今日は QV-10 の発売日(1995)
大ヒットし、「デジタルカメラ」を普及させた機械です。
写真は、QV-10 のマイナーバージョンアップ、QV-10A ね。
小さな改良があるのと、本体色が違います。
後で書くけど、初代も持っていたのだけど、壊れて今は 10A しか残ってない。
僕はいつも古いコンピューターの話ばかり書いているけど、今日は比較的新しい。
といっても 22年前の話だけど。(普段は 60年前とか…僕が生まれる前の話書いてるからね)
実のところ、QV-10 以前にも「電子カメラ」は存在しています。
ソニーのマビカが有名ですね。
これが市販された最初、ではないのですが、研究開発としてはソニーが最初(1981~)なので、製品としては人気が出ました。
マビカが発売された当時、僕は大学生で、 Oh!X という雑誌が愛読書でした。
ライターの一人(荻窪圭だったはず)がマビカを購入して、これがいかにパソコンと相性の良い、遊べる機械であるかを、楽しそうに書いてました。
マビカは電子カメラだけど、アナログ記録でした。
2inch フロッピーディスクにアナログで記録して、見るときにはオプションのアダプター経由でテレビに接続して見るのね。
X68000 はテレビと組み合わせて使うことを前提に設計されたパソコンで、オプションで「カラーイメージユニット」がありました。
テレビ画面をパソコンに取り込むための周辺機器。
だから、マビカとイメージユニットを組み合わせることで、撮影したものをそのまま X68000 で扱えます。
これが、パソコンと相性が良い、という理由でした。
…でも、イメージユニットは高価だったし(¥69,800)、マビカも本体だけでは使えず、テレビ信号を作り出すプレイバックアダプターなどを買うと10万円を超えます。
当時はまだ大学生だったので、楽しそうだと思う反面、とても手が出ませんでした。
1994 年には「世界初のデジカメ」である、Apple Quicktake 100 が発売されています。
…へー、そうだったんだ、ってくらいの話。
Mac の周辺機器として設定されていたので、Mac ユーザー以外には話題にならなかったみたい。
「11万8,000円」という情報が得られたので、国内でも販売されたのでしょう。
640x480 ピクセルなら 8枚、320x240 ピクセルなら 32枚撮影できます。
ズームもない、フォーカスも固定、写真を見るにはパソコンが必要、という純粋な「画像を取り込むための周辺機器」でした。
…なぜか一時期持っていたのだよね。
たしか、ヤフオクで Mac の周辺機器探していたら、Quicktake 100 も付属したセットで出品されていたのではなかったかな。
そのころはすでにデジカメの普及機で、こんな低性能な機械に興味はなかったので、即刻売り払ったと思います。
そして QV-10 の発売。
¥65,000 だったようです。
320x240 の画像が、96枚撮影できます。
液晶ディスプレイがついていて、撮影したその場で写真を見ることもできたし、パソコン側から画像を送り込んで、ビューワーとしても使えました。
発売前から情報を知り、先に書いたマビカの話などもあって、「ぜひ欲しい」と思ってました。
この頃はスキャナも欲しかったのだけど、とにかく画像が取り込めるのだから、本の挿絵とか取り込みたいなら接写すれば何とかなるだろう、とも期待を込めて。
でも、正直なところ、値段も結構高いし、画質も悪い。
こんな変なものを買う人は少ないだろう…と、発売日に量販店に行くと「大人気であっという間に売り切れました」と店員さんに言われます。
驚きました。こんな変なものを欲しがる人が、僕以外にもたくさんいるんだ、って。
次の入荷はいつになるかわかりません、多分1か月くらい後です、と言われましたが、その場で予約して帰ります。
…2日後に、「入荷しました」という連絡が来ました。
ずいぶんと速いな。
#当然ですが、スキャナ代わりにはなりませんでした。
スキャナは後で買った。
高校時代は写真部に在籍していました。かけもちの幽霊部員ですが。
一応文化祭の時には写真を出展していたし、暗室作業も一通りはやりました。
でも、写真ってたくさん撮らないとダメね。
上手な人は、躊躇せずにシャッターを押す。大量にとった中から厳選して、本当にいい写真を公開する。
もちろん、最初から構図を決める能力も必要ですよ。
どの写真も上手に取れていて、その中から厳選するのだから、人を感動させられるレベルの写真が生まれる。
でも、僕にはどちらもなかった。
