あれ、何と呼べばよいのだろう。
どこの家にでもありそうな気がする。
炊飯器を置いておいて、炊いたりよそったりするときは引っ張り出す棚。
棚だから「ひきだし」と呼ぶのはおかしい気がするのだけど、まぁ、あれだ。
20年前に現在の家に入居した時に、台所に大型の家具を買った。
当初設計では、作り付けの食器棚などを作る予定だったのだ。
でも、予算が足りなかった。作り付けはすっきりするし、地震などで倒れる心配もないのだが、無い袖は振れないので市販の食器棚を購入して据え付けた。
この一部である、炊飯器を置く「あれ」が壊れた。20年も使っているのだから経年劣化で仕方がないだろう。
「買い替える」となると食器棚全体を買い替えないといけない。
作りつけるつもりの部分に購入したものなので、ユニット式ではあるが連結されて非常に大きいものだ。
ユニット式とはいえ、20年も前のものなので一部だけ購入して置き換えるのも難しいだろう。
というわけで、買い替えという選択肢はない。あとは修理だ。
しかし、この修理が大変だったのだ。
炊飯器を乗せる「あれ」。
2年ほど前から調子が悪かった。なんか動きが悪いのだ。
それが、2か月ほど前に明らかに動作がおかしくなった。1か月ほど前に引き出したときに、小さな鉄球が転がりでた。
あ、ボールベアリングだ。破損してベアリングが出てきた、ということはいよいよ重症だ。このまま使い続けることはできない。
そこで交換部品をネットで探す。金属製の棒で、3段式になっていて可動域が広い。
ちょっとネットで探し、「スライドレール」という部品で、特に「3段引き」とか「完全スライド」と呼ばれるものだ、と理解した。
スライドレールには小さな車輪で動くものと、ボールベアリングで動くものがあるらしい。
小さな車輪のものは荷重がかかる用途には向いていないそうだ。また、完全スライドはほとんどボールベアリングだ。
もともとボールベアリングが転がり出て壊れているわけで、ボールベアリングの完全スライドを探す。
壊れた部品のサイズを測ると、長さ38センチだった。
しかし、ネットで探してもこの長さが売っていない。350mm か 400mm 。その前後もあるが、50mm 刻みが標準的なサイズのようだ。
さらに、幅が 36mm と 46mm の2種類あることを知った。
家のものを測ると、36mm だった。
さらに、多くのスライドレールが、棚板の「横」につけるようにネジ穴があった。
壊れたものは、棚板の側面につけるのだが、90度の角度にネジ付け穴の金具が飛び出しており、棚板の下からねじ止めするようになっていた。
重さを支えるのだから、この構造の方が安心に見える。
ネジ穴金具が90度に飛び出していて、幅 36mm で長さ 400mm。この条件で探すがなかなか見つからない。
いろいろ探して、やっと売っているところを見つけた。購入する。
届いたのは先週だったが、先週末の3連休僕は忙しかった。時間の合間を縫って、少しづつ作業する。
まず、壊れた金具を取り外す。ここで止めているネジが分からずに一苦労。
スライド金具を「適切な位置に」スライドさせたときにしか見えない位置にネジが止められていた。
新しい金具を当ててみる。今まで4か所でねじ止めされていたが、新しい金具とも2カ所はネジ位置が合うようだ。
まずは仮止めしてみる。
購入した金具は、家具本体側に取り付ける部品と、棚板側につける部品を取り外せる。そうすることで、ねじ止め作業を楽にできる。
なので、棚板側も今までのネジ穴を利用して、1カ所仮止め。
これで入れてみる…と、ここで重大な問題に気づく。
スライドレールの「厚さ」が今までのものと全然違い、位置が合わないのだ。
ネットで探していた時、様々なスライドレールを見たが厚さは共通だった。先に書いたが、幅と長さが選択基準だったのだ。
しかし、20年も前の家具になると規格が違うのか。厚さが違うためにレールが挿入できないのだ。
本体側レール位置と棚側レール位置を測ってみると、2cm弱…多分 18mm ほど違う。
ホームセンターに木材を買いに行く。厚さ 9mm 、幅 30mm 、長さ 910mm の棒を買ってきた。
木材の規格サイズとして、1x4 のような呼び方をするが、ここで基準となる「1」は、19mm だ。
9mm はその半分、ということ。先に 18mm 違うと書いたが、こうした規格に合わせたサイズになっているのだろう、という思いもあった。
幅は 36mm 以下で、売っていた良さそうなものを選んだだけ。910mm というのもよくある規格サイズだが、400mm 2本を取りたかったため。
これで、左右共に金具の位置を調整して、レールの幅を合わせようという意図である。
早速やってみる。
…今度は、わずかにレール幅が狭すぎる。棚板が上手く入らない。たぶん 1mm くらい大きい。
先に書いたように、1x4 などの 1 は 19mm だ。金具のサイズもこれが基準だろう、と考えていた。
それを、左右で 9mm ずつ埋めても、「少し隙間がある」くらいに思っていた。ところが、キツくて入らないのだ。
これは困ったなぁ。
すると妻が「1mm 削ろう」と言い出した。妻は僕よりも木工が得意で、小さなカンナや電動ドリルなども持っている。
いろいろ試行錯誤しつつ、最終的には「目の粗いやすりで削るのが一番楽そうだ」と、ひたすら時間をかけて削った。
削っていて分かったが、戸棚本体も正確な四角にはなっていないようだ。そりゃ、人が作るものだから誤差もあるよな。
奥が狭い台形になっているようなので、木もそれに合わせて削る。
妻が2時間くらい作業しただろうか。これで、無事ちょうどよいサイズの板が出来上がった。
妻に感謝。
この日はもう夜遅くなったので終了。
先に書いたように週末は忙しかったため、この次の作業は1日後。
板を木工用ボンドで貼り付けて接着強度が出るまで半日置く。これがまた夜の作業で、翌朝まで放置した。
そして翌朝。実際に棚を仮置きしたりして金具の位置などを決める。
最初に仮組した時はそれまでのネジ穴を使おうと思っていたが、スライドレールの構造をよく理解したらそれではダメだとわかった。なので、ネジ穴位置は今までのものと完全に違う。
適切と思われる位置にレールを置いて、ネジ穴に鉛筆を入れて印をつける。
そして、ネジ穴位置に電動ドリルで穴を開ける。
ちなみに、先に書いたがドリルは妻のもの。
さらにねじ止めを行う。9mm の板をスペーサーとして入れているので、棚の本体にネジが到達できるように、今までより 1cm 程長いネジを使用。
ここでも一筋縄ではいかなかったのだが、とにかく本体側も棚板側もねじ止めした。
いよいよスライドレールの合体。最初に入れるときだけ、スムーズにスライドはしない。
無理やり力で一番奥まで入れる必要がある。以降は綺麗に動く。
(スライド機構の都合上、正しい位置にボールベアリングが来ないと軽い力で動かないのだ。最初の1回を力で解決すれば、ボールは正しい位置に来る。)
金具を取り換えれば治るだろう、と思っていたのだが、想像以上に面倒な作業になった。
しかし、無事修理完了。台所が今まで通り使えるようになった。
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