2015年03月04日の日記です


スタックコラムス  2015-03-04 10:01:21  業界記

たしか、1994年の秋ごろに出たのではなかったかな。


スタックコラムスはコラムスの続編なので、歴史の流れから、ざっと説明しましょう。

僕が入社するずっと以前の話なので、間違っているかもしれませんが。


1988年にテトリスが発売になります。作成はAM1研。というか、まだAM全体で1部署だったと思う。


この業務用のテトリスが大ブームとなりますが、ファミコンやパソコンで発売されたBPS版テトリスと、ゲームボーイで発売された任天堂テトリスの3社を比べると、ルールがかなり違うのがわかります。


共通するのは、「7種類のテトロミノを横10マスのフィールドに積み上げ、横1列揃うと消える」ということだけ。


BPS版では、25列消すと次の面へすすむ、面が進むと最初から「ゴミ」がつみあがっている、というアレンジでパズル性が強くなっていました。

任天堂版は、ゲームボーイの特性を活かすため、対戦できるようになっていました。


そして、セガ版はアクションゲームの側面を強く出していました。

ブロックの落ちる速度の「最高速度」は非常に速く、その代わりにブロックが接地してから固まるまでの時間的猶予があります。


さらに、この接地時でも回転できるように、ブロックの回転は数学的な意味での「回転」にはなっていません。

また、速度が遅い際にブロックを「速く落とす」指示をしても、一気に接地するわけではなく、単に高速度で落下するだけです。


#原作では、早く落とす指示は一気に接地する。

 PC版などでもこれと同じ操作になっていた。


…細かな点はいろいろあるけど、これらはセガのテトリス独自のルールでした。

しかし、以降の落ち物パズルでは、みなセガのテトリスに準じたルールで作られます。



セガからも、テトリスのヒットで続編が作られます。フラッシュポイントとかブロクシードとかね。


フラッシュポイントは、パズル性を強く打ち出した作品。

ブロクシードは、対人対戦できるようにした作品です。


でも、根本的に「テトリス」の版権が不明瞭で、任天堂とトラブルになったのは結構有名な話




コラムス(1990)は「続編」というか、落ち物パズルを展開するうえでセガが完全に権利を買い取ったゲームです。

テトリスで権利の管理が甘くて問題が出たから、ちゃんと権利を買い取ったんだね。


ちなみに、原案はヒューレットパッカードに勤めていた、Jay Geertsen が 1989年に考えたゲーム


原作時点ではそれほどゲームとして面白くなかったようですが、テトリスと同じようなアレンジを加えて、アクションゲームとして洗練させました


#原作は X-window 用に作られたようだけど、比較的忠実移植と思われる 最初期の DOS 版は入手可能

 DOSBox を使えば今でも遊べます。

 「面白くない」ことを確認するために遊ぶにはちょっと準備が大変ですが、興味ある方は是非。


#2016.2.10 追記

 上記リンク、ページが消えたようで、アーカイブページにリンクしています。

 ブラウザで遊べる初期バージョンのエミュレートもありました。

 上に書いた最初期のものではありませんが、セガが手を加える前のコラムスの…イマイチ面白くない感じは味わえます。



コラムスの魅力は「連鎖」が起こること。これはテトリスには無い要素だけど、やはり今の落ち物パズルではなくてはならない要素。


コラムスはテトリスほどのブームを生み出せなかったけど、実は地味に支持され続けたゲームです。


後の話になりますが、1995年ごろには、業界紙に毎月集計されていたコストパフォーマンスの良いゲームのランキングで、ぶっちぎりで1位を独走していました。

元々安価な基板で作られているけど、95年ごろには中古で本当に安くなっていて、でも人気があるのね。


購入代金なんてすぐに稼ぎ終わって、後は置いとくだけで儲かりつづけた。

爆発力は無いけど抜群の安定感がある、ゲームセンターに信頼されたゲームでした。



…と、それは後の話ですが、発売した直後からちゃんと人気はありました。


ヒットしたので続編も作られ、同じ1990年のうちに「コラムス2」が発売になります。


これは、テトリスに対するフラッシュポイント・ブロクシードのようなもの。

コラムス2には、パズルと対人対戦の2つのモードが入っていました。



でも、テトリスもコラムスも「単純なアクションゲーム」という側面がヒットの理由です。


フラッシュポイントもそうだったけど、パズル要素を打ち出すと全然売れない。

また、対人対戦は一緒に遊ぶ人が必要で、落ち物パズルの主な顧客層である「一人で黙々と遊びたい人」には人気がありません。


コラムス2もウケませんでした。これでコラムスの続編は一旦終了。




