2013年03月27日の日記です


ジュエルペットとプリキュアと  2013-03-27 17:33:00  その他

東京MXで放映していた、スイートプリキュアの再放送が終了した。


少し前に終了したらなんか書くかも、と予告していたのだが、あの時点ではいろいろと思うところがあったのだ。

でも、その後の展開で少し思いが変わったし、今あらためて調べると自分の勘違いもあるようだ。


なので、まずはこの「勘違い」のことから書こう。



#注:各種ネタバレ含みます。

 すでに放映してから何年も立っているので許容されると思いますが、嫌な人は読まないでください。




まず前提話。


最初に断わっておくが、自分はそれほどアニメ好きではない。なかった。

子供が生まれるまえはほとんど見なかった。


でも、今は子供と一緒に楽しんでいる。あくまでも「子供と一緒に」のレベルだけど。


ジュエルペットに関しては、子供が好きなので一応全部見ている。


以前にこの話題に触れた時は、2作目の「てぃんくる」を見ていなかった。

…今では、この数年で見たアニメの中では、これが一番気に入っている。


ただ、このアニメ、視聴率が最終回に向けてダダ下がりだったらしい。

(これは、視聴率調査から読み取れる事実)



子供向けなのに連続もので、最終回付近は、それまでばらまいてきた伏線を一気に回収にかかる。

ちゃんと内容を覚えていないと意味が分からなくなるし、最終回の「ハッピーエンド」に向けて、緊迫した展開が数回続く。


3~5歳の、ターゲット年齢層の女の子には、これが怖いし意味わかんないしで、視聴率が下がったのではないか、と語られている。

(これは、ネット…おもに 2ch などでの評判。

 最後に書くが、最終回が震災直後なので、その影響もあったのではないかと思う。)



うちでは、毎日見られる再放送を見ていた。

全部を見るのに1年かかるわけでもないので、伏線もかなり覚えている。


それも、少し撮りためてあるので、緊迫した展開では「続きを見てしまう」ことで、ほっと出来るところまで話を進められた。

「怖いから続き見たくない」状況にはならない。


その結果、最終回では5歳の長女も泣き声になりながら「この後、みんながどうやったら幸せになるのか」の提案を僕にしてきた。

(ハッピーエンドなのだけど、今後の展開を考えさせる終わり方なのね)


かなり物語世界に入り込んでしまった証拠で、長女も今まで見た中で一番好きなアニメ、としててぃんくるを挙げている。




そして、スイートプリキュアの話になる。

こちらも、プリキュアとしては珍しい、連続ものだった。


そして、最終回に向けて伏線が一気に回収され、緊迫した展開が続く。視聴率も落ちたらしい。

てぃんくると同様の構造だ。


「スイート」は、2月に開始した直後に、震災があった。

そのため、内容が震災の影響を受けて変わった、という話題をネットでずいぶんと読んだ。


…これが、再放送を見て「最後まで見たら、なにか書きたい」と思っていたことの原因。

そして、自分が勘違いしていたことでもある。


震災の影響を受けたのではないか、という主張をしている BLOG などは多数あったが、それほど大きな勢力ではなくて、一部の人が言っているだけのようだ。


実は、やはり女の子の父親である知人は、その子が好きなので「スイート」をリアルタイムに見ていたらしい。

そして、その知人も「震災でずいぶん話の内容が変わったようだ」という話をしていた。


だから、僕がそのつもりで情報を選択してしまっていたようだ。確かにそういう感想を持った人は多いようだが、多分これは当たってはいない。

(全く外れ、ということもないようだが)




1年かけてみていたら、大人だって当初の設定を忘れてしまう。

しかも、途中で震災なんて言う大きな社会不安があれば、作品を見る「自分自身」が変容して、見方が変わってしまう。


でも、今回自分は再放送を見たので、最初から最後までを同じ気持ちで見られた。


震災の影響を受けた、と主張している人の多くは、この作品の最終的なテーマが「絆」を感じさせることから、そういっている。

(絆、は、震災後によく使われたキーワードですね)


