2017年11月30日の日記です


モノポリー  2017-11-30 14:49:27  歯車

マクドナルドの「ハッピーセット」のおもちゃに、なんと「モノポリー」が入っている。

…というか、11月頭に新聞折り込み広告で入っていたマクドナルドのクーポンで知って、興味を持っていた。


11月17日からが、ハッピーセット30周年記念の「パーティゲーム」で、1週間づつの前・後半に分かれている。

前半が、人生ゲーム・UNO・ツイスターゲーム。

後半が、黒ひげ危機一髪・トランプ・モノポリー。


えーとつまり、タカラトミーがスポンサーなわけだな。

トランプ以外の5つは、全部タカラトミーから発売されているゲームだ。


#タカラトミーもトランプは作っているけど。




もちろん、定価で3000円程度の各種ゲームを、マクドナルドのおまけにつけるわけがない。

興味を持って調べたが、どれもかなり簡略化されている。

(トランプは簡略化されていない。100円でも売っているけど)


その中で、我が家の子供が一番興味をもったのは、モノポリーだった。


そんなわけで、先日出かけた時にマクドナルドで昼ご飯を食べ、入手した。


ルールブックを読むと、かなり簡略化されていて、ただのスゴロクレベルにまで「運のゲーム」になっている。

しかしこれが、工夫次第で結構元の雰囲気を出せるようになっていた。




さて、マクドナルド版モノポリーについて書く前に、本物の「モノポリー」の概要を書いておきたい。


モノポリーは、サイコロを転がして駒を進める、スゴロク型のゲーム。

ゴールは特になく、四角い盤面をぐるぐる回り続ける。


ゲーム中には「お金」の概念があり、1周するごとに給料をもらえる。


多くのマスが「土地」になっていて、最初に土地に止まった人は、そこを購入できる。

後から土地に止まった人は、宿泊料を払わなくてはならない。

お金を払いきれずに「破産」した人は負け。


マスには、土地以外にも「鉄道」や「水道」「電気」などの社会インフラもある。

これらも、最初に止まった人が入手でき、後から来た人は料金を払う。


その他、スゴロク的な「税金を払う」とか「牢屋に入る」という指示のマスもある。

それらのマスは指示に従うこと。

「チャンス」マスのように、カードを引いて指示を決める場合もある。



「モノポリー」というのは独占の意味で、商売を独占すると料金がつり上がるようになっている。

土地なら、近隣のグループになったマスを独占する、鉄道なら、複数の鉄道会社を独占する。

または、水道と電気の社会インフラを独占する。


さらに、独占して「まとまった」土地には家やホテルを建て、宿泊費を吊り上げることができる。

小さな土地を集めて大きな建物を建て、巨額の金を動かす地上げ屋ゲーム。それがモノポリーだ。



面白いのは、プレイヤー間の交渉が自由だということ。

土地を自由に交換していい。


土地の交換がお互いの利益になれば話は早い。

破産目前の人の資産を金で買い取って「助けてあげる」のでも良い。


もちろん、独占に成功したプレイヤーは有利になる。

他のプレイヤーは、この独占を防ぐべく、もっと有利な条件で対抗しても良い。

しかし、独占を防ぐための…ただそれだけの投資は、投資する人にとってもあまりメリットがない。

無理をすれば自分が破産する。



ただの「スゴロク」だったら、運がすべてで、こんなに世界的な大ヒットゲームになっていない。

モノポリーの本質は、プレイヤー間の交渉術のぶつかり合いだ。




…と、モノポリーについて書いたところで、マクドナルド版の相違点を。


まず、マスの数が違う。

本物は、四角いボードの1辺が10マスになっている。

マクドナルド版は6マスだ。


これに伴い「グループとなる土地」が、3つ1組から、2つ1組に減っている。

これだけを見ると、独占しやすくなっている。


また、本物にあった鉄道や水道・電気などのインフラマスは、マクドナルド版では無くなっている。

「チャンス」のマスは残っているが、チャンスカードは無くなり、サイコロを転がして起こることを決める。


まぁ、おまけとして作るために縮小しているのだから、この程度の違いは問題ないだろう。



本物ではサイコロを2つ転がして、進む数を決めていた。

7が一番出やすい、という「期待値」があるため、他のプレイヤーが止まるマスを予想して家を建てる、というような戦略性があった。

マクドナルド版は、サイコロ1個だ。運の勝負。


そして、最大の違いなのだが、マクドナルド版は、ルールブックによれば「交渉」が存在しない。

独占するには、偶然にも並んだマスに同じ人が最初に入る必要がある。


そもそも、土地を独占しても「止まった時の支払いが2倍」というだけで、家を建てたりできない。

だから、戦略の立てようもない。



…そんなわけで、本物とマクドナルド版の違いは「本物は知略を競うゲームだったが、マクドナルド版は運のみのスゴロクになった」ということになる。




まぁ、ハッピーセットのターゲット年齢層は未就学児童~小学校低学年なので、戦略性なんかない方が楽しめるだろう。


でも、これは「ルールブック上は」というだけの話だ。なにも、ルールに従うだけが遊び方ではない。

