マクドナルドの「ハッピーセット」のおもちゃに、なんと「モノポリー」が入っている。
…というか、11月頭に新聞折り込み広告で入っていたマクドナルドのクーポンで知って、興味を持っていた。
11月17日からが、ハッピーセット30周年記念の「パーティゲーム」で、1週間づつの前・後半に分かれている。
前半が、人生ゲーム・UNO・ツイスターゲーム。
後半が、黒ひげ危機一髪・トランプ・モノポリー。
えーとつまり、タカラトミーがスポンサーなわけだな。
トランプ以外の5つは、全部タカラトミーから発売されているゲームだ。
#タカラトミーもトランプは作っているけど。
もちろん、定価で3000円程度の各種ゲームを、マクドナルドのおまけにつけるわけがない。
興味を持って調べたが、どれもかなり簡略化されている。
(トランプは簡略化されていない。100円でも売っているけど)
その中で、我が家の子供が一番興味をもったのは、モノポリーだった。
そんなわけで、先日出かけた時にマクドナルドで昼ご飯を食べ、入手した。
ルールブックを読むと、かなり簡略化されていて、ただのスゴロクレベルにまで「運のゲーム」になっている。
しかしこれが、工夫次第で結構元の雰囲気を出せるようになっていた。
さて、マクドナルド版モノポリーについて書く前に、本物の「モノポリー」の概要を書いておきたい。
モノポリーは、サイコロを転がして駒を進める、スゴロク型のゲーム。
ゴールは特になく、四角い盤面をぐるぐる回り続ける。
ゲーム中には「お金」の概念があり、1周するごとに給料をもらえる。
多くのマスが「土地」になっていて、最初に土地に止まった人は、そこを購入できる。
後から土地に止まった人は、宿泊料を払わなくてはならない。
お金を払いきれずに「破産」した人は負け。
マスには、土地以外にも「鉄道」や「水道」「電気」などの社会インフラもある。
これらも、最初に止まった人が入手でき、後から来た人は料金を払う。
その他、スゴロク的な「税金を払う」とか「牢屋に入る」という指示のマスもある。
それらのマスは指示に従うこと。
「チャンス」マスのように、カードを引いて指示を決める場合もある。
「モノポリー」というのは独占の意味で、商売を独占すると料金がつり上がるようになっている。
土地なら、近隣のグループになったマスを独占する、鉄道なら、複数の鉄道会社を独占する。
または、水道と電気の社会インフラを独占する。
さらに、独占して「まとまった」土地には家やホテルを建て、宿泊費を吊り上げることができる。
小さな土地を集めて大きな建物を建て、巨額の金を動かす地上げ屋ゲーム。それがモノポリーだ。
面白いのは、プレイヤー間の交渉が自由だということ。
土地を自由に交換していい。
土地の交換がお互いの利益になれば話は早い。
破産目前の人の資産を金で買い取って「助けてあげる」のでも良い。
もちろん、独占に成功したプレイヤーは有利になる。
他のプレイヤーは、この独占を防ぐべく、もっと有利な条件で対抗しても良い。
しかし、独占を防ぐための…ただそれだけの投資は、投資する人にとってもあまりメリットがない。
無理をすれば自分が破産する。
ただの「スゴロク」だったら、運がすべてで、こんなに世界的な大ヒットゲームになっていない。
モノポリーの本質は、プレイヤー間の交渉術のぶつかり合いだ。
…と、モノポリーについて書いたところで、マクドナルド版の相違点を。
まず、マスの数が違う。
本物は、四角いボードの1辺が10マスになっている。
マクドナルド版は6マスだ。
これに伴い「グループとなる土地」が、3つ1組から、2つ1組に減っている。
これだけを見ると、独占しやすくなっている。
また、本物にあった鉄道や水道・電気などのインフラマスは、マクドナルド版では無くなっている。
「チャンス」のマスは残っているが、チャンスカードは無くなり、サイコロを転がして起こることを決める。
まぁ、おまけとして作るために縮小しているのだから、この程度の違いは問題ないだろう。
本物ではサイコロを2つ転がして、進む数を決めていた。
7が一番出やすい、という「期待値」があるため、他のプレイヤーが止まるマスを予想して家を建てる、というような戦略性があった。
マクドナルド版は、サイコロ1個だ。運の勝負。
そして、最大の違いなのだが、マクドナルド版は、ルールブックによれば「交渉」が存在しない。
独占するには、偶然にも並んだマスに同じ人が最初に入る必要がある。
そもそも、土地を独占しても「止まった時の支払いが2倍」というだけで、家を建てたりできない。
だから、戦略の立てようもない。
…そんなわけで、本物とマクドナルド版の違いは「本物は知略を競うゲームだったが、マクドナルド版は運のみのスゴロクになった」ということになる。
まぁ、ハッピーセットのターゲット年齢層は未就学児童~小学校低学年なので、戦略性なんかない方が楽しめるだろう。
でも、これは「ルールブック上は」というだけの話だ。なにも、ルールに従うだけが遊び方ではない。
ゲームのルールなんて言うのは、遊ぶ人の合意が形成できれば自由に変えていいものだ。
