2015年07月13日の日記です


収益を考える  2015-07-13 11:59:53  業界記

ファイナルアーチの話の続きです。


野球って、9回表裏、18ターンの攻防で終わる、長丁場です。

これを業務用のゲームにする場合、100円でどこまで遊ばせるか、という問題が付いて回ります。


ファイナルアーチ以前のゲームでは、「1回が終わった時に、コンピューターより点数を取っていれば続行できる」というルールが標準でした。


しかし、時代的に「対人対戦」が求められていました。

対人の場合、「コンピューターより」というルールは成立しません。


長い議論の末、ファイナルアーチでは「100円で2回の攻防。4連続でプレイしてくれたお客さんには、サービスでもう1回つける」となっています。

つまり、100円1プレイですが、決着をつけたいと思えば400円が必要です。


どんなに腕を磨いても、中途半端なところで強制コンティニュー。

これにはチーム内の反発もありましたが、商売を考えると妥当な落としどころかもしれません。


ところで、「対人対戦」には、もう一つ注文がついていました。乱入可能とすること。


乱入された場合どうなるのでしょう?

終了後、点数を入れたほうが続けられるとして…それまでやっていたプレイ内容は引き継ぐの?


遊んでいた人が勝てば引き継いでもいいのですが、負けた場合は?

知らない人のプレイを引き継いでも面白くないので、「なし」と決まります。


となると、遊んでいた人は「再乱入で取り返す」こともできない。

苦労は水の泡です。


今度は、これをどうするか激論になります。

チーム内で出た意見は、2回100円は良いとして、乱入対戦は無しにしたい、というもの。


しかし、会社の偉い人との交渉の結果、この意見は受け入れられません。

ゲームセンターにとっては「乱入対戦」はゲーム機の稼働効率を上げる優れた方法であり、絶対入れなくてはならなかったのです。


社内の偉い人と、チーム代表者で激論が交わされました。


お金も時間もかけて乱入にされたら、暴力沙汰に発展しますよ、というチーム代表の脅し(?)に対し、偉い人はこう言い捨てます。

「それは作成者が考えることではない。店舗が対策する問題だ」


サラリーマンが時間つぶしに遊べるような野球ゲームを、というのは、店舗営業から上がってきた意見でした。

そしてまた、乱入対戦が欲しいというのも店舗からの意見です。


ならば、両者を盛り込むことで起こる問題は、店舗の方で解決してもらおう、ということでした。


交渉に臨んだチーム代表者は、この言葉に「お客さんのことを考えてない!」とブチ切れてましたが、仕方なく製作を進めるうちに冷静になったようです。

「店舗の問題」というのは、つまり「乱入禁止」などのポップを用意してもらうしかない、ということでもあります。


これ、当時の対戦格闘ゲームではごく普通に行われていたことでした。


#もう少し時代が後になると、乱入禁止スイッチなどが付きます。




この頃のセガは…というか、ゲーム業界全体で、ゲームの中に広告を入れようという試みがありました。


ゲームが3Dになり、表現力を上げるためにハードウェアが複雑化し、それを扱うためにソフトウェアも複雑化し、データも膨大になり…

とにかく、製作費用が膨れ上がっていく時期。


そのままでは販売価格が跳ね上がってしまうので、広告を入れることで少しでも収入を増やし、安くするのが目的でした。


セガでも、広告を入れられないか、すべてのゲームで積極的に考えるように、という通達がありました。

野球ゲームなんて、元々野球場は広告だらけですからうってつけ。


…ところが、急に広告を入れようとしても、未知のメディアに対して「広告主」が見つからないのですね。

営業が広告を取ってこようと努力はしたようなのですが、結局1本も広告は入っていません。



ところで、当時「進め!電波少年」という人気深夜番組がありました。

この番組の中でも、ゲームに広告が入っていることを捉え、「番組の宣伝をゲームに入れたい」という企画が出ます。


この番組、とにかくプロデューサーが無茶振りして、タレントが体当たりでこなす、というスタイルを広めた番組。

(今でもそういう番組はそこそこありますね)


セガにも急にタレントの松村邦弘がやってきて、広告を入れたいとお願いされたようです。

その時、丁度「ファイナルアーチ」が完成間近で、営業が広告を獲得しに回って…いるけど、全然取れない状況でした。


で、ファイナルアーチに電波少年の広告を入れることになります。


他に広告無いから、一番いい場所に入ることになりました。

いくつか球場があるのですが、ドーム球場のスコアボード左横に入っています。


先日も紹介したコチラの動画だと、32秒めと42秒目くらいに、一瞬写っている。




ちなみに、それ以外の広告はほとんどがスタッフの名前を入れた適当な広告になっています。

締め切りまでに広告が間に合わなかったから、デザイナーが短時間ででっち上げた。


スタッフロールとか入るゲームではなかったからね。

僕の名前も、先ほどの動画の中で確認できます。



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