いつも、歩く日は仕事の都合・天気・気温などを考慮して3日くらい前に決定します。
予定した25日は仕事の打ち合わせ翌日。次の打ち合わせまでは時間があるので、筋肉痛になっても大丈夫な日です。予報では24日は雨だが、25日は良い天気とのこと。
25日を選んだのはそういうことだったのですが、仕事の打ち合わせをしている時に雪が降ってきたのには驚きました。予報では雨だったのに…
東京で雪なら、箱根では絶対積もっています。一緒に仕事をしている知人からは「雪山をなめたらいかんよ」といわれる始末。
夜、家に帰ってから妻と相談。箱根は絶対積もってるけどどうする?
「多少無謀な方がネタとして面白い」という素敵な妻の意見。
一応お天気カメラで調べてみたところ、見事に積もっていました。交通情報も調べたところ、部分的に「雪のため」通行止めとなっています。しかし、旧街道沿いは通行止めではないので、予定通り決行することにします。
前回終了した風祭まで、電車で1時間ほどかかります。この時間がもったいないので、今回は朝ごはんも準備も電車の中で済ませる予定。
…甘かった。平日早朝の下りなら空いているだろうと思ったのですが、電車は満席。せっかく買った駅弁も、とても食べられそうにありません。藤沢を越えたら降りる人がいるかな、平塚を越えたら…と思いながら、結局小田原まで混んだまま。
小田原で乗り換え、箱根登山鉄道へ。始発で、乗り込んだときには人が少なかったので「いまだ」とばかり駅弁を1つ開けます。しかし、出発頃には満席に…通勤客の中で駅弁を食べているのは奇妙な光景だったでしょう。
2駅目の風祭で下り、結局駅のホームで駅弁の残りを食べます。そして、旅の準備。足にテーピングを施し、脚半がわりのサポーターをします。準備万端、いざ出発!
前振りが長かったですが、この時点で朝8時。結局いつもと変わらない出発時刻。出発してすぐに、コーヒーを飲み忘れたことに気付いてコンビニに入ります。缶のブラックコーヒーも、メーカーによってかなり味違うのね。
1時間近く歩くと、「国指定跡 箱根旧街道入り口」と書かれた立札がありました。自動車道沿いの短い区間ではありますが、古い石畳の道がそのまま残されています。
箱根は急坂が多く、旧道そのままでは自動車では進めないため、旧道に沿う形で新しい自動車道が作られており、今後は旧道と自動車道が複雑に交差しながら進む形となります。
このあとも特に何も無く、坦々と歩きつづけます。妻と初めて旅行したのが箱根湯本だったのでいろいろ懐かしい光景もありましたが、そういう話は個人的なものなので略します(笑)
市街地を抜け、山々が鮮明に見えてくると、上のほうが白く雪をかぶっているのがわかります。綺麗なのですが、これからあそこに入っていくかと思うと気が重い…
おそらくこのあたりも昨日には雪が積もったのでしょう。夜の間にほとんど溶けてしまったようですが、道端にとけ残りの雪だるまが残っていました。
歩く道にも徐々に雪が増え始めます。女転坂を越え、割石坂に入る頃には、すっかりあたりは雪景色。
しかし、気が重いと思っていた雪に実際遭遇すると、予想外の楽しさがありました。動物の足跡を発見したのです。
小さな足跡…ウサギか何かなら面白いのですが、形からすると多分野良猫あたりでしょうか。しかし、雪があったからこその発見でした。
しばらく歩いて再び市街地。畑宿です。
畑宿は寄木細工の工房がたくさんあるところで、町のはずれには寄木会館まであります。個人的には寄木細工は好きなので覗いて行きたいところですが、今日は目的が違うのでそのまま行き過ぎます。
畑宿を抜け、再び旧道に入るところに畑宿一里塚があります。
発掘調査に基づいて復元されたものですが、本来の形で残されているのは唯一ここだけだそうです。なるほど、見事に2つの「塚」が作られているのがわかります。
畑宿から一気に急坂を登り、見晴し茶屋についたのは10時15分頃でした。ここら辺になると雪も本格的に積もっていて、積雪量は2センチという感じでしょうか…。
箱根湯本から元箱根まではなんどか歩いたことがあります。その経験から見晴し茶屋が最初の「ヤマ」だと思っていました。
しかし、このときは実にあっけなく「あれ? もうついたの?」という感じ。ここで茶屋が開いていたら休憩しようと思っていたのですが、休憩する必要も無いくらい。というか、まだ店開いてないし。そのまま先に進むことにします。
見晴し茶屋から先は、それほど高低がありません。雪の中ではありますが、気楽な旅です。
そして15分後、「旧街道資料館」にたどり着きます。昔ながらの藁葺屋根に積もった雪が、なんとも風情があります。
しかし、ここではトイレを借りただけで先へ。隣にある甘酒茶屋もまだ開いていませんでした。
しかも! 朝1番の歩き客には無料で甘酒がふるまわれるとか…。こんな雪の日に歩く人は他に居ないだろうに。どうやら、我々はチャンスを逃してしまったようです。
やがて芦ノ湖周辺に出ます。それまで雪に覆われて白っぽい景色ばかり見ていたので、大鳥居の赤色が新鮮です。
時間は11時30分。少し早いのですが、山の中ではどこで食事が取れるかわからないので昼ご飯にします。
大鳥居のすぐ近くに、「絹引の里」という変わった うどん屋があったのでそこに入ります。
僕が食べたのは「天重小そばセット」(1400円)、妻が食べたのは「絹引きせいろ」(1000円)。
絹引せいろは、一見そばに見えますがうどんです。この店が独自に開発したオリジナル商品。
そばのように細いのですが、歯ごたえは弾力があって うどんです。基本的に冷たい せいろで食べるようで、つゆにつけながら食べます。蕎麦湯(うどん湯?)もちゃんと出してくれます。
僕の食べたセットの「小そば」は本当のそばです。しかし、注文したら「冷たいのと暖かいのどちらにしますか?」と聞かれました。
冷たい場合は絹引せいろになるそうです。絹引はうどんのはずなのですが…
どうも、絹引「うどん」と言っている割には そばのように扱われているようです。オリジナルで開発したものの、店の人もどう扱って良いのか迷っているのかも知れません (^^;
ちなみに味の方はというと、「まずくは無いが、値段相応ではない」です。芦ノ湖周辺なので観光地価格なのかも知れませんが。
12時少し前、ふたたび出発します。箱根の関所までは後少しです。
旧街道は、杉並木や杉林の中を通り抜けているところが多いです。雪が深いとはいえ、そういうところでは杉の葉に雪が積もり、足元にはそれほど積もりません。ある意味ありがたいです。
しかし、ありがたいばかりではありません。日が昇ってきたので、雪解けの水が滴り落ち、時には雪の塊が落ちてきます。その水量はちょっとした雨のよう。濡れながら歩いているのですが、歩いていて体温が上がっているし、寒くはありません。
杉の無いところは無いところで、こんな「石畳」に遭遇したりします。雪が一面を覆っていて、どこが石畳なのかわからない…
しかし、こんなところには動物の足跡があったりもします。最初に見つけた猫らしき足跡以外にも、犬(きつね?)らしきもの、イノシシらしい大型のもの、大きな鳥の足跡、などなど…。
一度など、リスが雪の上を走り抜けていくのを目撃しました。もちろん、走った後にはかわいい足跡がありました。