荒井  2003/7/18 11:30  「白須賀」まで 6.5km

広重が荒井で描いたのは、渡し舟がそろそろ岸に着こうかという風景でした。

広重「荒井」関所船着場



いったいこれはどこの風景なのだろう…と歩いていると、船着き場を発見。これが目的の風景かどうかは分からないのですが、とりあえず撮ったのが上の写真です。


問題は、この船着場が江戸時代からあったのかどうか。あったとすれば絵の地点はここで間違いないのでしょうが…

周辺を歩き回ったのですが、東海道の遺構であることを示すようなものはどこにもありません。5分ほど探し、あきらめて進むことにします。


先に進むとすぐ、荒井の関所跡がありました。特に興味は無いのですが、舞阪の脇本陣に続き、せっかくなので見て行くことにします。

しかし、見て行くことにしてよかった。ここで、広重の絵の地点が解りました。

広重「荒井」現在の「荒井」



広重の絵の右側、まさに着こうとする岸壁こそが「荒井関所」だったのだそうです。

荒井は関所内に船着き場があり、関所を迂回するルートがありません。そのため、箱根とならぶ重要な関所になっていたようです。


江戸から少し離れた「箱根」の関所、京都から少し離れた「関」の関所、そして中間地点の「荒井」の関所。この3箇所が重要な関所だったそうです。

ということで、復元された船着き場から、復元された関所を撮影。なにぶん敷地が狭いので、広重の絵よりも関所に近づき過ぎているのはご愛嬌。

関所のついでに、関所に併設された資料館、さらにすぐ近くにある本陣後も見学します。

こんなに観光旅行するつもりはなかったのに、ここらへんは興味深い遺跡が多いです。


例によって、詳しいことは「大人の社会科見学」に…いつか書くと思います (^^;


さて、一通り見学もすんで再び出発。時間はすでに13時で、暑くなって来ました。

「アイスが食べたい」と言い続ける妻。そんなとき、ちょうど目の前の小さな商店に「アイス3割り引き」の張り紙が。それだ!


カップアイス2個(147円)を買い、歩きながら食べます。お互いのアイスを味見なんかしたりして歩いていると、ちょうどバス停のベンチにすわっていたおばあさんに「二人でアイス食べて、仲良いなぁ」と冷やかされます。

荒井一里塚冷やかされたことはちょっと恥ずかしかったのですが、見ず知らずの人でも声をかけてくる、田舎っぽい空気はほのぼのしていて好きです。

アイスを食べながら歩いていると、一里塚発見。しかし、これを過ぎるとまた、何も無い道が続きます。というか、昼ごはんにしたいのに食べれるようなところもない。


腹を減らせて歩くこと30分。疲れと暑さと空腹で、元気が無くなって無口になっていました。

そんな時、道端になにやら掲示が。どうやら、ここらへんが立場跡になるようです。


立場というのは、宿間に設けられた休憩所のこと。茶屋を併設する場合もありました。

ここの立場跡の掲示に、こんなことが書かれていました。


立場では旅人を見ると湯茶をすすめたので、ある殿様が
   「立場立場と 水飲め飲めと 鮒や金魚じゃあるまいに」
     という戯歌を詠んだという話が残っている。


なんか知らんが、この戯歌の「鮒や金魚」という言い回しが妻と僕の間で大ウケ。この話で少し盛り上がって会話が弾み始めました。

なにか話しながら歩いているほうが、無口で歩くより楽しく歩けます。

戯歌のことから話は広がり、江戸時代の文芸のことなど取り留めの無い話題をしながら歩けば、白須賀宿はすぐそこです。

(ページ作成 2003-10-06)

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