目次
01-24 Macintosh の発売日(1984)
01-24 QNAPにないもの
今日は、Macintosh (128k) が発売された日(1984)
22日にスーパーボウル(アメリカンフットボールの優勝決定戦)の中継の中で Macの発売告知のCMが流され、2日後の今日、発売となりました。
初代マックはもう、いろいろと伝説がありすぎて僕が書く必要もないくらい。
ゼロックスで研究されていた Alto を元にして、「ゼロックスが商品化するつもりがないなら、アップルがやってしまうぞ」と言ってジョブズが作り上げたもの、とよく言われる。
まぁ、本当は直接作り上げたのは Lisa というマシンで(先日暇がなくて書けなかったのだけど、1983年1月19日発売)、Mac の元となった機械だ、とされている。
でも、Lisa は Mac よりもっと Alto っぽかった。
マルチタスクで動くし、マルチウィンドウだった。
でも、Lisa は高価だった。パソコン界のポルシェ、と呼ばれた。
そして、CPU である 68000 はマルチタスクに耐えられるほど高速ではなく(それでも、当時は高速なCPUの方だったのだけど)、使い勝手は決して良いものではなかった。
この反省から、Mac は Lisa を「切り詰めた」ものとして作られた。
いや、ジョブズは Lisa が受け入れられないことを認めたくなくて、「切り詰めた」のではなくて「切り捨てた」のかもしれない。
高価だった RAM を極力減らすため、OS の一部はあらかじめ ROM に納められた。
アプリケーションのプログラムも、肥大化すれば RAM を必要としてしまう。
そこで、OS の一部である ROM の中に、よく使われる処理が収められ、それらを使うことが推奨された。
もちろん、OS というのは「よく使うルーチン」の集合体だ。
その意味では、よく使う処理が入っている、というのは当たり前に思える。
でも、そうじゃなかった。
OS はまた、汎用的な処理だけを集めるべきで、高度に専門化されたルーチンを持つべきではない。
でも、Mac の ROM には「ボタンを描く」とか「テキスト入力を行わせる」とか、「テキストエディタ」のようなものまで入っていた。
結果として、Mac のプログラムは、別の会社が作ったプログラムであっても、「どこかで見た」部品が使いまわされることになった。
これが「ソフトが違っても使い勝手が統一される」という良い作用を生む。
使い勝手の統一、という、いまでは当たり前の作法は、「メモリを切り詰めた結果」、やむなく生まれたのだ。
Lisa は 1Mバイトのメモリを搭載していた。
これがどんなに驚く容量か…当時、IBM-PC は最大でも 640K のメモリしか搭載できなかった。
現実的には、Lisa と同じ 1984 年に発売された IBM-PC/XT は、256KB しかメモリを搭載していなかった。
しかし、その 1M のメモリが Lisa を高価なものとし、全然売れないマシンにした。
Mac は、この反省からメモリが切り詰められ、128K しか搭載していなかった。
しかも、拡張性は一切ない。搭載量が 128K で、最大も 128K だ。
文字中心の IBM-PC でも、256K 。それを、グラフィカルにして 128K 。
ソフトはほとんど何も動かなかったし、Mac 上でソフトを開発することなんて、とても無理だった。
#Lisa に MacWorks というソフトを載せると、Mac 互換になったので、開発には Lisa が必須だった。
もちろん、Lisa と違って Mac はマルチタスクではない。だから、ウィンドウシステムも、あまり意味がない。
1つのソフトが画面全体を占有する、というのが Mac の作法だった。
#実は、初心者にはこれがわかりやすかった。画面がごちゃごちゃしている、というのはわかりやすくない。
後に Mac はマルチタスク・マルチウィンドウになるけど、iPhone / iOS では、シングルウィンドウに戻った。
ジョブズは、Mac を「パソコン」だとは考えていなかった節がある。
どうも、ソフトウェアのプレイヤーを作ろうとしていたようなのだ。
拡張性が無い、というのもそのための選択だったのだろう。
各家庭にあるテレビが、ユーザーの好みに合わせて、蓋をあけて拡張される…というような話はない。
どこの家でも同じ仕様のパソコンを売れば、発売されるソフトもどこの家でも動くはずだ。
プレイヤーだと考えれば、非常に正しい主張だった。
キーボードは不要だ、とも主張していた。
マウスだけあれば操作はできる。文字入力が必要なら、画面上にソフトウェアキーボードを表示すればいい。
もちろん、キーボードが必要な人もいるだろうけど、それなら「別売り」にすればいい。
しかし、Mac はキーボード付きで発売された。
もしキーボード無しなら、これはパソコンではなくて、当時としては画期的な「ソフトウェアプレイヤー」として認識されたかもしれない。
Apple II の設計者であるウォズニアックも、後に「アップルはソフト再製に特化した、ファミコンみたいなものを作るべきだった。でも、任天堂に先にやられてしまった」という趣旨のことを語っている。
当時はウォズとジョブズはすれ違い、仲は悪かったはずだけど、同じような意識を持っていたのかもしれない。
Lisa は豪華すぎて高価で売れなかった。
Mac はその反動で、切り詰めすぎ、発売してすぐに「何もできない」との評判が立つ。
発表時にたくさんの予約が入っていたが、発売してからキャンセルが相次いだらしい。
当時アップル社の研究職だったアラン・ケイは、Mac を「1リットルしかタンクのないホンダ」だと呼んだ。
素晴らしい性能を持っているはずなのに、それを動かすための「燃料」を、ほとんど入れられない。
皆が、Mac をパソコンだと捉えていた。
そして、パソコンだと考えると、あまりにも非力だった。
1984年の今日、発売されたパソコンの名前は「Apple Macintosh」だった。
でも、一般に Macintosh 128k と呼ばれる。
これは、すぐ後に「Macintosh 512k」という機械が発売されたため、区別するために初代機には「128k」と付けるようになったのだ。