テトリスのアレンジを担当した企画者の下には、次に「ぷよぷよ」が持ち込まれます。

コンパイルが作ったゲームですが、最初の MSX2 版作った時から「テトリスやコラムスのパクリ」って公言してましたからね。


コンパイルとしては是非業務用を出したい、とのことだったようです。

でも、テトリスやコラムスと同じく、そのまま業務用にするにはいろいろと問題があった。

大きく作り変えるアレンジを施します。


元の「ぷよぷよ」は、対人対戦ができました。ブロクシードやコラムス2を真似したらしい。

しかし、落ち物の対戦は業務用では受け入れられない、と、ブロクシード・コラムス2でわかっていました。


でも、ぷよぷよは対戦が面白いゲームに仕上がっていた。

これを一人で遊べるように、CPU対戦を入れるといいのではないか。

その際に、せっかく豊富な敵キャラクターを持っているのだから、それらの個性を打ち出すと良いのではないか。


#注:ぷよぷよは、「魔導物語」というコンパイルのRPGの世界観を使った遊びでした。

 そのため、世界観の中には個性的なキャラクターが多数いましたが、MSX2版では特に使っていませんでした。


入社前なので詳細は知らないのですが、これらがセガ側から出された提案だったようです。

業務用は1991年に発売になりますが、このアレンジが成功して大ヒットしたのはご存知の通り。




その後、家庭用の部署で勝手に「コラムス3」が作られます。これは、AM1研とは全く関係ないもの。

ぷよぷよのような対戦をコラムスで行う、というゲームシステムでした。


初代コラムスは、まだ地味にヒットし続けていました。

そこで、コラムス3を作ったなら業務用にも発売せよ、という命令が下ります。


でも、やっぱり家庭用をそのまま業務用では出せないんです。

家庭用ゲームはゆっくり楽しむもの。それに対し、業務用ゲームは短時間に面白さを凝縮する必要があります。


そこで、システム・プログラムなどは基本的に活かしたまま、大きなアレンジを加えたゲームを作ります。

それがスタックコラムスでした。


最初のコラムスが作られた部署に戻ってきたわけだけど、企画は別の人。

同じ部署内で作っていた、というだけで詳しく知らないので、詳細は分からないのだけど。




コラムス3とスタックコラムスは、遊んだ人にはわかると思いますがほぼ同じシステムです。

だって、そのまま発売せよ、という命令だったのだもの。


コラムス3にはRPG風味のストーリーがあるのだけど、説明なしに短時間で遊べないといけない業務用では、複雑なストーリーは難しい。

そこで、非常にわかりやすい「トーナメント大会に勝つ」というストーリーに変えられ、ストーリーに合わせてグラフィックも描き直されます。


ゲーム自体は、後出し有利で戦略性が薄い、とよく言われます。

うん。その通りだと思う。


弁護するなら、コラムス3のシステムには、テトリスやコラムスの企画者が関与してないからね。

コラムス3のアレンジ担当者があまり上手なアレンジができなかった、ということではないかな。


#元々対戦を考えていなかったゲームを無理やり対戦にする、というのは非常に難しいのだけど。



ストーリーに関しては…

なんでしょうね。どういう経緯でこういうストーリーを考えたのかは、僕は知りません。

知ってたらそれ自体が面白い逸話だったと思うのですが。


同時期にずんずん教が部署内に置いてあったから、感化されたのか?


#多分そんな理由でストーリー作らない




ところで、原作となったコラムス3の音楽は結構好きな人が多いらしいですね、と唐突に書いておきます。

小学校以来の友人で、コメットの音楽を作ってくれたKER君の作です。


#彼も一時期セガにいたのです。




2015.4.3追記

スタックコラムスの元である、コラムス3の関係者から証言が得られましたので追記しておきます。

えーと、リーク情報で迷惑がかかるといけないので、匿名ってことで。


コラムス3は、メガドライブのマルチセレクター セガタップを発売することになり、同時発売する対応ソフトを作れ! という掛け声で短い期間で作られたのだとか。


クイズゲーム(パーティクイズメガQ)とコラムス3、どっちがいいかと聞かれてコラムス3を選んだのだとか。


そういえば、タップの試作品を見せてもらった覚えがある…



あぁ、このページはコラムス3の話題ではなく、スタックコラムスでした。

それらしい話題も書いておきましょう。


スタックコラムスの音楽のいくつかはコラムス3のアレンジになっていたそうです。

そのうち1曲が低音のノリを活かしたものだったのに、肝心の低音をカットするアレンジをされて意味不明の音楽になっていたとか。


以上、匿名氏からの情報でした。




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