2025年12月16日の日記です


詐欺電話  2025-12-16 16:07:01  その他

怪しい電話は結構かかってくるが、大抵はすぐに断っている。


でも、昨日巧妙な電話があって危なかったので、注意喚起も含めて記しておこう。


…いや、正直なところ、注意喚起よりも「面白かった」ので書いておきたいのだ。




NTT からの委託業者を名乗る電話だった。


光回線の使用歴が長い家庭向けに、機器と回線の交換をお願いしている、という。

話を聞いていると、実際うちがいつから光回線の契約をしているかなど把握していた。


新しい回線に変えてもらうと、速度も上がって値段も下がるという。今なら回線・機器交換も無料で行うという。


最初は怪しい話だと感じたのだが、こちらの状況を把握していたことと、実際無料でも古い回線を交換した方が、回線業者にとって特になることもある、と知っているので、そういうこともあるのかな、と感じた。


ここ、説明が必要だね。


NTT の光回線を使用しているわけだが、最寄りの交換局では複数の回線をまとめて一つのサーバで処理しているはずだ。

そして、このサーバは光回線の世代によって異なる。光回線自体の速度も変わるためだ。


さらに、速度が遅い回線では、データのやり取りに時間がかかる。この「時間がかかる」間は、サーバに負荷をかけていることになる。

回線速度が速くなれば、やり取りの時間は短くなり、サーバの負荷も減ることになる。


こうしたことを考えると、あまり古い回線契約のままの人に対して、サーバを移行してもらって「物理的なスペース」を開けることは、新サーバも導入できるし、契約可能な容量を増やすことにもなる。


だから、回線業者が、あまり古い回線に対して、無料でいいから乗り換えてくれ、ということは実際あるのだ、という認識だ。


(わかりやすい例でいえば、ちょうど今、携帯電話の 3G 電波停止が迫っている。今でも使っている人には、端末を無料サービスしてでも、最近の携帯電話への乗り換えキャンペーンを行うことになる)




さて、そんなわけで、僕は別に今の回線で困ってないのだけど、もう移行を促されるような感じなのか…と感じつつ、そういうことなら仕方ないな、と思い、了承した。


ただ、我が家の場合固定 IP を使用したりもしているので、回線変更の際にはこれらの環境が維持できるのかなどの不安もある。その点を聞くと、乗換案内をしているオペレーターでは技術の事が分かりかねるので、この後技術の担当から電話を差し上げるのでお聞きください、とのことだった。



しばしまつと、技術担当から電話がかかってきた。


現在、電話もテレビアンテナも光回線を使用しているが、それは大丈夫だという。

しかし、使用しているプロバイダでの固定 IP アドレスの話になったら、途端に怪しくなった。


プロバイダのメールアドレスなどはそのまま使えるプランがある、などと関係のない話をし始めたのだ。

そもそも「そのまま使える」とは?


向こうからいろいろ説明しているのを遮って、プロバイダの事を問いただす。

新しい回線はプロバイダが不要になる新技術を使っていて、プロバイダへの支払いがなくなるので安くなる、という説明だった。


そんな馬鹿な話はない。

「回線」と「ネットへの接続」は技術的にべつのもので、「回線」は NTT が、「ネットへの接続」はプロバイダが担うものだ。

今回の相手は、NTT の代理だと言っているのだから、回線を交換したいというのはわかる。しかし、そこでプロバイダが不要になるというのはおかしな話だし、インターネットの仕組み上あり得ない。



つまり、うまいこと騙して「自社のプロバイダに乗り換え」させて月額料金を取り続けよう、という詐欺だと、ここで確定。


それは話がおかしいので、お断りさせてください、と強く言うと、あわてていろいろと説明を始めたが、電話を一方的に切った。




ネットに繋がればなんでもよくて、複雑なことは良くわからない、という人が相手なら騙せただろう。

さらに言えば、だましてでも乗り換えさせれば、実際プロバイダ料金を安い値段でサービスしているのだろう。

騙された人がデメリットを感じなければ、問題にもならない。


おそらく、世の中の9割がそういう人だと思う。

だから、この「詐欺」は問題にならずに稼ぐことができる。



でも、固定 IP で、アドレスが変わるとすごくややこしいことになるとか、そういう人にとっては迂闊に騙されるとデメリットが大きい。

もしかしたら、携帯電話とか抱き合わせで安くしているとか、プロバイダの「契約期間」縛りで安くしているとか、条件付きの人の場合、かえってコストがかかる可能性もある。


あと、本当に「バレない」レベルにサービスを充実させているのに安いプロバイダ業者だとしたら、サーバ部分の代金をケチってると思う。


「回線」としては速いものなので、速度が上がりましたよ、とお客さんには説明できるが、サーバが安いものだと速度が出ない。

遅いと言われても、ネットのサービス速度は「ベストエフォート」であることが普通なので、遅くても保証する必要はない。

これも、高速回線なんて実際には必要ない人が多いので、バレにくい部分だとは思うけど。



まぁ、騙されても、騙されたことに気付かなければ幸せ、ということか。

デメリットを被ってから騙されたと騒いでも、時すでに遅しなので気を付けましょう。




この件、書いてから検索しましたが、総務省も注意を呼び掛けてました



翌日追記


そういえば、詐欺電話でほかにも面白かったものがあったのを思い出した。

もう数か月前だったと思う。


固定電話にかかってきて、機械音声で「こちらは NTT ドコモです。今通話中の回線は料金未納のため、3時間以内に支払いがない場合は停止します」とか言い出すのだ。


なんで固定電話の料金未納を、NTT ドコモがアナウンスするのだ。

出落ちのように詐欺だとわかる。シナリオが雑過ぎないか?



「オレオレ詐欺」のころから、こういう詐欺はシナリオを考えて商材として売る組織と、そのシナリオを購入して儲けようとする詐欺集団、そして実際に詐欺を働く実行部隊に分かれているという。


実行部隊は、いざとなると「トカゲのしっぽ切り」で逮捕される人々だね。

詐欺集団は、詐欺を指示しているのだから逮捕される可能性はあるが、実行部隊ほど危機に直面しない。

そして、シナリオ商材を作る組織は、実は安全。この商材自体は、詐欺に使えるシナリオ集ではあるが、実際に詐欺を働いたわけではないから。

(犯罪教唆で逮捕できるかもしれないが、犯罪小説を読んだ人が真似して犯罪を行うか? というのと同じような理屈で、なかなか立件が難しい)



シナリオ商材を作る方は、細かな部分は必要に応じて適宜修正して…というような注釈をつけているようなのだが、詐欺集団がそれほど頭がよくない場合、おかしなシチュエーションでもそのままシナリオを使ってしまうようだ。


多分、「NTT ドコモ」を名乗るパターンは、携帯電話の電話番号に限定して使うものなのだろうね。

それを、電話番号が固定電話なのにそのまま使おうとした、という頭の悪い集団がいたのだろう。




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