太陽系の惑星たち
目次
ヤヌス
しかし、太陽系ではヤヌスでしか見つかっていない非常に興味深い現象があり、そのせいでヤヌスは発見と喪失を繰り返した歴史があります。(そのせいで、ヤヌスには別名が沢山あります)
そして、そんな風変わりな衛星の名前を付けられたハードウェアがあります。セガが1996年末に発売したデジタルカメラ、 DIGIO がそれです。
元祖デジカメである QV-10 の登場が1994年末。2年たって高性能な製品も次々登場している中で、あえて QV-10 レベルの性能を維持し、その分安くしたカメラでした。
性能は悪くても、ゲームの入力機器としては十分。セガサターンのゲームとの連携も視野に入れていたため、土星の衛星の名前になったと言います。
…なんだろう。ファンキーヘッドボクサーズとか、その名残だったんだろうか。あれなら顔写真を撮って使う、ということもできたに違いない。
ST-V で提供されていた「プリント倶楽部2」では、DIGIO で撮影した写真をプリントすることもできました。でも、女子高生に持たせるには、デザインがかわいくない。
恐らくはサターンを使っている「かっこいいものが好き」な層に向けたデザインなのでしょうが、サターンとの連携はついに行われませんでした。
DIGIO はデジカメ市場の 30% を取る、という意気込みで開発されたそうですが、最終的には大失敗で終わります。
ところで、DIGIO の周辺機器として、PictureMagic という機械が発売されました。テレビに接続して、デジカメ画像を加工できるタブレットでした。カートリッジによるソフト交換が可能で、さまざまなことができる…予定でした。
実は、PictureMagic はスーパー32X を流用したハードです。というか、在庫基板をそのまま使用しています。
ただし、「メガドライブ」に相当する部分は、音源がカットされ、タブレットが接続できるなど、廉価に作り直されたものです。…ピコ、という言葉が頭をよぎります。スマートメディアカードも使えるなど、新たに設計された基板なのですが、ピコをベースにしているのではないのかな?
カートリッジはスーパー32X と同じものです。ただし、完全互換ではないと書いた通り、スーパー32X のソフトは動きません。追加カートリッジが発売予定でしたが、結局1本も発売されませんでした。カートリッジスロットはあるのに、同梱のカートリッジ以外使えないのです。
ところで、土星の衛星ヤヌスは、太陽系で唯一の「共有軌道」という不思議な現象を持っています。同じく土星の衛星エピメテウスと、同じ軌道を回っているのです。
DIGIO がヤヌスということは、同時開発の PictureMagic はエピメテウスだったのではないかな…と勝手な想像をしています。
ヤヌスとエピメテウスは、共有軌道を持っているために公転速度が変わるという特殊な天体で、発見後に見失われる、ということを繰り返しました。
DIGIO は目標のシェア 30% をとるどころか、ちっとも売れずに姿を消しました。…また我々の前に姿を現すことはあるのでしょうか (^^;
ネプチューン
さて、ここから先は「実際には発売されなかった」関連ハードウェアになります。(冒頭のジュピターだって発売されなかったのだけど)
大失敗だったスーパー32X ですが、後続ハードが計画されていました。メガドライブとスーパー32Xを一つにまとめて扱いやすくしたハードウェアで、開発名は「ネプチューン」(海王星)でした。
ネプチューンは雑誌などで発表されました。予定価格は $200でサターンの半額以下。メガドライブとスーパー32X を別々に買うよりも安いです。
ネプチューン自体には、メガCDの機能はありません。しかし、メガドライブの上位互換ですから、メガCDの接続も可能でした。(スーパー32X用 CD-ROM タイトルもわずかに存在しました)
本体、メガCD、スーパー32X…3つのものを1つにする、ということで「ネプチューン」の名前がわかるような気がします。神話のネプチューンが持つ武器、トライデント(三又矛)のイメージなのでしょう。
しかし、先に書いたようにスーパー32X は大失敗。これでネプチューンは発売中止となります。
実際、$200 という価格まで発表されているわけです。これはメガドライブよりも高いですが、先に書いたようにスーパー32X を同時に買うよりも安いです。
発売されなかった理由は、スーパー32X の商業的な失敗のみではないかと思います。
ところで、占星術ではネプチューンは「見えないもの」を意味します。発表はされたものの、ネプチューンは我々から見えないところに消え去ってしまいました!
…先に書いたように、在庫基板は PictureMagic として流用されますけどね。