2017年01月14日の日記です


WaveRunner  2017-01-14 09:45:27  業界記

WaveRunner は、1996年の秋に発売になったはず。

Model2 で作られた、マリンジェット…もしくジェットスキー、水上バイク、パーソナルウォータークラフト(PWC) などと呼ばれる、海の上を走る小型船舶のレースゲームです。



念のため書いておくと、水上バイクは日本でよく使われる一般名称で、PWC は英語圏でよく使われる一般名称。

マリンジェットはヤマハの商標、ジェットスキーはカワサキの商標です。


そして、WaveRunner というのは、ヤマハが発売しているマリンジェットの機種名。

というわけで、ヤマハに許可を得て実機を登場させた、水上バイクのゲームなわけです。


http://www.gamesdatabase.org/から引用


マリンジェット、WaveRunner なのに、広告チラシ下部の英文では jet ski って書いてある。

わかってないとしか思えない。




たしか1996年の春ごろ、部署内でアイディアコンテストをやる、と企画課の課長が発表しました。


企画は当然アイディアを考えるのが仕事なのだけど、企画以外でも「こんなゲームを作りたい」というようなアイディアを誰しも持っているもの。

でも、そうしたアイディアは埋もれがちなので、みんなに課題として提出してもらって、いいアイディアのものをゲーム化したい、という趣旨でした。


しかし、漠然と「考えて」と言っても、アイディア出しに慣れていない人には難しいだろうから、と、方向性が示されます。


レースゲームとすること。

他にないようなアイディアを入れること。

普通の車のレースゲームはたくさん出ているので、目を引くような変わった操作性が欲しいこと。


この方向性で、各自1つは企画書を提出して、とのことでした。



僕もアイディアを出しはしたのだけど、それはまぁいいんだ。

しばらくして、良いアイディアだと皆の前で発表されたものがあって、そこで「あぁ、最初から出来レースだったのか」と気が付いた。


出来レースといっても、受賞者が決まっていたという意味ではないのね。

ただ、あらかじめ上層部が考えているアイディアがあって、それに沿うアイディアが出てきたところで掬いとる、というだけだった。


マリンジェットを使ったレースゲーム、というアイディアを、何人かが提出したそうで、それらのアイディアが良かった、と褒められます。

これから夏だからタイムリーだし、水上の挙動というのはお客様も慣れていないので新鮮な感じがする…などなど。




僕としては、選出理由を聞いていて、まるっきり白けてしまいました。


この頃、水上バイクがちょっと流行の兆しを見ていました。

テレビのバラエティなんか見てても、「これから流行する新しいマリンスポーツ」的な感じでよく出てた。



今調べてみたら、水上バイク自体の歴史は古いのですが、流行し始めたのはカワサキの Jet ski 以降なのね。

というのも、他の会社は「一人載りのモーターボート」として考えているのに、カワサキは「引っ張ってもらわないでできる水上スキー」と考えていたから。


他社が乗り物を作っているのに、カワサキはスポーツギアを作った、ということでしょうか。似て非なるもの。

これで、1980年代の中ごろにアメリカで流行し始めます。ヤマハが参入したのもこの頃。


1990年ごろにはブームが起きて、これをきっかけに 1990年代半ばから次々と「規制」が作られます。

規制しないといけないほどの大ブームになったという事ね。



その流行が日本に数年遅れで入ってきていたようで、それが先に書いたテレビ番組などの例になります。

たしか、この年の春のショーでも、海外のゲーム会社が、3D視点の水上バイクのレースゲームを出展していました。


つまり、話題になっているし、他社が作っているから、うちも同じようなの作ろう。

ただそれだけのことだし、それを「アイディア」とは言いません。




別に他社の真似が悪いわけではないです。


以前も書いたけど、全く新機軸のゲーム、っていうのは、実は受け入れられない。

どこかで見た、という既視感と、それなのに新しい、という新規性の両立が大切です。


つまりは、真似をしつつ新しいものを入れるのが大切。



今探しても、その海外のゲームが見当たらないのだけど、たしか拡大縮小スプライトで作られた3Dゲームだった。

アウトランとか、パワードリフトとか、そういう感じの画面構成なのね。


時代的に「一昔前」の作りだったのだけど、水上バイクというアイディアは悪くなかった。

じゃぁ、3Dの技術で作り直したらイケるんじゃないか、ってこと。



でも、「アイディアコンテスト」として、これを評価するのは筋が悪い。

「他社にないようなアイディア」という課題だったのに、思いっきり真似です。


さらに、すでに春なのに「これから夏だし」はあり得ない。

ゲーム開発は6か月くらいかかるんです。


もう、この選定の時点で悪い予感しかしませんでした。


…はい、あたりです。


Aqua jet (1996 namco)


jet wave (1996 konami)


wave race 64 (1996 nintendo)



その年の秋は、セガの WaveRunner を含め、4種類も水上バイクのレースゲームが出たんです。

うち一つは家庭用だけど。


特徴的なのは、セガだけがヤマハのマリンジェットをゲーム化し、他の会社はカワサキのジェットスキーだという事。

先に書いたように、水上バイクブームはカワサキのジェットスキーによってもたらされたものだから、そちらにするのが当然と言えば当然。




ゲーム自体はよくできていました。

基本的には、インディ 500 のチームが引き続きレースゲームを作った、という形なのかな。


何作も作っているので、ノウハウは持っている。

ひいき目かもしれないけど、アーケード3機種の中では、WaveRunner が一番人気出たんじゃないかな。


でも、お客さんからすると「似たようなゲームがいっぱい」という状況にはなるよね。

人気が分散してしまい、大ヒットとはなりませんでした。



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