構図を決める能力も、フィルムを湯水のように使う財力も。
#財力は、パソコンにつぎ込んでいたからだとも言えます。
写真やる人が金持ちなわけではなく、配分の問題。
そんなわけで、「フィルムを使わないから気軽に録れる」「96枚も録れる」というのは、なかなか快適でした。
普段から QV-10 を持ち歩き、何か面白いものがあれば気軽に撮影します。
バスの時刻表とか、メモしたいものを気軽にパシャリ。
今では当たり前ですが、フィルムカメラの頃には考えられない使い方でした。
QV-10 はフラッシュなんかついていませんでしたが、暗がりに強く、夜の街灯の下でも撮影できました。
電池食いではありましたね。
その上、電圧が足りないから充電池は使えない。
液晶の付いた本体部分とカメラ部分の角度が変えられる…カメラ部分が「回る」ことに関しては、今だと「独創的だった」とする解説が多いのですが、「液晶ビューカムの真似」というのが当時の率直な感想。
デジタルカメラに液晶を付けたのは世界初だったし、それによって気軽さが強調され、大ヒットしたのは事実です。
今のデジカメの方向性を示したのは、Apple Quicktake100 ではなく、QV-10 とされるのもそのため。
だけど、ビデオカメラで「液晶ビューカム」という機種をシャープが 1992年に発売していて、QV-10 と形がそっくりです。
QV-10 は安くするために、普及していたビデオカメラ用 CCD を使用した、というのも相まって「動画の撮れない、小さな液晶ビューカム」だと思っていました。
真似が悪いというのではないよ。
この「カメラ部分に角度がつけられる」というのは非常に便利で、QV-10 の後に続いたデジカメブームでは真似した会社も多かったし、むしろこの機能がついていない、普通のカメラのような形状だと不便だと感じていた。
ところで、ビデオカメラ用 CCD は、NTSC ですからデジタルに換算すると 640x480 程度の画像を撮影できます。
でも、縦方向はインターレース…奇数ラインと偶数ラインを交互に読む仕組みです。
だから、縦 480 で撮影すると、奇数ラインと偶数ラインの間に 1/60秒のずれが生じてします。
「静止画」としては、妙なことになってしまうのです。
これが、QV-10 が 320x240 で撮影する理由。
記憶容量を節約する意味ももちろんあるのだけど、安くするために「仕方ない」理由があるのです。
このWEBサイトは 1996年に作り始めていますが、初期の写真は QV-10 で撮影されています。
当時のインターネットは回線速度も遅く、320x240 でも「大きすぎる」くらいだったので、十分な性能でした。
でも、QV-10 だと料理中の写真撮りにくいのね。
赤外線フィルタが不十分で、熱い部分が「緑色」になってしまうの。
いろいろと欠点もあったけど、欠点を補って余りある楽しさもありました。
QV-10 がヒットすると、カメラ会社からもっと本格的なデジカメが発売され始めました。
デジカメの黎明期ですね。
カメラ会社としては、ちゃんとした「写真」を撮れないといけない。
最低 640x480 以上の画質にしたいのですが、そのためには CCD から専用品を設計しないといけない。
当然高価になります。
高画質にするためには、ピクセル数を増やす必要もありますが、それは「1ピクセルの面積」を減らすことでもあります。
そうすると、暗がりに弱くなる。
フラッシュを搭載しても、気軽な撮影は難しくなります。
何よりも、慌てて QV-10 の後を追ったカメラは、搭載しているソフトウェアがこなれていないものが多く、使いにくい印象でした。
僕も QV-10 のしばらく後に「もっといいカメラを」と思って DC-3 とか買いましたけど、使いにくかった。
暗いと撮れないし、撮影後にすぐ電源を切ると、画像が保存されていないことがある。
(電源はソフトウェア制御しているはずなのに、「データ保存」よりも「電源処理」を優先してしまっている)
そのころ、まだ結婚する前の妻から「デジカメ買いたい」と相談を持ち掛けられ、QV-10 を勧めました。
主な想定用途は WEB サイト作成だったから画質は十分だったし、何よりもそのころには安くなっていたから。
これが、冒頭画像の QV-10A です。
僕の QV-10 は、使い込みすぎて壊れてしまって捨てたのだけど、妻の QV-10A はまだ残っています。
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