返すうちに、ひとつづつ付け加えられた要素が重なり合い、複雑さの度合いを増す。


「ディフェンダー」を真似して「スクランブル」が作られ、それを真似して「ゼビウス」が作られ、「グラディウス」「R-TYPE」と続き…という流れだな。

その陰に、消えていったフォロアーが山ほどある。



「フォロアー」は何も他社ばかりではない。続編を作るのだってフォローのうちだ。


これは伝聞なので間違いもあるかもしれないが、「ミスタードリラー」は、発売前にかなりいろいろ実験をしたそうだ。

その結果、一度複雑さを十分に増し、それらの複雑さを排除し、一番面白いバランスになるところを見つけて発売、という方法をとっている。


そして、面白かったから大ヒット。大ヒットしたゲームの常として、続編が求められた。

すでに「これ以上複雑にするとつまらなくなる」境界を見極めているのに、続編で差別化を行わなくてはならない。


スタッフは反発したが、会社命令で作らなくてはならない。

企画書に「スーパーミスタードリラー2ダッシュターボZ」とかってタイトルを書いたらしい。もう、これ以上続編が作れないように。


この名前は許可されず、「ミスタードリラー2」という普通の名前になり、シリーズは続くのだけどどんどんつまらなくなっていった。


これ、会社が悪いとかスタッフがかわいそうという話ではないよ。

商業主義、資本主義では、スタッフが望んでいなくても「ファンが望む限り」続編を作らないといけないのだ。


ひどいのは会社ではなく、ファン。

続編を出さないと「続編ないのですか」と言い続け、続編を作ると「つまらなくなった」と酷評する。

でも、それは悪いことではなく、ファンの権利だ。ファンがお金を出すことで会社は潤うのだから。


これが資本主義の仕組みだから仕方がない。


そもそも、作られたゲームの多くは、ファンもつかずに消えていく。

ファンがついて続編を望まれるだけ幸せだというものだ。


2018.4.18 追記

上の話、書いた通り「伝聞」で聞いただけでした。

現実はちょっと違うようで、ドリラーシリーズのプロデューサーさんがツイートしていたので、リンクしておきます

(引用許可は取っていないのでリンクのみ)


2の時じゃなくて、G(3作目)の時の話だって。

名前も、長いのではなく「Z」ってつけただけだって。

(でも、これ以上続編は作らないつもりで名前決めたら却下された、というのは事実)




話は急に変わる。


ここは個人的な思いなのだけど、「複雑さ」にも2種類あると思っている。

ルールの複雑さと、状況の複雑さだ。


状況が複雑になると、判断しなくてはならないことが増える。

でも、ルールが複雑になると、判断が面倒になる。


ゲームの面白さは、多数の選択肢から判断を行い、その結果が判定されること…にある。

だから、状況の複雑さが増すのは、ゲームの面白さを増すうえで有用だ。


ただし上限はある。

人間の把握能力を超えるほど複雑だと、判断基準が失われて「運任せ」つまり判断の放棄につながる。



ルールを複雑にすれば、間違いなく状況は複雑になる。

でも、ルールが複雑になると、判断するときに考慮しないといけないことが増えて、面倒になる。


こちらも、最終的には判断の放棄につながる。



一番の上策は、ルールは単純明快にもかかわらず、状況が十分に複雑な状況を作り出すことだ。

ただし、そのようなルールを組み立てることは非常に難しい。




「状況判断」という言葉から連想しやすく、パズルゲームを例にとろう。

多くの人が知る名作パズル「倉庫番」は、ルールの設定が巧妙だった。だから名作だと言われるのだけど。


画面上には、たった5つのキャラクター。

「自分」と、荷物、壁、空地、そして「置き場所」。


自分を動かし、荷物を押すことができる。そして、すべての荷物を置き場所に収めれば成功。


壁は押せない。そして、荷物はその向こうが空地でないと押せない。

ルールはたったこれだけだが、非常に多彩な面構成が作り出せ、パズルとしてよくできていた。



「チューチューロケット」もよくできていると感心したな。


画面内には猫とネズミがいる。

いずれも直進し、壁にぶつかると右折する。


すべてのネズミを「ロケット」に誘導し、脱出させる。

猫がネズミ、またはロケットに触れれば失敗。


ユーザーは、事前に「矢印パネル」を置くことができる。

このパネルの数は限られているが、猫・ネズミを矢印方向に誘導する。


基本ルールはこれだけ。(細かなルールがもう少しある)

