昨日の土曜日はダブルヘッダー。
先週の土曜日が雨だったため、保育園の運動会は昨日に延期。
そして、延期がなければ昨日は予定なしだったので、母の喜寿のお祝い会をやろう、と兄から提案されていたのです。
まず運動会の話をざっくりと。
いつも保育園で使っている広場は、近所の地主さんの好意で皆の遊べる広場として解放されている場所でした。
数年前、この地主の方が亡くなり、いろいろあって市が土地を買い取りました。
市の資産になった以上はちゃんと整備しなくてはならない、ということで、昨年末から工事を行い、今年の春に防災公園として生まれ変わっています。
で、この公園化がくせもの。
いや、ちゃんとみんなが遊べる公園になったことは異論はないのです。いい公園です。
しかし、整備の際に地下を遊水地にしたようで、グランドに杭が打てないのです。運動会だけど万国旗の飾りつけも、鈴割の鈴を下げることも、コースを囲むロープの設置もできず、競技内容にも影響が出ましたし、ずいぶん地味でした。
でも、長女の最後の、次女が本格的に参加するのは始めての運動会。
二人とも白組。PTA参加で僕も綱引き・障害物走にでましたし、妻もリレーに出ました。
結果は…わずか1点差で紅組の勝ち。
地味だったし負けて残念だったけど、今年の運動会は好勝負が多かった。
なかなか楽しめました。
妻は PTA で運動会の手伝い。
毎年恒例のことだけど、終わった後は「反省会」と称して飲み会があります。
僕が予定があるので、妻は挨拶して早々に帰ってきてくれました。
でも、へべれけで、帰ってきたのは5時ごろ。
喜寿祝は5時半からで、鎌倉駅前。うちから最寄り駅まで自転車で行き、そこから鎌倉まで…だと、30分以上かかります。
直接自転車で行くと 20分くらい。自転車で突っ走ります。
#お祝いの席に汗だくで…は避けたかったので、電車で行くつもりだったのですが。
さて、今日はここからが本題。
予約してあった店は、鎌倉駅前の「鯉之助」。駅を出て正面のビルの1階…つまりは一等地の有名店です。
父の初七日法要を行った鎌倉御代川の系列店です。
今日の日記で書きたいのは、喜寿祝の内容ではなく、この店のすばらしさ!
久しぶりに「一流の店っていうのはこういうこと」という体験ができました。
まず、喜寿祝をこの日にしたのは、北海道に住む姉夫婦がこの日に帰郷していたため。
鯉之助には1部屋だけ個室があるのですが、いつも人気で部屋が取れないそうです。でも、ちょうどこの日は空いていました。
個室の奥には、巨大な金庫の扉があります。駅前一等地で、昔は銀行が入っていたのだとか。
それを知っている人も多いので、わざと「めずらしい」扉を残してある、とのこと。
「中には大判小判がざっくざく…ではなく、今は扉だけです」と言っていました。
言っていました…というのは、個室の担当になってくれたウェイトレス(和食店なので中居さんと呼ぶべき?)の方。
そして、今日の話の1つめはこの方なのです。
接客業だから真面目にサービスをするのは当然なのですが、「楽しい会食」を盛り上げようと、いろいろと面白い話をしてくれます。
金庫の扉に関しても、何気ない会話から、以前は銀行だったこと、お金の保管ではなく貸金庫用だったことを経て、だからもともとお金なんて入っていないことを踏まえたうえでの「今は扉だけ」です。
お酒のリストを見ていれば、さりげなくそれがどのような酒か説明してくれますし、料理を出す時にはもちろん料理を説明してくれます。
そして、そのたびにただの説明で終わるのではなく、さりげなく楽しい話題を混ぜるのです。
コースも終盤、年老いた母は「おいしいのだけど、もうお腹いっぱい」と言っていました。
じゃぁ、もったいないから僕もうらうよ、と言ったら、「皿ごとどうぞ」と母が言います。
この言葉を捉えて「全部召し上がっていただいてよいのですが、お皿は食べない方が…」。
とにかく機転の利く方でした。
そのお酒リストですが、「御代川で川端康成が認めた酒」とか説明が入っています。
老舗でないとできない勧め方。
コースターには、鯉之助にちなんでか、鯉の絵が描かれています。よく見ると棟方志功。「御代川大主人仁契」と書いてあります。
仁契とは棟方志功のよく使った表現で、心を許す相手にたいする「さん」付けのようなものです。
ちなみに、店を興した初代主人の名前は御代川鯉之助。棟方志功は名前にちなんで鯉を描き、初代の名前で支店を出す際に、その鯉の絵を使ったのでしょう。
このコースターの元の絵は、ホール(個室ではない席)からよく見えるところに飾ってありました。
こちらも、老舗でないと作れないコースターでした。
喜寿のお祝い、というのはつまりは誕生日パーティ。
誕生日ケーキが欲しい、と今回の主催者である兄は思ったそうです。
で、あらかじめ店に聞いてみると、和食店なのでケーキはない、とのこと。
そこで、「ありません」で終わりではないのが一流店。
持ち込みは構わないし、むしろそうしてもらえればありがたい、との逆提案がありました。
飲食店では、食中毒などが起きた際の責任を明確にするためにも、持ち込み禁止なところも多いです。
それをあえて提案してくるのが素晴らしいです。
さらに、素晴らしいのが、ケーキにキャンドルを付けてお祝いした後。
「では切り分けてきますので」と厨房に持って帰り、戻ってきました。
皿の上には、切り分けたケーキだけでなく、生クリームとフルーツが一緒に盛られていました。
ケーキだけでは寂しいので、お誕生日サービスです、とのこと。
最後に、みんな集まったのだから記念撮影しよう…となりました。
「ホールの方が綺麗な写真が撮れますのでどうぞ」と、もうお客さんの帰ったホールの机を移動し、わざわざ写真を撮りやすいようにしてくれました。
(お店は8時半までで、この時は8時過ぎでした)
美味しい料理に、こんな素晴らしいサービスを受けて、会費は一人3500円(酒代別)。
ある程度の人数だから、先に値段を提示してその値段でコースを組んでもらったようですが、ディナーコースでこの値段なら、手が出ないような高級店ではありません。
でも、先に書いたようにサービスは一流。
世の中に美味しいお店はたくさんありますが、こういうサービスを受けられるお店は貴重だと思います。
気軽に行ける値段でもないけど、何かの折にはまた使いたい、そう思えるお店でした。
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