2009年01月07日の日記です


FALTIMA030 その後[レビュー・評価]  2009-01-07 17:22:00  歯車

FALTIMA030 を買った、と以前の日記に書いたので、使用後の評価も書いておこう。


最初に結論を書いておくと、これを買ったのは失敗だった。

ただ失敗だった、と書くとメーカーさんへの侮蔑になってしまうし、購入を迷っている人にも何の情報も与えられないので、何が悪いのか等を書いておこうと思う。

いわゆる「人柱レポート」だ。




最初に使用条件を書いておく。


主に掃除を行うのは、和室8畳+リビング8畳+キッチン4畳+廊下4畳=24畳。

和室とリビングはつながっていて、何の障害物も無い。事実上16畳の部屋だ。

キッチンは、リビングからの入り口が1箇所に制限され、袋小路になっている。家具などを除いた床面積が4畳程度だ。

廊下は、和室とリビングに出入り口があり、循環路を作っているが、両端は行き止まりだ。

+----------------+

|   廊下   |

+---- ------ --+

|キッ       |

|チン| リビ  和 |

| | ング  室 |

+--+-------------+

家具はリビングの中央にテーブル、和室の隅にテレビ台があるが、他には無い。

掃除の際は和室で使用するちゃぶ台は片付け、リビングで使用している椅子はテーブルの上に上げてある。


掃除ロボットを使用する際は、部屋に障害物が少なく、袋小路が少ないことが有利に働く。

家具が少なく、部屋がわりと「四角い」ことは掃除しやすいはずだが、廊下まで一緒に掃除しようとしているのは、多少厳しい条件だろう。


この条件で、数年間 Roomba Discovery を使用してきた。

そして、1ヶ月近く FALTIMA030 を使用してみた。


では、使用レポートに入ろう。




まず、Roomba での掃除状況を書いておく。

Roomba の場合、電池が切れるまで動き続ける「MAX」モードで、上のスペースを2時間程度かけて掃除し、「満足できる」程度には綺麗に出来る。

Roomba 自身が「綺麗になった」と判断して終了する「CLEAN」モードでも、大体満足できる。が、時折掃除し残しが発生する。

どうやら、CLEAN モードは、「一定時間ゴミを見つけられなくなったら終了」するようなので、掃除エリアが大きすぎると勘違いで終了してしまうことがあるようだ。


Roomba は、公式情報によれば、1箇所について平均4回清掃を行うそうだ。

平均、としているのは、Roomba の特性上「人間が行うような」整然とした清掃を行わず、ランダムに走り回るため。

このことは後でもう一度取り上げるが、非常に重要。


そもそも、Roomba はブラシによる「跳ね上げ」で清掃を行う。(補助的に吸引も使用するが、小さな埃程度しか吸えない)

この方式は、1度通っただけではゴミを取り残すことがあるので、4回程度清掃する、というのは正しい方法。



Roomba も2年以上使っていると、電池が劣化して2時間動けなくなる。

最終的には、MAX モードでも動作時間が30分程度になった。この段階でも、それなりに満足する掃除はしていたが、さすがに取り残しが多くなる。


2時間で平均4回なのだから、30分ならば平均1回だ。「平均で」1回ということは、一度も清掃しない箇所もありえるわけで、取り残しがあるのも道理。


交換電池を買ってしばらく使ったが、本体にもガタが来ていたため、しばらくたって壊れた。

電池が劣化する頃には使い捨てる、というのが正しいのだろう。





次に、FALTIMA030 の掃除状況。

FALTIMA030 にも、 MEDIUM/LARGE のモードがあり、これが Roomba の CLEAN/MAX に対応する。


しかし、LARGE で掃除をしても、Roomba のような満足いく状況にはならない。

電池劣化して、30分しか動けなくなった Roomba 以下の清掃状況。



原因はいくつか考えられるが、最大のものは FALTIMA030 の「遅さ」と「電池容量の小ささ」だろう。

正確な計測は出来ていないが、Roomba の7割程度の速度で、半分程度の時間しか動けない。

ということは、総走行距離は3割程度だ。


Roomba が平均4回清掃するとして、平均1.4回だ。これもまた、ランダムに動くと考えれば「一度も清掃しない箇所」が生じるのは道理なのだろう。




しかし、電池劣化した Roomba は、新品の FALTIMA030 よりも綺麗に清掃を行う。

この違いはなにかといえば、「センサー」の豊富さと「清掃アルゴリズム」、つまり頭の良さの違いなのだろう。


Roomba は、良く「ランダムウォーク」と評される動きをするのだが、実際にはランダムなどではない。

主に、3つの動きで成り立っている。


1. 螺旋運動をしながら、特にゴミの多い箇所を重点的に清掃。この際、螺旋の広がり方は比較的密で、清掃し残しは少ない。

2. 壁に当たると、センサーが「壁からの距離」を測りながら、壁沿いに清掃。このため、角であっても掃き残しは無い。

3. 直進し、壁に当たると「少し位置をずらして」180度反転、を繰り返す。壁に当たった回数が偶数回目と奇数回目で「ずらす」ための旋回方向を逆にするため、面を塗りつぶすように移動することになる。これにより、広い箇所でも漏れなく清掃する。