ゲームのルールなんて言うのは、遊ぶ人の合意が形成できれば自由に変えていいものだ。


まず、交渉して土地を売却しても良いことにしよう。

売却は、なにもお金だけで行うのではない。土地同士の交換でもいいし、安い土地2つと高い土地1つ、でもいい。


これだけでもずっと「モノポリー」らしくなる。



続いて、家を建てられることにしよう。


本物では、土地の所有は「権利書」カードを持つことで示される。

しかし、マクドナルド版は、プレイヤーの「チップ」を土地に置くことで示す。


土地は全部で16カ所しかないのだけど、チップは各プレイヤー12枚、全部で48枚ある。

「チップの追加」で家の建設を意味することにしよう。


建設は、独占した土地のグループでしか行えない。

その土地に書かれた金額の2倍を払うことでチップを追加でき、チップが2個付いた土地に止まったプレイヤーは、土地の4倍の金額を支払う。


#独占時点で支払額は2倍になっている。チップが2枚になったことで、さらに2倍する。

 チップの追加が「土地の金額の2倍」なのも、その時点での支払額で追加可能、という意味合い。



家の建設…つまり、チップの追加は1枚を限度とする。

4人で遊んでいれば、各プレイヤーのチップで足りるだろう。


3人以下の場合は、使っていないプレイヤーチップを使ってもいい。

参加してないプレイヤーのチップなので、土地が誰のものであるかは一目瞭然だ。



土地を人に売るときは、家はなくした更地の状態に戻すこと。

家は「土地に書かれた金額」で売れることにする。購入価格の半額だ。


#独占している場合、グループの土地全体を更地にしないと土地は売れない。



こうすると、マクドナルド版公式ルールよりも、多くの金が動くようになる。

スタート時の支給額を+5くらいしておくといい。




実際これで遊んでみると、大金が飛び交う激しいゲーム展開になった。

サイコロに期待値がないので、「予想して狙う」ようなことはできないのだけど、ただのスゴロクよりは楽しめる。


#マス目が少ないので、サイコロを2個に増やすと破綻する。

 2d4 とかならいいかもしれないけど、試してない。



1つ処理に困った部分がある。

マクドナルド版にしかないのだけど、「チャンス」マスで、「ドナルドパーティ」マスに進む、という指示があるのだ。


ルールブックには、この指示が出た場合は、ただ進むだけではなく、そのマスを無条件に奪い取って自分のものにできる、となっている。

しかし、独占すると家を建てられる、というルールを導入すると「無条件で奪い取れる」のが相性が悪い。


というか、交渉すら存在しなかった公式では、唯一の「他人のマスを奪える」チャンスだったのだけど、交渉して苦労して手に入れたものを無条件で取られたら…と考えると、ゲームが破綻する可能性がある。


モノポリーでは、土地を持っていない人間はジリ貧なのがわかっているので、「土地を奪える」は起死回生のチャンスだ。

このチャンスは残っていたほうが面白いように思う。


その一方で、これがあるとルールの整合性が取れなくなる。

独占して家を建てたのに、土地が奪われて独占ではなくなる、などのおかしな状況が生じるからだ。


また、交渉ありのルールだと、「奪い取られるかもしれないマス」というのは価値が低くなり、使いづらい。


そこで、このようなルールではどうだろう。

(まだテストプレイしていないが)


・「ドナルドパーティ」マスに進む、というチャンス指示が出た場合、「好きなマスに進む」ことができる、と読み替える。


・進んだマスが独占「されていない」場合、そのマスの金額を支払うことで、マスを入手する。

 すでに所有者がいれば、所有者に金を払う。所有者がいなければ、銀行に金を払う。


・進んだマスが「独占」されていた場合、マスの所有者は、土地を奪われないが、土地相応の金額を奪われる。

 独占だけなら土地に書かれたマスの2倍、家が建っているなら4倍の金額となる。


・進む際に、時計回りで「GO!」マスを通過する際は、通常通りお金2を銀行からもらえる。



これなら、特定の土地が「奪われるかもしれない不利な土地」ということはなくなる。

お金が全くない時は独占された土地に進むことで「買取らないといけない」という理不尽も起きないだろう。

独占された土地が無い場合も、GO! のすぐ後の金額1の土地を選べば、直前にお金が2入るので破産することもない。




マクドナルド版の公式ルールと比べると、かなり複雑化している。

それでも、土地を抵当に入れて借金、とかがある本物に比べると、かなり簡略化されたゲームだ。


未就学児童には難しいかもしれないけど、小学校低学年なら遊べると思う。

(うちの小2の次女と遊べた)


一度は公式ルールで遊んでみて、慣れた頃に「上級編」ルールとして取り入れてみてください。



公開後すぐに追記


「モノポリージュニア」という製品があるのだそうです。知りませんでした。

子供向けに簡略化したもので、


・サイコロは1個

・マスの数が少ない

・交渉が存在しない


などが特徴だそうで。

マクドナルド版は、この「ジュニア」を元に、さらに簡略化したものだったようです。




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