いつものように4時半に起きて皿を洗っていると、5時ごろ妻が起きてきて「おっきいスマホ貸して」という。
おっきいスマホ、とは、仕事で借りている Galaxy nexus (SC-04D) のこと。
3G通信しなければ自由に使ってよい、といわれているので家で便利に使っている。
妻はしばらく空中であちこち動かし、「ちょっと出かけてくる」。
これで大体察しは付く。空中で動かしているのは、Google Sky Map を確認しているのだ。
ということは、なにか珍しい天体現象があるということだ。
なにがあるの? と聞くと、水星の西方最大離隔だそうだ。
って書いたところで何のことやらわからない人のほうが多いだろう。
太陽の周りを回っている惑星、一番内側は「水星」だという知識を持っている人は多いと思う。
では、水星を見たことある人は?
水星を見るのは結構難しい。太陽の近く過ぎて、太陽がまぶしくて見えないのだ。
見えるのは、太陽が地平線に沈んでいて、水星だけが空に現れる瞬間だけ。
「だけ」と書くのは簡単だが、このタイミングが難しいのだ。
太陽から見て、東側に水星が離れた場合、太陽が沈んだ直後に見られる。
つまり、夕方に水星が見られる。
妻はこのタイミングを狙ってここ2年くらい水星を見ようとしていたのだが、そのためには太陽が地平線・水平線に沈まなくてはならない。
家の近所でそのような条件の箇所が見つからず、なかなか見られないでいた。
我が家は鎌倉で…中学校の歴史で習うと思うのだが、鎌倉は山に囲まれている地形なのだ。
そこで、考え方を変えて、太陽から見て水星が西側に離れた場合、つまり明け方に見ようとしていた。
家の近所で出来る限り東の空が開けて…地平線が見えるような箇所を探していた。
西方最大離隔、とは、つまり今日が西の方角に一番離れる日だと言う事だ。
というわけで、今から見つけておいた場所に行ってみるつもり、とのこと。
新聞を取りに先ほど外に出たが、今朝は初霜が降りていた。しっかり防寒して、という。
僕も興味はあるけど、子供が起きてくるといけないから家にいる。
しばらくして、「みえた~」と言いながら帰ってくる。
しかも、「確認して帰ってきたら、家の庭からも見えてた~」とのこと。
せっかくなので望遠鏡で見る、と準備しているので、僕も外に出る準備をする。
庭先なら観察できるから。
見ると、たしかに水星が見えていた。
夏だと太陽は山の端から出るために水星観察が出来ないのだが、冬至の近い今は、ぎりぎり谷戸の中央、山の切れ目の部分に出てくるようだ。
水星のすぐ上には金星。さらにすぐ上に土星。ほぼ直線に並んでいる。
さらに直線を延ばすとスピカが光っているが、これは偶然。
惑星って、ちゃんと同一平面状にあるねぇ、と僕が言う。
そして平面が微妙にずれてるねぇ、と妻が言う。
実際それがわかる配置になっているのだ。
#以下、5日後の追記
一度見えるポイントがわかれば、「最大離隔」でなくても結構見えることがわかった。
水星の動きは速いが、5日経ってもまだ見える。
追記終わり。
さて、そんなわけで妻の以前から念願であった「水星を見る」という夢を果たしたわけだが、ついでにもう一つ。
今日大平さんのイベント行かない? と持ちかけてみる。
大平さんとは、メガスター作者として有名な大平貴之氏のこと。
(という説明でわからない人は、ここから先は読んでもつまらないだろうから帰ってよろしい)
その大平さんが、六本木ヒルズでスカイ・クルーズ・プラネタリウムというイベントをやっているらしい。
先日知って妻に教えたところ、見に行きたいと言っていた。今なら二人とも仕事が多少余裕があるんで、忙しくなる前に見に行こうという相談だ。
妻も異論はないようで、見に行く。
結構チケット高いです。2000円。
でも、これはプラネタリウム代だけではなく、展望台と、美術館の入場料金込み。繋がった施設だから込みこみなのね。
プラネタリウムイベント開館時間前だったので美術館を見に行く。
…知らない作家さん。というか、僕は美術作家なんてほとんど知らない。
えーと、美術品なので、実物を見ると迫力が違うと思います。
ネットでも検索は出来るだろうけど、絵に関しては多く語らないでおきます。
興味のある人は見に行きましょう。
と、前置きした上で。
中二病です。いい年した作家さんだけど、すごく中二。
前半、中二っぷりに「なにが評価されている人なんだろう」と理解できなかったのだけど、それはある程度時代を追いながら展示してあるから。