ところで、後半になって登場するプリキュアは、このシリーズには珍しく小学生だ。

この小学生が訳あって両親と離れ、祖父と暮らしているという設定から「震災孤児をイメージしたのではないか」という主張もある。


でも、この小学生、初登場は第6話だそうだ。3月20日放送。

震災後に急に小学生が登場したので、震災孤児をイメージしたのだろう、と言われる理由だ。


でも、アニメは作成に時間がかかる。そんなに急に用意できるわけがない。


さらに言えば、毎週連続ものなので、当然「次回予告」がある。

第6話の内容は第5話の最後で予告されている。


震災があったため、第6話は放送を延期している。第5話は 3月6日放送。


まとめれば、確かに小学生の登場は震災「後」ではあるが、震災前から予定されていたことがわかる。


もっと言えば、プリキュアとしての姿は、第1話のオープニングから(謎の人物として)登場している。

こちらは、「謎の人物」なので、後で設定を小学生に変えたのだ、と主張できなくもないが、それはあまりにもこじつけだろう。



オープニングといえば、オープニングテーマでは、「この世界は繋がっている」って、サビで歌い上げている。

最初から、「スイート」のテーマは「人と人のつながり」なのだ。


そもそも、「スイート」が、一揃い、という意味の英単語。

テーマモチーフである「音楽」においては「組曲」の意味になる。数曲で連続した物語を作り出す音楽、だ。

もう、タイトルからして「つながっている」のだ。


先に書いたが、プリキュアシリーズにしては珍しい、1話完結ではない連続物語。

これも、「一揃い」であること、「世界は繋がっている」ことを意識しての演出なのだろう。


#というか、先に「連続もの」を作ることが決まって、それを「一揃い」と意味するタイトルにしたのだろうな。



つまり、「絆」を感じさせるものも、「小学生プリキュア」の登場も、震災より前から組み込まれていた。

そこで震災が起こったのは偶然だ。

ただ、大きな社会不安によってみる側の心理が変わり、アニメに現実を投影して「話の内容が影響を受けている」と感じただけなのだろう。




まったく影響を受けていないか、と言えばそうでもない。


影響が明らかなところでは、放映が半分終わった時点で変更される「エンディングテーマ」が、被災者への応援歌と思われる内容になっている。


また、同時にオープニングテーマも変更になった。こちらも応援歌的。

通常はオープニングテーマは1年を通して同じなので、これは「明らかな影響」なのだろう。


再放送ではなくなっていたが、本放送時は終了後に「プリキュアから被災者への応援」のカットが入っていたそうだ。

これは、他のアニメでも当時そうだった。業界全体で、子供番組には応援メッセージを入れていたはずだ。


以上は、明らかな「震災の影響」。



他の影響としては、少なくとも、予定よりも1話減少している。先に書いたが、震災直後の放映ができなかったためだ。

何を減少させるか、と考えれば、当然話の本筋に関係ない話だろう。


先に上げた「てぃんくる」も、「スイート」も、さすがに1年間通して完全な連続もの、ではない。

時々、サブエピソードみたいなものを交える。


そして、連続したお話がシリアスになりがちなのに対し、サブエピソードにギャグを入れてバランスをとる。


「スイート」で、最終回付近でギャグの比率が落ちて「怖い」印象を与えてしまった、という可能性はある。



もう一つ、最終回付近の4話分に関しては、そこまでの話の流れに比べて、余りにも暗い流れになっている感じがした。

この部分が、もしかしたら影響を受けているのかもしれない。



最後は、悪の根源である敵を…倒さない。

この展開はすごいと思った。震災で多くの人が死んだから、とにかく誰も殺さないようにしたのだ、と受け止めた人もいる。


だけど、これも伏線がしっかり張られているんだよね。


中盤の盛り上がりで、「当初のボス」と戦うときに、主人公の一人が言っているのだ。

「幸せを守るために戦うのであれば、敵の幸せも考えなくてはならない」と。

(注:一言一句この通りではない)


だから、最後の敵も倒さず…和解する。

そして、和解した相手が行く場所を失っているのを、受け入れて仲良くする。



別に、途中と同じ戦い方をしないでも、絶対悪を倒して終わり、でもわかりやすくてよかったかもしれない。

どちらに転んでも話は成立するので、この部分が震災の影響を受けたのかどうかは、正直わからない。




ところで、先に書いた「てぃんくる」と「スイート」の視聴率の低迷は、「震災後に節電が呼びかけられた」、または「強制的に輪番停電させられた」ことと無縁でないように思う。


