2021年05月31日の日記です


古雑誌  2021-05-31 18:04:40  その他

小学生のころ、書店でたまたま見かけて、親に買ってもらった雑誌がある。


子供向けの雑誌ではなく、大人向け。でも、表紙で気になって中を読んだらすごく面白く、親が買ってくれた。

(子供向けの雑誌ではないので、小遣いで買える額ではなかった)




で、雑誌なのにすごく大切にしていて、今でも置いてある。

昭和 57年の「四季の手帖 創刊3号」。


1冊丸ごとパズル特集で、いろいろなパズルの話が雑多に載っていた。


古今東西のパズルを綺麗な写真で魅せる記事あり、家で子供(幼稚園児くらいを想定)と一緒に手作りして遊べるパズル遊び、折り紙などを使ったパズル、論理パズル、クロスワードなどのペンシルパズル、言葉遊び、などなど。


言葉遊びとかは、「パズル」というと違うように思う人もいるかもしれない。

でも、この雑誌全体の編集を見ると、言葉遊びは十分にパズルだと納得できる。


幅広い遊び心を持って、雑多なものを一つのテーマでまとめ上げ、納得させてしまう。

雑誌全体のつくりもすごいと思ったし、その一つ一つのコーナーも楽しいと思った。




先日、次女(小6)が「論理パズル」に興味を持ったようで、僕に問題を出してきた。



・コインが9枚あるけど、偽物が一枚入っていて少し軽い。

 2回だけ天秤を使って調べるにはどうすればいいか。


・正直村と嘘つき村の分かれ道に人が立っている。どちらの人かはわからない。

 1回の質問で正直村に行くにはどうすればよいか。


・1時間で燃え尽きる線香がある。何本か使ってよいので、45分を測るにはどうすればよいか。



どの問題も瞬時に答えたら、


「お父さんはこういうのたくさん知っているの?

 何か問題出して」と言われた。


で、先に書いた古雑誌を探してきたんだ。

論理パズルをたくさん紹介しているコーナーに、こういう問題がいっぱい載っていたから。



古い雑誌の上、少し特殊な製本をしていたため、経年変化でページがバラバラになっていた。


普通の本は、紙を折って16ページくらいの小さな冊子を作り、それを束ねてページ数を多くしている。

しかし、この雑誌は厚めの紙で1ページづつ独立していて、それを背表紙にのり付けしてあった。


これが、経年変化で糊が劣化し、バラバラになってしまったというわけ。




しかし懐かしい。読み返す。


特に大好きだった記事が二つ。

古今東西のパズルを写真で紹介した記事と、言葉遊びの記事。


古今東西のパズルの中には、のちに「ハナヤマ玩具」から、キャストパズルシリーズとして発売されたものに、非常によく似たものがいくつも紹介されている。


キャストパズルが発売された時、世の中的には「新しいパズル」として少しブームになったのだが、僕は「子供の頃に読んだ雑誌に載ってた」と思っていた。


キャストパズルシリーズは、芦ヶ原伸之(Nob)氏が監修しているのだが、このシリーズが発売になった時には僕は氏のことをよく知らず、「過去に存在したパズルを焼き直しただけでえらそうにしている、いけ好かないやつ」と思っていた。


Nob 氏はすでに亡くなっているのだが、世界三大パズルコレクターの一人として知られる。

1万点を超えるパズルを収集していたそうだし、自らも数々のパズルを考案している。



で、古雑誌の記事を読んでみたら、Nob 氏が寄稿したものだった。

キャストパズルシリーズを「雑誌で見たのと同じだ」と感じたのは当たり前で、Nob 氏がお気に入りのパズルを雑誌で紹介していて、のちにみんなが遊べるように大量生産したのだった。


この雑誌記事の前文によれば、この時点でのコレクションは 500点ほど。

すでにパズル作家として何冊か本を出していたようだが、この時点でそのコレクションを紹介しているのは、すごかったのではないか。




もう一つ、言葉遊びの記事。

「ことばの ことは ことに 不思議な ことばかり」というタイトルがついている。


ことばあそび、と言いつつ、言葉にとどまらない様々な遊びを紹介している。

非常に論理的、かつ、「論理を超えた部分」の面白さを重視しているという、絶妙なセンスを持っていた。


この記事の著者は「佐藤雅彦」となっていた。数学者と自己紹介している。


…ネットで調べると、数学者の佐藤雅彦さんもいるのだけど、たぶん「ピタゴラスイッチ」や「0655 / 2355」の佐藤雅彦さんだよね。

大学では数学教育を専攻していて、CMプランナーとして有名になるのは 1987 年以降。

(この雑誌は、1982年のもの)


