2014年09月14日の日記です


追悼 ダグ・スミス  2014-09-14 16:47:49  今日は何の日

ダグ・スミスが亡くなったそうです。

訃報を聞いたのは昨日の朝でしたが、すぐには追悼記事が書けずに今日となりました。




ダグ・スミスはロードランナーの作者です。

このゲーム、今の若い人はあまり知らないのかもしれない。もしくは、知っていても当時のインパクトがわからないかも。


これ以前のテレビゲームって、「アクション」と「パズル」は別のゲームジャンルでした。

一瞬の判断を要求されるアクションゲームと、時間はどんなにかかってもいいから考え抜かないといけないパズルゲームは別のジャンル。


この二つを融合させ、「考えながらも瞬時の判断とテクニックを要求される」ゲームを始めて作りだしたのが、ロードランナーでした。



もっとも、ダグ・スミスは最初から「アクションパズル」と呼ばれるものを作ろうとしたわけではなく、単にアクションゲームが作りたかったようです。


当初は忙しく敵から逃げ回りながら金塊を回収し、出口に向かうという…古くは「ルパン三世」に見るような回収型アクションを作りたかったらしいのね。


ところが、敵の動きを決めるルーチンにバグがあり、初期のバージョンでは奇妙な動きをしました。

追いかけてくるはずの敵が、時に自分から逃げてしまったり、不思議な行動をとるのです。


ダグは、なぜバグが生じているのかを突き止め、修正しました。

これで当初予定していたように、敵は自分を追いかけ続けるようになったのですが…ゲームはつまらなくなりました。


おかしな動きをする敵によって、「考える」時間が生じていましたし、場合によっては「敵を上手に誘導する」面白さも生じていたのです。

敵がまっすぐに追いかけてくることで、これらの面白さが失われてしまいました。


ダグは、バグを元通りに戻し、これはバグではなく「仕様」となりました。

でも、なにぶんバグなので、移植版では動きが異なっていることも多く、意図したとおりにパズルが解けない(難易度が高すぎる・低すぎるなど)などの問題もあったようです。


世界初の「アクションパズル」とされるロードランナーは、バグによって生み出されたのです。




ロードランナーはブローダーバンド社から発売されていました。


ブローダーバンドは、「仲間たち」と言う意味のスカンジナビア語。

創業者であるダグ・カールストンが、自作のゲーム「ギャラクティック・サガ」を販売するために作った会社でした。


ゲームは宇宙を舞台とした戦略ゲームで、恒星間を航行する「仲間たち」を保護するのがプレイヤーに与えられる任務でした。


このゲームは、それなりに売れて儲かったのですが、大ヒットとはならず。

しかし、これで「ゲーム販売会社」となったブローダーバンドの元に、日本の「スタークラフト」からアメリカでの販売を任せたい、と提携の申し出がありました。


この時に販売権を得た、日本人プログラマ「トニー・スズキ」による「ギャラクシアン」(ナムコの許可を得ないで作られたコピー作品)が大ヒット。

ブローダーバンドは、個人が作ったゲームを買い取って販売する、と言う方向に舵を切ります。




さて、そんなブローダーバンドからロードランナーが発売になるわけですが、発売前には紆余曲折がありました。


まず、ロードランナーは最初からブローダーバンドに持ち込まれたのではありません。

当時は、ブローダーバンドは2番手、1番のゲーム会社はシエラ・オンラインでした。


そこで、ダグ・スミスもシエラ・オンラインにゲームを持ち込みます。

しかし、シエラ・オンラインは急成長による大企業病になっていて、社内稟議に非常に時間がかかる状態になっていました。


持ち込みゲームの採用担当は、ロードランナーを気に入って採用しようとするのですが、この稟議に余りに時間がかかりすぎ、ダグ・スミスは「返事がないのだから駄目なのだろう」とブローダーバンドに持ち込みます。


ブローダーバンドでもこのゲームを気に入りましたが、採用し販売するのに際し、いくつかの条件が出されました。


白黒画面だったので、カラー対応にすること。ジョイスティックでの操作に対応すること。ユーザーが面の構造をエディットできるようにすること、など。


そうした条件の一つに「他の床と区別のつかない落とし穴を作ること」がありました。

これに対応するために、データ構造を全部2重化する必要があったそうです。


#それまでは、「見た目」と「実際」が同じとなる構造だったのだけど、落とし穴は「見た目が床で、実際は何もない」ところなので、見た目と実際の2重構造にする必要があった、らしい。



この落とし穴、賛否両論ですが結果としては大成功のアイディアだったと思います。

パズルゲームなのに見た目でわからない、つまり「すべての情報が明かされない」と言うのは良くないという意見がある一方、アクションゲームとして見た時には、思わぬところに落とし穴があった時の悔しさ…「面の作者にやられた」感は、言いようのないものでした。