まず、交渉して土地を売却しても良いことにしよう。
売却は、なにもお金だけで行うのではない。土地同士の交換でもいいし、安い土地2つと高い土地1つ、でもいい。
これだけでもずっと「モノポリー」らしくなる。
続いて、家を建てられることにしよう。
本物では、土地の所有は「権利書」カードを持つことで示される。
しかし、マクドナルド版は、プレイヤーの「チップ」を土地に置くことで示す。
土地は全部で16カ所しかないのだけど、チップは各プレイヤー12枚、全部で48枚ある。
「チップの追加」で家の建設を意味することにしよう。
建設は、独占した土地のグループでしか行えない。
その土地に書かれた金額の2倍を払うことでチップを追加でき、チップが2個付いた土地に止まったプレイヤーは、土地の4倍の金額を支払う。
#独占時点で支払額は2倍になっている。チップが2枚になったことで、さらに2倍する。
チップの追加が「土地の金額の2倍」なのも、その時点での支払額で追加可能、という意味合い。
家の建設…つまり、チップの追加は1枚を限度とする。
4人で遊んでいれば、各プレイヤーのチップで足りるだろう。
3人以下の場合は、使っていないプレイヤーチップを使ってもいい。
参加してないプレイヤーのチップなので、土地が誰のものであるかは一目瞭然だ。
土地を人に売るときは、家はなくした更地の状態に戻すこと。
家は「土地に書かれた金額」で売れることにする。購入価格の半額だ。
#独占している場合、グループの土地全体を更地にしないと土地は売れない。
こうすると、マクドナルド版公式ルールよりも、多くの金が動くようになる。
スタート時の支給額を+5くらいしておくといい。
実際これで遊んでみると、大金が飛び交う激しいゲーム展開になった。
サイコロに期待値がないので、「予想して狙う」ようなことはできないのだけど、ただのスゴロクよりは楽しめる。
#マス目が少ないので、サイコロを2個に増やすと破綻する。
2d4 とかならいいかもしれないけど、試してない。
1つ処理に困った部分がある。
マクドナルド版にしかないのだけど、「チャンス」マスで、「ドナルドパーティ」マスに進む、という指示があるのだ。
ルールブックには、この指示が出た場合は、ただ進むだけではなく、そのマスを無条件に奪い取って自分のものにできる、となっている。
しかし、独占すると家を建てられる、というルールを導入すると「無条件で奪い取れる」のが相性が悪い。
というか、交渉すら存在しなかった公式では、唯一の「他人のマスを奪える」チャンスだったのだけど、交渉して苦労して手に入れたものを無条件で取られたら…と考えると、ゲームが破綻する可能性がある。
モノポリーでは、土地を持っていない人間はジリ貧なのがわかっているので、「土地を奪える」は起死回生のチャンスだ。
このチャンスは残っていたほうが面白いように思う。
その一方で、これがあるとルールの整合性が取れなくなる。
独占して家を建てたのに、土地が奪われて独占ではなくなる、などのおかしな状況が生じるからだ。
また、交渉ありのルールだと、「奪い取られるかもしれないマス」というのは価値が低くなり、使いづらい。
そこで、このようなルールではどうだろう。
(まだテストプレイしていないが)
・「ドナルドパーティ」マスに進む、というチャンス指示が出た場合、「好きなマスに進む」ことができる、と読み替える。
・進んだマスが独占「されていない」場合、そのマスの金額を支払うことで、マスを入手する。
すでに所有者がいれば、所有者に金を払う。所有者がいなければ、銀行に金を払う。
・進んだマスが「独占」されていた場合、マスの所有者は、土地を奪われないが、土地相応の金額を奪われる。
独占だけなら土地に書かれたマスの2倍、家が建っているなら4倍の金額となる。
・進む際に、時計回りで「GO!」マスを通過する際は、通常通りお金2を銀行からもらえる。
これなら、特定の土地が「奪われるかもしれない不利な土地」ということはなくなる。
お金が全くない時は独占された土地に進むことで「買取らないといけない」という理不尽も起きないだろう。
独占された土地が無い場合も、GO! のすぐ後の金額1の土地を選べば、直前にお金が2入るので破産することもない。
マクドナルド版の公式ルールと比べると、かなり複雑化している。
それでも、土地を抵当に入れて借金、とかがある本物に比べると、かなり簡略化されたゲームだ。
未就学児童には難しいかもしれないけど、小学校低学年なら遊べると思う。
(うちの小2の次女と遊べた)
一度は公式ルールで遊んでみて、慣れた頃に「上級編」ルールとして取り入れてみてください。
公開後すぐに追記
「モノポリージュニア」という製品があるのだそうです。知りませんでした。
子供向けに簡略化したもので、
・サイコロは1個
・マスの数が少ない
・交渉が存在しない
などが特徴だそうで。
マクドナルド版は、この「ジュニア」を元に、さらに簡略化したものだったようです。
同じテーマの日記(最近の一覧)
別年同日の日記
申し訳ありませんが、現在意見投稿をできない状態にしています。 |