2014年06月26日の日記です


ロバート・エバレットの誕生日  2014-06-26 15:45:07  コンピュータ 今日は何の日

今日は、ロバート・エバレットの誕生日(1921)。


誰それ。…という反応が正常です。

Whirlwind I 、というあまり知られていないコンピューターがあり、そのコンピューターを作成するプロジェクトの、No.2 の地位にいた人です。普通知らないわな。


世界初のコンピューターってどれ? という質問に対しては、普通は ENIAC という答えが出てきます。


ちょっと聞きかじった人なら、ENIAC よりも古いとされる ABC や Z4 を答えるかもしれません。

一方で、現代的なコンピューターの条件として「ノイマン型」を理解している人なら、EDVAC や EDSAC あたりを挙げるでしょう。


でも実は、それらのコンピューターの設計は現代とはかなり違います。

少しでも早く計算を行うにはどうすればよいか、軍の予算をふんだんにつぎ込んで、MIT の天才たちが作った、常識外れのコンピューターが Whirlwind I でした。


当時はまだ「スーパーコンピューター」という概念は無いのですが、世界初のスーパーコンピューターだった、と呼ぶ人もいます。



そして、この設計手法は非常に良いものだったので、その後のコンピューターのスタンダードになっていきます。

現代の PC は、 ENIAC や EDSAC の子孫と言うよりも、Whirlwind I の子孫です。


歯車計算機が類人猿で ENIAC がアウストラロピテクスだとしたら、Whirlwind Iでホモサピエンスになった、というくらい違います。

(なんだ、このわかりにくい例えは…)




で、エバレットはそのプロジェクトの No.2 で、事実上の最高責任者でした。


なんで No.2 なのに最高責任者?

それはもちろん、No.1 が各界の調整で多忙を極めたためです。


Whirlwind I の作成は、非常に大規模なプロジェクトでした。

軍と、軍の研究機関と、MIT の3者で連絡を取り合いながら作成されています。


予算も膨大。関わる人数も膨大。もちろん資料や会議の回数も膨大です。

プロジェクトリーダーは多忙を極め、現場の指揮はできません。


それで、エバレットが no.2 でありながら、事実上の最高責任者となったのです。


後に、関係機関の連絡を取りやすくしたり、特許を集約する目的で、MIT 発祥の軍需会社 MITER (マイター)が生まれています。

この時にもエバレットは創設者に名を連ね、後には最高責任者も務めています。




Whirlwind I は、コンピューターにディスプレイが接続された初めてのマシンでした。


面白そうなデバイスを見たら遊んでみるのがプログラマーの常。

Whirlwind I の完成前、まだ一部機能しか動いていない段階で、すでに「弾むボール」というプログラムが作られています。

ディスプレイに、ボールが放物線を描きながら飛び、落ちると弾む、というだけのもの。


これ、歴史的なことを知らないと全く理解できませんが、「すごく面白い」プログラムでした。


これがきっかけの一つとなり、後に「ディスプレイに面白いものを表示する」プログラムが流行し、その中から、テレビゲームの元祖が生まれることになります。




Whirlwind I に興味を持った方は、別記事で詳細書いていますのでご覧ください。


「弾むボール」から派生して、各種ゲームが作られた様子は、「世界初のテレビゲーム」の記事にまとめています。



今回は短め。だって、エバレットはやっぱマイナーな人物で、詳細情報があまりないのだもの…




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