でも、倉庫番と同じように非常に多彩な面構成が作り出せた。



パズルとして、逆に「ルール設定が複雑すぎる」と思ったゲームもある。


ワリオの森。過去にどう複雑すぎるのか説明しているので、詳しくはそちらを見てもらおう。

複雑怪奇なルールで、ルールに従ってパズルを解く、ということ自体が困難。


面白くないのか、といえばそんなことはない。面白かった。

でも、良いゲームだとは思わなかった。




状況判断はパズルに限らない。

アクションゲームだって、ルールが複雑怪奇であるよりも、単純明快なほうがいい。

その中で、瞬時の状況判断を楽しめるように、複雑な状況を作り出すようにするのだ。


スーパーマリオなんかは、ヒップアタックとか空中での回転(ジャンプ時間延長)とか、複雑な操作が増えすぎて面白さを落としてしまっている、と思う。


もちろんそうした操作による操作の多様性で面白さを作り出している部分があるのは認める。

でも、初代スーパーマリオだって十分に面白い。単純明快な良さというのは存在する。


操作方法を増やした、というのは、複雑さを上げる方法としてはあまり上手な方法ではなかったと思うのだ。



シューティングゲームなんかでは、パワーアップ方法とかが「複雑なルール」を作り出す中心になっている。

敵にぶつかったらダメで、敵を撃てば撃破できる、という単純さは変わらない。

そもそも、シューティングは単純な爽快さが求められているものも多く、いたずらにルールを複雑化することはできない。



とはいえ、ルールの中の些細な部分…「画面上に同時に表示できる敵弾数」とかが、技術の進歩により飛躍的に増えた。

これだけで、弾除けの状況判断がずっと複雑になり、面白さが変わってきた。


いわゆる「弾幕シューティング」の誕生だな。

こういうのは、複雑にするうえで上手な処理方法だったと思う。



対人対戦、というのも、上手な方法だった。

元々 CPU 対戦ができるようなゲームなら、ルールは全くそのままで、ただ CPU ではなく人と遊べるようにするだけ。


でも、人はコンピュータープログラムに比べて、ずっと複雑だ。

これだけで状況は限りなく複雑になる。




話がだらだらと長くなったので、最初に戻して締めくくろう。


ゲームを面白くするためには、状況をより複雑にし、「判断の選択肢」が増えると良い。


そのために、大将棋・中将棋では盤面を広げ、駒の種類・数を増やした。

でも、これによりルールが複雑化しすぎ、遊ぶ際に面倒が多くなって、廃れたのだと思っている。


本将棋(いわゆる将棋)だって、元となるゲームからルールは拡張されている。

しかし、盤面はそれほど広げていないし、駒の種類もそれほど増えていない。


でも、たった一つだけ、他のどのゲームにもない独自ルール拡張がある。

それが「持ち駒」だ。相手から奪った駒を、自分の駒として戦場に投入できる。


この「持ち駒」が大発明で、ルールとしては単純であるにもかかわらず、状況判断を非常に複雑なものにしている。

結果として、大将棋・中将棋よりも面白さを獲得し、最終的に生き残ったのだろう。


ルールの追加方法としては、かなり上手な処理だったと思う。

ゲームに追加アイディアを入れる際の、理想的なお手本である。



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PONG 発表日(1972)  2015-11-29 11:31:03  コンピュータ 今日は何の日

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今日は、世界最初のビデオゲーム、「PONG」が発表された日(1972)。


