2015年03月11日の日記です


ロケテストの話  2015-03-11 09:52:46  業界記

とりあえず「20年たったらいいだろう」で1994年の話を書いてきましたが、大体出尽くした(笑)


ここからは、思いつくままに書き留めます。

それが終わったら一旦終了にして、次の「自分が参加したゲーム」の20年後くらいまでお休みかな。

(たしか、1995年の秋ごろだったと思う。)




ここまでに書いた話の中で、たびたび「ロケテスト」という言葉が出てきています。

ゲームマニアなら知っているかもしれませんが、発売前のゲームをロケーション(店舗)に置いてテストすることです。


ただ、発売前のゲームを試してもらうイベント、とかではない。

近年はそういう側面が強くなっているようですし、ファンイベントとしての意義は否定しないのですが、少なくとも当時は違いました。


そこで、当時の雰囲気も書き記しておこうと思います。




ロケテストには2つの意味がありました。


一つは、作成途中段階でのゲームの方向性が正しいかどうか、お客様の反応を見るものです。

完成度がまだそれほど高くない、ゲームがとりあえず動くようになったし、本来の方向性が理解できる程度までは作られているけど、まだまだ十分作り込まれていない段階で行われます。


未完成のものを見せるのですから、ある程度お客様には「未完成品である」ことを納得してもらう必要はあります。

そのため、「ロケテスト中」と書いたポップを置いたりしました。


ただ、ロケテストが行われていることは秘密事項です。

ロケテストの噂を聞きつけて集まるのはゲームマニアだけですが、ゲームセンターのゲームは広く一般のお客様に遊んでいただく商品です。


ここで、マニアの意見ばかりが反映されると、そうでない人が遊びにくいゲームになってしまうことがあります。

だから、ロケテストが行われることは秘密。

マニア間のネットワークで察知され、人が集まる前に引き上げるため、期間は2日程度。

これが鉄則でした。


ロケテストの期間中、外回り営業が多い昼、学校が終わった学生の増える4時ごろ、会社帰りが増える7時ごろ、など、いくつかの時間で1時間位づつ、様子を観察します。

これも、「観察されている」ことがばれるとお客様の反応に影響が出るため、遠くからそれとなく見ているだけです。

遊んだお客様ごとに、プレイ開始時刻、終了時刻、インスト(説明書)を読んでいたかどうか、デモ画面を見ていたかどうか、ゲームはどこまで進んだか、演出に納得している様子だったかどうか…など、詳細を記録していきます。


場合によっては、遊んだあとのお客さんに直接感想を聞くこともありました。



とにかく、できる限りデータを集め、後でその意味を解釈してゲーム作成に反映することが目的でした。

場合によっては、この時だけの特別なプログラムを仕込み、ゲーム上のデータを記録する場合もありました。


#バーチャファイターでは、ロケテストではありませんが、初期の開発時にどのようにボタンが押されるかを記録して、押されやすい組み合わせを元に技を作っていった…などの話があります。


手相占いでは、こちらの目的のロケテストのみを行ったように思います。




もう一つのロケテストは、完成したゲームの売り上げ調査です。


普通にゲームセンターにゲームを置いておき、どの程度の売り上げになるかを調査します。

こちらの場合、「普通に置いておく」ことが重要なので、ロケテスト中などのポップは厳禁。



ゲームマニアにとっては面白いゲームが良いゲームです。

しかし、ゲームセンターにとっては、お金が入るゲームが良いゲームです。


そして、「業務用ゲーム」は、ゲームセンターに買ってもらうことで商売が成り立ちます。

お金が入るゲームを作り、買っていただく。開発者は、これで飯を食っているのです。


実は、ここには「遊ぶ人」の視点はありません。

もちろん、楽しいゲームを作らなくてはお金を入れてもらえないでしょう。


でも、「マニアの求める楽しさ」ばかりを追求すると、ごく狭い層にだけ訴求してしまい、全然遊んでもらえないことは多いのです。


マニアが「あんなゲームつまんね」と見向きもしなくても、ちゃんと遊んでいただけるゲームというものは存在します。

そういうものを作るのが、プロとしての開発の仕事でした。


以前も書いたけど、セガがコラムスを繰り返し作ったのも、ここら辺が理由でした。

 初代コラムスの「償却率」はすごかったのよ。ゲームセンターはそういうゲームを求めていた。



さて、ゲームセンターにゲームを買っていただくには、ゲームセンターのオーナー様が購入判断をするための材料を提供しなくてはなりません。


ゲーム内容、筐体サイズ、価格などは当然ですが、その価格に見合うだけの売り上げが見込めるかどうかというのは、非常に重要な資料です。

この「実績に基づく資料」を用意するのが、完成後のロケテストの目的でした。



この部分では、絶対に嘘を付いてはなりません。

嘘を付いて販売したとして、その後思ったような売り上げがなければ、それは詐欺です。



ロケテストなどのポップは厳禁、というのも、そのような意識からです。


ただし、もちろん売上が良くなるような条件を選びます。

そのゲーム内容に合わせて、そのゲームが最も遊ばれそうな店を選び、もっとも遊ばれそうな期間設置するのです。


マニア向けのゲームであれば、マニアの集まるゲームセンターで、週末に置くのが良いでしょう。

カップル向けの占いなどは、デートスポット内のおしゃれなお店に、やはり週末に置く。


一方、外回りの営業が時間つぶしに遊ぶようなゲームは、駅前の小さなゲームセンターで平日テストするほうが良いです。


重要なのは、ロケテスト条件を明示することです。

どこの店で、何月何日にテストした結果、売上いくらとなった。


もちろん購入するお客さんが注目するのは売上金額ですが、条件を提示することで「自分の店にも合いそうか」を判断していただけるのです。




ただ、僕が新入社員の頃は、このロケテストの方法も過渡期にあったようです。

AM1研では、上に書いたような「古い考え方」が支配していました。


でも、別にそれを守らないといけない決まりは、どこにもないんですよね。

別の部署では、ロケテストが行われる、という情報をそれとなく広めてから行ったりしていたようです。


この結果、常識的にあり得ないような売り上げを記録する。

もちろんマニア受けするゲームであることは前提で、つまらないゲームではありません。


でも、実際に購入したゲームセンターでは、全然期待していた売り上げにならないわけです。



別の会社でも事情は同じようで、部署内のホワイトボードに「○○社、△日に□□でロケテスト予定」なんて情報が掲示されることがありました。

どうも、パソコン通信などで「こっそりと」情報が出回ることがあったようなのです。


開発者としてはせっかく作ったゲームはやはり売れてほしいです。

でも、先に書いたようにこのやり方は本来許されない。

だからこそ、公式には秘密だけど、非公式に「誰かがばらしてしまった」形で情報を出すのです。


だんだんそのやり方が支配的になり、ゲームセンター側も「そういうものだ」と考えて資料を読むようになりました。

今ではもう、公式にロケテスト告知が出たりすることもあります。



資料を読む側もそれで当然だと考えるようになってきているので、いまなら特に問題は無いように思います。




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