我が家はオール電化だ。
東日本震災の時は、長時間の停電になったので、庭で焚火をして煮炊きをした。
キャンプ好きのスキルはこういう時に活きる。
でも、災害の時にいつでも焚火ができる保証はない。
災害が「台風」によるものだったら、外に出ることが危険なのだ。
一応キャンプで使うガソリンコンロは持っているので、部屋の中でも使える。
しかし、もっと気軽に使えるものがあった方が良いんじゃないか、と思っていた。
コロナ禍が始まったころ、こういう災害もあるんだな、と思って、災害時用の備品などを見直した。
その時に、やっぱりカセットコンロを買おう、ということになり、購入した。
買ったからには一度使ってみないとな、と思ったのだが、なにぶんコロナなので、家族でもなべ物などやりにくい。
当時小学生だった次女が「しゃぶしゃぶやりたい」と言っていたのだが、できずにいた。
で、昨日買い物に行ったときに、年末だし鍋でもやろう、ということになったんだ。
しゃぶしゃぶ用の豚肉を買おうとしたら、次女(すでに中学生)から「小間がいい」と変なリクエスト。
大きい肉は見た目は豪華だが、枚数にすると食べられる枚数が少ない。
同じ重さでも、小間であれば何度も口に運ぶことになるので、たくさん食べた気がする、と。
しゃぶしゃぶ肉も小間肉も値段は同じだったのだが、食べたがっている次女のリクエストに応えておいた。
しゃぶしゃぶって、本来はだし汁だけで、中で肉を泳がせて食べる。
でも、野菜もおいしく食べたいので、何を入れればいいんだろう? と買い物をしながら調べる。
水菜を入れる、というレシピがあった。水菜、家にあったな。ちょうどいいからそれを使おう。
あとで準備段階になって気づいたが、レシピサイトでは「しゃぶしゃぶ」として書かれていたのだけど、豚肉と水菜だと「はりはり鍋」ではないのか。
(本来クジラ肉と水菜の鍋だが、近年クジラは入手困難なので豚で作られがち)
机の上でカセットガスコンロに火をつけると、子供たちが「なんか怖い」と言い出した。
うちは IH だから、ガス火慣れてないよね、と言うと、ガス火は家庭科の授業で使っているから問題ないという。
ただ、いつも使っているテーブルの上に火がある、というのが不思議で怖いらしい。
次に、次女が「このカセットで、何時間くらい使えるの?」と疑問を持った。
いや、弱火か強火かでも違うし、単純には言えないよ、と言うと「そりゃそうだわ」と笑い転げる。
まぁ、通常の料理が1缶でできるようにしてあるので、1時間くらいは使えたはず、と答える。
化学好きの長男、カセットの中のガスの種類と、容量が分かれば熱量は求まる。と言って調べる。
ブタンガスで、1缶250g だね。
じゃぁ…と何やら計算を始める。しばらくたって「1缶の熱力は、~Kcal」みたいなことを言ってきた。
なら、ガスコンロの火力が分かれば、何時間使えるか求まるかな。
コンロの箱には、3.3Kw と書いてあった。長男が計算を始める。
「だいたい、3700秒ちょっと使える計算になる」
続いて 3700秒を時間に直そうと計算を始めるので、僕が瞬時に「1時間で3600秒」と答える。
これは、プログラマーなら常識にしていないといけない。
1缶で大体1時間、と言っていたが、少し余裕をもって作られているようだ。
綺麗に答えが出たことに満足する長男。
美味しく食べた後で、片付け中。
長男がカセットを外した後のコンロ本体を興味深く見て、「カセットを嵌め込むところの装置、どうなってんの?」と聞いてきた。
この時、長男側からは火力調整のつまみが見えていなかったので、つまみと連動してガスの量を変えられるようになっている、とつまみ側を見せる。
カセットつけてない状態でつまみ動かしても大丈夫? と聞いてくるので自由にさせると、強側に初めて回したときだけ「かちっ」と音がするのはなぜかと疑問を持った。
あぁ、それは、着火のために火花を出している。
点火プラグに注目させながら、また「かちっ」とやると火花が飛んだ。
これは何らかのエネルギーを使っているが、電池などは入っていないことを瞬時に理解した長男。
すぐに「何度も繰り返すと、火花が飛ばなくなって本体が使えなくなる?」と聞いてきた。
本体にエネルギー源が組み込まれていて、それを使っていると想像したのだ。
いや、そうではなくて電気石みたいなもの、と言うとそれだけで理解した。
電気石は、叩くなどの強い力を加えると電圧を生じる鉱石。
実際には、それを電子部品として使いやすくしたピエゾ素子が入っていて、つまみを回す力を一度ばねに溜めたうえで、回しきった時に一気に力を開放して素子を叩いている。
「かちっ」という音は、その叩いたときの音。
ついでなので、この仕組みが一部の使い捨てライターに使われていることを教える。
そして、その部分を使うと、高電圧でコンピューターを狂わせられたので、昔は悪い人が自販機などをだまして金をとるなどしたため、今では対策が進んでいることを教えた。
コンロを箱に戻しながら、なんとなく箱の裏の説明を読んでいた。
ガスカセットの容量が減っても、火力が衰えない…とか書いてある。
あ、ガスカセット入れる部分に謎の板があると思ったら、そういうことか。
面白いので、もう一度コンロを出して再確認。
ガスボンベには、圧縮された状態でガスが入っている。
しかし、ガスを使って圧力が下がると、温度も下がる。
そして、温度が下がると、膨張する力も下がる。
すると、ガスが外に出ていく力が失われてしまい、ガスを最後まで使い切るころには弱火になってしまう。
これを防ぐためには、冷え続けるボンベを温めてあげればよい。
火を燃やしているのだから、熱源はすぐそこにある。
多分屋内だとそんなひどいことにならないのだけど、冬場のキャンプとかでは結構切実なのよ。
だから、キャンプ用品だと、火の熱をボンベに伝えてやる、ヒートプレートはよく使われる。
このコンロには、その仕組みが組み込まれている、というだけの話。
このしくみにも、長男が感心していた。
ただ家族でしゃぶしゃぶをやった、というだけの話なのだが、我が家だといつもこんな感じ。
ただみんなで食事をするだけで、つぎつぎ面白い知識が飛び出してくる。
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