最初は 1 で始まり、2と3をランダムに(一定時間ごとに?)切り替える。

しばらく「面」を清掃したら、壁沿いに別の箇所に移動し、そこでまた「面」を清掃することになる。

また、ゴミを発見するセンサーがあるため、特にゴミを多く見つけると 1 のモードに切り替わり、効率的な掃除を行う。





これに対し、FALTIMA030 は次のような動きをする。


1. 螺旋運動をしながら清掃。螺旋の広がり方は比較的疎で、清掃し残しが発生している。

2. 壁に当たると、少し方向を変えて直進後、すぐに壁側に曲がってみる。壁にぶつかれば慌ててもとの方向に戻る。どうやら、壁からの距離を測るセンサーが無いようで、「ぶつかってみる」ことで壁を認識している。

3. 直進して、ぶつかったらランダムに方向を変える。本当のランダムウォーク。


最初は 1 で始まり、1 2 3 をランダムに切り替える。度々 1 が混ざるのでゴミ発見センサーがあるのかと思ったが、ただのランダムだった。



最初に書いたが、ロボット掃除機は障害物が少ないほうが上手に清掃できる。

これは、「障害物回避」に余計なエネルギーを使用すると、稼動できる時間がそれだけ短くなるためだ。


しかし、FALTIMA030 は 2 の動きをすることで「何度も障害物にぶつかる」ことになり、ただでさえ短い稼働時間を無駄に減らしている。

また、壁沿いに進む直進速度が遅いため、ランダムに次のモードに切り替わるまでに移動する距離は短い。このため、壁沿い移動で「新たな清掃箇所」に移動することは、あまり無い。



螺旋運動は両輪を最高速度で動かすわけではないため、必要以上に移動に時間がかかり、これも稼働時間を減らす。

Roomba ではゴミが多いところでのみ使用することで、無駄な螺旋運動は減らしているが、FALTIMA030 はランダムに使用し、しかも螺旋が疎なため清掃効果が薄い。

(おそらく、エネルギーの無駄遣いを自覚しているため、速く壁に到達してモードを終わらせようとして、螺旋を疎に設計してある)



さらに、直進モード時に「面を塗りつぶす」動きをせず、本当にランダムに動き回ることで、清掃状況に偏りを生じさせている。


このことは別の深刻な問題も引き起こしている。我が家のキッチンや廊下のように「入り口が限られる」場所に到達できるかどうかが、本当に運任せなのだ。

Roomba は、面を塗っている最中に、高確率で入り口に到達し、内部に侵入する。しかし FALTIMA030 では、入り口に到達できず、その向こう側は全く清掃されていない、ということが度々起こる。

Roomba では、別の箇所に移動するために「壁沿い移動」も効果的に使われているのだが、FALTIMA030 では前述の通り壁沿い移動時間が短いため、やはり入り口への到達可能性を低くしている。



結局、ただでさえ最高移動速度の遅い FALTIMA030 は、頭の悪さ(やたら旋回する、何度も壁にぶつかって方向転換する)によって、さらに実質的な移動速度を落としている。


結果として、Roomba の場合は電池劣化で30分しか動作しない状況であっても「取りきれないゴミがあった」程度だったのだが、FALTIMA030 では「全く掃除されていない箇所がある」ことが多い。

さすがに全く清掃されていない箇所があるのは気持ち悪いので、ロボット清掃後に、人間が仕上げ清掃することが多い。これでは何のためのロボットだかわからない。(まぁ、無いよりは楽だが)




まとめ。


動作の論理なども考え、FALTIMA030 を使用するのであれば、我が家のような条件では使用しないほうが良い。

おそらく、24畳では1箇所平均の清掃回数は、Roomba の4回に対して1回以下だろう。


部屋面積が半分の12畳程度であれば、平均で1回は上回り、3分の一の8畳であれば平均2回はいくだろう。

ただし、Roomba に比べて「頭の悪い」FALTIMA030 の平均2回では、やはり「一度も通らない」ところが多発すると思われる。

8畳程度の部屋でロボットを使った上で、自分で仕上げを…というのは手間ばかりかかって利点が無い。



今なら円高だしRoomba を個人輸入するのもよいだろう。

日本で未発売の廉価機種を購入すれば、業者に手数料を払ったって、実は FALTIMA030 より安く購入できる。

それでいて、性能は FALTIMA030 よりずっと上だろう。廉価機種であっても、上に挙げた清掃アルゴリズムは変わらないのだから。


ただし、以前私が Roomba を個人輸入した際は、不良品が届いて後の対応が大変だった。

汚れにまみれる精密機械なので、使用後半年以内に1度はトラブルを経験すると思うが、個人輸入では保証がない。

(最新のルンバは、以前よりもトラブルを起こしにくい設計になった、とは聞くが)


ここら辺も考えて、どの方法をとるかはご自分のリスクで判断していただきたい。


後日追記


螺旋が疎、と書いたが、改めて観察していると、必ずしも疎なわけではないように思う。

それでも疎だと感じた理由は、螺旋運動をした後も、そのエリアにゴミが多く残ったままだから。


どうやら、ブラシの設計の問題で、Roomba と比較してゴミを収集する性能が低いのかもしれない。

だとすれば、任意のポイントでの「平均走行回数」よりも、もっと根本的な掃除性能で問題があることになる。



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