一話完結なら、途中の話が見られなくても大丈夫。

でも、連続ものだから、それでは話が分からなくなる。


怖いから見たくない、も事実としてあったとは思うけどね。




終わり方については、「てぃんくる」とつい比較してしまった。


「てぃんくる」も、「スイート」も、最終的な敵は「人間の負の側面」を具象化したものだ。



「てぃんくる」では、「憎しみや妬み」から生まれた呪文、ということになっている。

ただ、呪文と言ってもそれ自体が意思を持ち、近づくものに取り付いて、さらに強くなろうとしている。


なんか、「病気」みたいな不気味な印象がある。

その目的もわからないが、取り付かれたものは、常に憎悪の心を持ち、攻撃的になる。



「てぃんくる」では、最後の戦いによって敵は封印される。

しかし、憎しみや妬みがある限り、いつかまた現れることが予期される。


だから、主人公のうち一人は、「皆を幸せにする魔法」を探す長い旅にでることになる。

この、長い別れという「悲しみ」を克服しなくてはならない。


この、「悲しみを乗り越え、いつか幸せを得る」ことが最終回のテーマになっていた。




「スイート」の方では、敵は「悲しみが凝集したもの」であり、物理的な姿を持っている。

不気味というよりは、強大で怖い怪物。


敵の目的は世界を消し去ること、というのは、最後の敵にありがちな設定なのだが、珍しいことに最終回でその目的に至る信念が語られる。


敵は、自身が悲しみの凝集物であることを知っている。人間に忌み嫌われることを知っている。

しかし、人間は悲しみを忌み嫌いながら、悲しみを生み出し続ける。


ならば、彼にとっての最善は「忌み嫌われる自分を消すために、悲しみを生み出す人間を含めて世界を消し去る」ことになる。



ここで、「皆を幸せにしたい」というプリキュアの目的と、「悲しみを消し去りたい」という敵の目的は、実は同じであることが明らかになる。

ただ、そのためにとった方法が正反対で、お互いを敵とみなして戦っていただけなのだ。


このことが最後に明らかになるのは、話に深みを与えていた。



「スイート」では、先に書いたが最後の敵と「和解」する。

「自分は忌み嫌われている」と感じている敵に対し、許されない存在などない、と悲しみから救おうとする。


そして、敵がその姿勢を理解した時、悲しみは消える。つまり、敵自体が消滅してしまう。



ただ、やはり悲しみは世界からなくなるわけではない。

全てが終わった後、敵は再び皆の前に姿を現す。


周囲の人は、敵がまだ消えていなかったことに臨戦態勢になるが、主人公たちだけが「待っていたよ」と受け入れる。


こちらも、悲しみは消えることがない、うまく克服しなくてはならない、というのが最終回のテーマだ。




こうなると、気になることが一つ。


低年齢向け女児アニメで、魔法少女物で、珍しく伏線の多い連続もので、最後の敵が「人間の負の感情」で、最終回のテーマが「悲しみを乗り越えること」…。


テーマが似すぎている。



うちの長女は「てぃんくる」の途中から見ていたのだが、その時は「スイート」はまだ始まっていなかった。


「スイート」は「てぃんくる」の影響を受けてる?

でも、市場規模からいえば、プリキュアがジュエルペットの影響を受けるとは思えない。



放映日付を見たら、「スイート」は「てぃんくる」の翌年だった。

でも、ジュエルペットは4月始まり、プリキュアは2月始まりなので、「スイート」開始時には、「てぃんくる」はまだ放映中だ。

まだ成功したかどうかもわからない、低年齢向けの「連続もの」というスタイルを真似するとも思えない。


むしろ、同時期に同じターゲットのアニメが、相次いで似たような「変わったこと」をしているわけで、共通の元ネタがあるのかもしれない。



じゃぁ、連続した深い設定で話題になった「まどか☆まぎか」っていつだっけ?

と思ったら、これも「てぃんくる」放映中の1月~4月だった。


#まどまぎは、子供向けではないので子供と一緒には見ていない。

 しかし、「話題作だから見たい」という妻と一緒に再放送を見た。


 …ごめん、ファンが多いようだけど、正直僕にはつまらなかった。

 僕はSFファンなので、皆が「構成がうまい」と言っているタイムパラドックスネタは、「ありがち」だとしか思えなかったのだ。



なにか、元ネタになるような話で、話題になったものがあったのかな?

魔法少女物で似たような設定が続々と…って、ちょっと偶然とは思えない。




#余談だが、先に書いた「まどまぎ」含め、タイムパラドックスネタの話も、ここ10年多すぎる気がする。

 サマータイムマシンブルース(これは演劇。のちに映画化された)や、時をかける少女(アニメ版)などね。

 これもなにかあったのかな?




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