メモリ容量が4倍になって、やっと Mac は普通に使える「パソコン」になった。
そして、実は Mac に非常に惚れた人物の一人に、ビル・ゲイツがいる。
ゲイツとジョブズは仲が良い。
発売前から、ジョブズは Mac をゲイツに見せ、詳細資料を提供してソフトの開発を依頼していた。
まだ発売前なので、詳細資料…OS の API 資料にはとにかく何でも書かれていた。
OS 内部で使うためのルーチンなどは一般には公開しないものだけど、そういうものの情報もあったようだ。
そして、ジョブズは「この資料を自由に使ってよいし、そうして得られた情報でいかなるプログラムを作ってよい」とメモに記してサインした。
ゲイツは、Mac に表計算を提供した。初代 Excel だ。
Excel は、それまでの VisiCalc や、Lotus 1-2-3 とは明らかに次元が違う、非常に使いやすい表計算ソフトだった。
ジョブズが Alto を見て Lisa を開発し、さらに Mac を作ったように、ゲイツも Alto をみて Windows を作っていた。
でも、初期の Windows は全然売れなかった。
当時は MS-DOS で十分だったから。
後に Windows の出来が良くなってから、Mac に酷似している、と裁判になった。
同じ Alto を真似したもの同士だから、似ているとしてもある意味当然。とはいえ、Alto には存在しなかった、ファイルをアイコンとして扱える仕組みなど、Mac に影響を受けたとしか思えない部分も多々ある。
この裁判は、最終的に、先に書いたジョブズのメモ、「得られた情報でいかなるプログラムを作ってもよい」という約束が理由で、Apple の負けとなった。
この裁判の頃、ジョブズは Apple を追い出されていて不在だった。
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QNAP 話の続き。
LANDISK にはあって、QNAP にないものが1つある。
アクティブリペア機能。
これ、地味な機能だけど6年間も LANDISK が動き続けたのはこれのおかげもあるのではないかな、と思っている。
アクティブリペアは、1週間に一度、ディスクの全セクタをチェックする機能。
どうも、I/O-DATA のオリジナルソフトらしいので詳細な動作はわからないのだけど、多分全セクタを読み込んでいるだけ。
ハードディスクは磁気で記録しているのだけど、非常に小さな領域に記録しているので、磁気はだんだんと弱まる。
2005 年ごろからは垂直磁気記録、という方式が使われていて、この方式ではそれ以前の方式に比べ、磁気が弱まることがかなり少なくなったという。
とはいっても、「あるビットが」弱まってしまう確率が格段に減ったとしても「全体の中のどこかが」弱まる確率は、容量が増えたのでそれなりに残っている。
でも、磁気っていうのはいきなりなくなるのではない。徐々に弱くなる。
ハードディスクはデジタルで記録しているけど、磁気読み取りヘッドまでデジタルに動くわけではない。
読み取りはやっぱりアナログで、これを閾値で補正してデジタルにしている。
そして、「弱まってきた」ことはわかるらしい。
ある程度弱まってきている、と感じたら、ハードディスクのファームウェアが、自動的に「読み取ったデータの書き戻し」を行う。
これだけで、同じデータなのだけど磁気情報的には新しい、磁気の強いデータとなる。
読み込んだだけでもデータが失われる確率が減るわけだけど、「アクティブリペア」では、万が一データが読み取れなかった際には、RAID 1 を組んである「もう片方のディスク」からデータを読み込んで、壊れたほうのデータを修正する。
基本的に RAID 1 は、「読もうと思ったときに、壊れていたらもう片方のディスクから読み出し、壊れたほうは修復する」ことでデータを保護している。これを積極的に行うわけだ。
僕は NAS をデータ蓄積目的で使っている。めったに読まないデータもあるし、多分前の NAS を買ったときに入れてから、6年間使わなかったようなデータもあると思う。
こういうデータは、磁気が弱まって、RAID 1 でも両方のディスクでセクタが読めない、ということだって、有りかねない。
アクティブリペアはそれを防いでくれるわけで、非常に安心できる。
でも、QNAP にはそれが無い。
うーん、RAID なのだから、ただセクタ読み込んで、データ棄てるだけでいいのかもしれない。
片方が壊れていたら、もう片方のデータを読み込んで修復、というのは RAID システムの仕事だ。
QNAP は中身が LINUX で、SSH で入ることもできる。
全セクタを読むようなプログラムも組めるかもしれない。
#と思って今確認したら、cc も gcc もないね。基本的には busybox 使っているだけだ。
あまり低レベルなプログラムは作れないかも。
で、少し考えて、S.M.A.R.T. のテスト設定が出来たので、定期的に long test を行うことにした。
long test は、名目上は「全セクタの読み込みテスト」を行うことになっている。
読み込んだだけで修復されるのであれば、これでもいいだろう。
ただし、エラーがあった場合に「もう片方のディスクから正常データを読み込んで修復」はできない。
SMART はディスク個別の問題であって、RAID とは無関係だから。
もう一つ、「アンチウィルス」を使うのもいいかもしれない。
スケジュールを組んで、raid 上の全ファイルのウィルススキャン、とかできる。
普通は、無駄とおもわれるファイル…テキストファイルとか、バックアップファイルは除外、というような設定をするのだけど、「全ファイル」のスキャンで「ドキュメントや圧縮ファイルの中まで」を指定すれば、おそらくは保存しているファイルの全セクタを読み込んでくれるのではないか。
アンチウィルスも詳細動作が不明なので何とも言えないのだけど、アクティブスキャン相当の効果があるかもしれない。
週に1回とか、月に1回でいいから、スケジュールに入れておくといいかも。
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