最初は、本当に中二病。自分の欲望を丸出しにするのが恥ずかしいから、斜に構えている。欲望を丸出しに見せたいくせに、見せたくないフリをしているのが、非常にウザい。
でも、最近の作品に行くに従い、中二っぷりが切れを見せ始めます。欲望丸出しで、斜に構えるところがなくなると、むしろすがすがしい。
で、最後は圧倒されて、確かにすごい人だと認めるようになりました。
代表的な作風は、かわいい女の子を裸に剥いていたぶること。
手足ちぎって料理していたり、手足切断して犬扱いしていたり、シューティングゲームのターゲットとして惨殺したり。
もう、エロ漫画でも描かないような、「かわいい女の子を自分の好きなようにもてあそびたい」という願望をそのまま出した感じ。中二としか言いようが無い。
でも、中二であることは本人も自覚しているし、それを確かな技術で描いていたりするので、エロ漫画とも違う独特の世界になりえている。
それ以外の作品も多数あった。たとえば、平安時代の巻物のように、綺麗な和紙を長くつなげて、崩し字の美しい綴りで言葉を書き連ねていた作品があった。
なんだろうと読んでみると、2ch のどっかのスレから抽出したと思われる罵詈雑言が、延々と書き連ねてある。
非常に美しい文字で。「美しい日本語」として。
ひとりでデモ行進が出来るマシン、というのもあった。
マイクに向かって演説をすると、最後の部分だけを後ろの人形たちが合唱する。シュプレヒコール、ってやつを自分ひとりだけで行える。
人形がおざなりに作ってあるいい加減さに、こういったデモ行進は「どうでも良いのだ」という感じがにじみ出ている。
デモ行進、という何かに対する反逆に対して、反逆している感じがある。
近年のテーマとしては、ダンボールで安っぽい彫像をつくる、ということがあるようだ。
ワークショップとして、素人に巨大なダンボール細工を作ってもらう。寄せ集めて芸術作品とする。でも、ダンボールだから展示が終わったら捨てる。
本来、長期保存が前提の「美術品としての彫像」を、気軽に、いい加減に作って捨てるもの、として再定義しようとしている。
結局、この作家さんとしては、すべてに反逆することから始まっているようだ。それと、中二的な悪ふざけ。
美しい絵にもどこか毒があるし、エロ漫画みたいな絵も、それが眉をひそめられることを理解したうえで描いているのだろう。
さて、目的ではなかった美術展の話を長々書いたのにはわけがある。
最終的な評価として、チケット代2000円のうち、1500円分くらいは美術展の料金だな、と思ったから。
…そう、期待していったプラネタリウムは、かなり期待はずれでした。
300円くらい出してもいいかな。残る200円は展望台の料金ね。
たぶんね、水星を見て喜んでいるような、本当に星が好きな人が見に行っちゃいけなかったんですよ。
しっかりと物は作ってあるし、言い方は悪いのだけど「大学祭かとおもった」。
やりたいことはわかるのだけど、なんだかスマートでない、もどかしい感じ。
六本木ヒルズだから、おしゃれなデートコースとして気軽に入るような人向けに作られているのだと思う。
…でも、その割にはウラシマ効果とか、泡状宇宙とか、40億年後のアンドロメダと銀河の衝突とか、そういう話も出てくる。
大平さんが星好きだからそういう話題を交えたかったのかもしれないけど、全体の中では「その話題出す必要あったの?」というような中途半端な扱いで、誰に向けてメッセージを出しているのか謎すぎる。
わざわざ鎌倉から電車で見に行くようなものではありませんでした。
星好きの人が見に行くようなものでもない。
おしゃれなデートコースに組み込むにしては、理系説明が面倒なのでこれも向かない。
(説明なんかすっとばして、キラキラ輝く星に「わーきれー」って言っているだけならいいけどね)
まぁ、たまたま通りがかって、理系の素養はあるけど星や宇宙論に詳しいわけではなくて、でも知りたいとは思っていて、2000円を気軽に出せる、という人なら見ても損は無いです。
(なんだかすごく狭いターゲットだな…)
翌日追記:
書いた後で調べたら、美術館に入るチケットもあって、1500円だった。
この金額で、展望台も入ることが出来る。
だから、主催者側としてはプラネタリウムは500円くらい、という認識のようだ。
まぁ、妥当な金額だと思う。
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