2022年03月17日の日記です


【訃報】近藤淳さん  2022-03-17 11:58:52  今日は何の日

近藤淳さん、3月11日に亡くなった、と昨日公表されました。


いつも、わざわざ訃報を取り上げたりするのは、コンピューター関連の人であることが多いです。

でも、今回はそうではなくて、個人的な思い入れ。



金属を十分に冷やすと、電気抵抗がゼロになる場合があります。これを「超電導」と呼びます。

一般的には、冷やせば冷やすほど抵抗は小さくなります。


しかし、一部の金属では、ある程度以上冷えた場合に、抵抗が大きくなります。

この現象が、なぜ起こるのかわからなかった。



この現象を、極小の世界の粒子の挙動として理論的に説明し、解明したのが近藤さんです。

このため、この現象は「近藤効果」と呼ばれており、この現象が起きる合金を「近藤合金」と呼びます。



自分の過去がばれてしまいますが、僕が大学在学中に、学んでいたキャンパスで教授をやってました。

もっとも、別の学部だったため、僕とは直接の関係はありません。




当時から近藤さん…以降は学生当時の気分で近藤先生と書きますが、先生はノーベル賞候補とされていました。

同じキャンパスにノーベル賞候補がいる、というのは、学生の間でも話題なっていました。


僕が大学に入学したのが、1990年。近藤先生が赴任したのも同年です。


学部が違うと言ってもそれほど大きくない大学でしたから、学部を超えて、先生同士の飲み会などはあります。

行動力のある奴が、その飲み会に潜り込み、近藤先生から直接話を聞いてきました。


それで、近藤効果がどのようなものであるかを知りました。


当時は、高温超電導が発見され (1986年) 、しかし、なぜ高い温度で超電導になるのか、十分に解明できていませんでした。

だから、ここにも近藤効果は関係があるかもしれない、というので、すごい理論を打ち立てた人なのだなぁ、と思った覚えがあります。



ただ、同時に近藤先生自身は、ノーベル賞をもらえるとは思ってない、とも。


近藤効果の研究が凄いことは事実で、他の多くの研究から引用され、下敷きとなっています。

そのため、確かに以前はノーベル賞候補と考えられていました。


しかし、近藤効果でも謎の残る部分の研究から、新たな学問が芽生え、その理論を打ち立てた人が 1982 年に物理学賞を受賞しています。

また、高温超電導でも、その発見者が 1987 年に物理学賞を受賞しています。


普通、一つの分野から2回表彰されることはありません。

なので、近藤先生は、自分は表彰されることは無いだろう、と考えていたのです。



以前は、ノーベル賞の発表時期には、マスコミの人が大勢、近藤先生の自宅に集まっていたそうです。

しかし、この時点(1990年)では、そうした人も来なくなり、ただ昔なじみの新聞記者が、必ず来てくれたそうです。


受賞の知らせが来ることは無いだろう、と思っていてもお互い口には出さず、電話のそばで、酒を酌み交わしながらおしゃべりを楽しんでいる。


近藤先生はそう言っていたそうです。




しかし、近年では技術の進歩により、ナノテクノロジー…量子力学の世界での技術が実用化されています。

そうした世界では、やはり近藤効果の理解がまだ重要なのだそうです。


再び近藤先生の研究を引用する研究も増え、ノーベル賞の有力候補、とされるようになっていたのだとか。



同じキャンパスにいた、というだけの縁ですが、ご冥福をお祈りします。



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