この作品、見たことありません。ごめん。
世の中にもあまり出回っていないのではないかな。
AM1研の作品ですらなくて、AM4研のエレメカです。
この作品を紹介したいのではなくて、これに絡んだ思い出話を書きたいだけです。
アスキーのWEBページに、1997年12月に行われた製品発表会の様子が書かれていました。
…ね、ちゃんと発表されているでしょう?
多分12月の発表会だから世に出回ったのは翌年だと思うのですが、一応 20年たった、ということで。
最初に概要を書いておくと、当時は「ポケベル」という道具がありました。
携帯できる道具で、電話を使ってメッセージを送れる
ポケベルから送ることはできません。送るには公衆電話を見つけないといけない。
1986年ごろからビジネスマンの道具として出てきたものですが、1990年頃から、女子高生の間でブームになります。
いつも友達と繋がっていたいお年頃よね。
でも、その頃はまだ、メッセージとして数字しか送れませんでした。
普通は「この番号に連絡せよ」という意味で電話番号を送るものだったのですが、女子高生は語呂合わせで数字を使ってメッセージをやり取りします。
114106 なら「アイシテル」と読む具合。
#1 は先頭にあるため、「ア」と読ませる例多し。また、「イチ」なので「イ」とも読む。
4 が「シ」は良いとして、10 は「テン」なので「テ」、6 は「ロク」だけど、文脈からラ行の「ル」と判断。
…あらかじめ符丁を示し合わせてないと伝わらないですね。
恋愛ドラマ「ポケベルが鳴らなくて」は 1993年の作品。
ドラマの小道具に使われるくらいにはブームになり、浸透していたのです。
この需要にこたえるかのように、1996年に、数字だけでなく文字メッセージが送れる仕組みが登場します。
プッシュホンを使用し、2桁1組の数字で文字を表します。
例えば、1桁目が 1 なら「あ」行、2 なら「か」行で、0 なら「わ」行を示します。
そして、2桁目が 1 なら「あ」段、2 なら「い」段…で、5 なら「お」段を示します。
だから、1112324493 なら、「アイシテル」となるわけです。
#ちなみに、2桁目が6以降は、アルファベットや数字などを意味します。
この入力方法、現在のスマホの「フリック入力」にほぼそのまま受け継がれています。
1桁目の位置はそのまま数字位置で、2桁目は、指をフリックする方向として。
詳しく知りたい人は、こちらも参考になります。
#全くの余談ですが、i-mode 時代…現在「ガラケー」と呼ばれる時代は、繰り返し同じボタンを押すことで「段」を選ぶ方式が主流でした。
1 を1回押せば「あ」だけど、5回押すと「お」になる。これ、わかりやすいけど入力に時間がかかるのね。
i-modeも一部端末でポケベル式入力が使えたので、僕は好んで使っていましたが、だんだん使える機種が減って行って…
フリック入力が登場した時は、「時代が戻ってきた」と感じました。
文字が使える機種は大人気で、あっという間に女子高生に広がりました。
当初は暗号表のような「文字変換表」を見ながら送っていたメッセージも、やがて暗記し、高速に入力できる人が増えていきます。
そのブームを受けて開発されたのが、「ポケベル早押し Piポパ」です。
ポケベル、と言いながらも、ゲームの操作部分は公衆電話の形をしています。
メッセージを受ける側の「ポケベル」ではなくて、送信側の公衆電話のゲームなのね。
そして、画面に表示された「問題文」を、高速にタイプしていくのです。
やはり当時パソコンソフトとして流行していた、タイピング練習ソフトのノリですね。
さて、最初に書いた通り、このゲームを紹介したいというより、このゲームにまつわる思い出なのです。
と言っても、実際にその思い出話が発生したのは、半年くらい後だったかな。
同期の女性デザイナーが、退職することになったのです。
一緒に仕事もした人で、退職すると周囲に公表した後のこと。
何かのきっかけで、ふたりで話をしていました。
その時に、「誰にも言ってはならないナイショ話」として聞いたのです。
誰にも言ってはならないと言われましたが…ごめん、面白い話だから書いてしまいます。
「ポケベル早押し Piポパ」は、AM4研の作でした。
AM4研は基本的にエレメカ部署で、ゲーム画面を組み合わせる場合は、AM1研と組むことが多いです。
(スポーツフィッシング2や、アンパンマンポップコーン工場など)
AM4研には、ドット絵を描けるデザイナーが存在していないためです。
しかし、ポケベル~では、AM4研単独作成を目指しました。
そのために、外注でフリーのグラフィックデザイナーを頼んだのだそうです。
その外注が…じつは、AM1研に在籍していた、彼女だというのです。
ゲームのドット絵を描ける人を募集していると知り、セガ社員であることは隠して応募し、採用されました。
2か月くらいの短期の仕事で、時間給を考えると正社員でいることが馬鹿らしくなるほどの報酬をもらったとか。
で、それなら独立してやった方がいいんじゃないだろうか、と退職を決めたのだそうです。
セガは社員の副業禁止でしたし、そもそも社員だったと判れば「社員の仕事内」のこととして、報酬を無しにされてしまうでしょう。
だから、絶対にナイショの話でした。
当時すでにインターネットを始めていましたので、彼女がやめてしばらくたってからメールをもらいました。
とある有名企業の広報誌の表紙イラストの仕事を、1年分貰ったとのこと。
これで、イラストレーターとしても十分な実績を得られたようです。
これ、身近なロールモデルですね。
僕も後に独立するわけですが、彼女が失敗していたら、慎重になってしまって独立しなかったかもしれません。
彼女はその後もフリーのイラストレーターとして活躍していたようですが、後にデザイン会社に所属するメンバーになっていたようです。
これは、今どうしているかな、と思って10年くらい前にネットで名前を調べて知ったこと。
しかし、数年前に名前を検索した時には、見つかりませんでした。
(女性なので姓が変わった可能性もありますね)
2019.11.12 追記
実際のROMを入手した方(のすけ @konosuke さん)が、Twitter 上で画面動画などを公開してくださってました。
引用許可をいただけたので、以下に引用させていただきます。
うおお、起動したw pic.twitter.com/qsRpY9OWA3— のすけ (@konosuke) November 11, 2019
恐ろしいゲームだ…w pic.twitter.com/hMdB2klO7P
— のすけ (@konosuke) November 11, 2019
入力はやっぱりマトリクスなのかな…? pic.twitter.com/MIPJYJA4JK
— のすけ (@konosuke) November 11, 2019
キャプチャしてみた pic.twitter.com/6iT60fw0hZ
— のすけ (@konosuke) November 11, 2019
チラシ写真以外の画面、初めて見ました…しかも、動画まで。
のすけさん、引用許可ありがとうございました。
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