ちなみに、先に書いた「言葉にとどまらない」言葉遊びという部分、紙飛行機を切って、「天国と地獄」を表現するというもの。

少し前に、2355 でも「折った紙を1回切るだけでどんな形でも作り出せる」という話をやっていましたね。

ずっと昔から、同じようなことに興味を持っていたのだろうなぁ、と思います。


こちらも、すごい早い時期に面白い人を見つけ出しているのではないか。




この「四季の手帖」という雑誌、その後本屋であまり見ることもなかったし、いったい何だったのか…

と思っていたのだが、今ならネットで簡単に情報にあたれる。


まず、僕は「雑誌」だと思っていたのだけど、今でいう「ムック」だったようだ。

ただし、当時はまだムックという概念が未成熟。一般には雑誌か書籍か、という文類しかなくて、四季の手帖は「雑誌」に分類されていた。


そもそも、この「ムック」という概念は、平凡社の「別冊太陽」というシリーズが作り出したものだったそうだ。


雑誌と違い、連載などではなく、丸ごと特集でいろいろなテーマを掘り下げる。

しかし書籍ではなく、定期刊行する。


さらに、当時は雑誌が増刷することは無かったらしいのだけど、売れれば増刷する。

いろいろと当時の常識を破壊したのが「別冊太陽」というシリーズだったらしい。


…余談だけど、家にもあった気がする、と思って探したら「別冊太陽」ではなく「太陽コレクション」だった。

これは別コンセプトの姉妹誌。父が買った号を僕が所持していた。


話を続けるが、この「ムック」という概念を作り出した人が、平凡社を辞めて新しい会社を作る。

この時に、平凡社のエースが数人抜けてついていく。


その新会社で作ったのが、「四季の手帖」だそうだ。

当時は本は大切にするものだったのだけど、「切り抜いて使う本」というコンセプトを前面に打ち出していた。


冒頭に書いたけど、僕の持っていた雑誌は、糊が劣化してページがバラバラになっていた。

この「ページがバラバラになる」というのも、1ページづつ外して切りやすくするための工夫だったのだ。


(僕はもったいなくてとても切れなかったが、切り抜きページはいっぱいあった。

 まぁ、切り抜いてどっかへ行ってしまったページも1ページあるのだけど)


とにかく、いろいろと型破りだったわけだ。

小学生の僕が、たまたまそれを見つけて「見たこともない雑誌だ」と強く惹かれたわけだ。




情報を探していたら、雑誌を作っていた側の人の回想録 blog を見つけた

(新しい記事を順次たどっていけば続きが読める)


面白いので読んでいるが、かなり長い。

ゆっくり読もう。




2日後の追記


途中に書いた、次女が僕に出した論理パズルの答えが知りたい、と言っている人を見かけた。


あれ、話のマクラだし、「よくある問題」だと思っていたので答えは書いていなかったのだけど、気になる人もいるのだろう。

問題だけあって答えがない、というのも申し訳ないので、説明を書く。



・コインが9枚あるけど、偽物が一枚入っていて少し軽い。

 2回だけ天秤を使って調べるにはどうすればいいか。


軽いのだから天秤で比べればよいのだけど、天秤は2つのものしか比較できない。

そのため、つい「2つに分ける」と考えると解けない。



3枚づつ3グループ作って、そのうち2つを比べる。

片方が軽ければ贋金入りだが、つりあえば「残りの1グループ」が贋金入りだ。


そのグループの3枚に対して、また2枚比べれば偽物がわかる。


実は「9枚」「2回」というのがヒントになっていて、3*3=9 を想像できれば答えに辿り着く。



・正直村と嘘つき村の分かれ道に人が立っている。どちらの人かはわからない。

 1回の質問で正直村に行くにはどうすればよいか。


話のマクラなので、細かな設定を端折っている。

正直村の人は本当のことしか言わない。嘘つき村の人は嘘しか言わない、という設定がある。

さらに、質問は はい / いいえ で答えられること。


で、どのような質問をすればよいかというと、分かれ道のどちらかを指さして

「あなたの村はコチラですか?」と聞けばいい。


指さした方角が正直村の方であれば、正直村の人は「はい」という。

嘘つき村の人も、嘘をついて「はい」という。


同様に、嘘つき村の方を指していれば、どちらも「いいえ」という。


これで正直村の方角がわかる。


この手の問題は、質問内に相手の属性を入れ込むのがみそだ。



・1時間で燃え尽きる線香がある。何本か使ってよいので、45分を測るにはどうすればよいか。


線香で時間を測る問題、というのも定番なのだけど、「両端に火をつけると、燃え尽きる時間が半分になる」ことに気づく必要がある。


1時間の線香に、両方同時に火をつけると、30分で燃え尽きる。


ということは、この時に「片方しか火をつけていなかった線香」があれば、残り30分だ。


この状態で火のついていない側に火をつけると、15分で燃え尽きる。


つまり、


 線香 A の片側と、B の両側に火をつける。

 B が燃え尽きたときに、A の残る側にも火をつける。

 A が燃え尽きた時点で 45分。


が答えになる。




僕がこれらの問題をすぐ解けたのは、類似問題を知っていたから。

いずれも、なにかに「気づく」必要がある問題だが、すでにその部分を知っていれば、類似問題はすべて解ける。


こういう問題が好きな人に、類似した過去の日記を紹介しておこう。


デバッグ思考





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