江尻  2003/4/9 8:00  「府中」まで 10.5Km

江尻(現在の清水)ともなると家からも随分離れ、新幹線を使った方が良い状況となってきました。


しかし、それでも今回は普通電車を使います。理由は、「青春18切符」を使いたかったため。期間限定の切符ですが、普通電車1日乗り放題です。

青春18切符は5回分が1セットで売られていますが、今回は僕と妻の往復の4回分で足ります。どうするか?

こういう時には、「だれかが1回使った切符」を購入すればいいのです。金券屋等でも売っていますが、ヤフーオークションで7668円(振り込み手数料込み)で購入。期日が迫っていることもあり、随分安く入手できました。


青春18切符では普通電車しか乗れないので、当日は4時半に起きて始発に乗ります。まさに「七つ立ち」の旅となりました。

電車の中で朝ご飯朝ご飯は駅の近くのファミリーマートでお弁当を購入。そぼろ弁当330円、ネギ塩カルビ弁当380円でした。これは電車の中で食べます。なにせ、片道2時間以上かかりますので…



片道2時間もかかって日帰りでは、お金ももったいないし距離も稼げません。そこで、今回は静岡に住んでいる大学時代の友人に連絡をとり、一泊させてもらうことになっていました。

当初予定は3月中旬だったのですが、僕の仕事の予定が合わずに延期します。その後も友人との都合がうまくあわないうちに、気付くと青春18切符の使用期限である4月10日が近づいてきました…


やっと日程調整がついたのが、4月8日〜10日の3日間のうち、2日。青春18切符の使用期限というのは、本当に「10日の23時59分まで」なので、帰りに余裕を持たせるために8〜9日を計画します。

しかし、5日前になって週間天気予報を見ると、8〜9日はずっと雨。9日の午後には晴れてくるというので、予定をずらして9〜10日とします。あとは予報が後ろにずれないことを祈るのみ…


前日の8日、週間予報では「午後から雨」でしたが、実際には朝から雨が降っていました。そして、当日の予報では「夜半に晴れる」。つまり、予報は前倒しになったのです。一番ありがたい状況です。

この日は早く寝て、翌日…つまり、旅に出た今日は朝4時半に起きたというわけです。


清水駅に降りたときは、すでに7時半。2時間以上も電車に乗っていました…

駅のキオスクで「追分羊羹」を買います。前回食べておいしかったので、これは今日泊めてもらう友人へのおみやげ。

出発の前に、東海道とは逆の方向に行かなくてはなりません。広重が描く「江尻」が、清水湊の風景だからです。

広重「江尻」現在の「江尻」



清水港のはじっこで写真を撮ります。本当は絵は「三保の松原」を描いたものですが、鳥瞰視点でないとどれが三保半島やらわかりません。

おそらくは、写真右手の水平線付近に写っている対岸が三保半島…そして、広重の絵で「山」が描かれている方向には富士山が見えます。

このあと、旧東海道まで戻ります。長い前振りでしたが、ここからやっと出発。この時点で8時を過ぎていました。出発時刻を7時半と考えていたので、30分のタイムロスです。


追分羊羹本店20分ほど歩くと、「追分羊羹」の本店がありました。あることは知っていたけど、朝早くから開いているとは思わなかった…。だからこそ駅でおみやげを買ってきたのですが、せっかく開いているのだから店に入ります。

ずいぶん人懐こそうな店主が、羊羹の説明などをしてくれます。「実は、一度駅で買って食べたら美味しかったから買いに来たんですよ」というと、うれしそうにしています。

せっかくなので、もう一本羊羹を買います。これは仕事先へのお土産に。駅では消費税込み850円の羊羹は、本店では税別800円で売っていました。800円の5%は40円なので、駅で買うと10円高いことになります。


「いつもならお茶など出すのですが、店を開けたばかりでまだお湯も沸いていないんです」と店主が申し訳なさそうに弁明します。そして、「これからどちらまで歩かれるんですか?」

清水駅から歩いてきて、今日の予定は藤枝で一泊というと驚かれました。東海道を歩く人はずいぶん多いようですが、そんなに歩く人は珍しいようです。


草薙一里塚雨を心配していたのに、空は見事に晴れ上がっています。道には車も少なく、歩道も十分に幅を取ってあります。非常にのんびりした気分で歩いていると、9時頃に「草薙一里塚」を発見しました。

…草薙? 草薙って、あの三種の神器、草薙剣(くさなぎのつるぎ)の草薙だろうか?


「日本武尊(ヤマトタケル)がどこの人かはともかくとして、近畿のほうから東国(あずまくに)に遠征にきたのだから、ここら辺に伝説があってもいいんじゃない?」と妻。なるほど。神話としては知っていたけど、あまり深く考えたことは無かったな…

後で調べたところ、火攻めに遭った日本武尊が持っていた剣で草を薙ぎ払い、難を逃れた地がまさにこのあたりだったようです。草が焼けた地が「焼津」なのだとか。



それから30分ほど歩くと、鉄道の路線の前に出ました。あらかじめ調べてきた地図でも、ここら辺で「なんとかして」線路の向こうに出るということ以上わかっていないのだけど…

北村地下道周囲をみわたすと、小さな地下道がありました。あぁ、なるほど。この地下道を通るわけか。

狭いとは言っても、立派な地下道です。しかも、中に入ると入り口よりも広くなっていました。ちょっとしたホールみたい。

その、ちょうど広くなっている部分で「プァン」とけたたましい音が聞こえました。一瞬後ろからクラクション鳴らされたかと思いましたが、こんな地下道だからそんなはずありません。よく見ると、天井部分は多少光が入ってきているので、地上の音が聞こえたのでしょう。

「あぁ、ビビった。車がきたかと思ったよ」「私も思わず後ろ振り返っちゃったよ」なんて笑いながら歩いていると… ブォォォォ とエンジン音を響かせて、後ろから車が来ました。場所は、ちょうどさっきのホール部分を抜けて狭くなったところ。おい、こんな狭い道でそんな勢いで走るなよ!

逃げる場所も無く、走って出口まで行きます。コメディー映画じゃないんだから。あぁ、怖かった。


長沼一里塚線路を越えた後は、またのどかな道が続きます。さらに30分ほど歩いた10時頃、「長沼一里塚」を発見。

草薙一里塚はずいぶん立派だったのですけど、長沼一里塚は民家の軒先で花に囲まれていました。なんだかほのぼの…

一里塚跡は大抵正面から撮影しているのですけど、思わず花が入る構図で撮ってしまいました。左にある石の塔が一里塚跡です。


歩いていて、どうもおなかがすきます。そりゃ、考えてみればあたりまえの話で、4時半におきてから小さなコンビニ弁当だけしか食べていないのです。

なんか食わない? と妻に提案しますが、今日はこの先ずいぶん買い食いしたいものがあるので、ちょっと渋られます。

しかし、そのまま30分も歩くともう限界。妻のほうも元気がなくなってきて「なんか食べよう!」と言い出す始末。

ちょうどサークルKがあったので入ると、新製品の「アチアチバンズ」をセール価格の100円で売っていました(通常は128円らしい)。チーズピザ味とベーコングラタン味を買って、食べながら歩きます。

食べたらちょっと元気が出ました。もうすぐ府中です。

(ページ作成 2003-05-01)

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