アイレムにより業務用に移植されたときは、シリーズ初期は落とし穴は存在しませんでした。

お金を入れて遊ぶゲームに「明かされない情報」があるのは良くないと考えたのでしょう。


しかし、こちらも人気が出てシリーズを重ねるうちに落とし穴が採用されました。

やはり、ロードランナーの楽しさに落とし穴は必要、と判断されたのだと思います。




チャンピオンシップロードランナー、というのも発売されました。

こちらは、面エディット機能によってユーザーから集められた面から、特に難しい 50面を入れたものです。


先に書きましたが、敵の動きはわざと「バグ」を含んでいました。

このため、移植によって敵の動きにはばらつきがありました。


しかし、チャンピオンシップでは、敵の動きが非常に重要になっているものが多く、移植に際しても統一されていたようです。


面エディット機能と言うのもロードランナー以前にはなかった概念で、この機能によって新たに「チャンピオンシップ」が生み出されたこともあってか、この後に作られたゲームでは良く真似された機能です。



#後日追記(2014.9.23)

 エディット機能がロードランナー以前にはなかった、と書きましたが、後で倉庫番を思い出しました。

 時期的にロードランナーの直前で、エディットがあり、アメリカでも発売されてヒットしました。

 難しい面を自作するコンテストを開催するなど、類似点多し。

 ロードランナーは倉庫番の販売戦略を真似したのかもしれません。




ロードランナー以前は、敵と言うのはとにかく「触れてはならない」ものでした。


しかし、ロードランナーでは敵の頭の上に乗ってもミスにはなりません。

これは、敵のかわし方として「穴に落として頭上を歩く」と言うシチュエーションがあるためなのですが、穴に落とさなくても頭に乗れるため、チャンピオンシップではこれを使った面構成などもありました。


敵に近づくのは危険なのに、上に乗ることがどうしても必要になってくる。

これは、スリルのある、よく出来たアイディアでした。


恐らくは、スーパーマリオが「乗っかると敵を倒せる」のも、ロードランナーから来た発想の一つ。


#もっとも、スーパーマリオの前にパックランドが「敵の頭の上に乗れる」を取り入れているので、スーパーマリオはパックランドのアイディアを押し進めたようにも思います。


個人的には、業務用(とMSX移植)が大好きだった「フェアリーランドストーリー」で敵の頭の上に乗れたのが思い出されます。

敵の頭に乗らないと進めない部分とかあるから、何も考えずに敵を倒すと「詰んだ」状態になってしまうのですよねー。




ブローダーバンドとしては、多分最初が「ギャラクティック・サガ」の会社だから壮大なストーリーを付けるのが好きで、ロードランナーは「バンゲリング帝国三部作」の1つとされています。


悪の帝国「バンゲリング」と言うのがあり、民衆は圧制で苦しんでいるのね。


この帝国を倒すべく、軍需工場の空爆作戦を行うのが「バンゲリング・ベイ」。

民衆を圧制から救うため、独裁者が民衆から集めた富を金塊として隠し持っているのを奪い返すのが「ロードランナー」。

バンゲリング帝国との戦いで捕虜となった友軍兵士を救い出すのが「チョップリフター」。


でも、作者は別々で、ストーリーはブローダーバンド社が後から勝手につけたもの。


だから、重税により民衆から取り立てた金塊を取り戻す…はずなのに、タイトルが「ロード」(Lode : 坑道)だったりする。

金鉱から勝手に金を奪っていく泥棒のお話だよねぇ?



ちなみに、ずっとのちに別の会社から発売になる「シムシティ」は、バンゲリング・ベイの作者によるもの。

バンゲリング・ベイの地形エディタを作ろうと思って、ある程度地形を勝手に生成するから、そこに街などの設計図を大まかに示すと、勝手にそれらしい地形にしてくれる…と言うものを作っていたら、面白かったのでゲームとしての体裁を整えたのだとか。




ちなみに、僕はロードランナーはファミコンでやったクチ。

でも、あの左右スクロールは嫌だった。友人宅でFM-7版をやり、おもちゃ屋店頭でSEGA版をやり、「何でファミコンは画面構成が違うのか。キャラは小さくても、1画面に収まっている方がパズルとして遊びやすいのに」と思っていました。


今となっては、ファミコンのハード上の仕様で、ブロックサイズをあれより小さくできなかったのだとわかりますけどね。


チャンピオンシップは友人に借りて…借りている短期間で全部クリアしましたけど、こちらはポーズ中に画面をスクロールさせ、範囲外も見ることができるため「まだマシ」でした。



話は飛ぶけど、MSX 版のチャンピオンシップ、ソニーが作ったものですが、ソニーオリジナルの面が 20面くわえられていて(本来の面は10面減らされている)、特にオリジナル最終面は当時の何かの雑誌に「最高難易度」と書かれていました。


ちょっと遊びたかった気がします。逆さにして LOVE の面、だったかな。



#当時の雑誌で読んだうろ覚えの記憶を中心に書いています。間違えている部分もあるかもしれません。




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