2014年06月29日の日記です


DAISY DAISY  2014-06-29 18:55:53  コンピュータ

しばらく前に「世界初のMML」という記事を書いて、じゃぁ「世界初」から「現在」の間のミッシングリンクはどうなっているのか、と感じて調べています。


この成果はまだまだ発表できそうにありません。

かなり調査は進んだ…と思ってまとめている最中に、また新資料が出てきたりしているから。



でも、「まとめている最中」ではありました。

えーと、大体調査しながら荒まとめしたので 2000行くらい。

これはもう、ほんとうにつらつらと書き綴っただけ。


ちなみに、2000行の時点でも、何度も書きなおした部分があるので、6000行くらいは書いてる。


最終的には、500行くらいにまとめたいのだけど、おそらくは無理なので 1000行程度にしたい。




で、泣く泣く削らないといけない部分もあるのだけど、今困っているのが「完全に余談なのだけど、余談がないと全体が理解できない」部分が出てきてしまったこと。


どうしよう…と悩むこと5秒(短っ!)


これはあれだ、ハイパーテキストなんだから、別の話題に切り出してしまおう。


というわけで、今日の日記に「余談」を書いておく。

後で原稿が仕上がった際には、詳細はこちら、とこの日記をリンクするから(笑)




さて、「世界初の MML 」に、MUSIC というシステムが出てくる。さらっと触れただけだけど。


音を作り出すプログラムね。計算で音の波形を作り、再生するという、今でいえば PCM 音源の始祖です。


これが作られたのが 1957年。IBM 704 が使われています。

システムと言っても「ライブラリ」で、MUSIC を使った応用プログラムがいろいろ作り出されました。


まぁ、MUSIC の名前の通り、当初は演奏プログラムなどが作られたようです。

でも、「喋る」プログラムがすぐに作られ、さらに演奏プログラムと組み合わせて「歌う」ようになります。


1961年、このシステムで初めて歌ったのが「Daisy Bell」という曲。



上の映像の中では、演奏を 1961, IBM 7094 と書いているのだけど、IBM 7094 は 1962年完成。

これは、IBM 704 の間違いだ。


映像自体古そうに見えるが、これは見せかけだけ。最近作られたものだ。

(写真や音楽自体は本物)





さて、ここからが「MML」の話には書けない余談の部分。余談にもかかわらず非常に重要。


7年後の 1968年、映画「2001年宇宙の旅」が公開されます。


この映画、セリフが極端に少ないのが特徴。

とにかく、映像を「体験」してもらおう、という作り方で、説明がない。


たとえば、宇宙ステーションから地球にテレビ電話をかける。

特に説明はないのだけど、会話と会話の間に妙な間が空く。


電波でも明らかな時間がかかるほどの距離、というのを示していて、間の取り方も距離を正しく反映している。

でも、この「妙な間」は特に説明されない。



映画の最初のクライマックスは、宇宙船のコンピューター HAL9000 の反乱と、船長による反撃。

HAL9000 は次々と乗員を殺し始め、船長はそんな HAL を分解してしまう。


分解される中で、恐怖を語り、命乞いをする HAL。

しかし船長は手を止めない。ついに HAL は、薄れゆく意識の中で Daisy Bell を歌い始める…




この映画のもう一つの特徴として、実在する企業のロゴが多数出てくることがあります。

もちろんスポンサーとしてお金を出しているのもあるのだけど、必要なところにさりげなくロゴを出すことで、リアリティを増している。


IBM は特に重要なスポンサーでした。

優れた人工知能が木製探査船を制御している…という設定でしたから。


しかし、人間に反乱を起こす、というストーリーを知って、IBM は怒ってスポンサーを降ります。

この時には、HAL のアルファベットを後ろにずらすと、IBM となる…というのも怒りの理由でした。


クラークは、小説のあとがきで、「IBM の協力なくしては、この映画は完成できなかった。わざわざ彼らを怒らせるようなことをする理由は無い。HAL を隣の文字にずらすと IBMとなる、というのは全くの偶然だった」と書いています。

(注:記憶による。高校の時に図書室で借りて読んだけど、実物は手元にないから)


でも、たぶん嘘だよねー。クラークが意図してなかったとしても、キューブリックは意図してたよねー。



だって、HAL は Daisy Bell を歌うんですよ。これは IBM 704 が歌った曲です。

しかも、死ぬ間際に…。死に面して子供の頃に好きだった歌を口ずさむ、なんて、非常に人間的なドラマじゃないですか。


そう、「IBM 704」が子供だとすれば、「HAL 9000」は成長した大人なのです。

優れた知能を持ち、人間と対等に会話できるだけでなく、いつまでも従順なだけではない、立派な「人格」になったのです。


HAL = IBM でないと、この部分の意図が出ない。

そして、コンピューターが人間並になった時、人間ももっと上の存在にならなくては、というのがこの後のストーリー。




そして、話はコンピューターの音楽史に戻るのです。

全体を 500行に収めたい、と言っているのに、こんな長い余談書けないけど、音楽史で非常に重要。


詳しくは後日公開予定の本文に書きますが、1975年に発売された Altair 8800 の最初期ユーザーの一人は、入手してすぐに音楽演奏プログラムを作っています。


そして、「ホームブリュー・コンピュータークラブ」で演奏をお披露目しています。

この時に演奏した曲は、当時流行していたビートルズの「フール・オン・ザ・ヒル」。


非常に調子っぱずれでノイズの多い演奏ですが、Altair 8800 がほとんど出荷されていない状況で、もし購入しても 256byte しかないメモリで何を作ればよいかわからない中で、皆が初めて見た「見事なプログラム」でした。


演奏が終わって、皆が拍手をしようとしたとき、次の演奏が始まります。

プログラムの中には、すでに「アンコール」演奏まで入れてあったのです。


ここで演奏されたのが… Daisy Bell。

2001年宇宙の旅は話題になった映画ですし、コンピューター好き = SF 好きが多かったので、何人かはその意図を理解しました。


10年前には IBM の大型コンピューターにしかできなかった「音楽演奏」が、今みなの目の前で、手に入る金額のコンピューターで行われているのです。


その曲目が Daisy Bell だということは、「このコンピューターは、IBM 704 の子孫であり、未来の HAL 9000 である」という主張です。

そんなにすごいものを、誰もが手に入れられるようになったのです。



このプログラムは後に雑誌掲載されているのですが、Altair 8800 を入手した人ならだれもが試したいプログラム…つまり、パーソナルコンピューター最初の「キラーアプリ」だったようです。


作者の人は「何度も夜中に電話で起こされて、プログラムがうまく演奏してくれた、という喜びの言葉を聞いた」そうです。400回はあったとか。

わざわざ作者に感動を伝えたくなるほど、当時の人々がこの演奏に感動していたのがわかります。


その感動の半分はおそらく、Daisy Bell を曲目に選んだ、という部分にありそうですけどね。




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