2018年12月10日の日記です


辞職を切り出す  2018-12-10 16:58:10  業界記

そろそろ、この業界記もおわりかな…

セガを辞めようと思っている、と上司に伝えたのは、たしか1998年 12月の頭ごろだったと思います。


切り出すのはとても勇気がいりました。

セガに在籍しているのは心地よいものでしたし、会社を辞めてどうなる当てもなかったので。


なので、辞めたいと切り出した後、「辞めた後どうするつもりなの?」など、普通に聞かれていただけなのに涙ぐんでしまいました。

辞めさせないために詰問しているわけではないよ、と言われたのだけど、別に詰問されて泣いたのではなくて、自分の中でも大きな線を踏み越えてしまったという気持ちがあったから。


しかし、引継ぎなどもあるのであと1カ月ほど、年内いっぱいは働いて、それから溜まっている有休を消化して退職、と決まりました。




辞めようというのは、夏ごろから考えていました。

五年次社員研修、というものがあり、会社に入ったときの気持ちを思い出せ、と言われたのです。



あぁ、そうだった。会社入ったときは、いつか独立しようと考えていたのだった。

そう思って冷静に周囲を見ると、辞めるタイミングが整っているのです。


独立の時のために溜めていた貯金は、当時の法律で有限会社設立に必要な 300万円を超えていました。


営業の人と仲良くする機会に恵まれ、開発だけをしていたころに比べ、会社全体の状況が見えていました。


サターン対プレステの争いは、セガの体力をいたずらに消耗しただけで、負け戦でした。

バーチャファイター、プリクラ、UFO キャッチャーのブームはひと段落着き、ゲームセンター店舗は求心力を失いかけていました。


しかし、開発現場には会社の状況に対する危機感はなく、「確実に売れるゲーム」よりも、「作りたい作品としてのゲーム」が優先されている感じでした。


歯止めの利かない支出を減らそうと人事部が給与体系を見直しました。

一部の人に年棒制が導入され、給料が安く抑えられるなど、労働環境は悪化していました。

これにより開発現場の士気は低下し、会社の将来にとっては逆効果でした。


直接の上司は、新婚なのに家に帰らずに会社に泊まり込む生活をしていました。

他の先輩社員でも、結婚しているのに家に帰れない人は多数いました。


すでに今の妻と付き合い、結婚も考えていましたので、この状況で働き続けることには不安を感じていました。



実は、半年くらい前から、退職する社員が増えていました。これも、おそらくは先の不安定さを見越してのこと。

でも、連続して人が辞めると、残る人への負担が急に増えてしまうので、その後しばらくは、何となくやめにくい雰囲気になるのです。


僕が「辞める」と伝えたタイミングは、連続して人が辞めた後、少し間が開いたタイミングでした。

このタイミングを逃してしまうと、言い出しにくくなる、という気がしました。




辞めた後は、WEB ページ作成の仕事ができれば…というつもりで考えていました。


僕はデザインセンスはありません。

しかし、当時は WEB 作成と言えば、HTML を直書きするのが当たり前でした。


当時すでに、当WEBサイト「魔法使いの森」は作成していて、HTML 知識はありましたし、perl で CGI を作成する技術もありました。


#今時 CGI って言わないな。サーバー側でプログラムを動作させて、動的に HTML を作成する技術。

 今なら PHP を使うけど、そもそも PHP は、perl で作られた CGI として最初のバージョンが作られている。


Linux サーバー建てる程度の知識はありましたし、ネットワーク設定もある程度できます。



当時 WEB はブームになっていましたが、誰でもが作れるほど簡単なものでもありませんでした。

だから、地元の商店街とか、WEB に興味はあるが作れない、という人が多いだろうと見越したのです。


商店街の店舗の WEB 作成を一手に引き受け、ネット上で仮想的な「商店街の WEBサイト」を作れるだろう、という考えですね。

まだ当時はネット上で商売をする方法が確立しておらず、いわゆるEコマース的なことは考えていません。


それでも、新聞に折り込み広告入れるような店舗を相手に、ネットにチラシを転載していくら、というような商売から始められれば、と思ったのです。

実際に印刷費などはかからないので、そういうお店から広がって、のちにはチラシを配れないような小さいお店からも広告を請け負えれば、と。



…あとで実際に営業に回ったら、そもそも WEB のブームなんて言うのは「パソコンマニア」の間のものであって、みんな興味すら持っていない、とわかったのですけど。

まぁ、それはまだこの時点では気づいてません、イケそうな商売だと思っている段階です。




夏ごろに独立を意識してから、会社設立の方法を書いた本を購入したり、実際に「開業セット」(役所への申請に必要な書類と、その書き方をセットにしたものを売っている)を購入したりして、準備を進めてきました。


いよいよ独立の日付を決めたことで、具体的に考え始めます。


会社設立を手伝ってくれる弁護士さんなどの存在も知っていましたが、そんなにお金に余裕はありません。

よくわからないことも多いまま、手探りで自分で書類などを整え、設立準備を進めます。



実際に会社を設立したのは、年が明けてからです。

セガには「副職禁止規定」があったので、普通に働いている年内は、準備だけにとどめていました。




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