発表といっても、プロトタイプは8月には完成して、地元のバーに置いてもらっていたそうです。

そこでお客さんに好評だったので量産体制を整え、1972年の今日、正式発表。



ポン以前、ビデオゲーム市場は存在しませんでした。

「テレビゲーム」が存在しなかったわけではなく、市場が存在しなかったのね。


しかし、ポンは大ヒット。それまでピンボールなどを置いていたバー(酒場)を中心に、多くの店がゲームを置きます。

非常に単純なゲームで対戦型だったため、酔っ払いが気軽にお金を出して遊ぶことができました。



ポンの類似ゲームを各社が作り出しますが、ポンの作者であるノーラン・ブッシュネルは特に訴えませんでした。

ポンの売れ行きが良く、生産・販売で忙しく、訴える時間が惜しかったのです。


ポンの販売台数は正確に把握されていませんが、およそ1万台。

コピーゲームを含めると10万台程度売れたとされています。


ポンのコピー商品を作ることで、ビデオゲーム会社が乱立し、流通網も出来上がり、「ビデオゲーム市場」が形成されます。


2年後、ポンの生産は終了します。さすがに市場にポンとその類似商品があふれかえり、売れなくなったのです。

(人気が衰えたわけではなく、お店に置かれた台はまだ人気がありました)



この状況は他社も同じで、それぞれが「次のゲーム機」を工夫して作り始めます。

これによって、多種多様なゲームが生み出されていくことになるのです。




最初に「世界最初のビデオゲーム」と書き、その数行下に「テレビゲームが存在しなかったわけではない」と書きました。


実際、家庭用テレビゲームの元祖である「オデッセイ」は、ポンより先に発売されています。

…それどころか、ポンはオデッセイで遊べたゲームのうち一つを、より面白く作り直したものでした。


それでも、ポンは世界最初のビデオゲームなのです。

なぜなら、「ビデオゲーム」という言葉が、ポンを表現するためにノーラン・ブッシュネルが考案したものだから。



ポンは日本でも発売されているし、コピー品を作っていたメーカーもあるのですが、それほどメジャーな存在にはなり切れていませんでした。

酒場でも遊べるように極度に単純化した「ポン」を、エレメカ中心で複雑な内容が多い日本の遊技場においても、見栄えが悪かったのかと思います。


このため、ビデオゲームという呼称は日本では普及していません。


#日本には、酒場にゲームを置く習慣はありませんでしたし。

 遊技場は主に遊園地の一角や観光地の片隅、デパートの屋上などにありましたが、それほど人が来るところではなく、注目度は低いです。



ところで、オデッセイは「テレビゲーム」と銘打っています。


日本では、オデッセイを発売したマグナボックス社の協力の元、エポック社が「テレビテニス」を発売しています(1975)。

これが多くの日本人にとっては最初の「テレビゲーム」となり、テレビゲームという呼称が一般化するのです。


ただ、家庭用としては非常に高価だったため、認識はあっても「遊んだ」ことのある人は多くありません。



そのあと、タイトーが「テーブル型筐体」を開発し、それまで遊技場にしか置かれていなかったテレビゲームを、喫茶店に設置できるようにします(1976)。


当初は、ポンから派生したゲームである「ブロック崩し」が入れられました。

ポンはヒットしなかったけど、これはヒット。


気軽に手の届く範囲にある、ということが大切なのです。遊技場はそれほど人の来る場所ではなかったからね。

欧米での「酒場」に相当する場所が、日本でもやっと見つかった格好です。


この直後、タイトーがブロック崩しと、当時のSF映画ブームをヒントに作り出した「スペースインベーダー」(1978)が大ヒット。

日本でも業務用ゲーム市場が形成されることになります。




ポンは、世界最初のビデオゲームであり、市場を形成した重要な作品でした。


でも、これ以前にもテレビゲームはたくさんある。

興味を持った方は、「世界初のテレビゲーム」も併せてお読みください。


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