3連休だった週末の間に、Oh!X 令和版が届いた。
あ、そうか。もう発売だったのか。
予約したの、たしか1年半くらい前だったので忘れてた。
シャープが 1987 年に X68000 というコンピューターを発売する。
それ以前から、シャープには X1 という 8bit コンピューターのシリーズがあった。
8bit のころは、コンピューターはまだ全く新しいホビー。1つの会社の中でもどこが扱うか決まっておらず、部署ごとに互換性のない機械を別々に作っていたりするのが当たり前。
NEC は LSI 部門が TK-80 を作ったことから PC-8801 に至る流れがあり、子会社のホームエレクトロニクスは PC-6001 のシリーズを作り、コンピューター部門は 16bit の PC-9801 を作っていた。
シャープも、MZ-80 から始まる MZ シリーズを電子機器事業部が作っていたが、パソコンの出力はテレビなのだからと、テレビ部門が画像機能を強化した X1 シリーズを作り出す。
そして、X1 シリーズの「 16bit 版」が X68000 だ。いきなり数字が大きくなったが、68000 というのは当時「ホビー用の最高峰」と目されていた CPU の型番で、すごい CPU を搭載しているとのアピールだ。
以降、X68000 は長いので X68k と表記する。k はキロで 1000 の意味だ。
この X68k シリーズ、僕は所有していたし大好きだった。人生を方向づけた、と言っても過言ではない。
でも、世間的には「売れなかったマイナー機種」に過ぎない。
当時、各社から出ているコンピューターは互換性がなかったので、「会社ごとのパソコン専門誌」が発売されていた。
シャープの専門誌は Oh!MZ だったのだが、X68k の発売を機に、Oh!X と名前が変わる。
MZ にも 16bit 機は発売されたのだが、ホビー用ではなく仕事用の位置づけだった。
専門誌を購入する個人は「ホビー」を求めているので、誌名も MZ から X に変わったのだ。
そして、この Oh!X は他の機種向け専門誌と大きく違う編集方針だった。
なんと、記事の多くは X68k とは関係がないのだ。
なにせ、マイナーコンピューターでソフトがないのだから、ソフトレビューなどで記事を埋められない。
記事の多くは、ホビー向けとしてプログラムを自作する人のための、アルゴリズム解説だった。
グラフィック特集、ゲーム特集なんかは人気があったように思う。同じ内容の特集でも年に一度くらいは載せていたと思うが、少しづつ切り口が違う。
グラフィック特集としても、画像フィルタの作り方のような解説もあれば、レイトレーシングのアルゴリズム解説、プリントアウトのためのプリンタ制御方法、物理演算エンジンの考え方、などなど。
ゲーム特集だって、初歩的なゲームの作り方から、乱数の使いどころや、シューティングゲーム、RPG、カード(トランプゲーム)、3D、などなど。
それはもう、プログラムしない人には面白くない内容なのだ。そして僕はプログラムが趣味だったので、めっぽう好きだった。
しかし、X68k は先に書いたようにマイナーパソコンで、「後継機」と呼べるようなものがなかった。
クロックアップしただけ、CPU を次世代に乗せ換えただけ、の機械はあったが、全体設計が変わらないため、CPU が速くなっても別の部分が足を引っ張る感じで、驚くような性能にはならない。
後継機がないままシャープはオリジナルのパソコン事業から撤退し、IBM 互換機を作り始めた。
Oh!X も休刊となった。
今回の Oh!X 令和版は、3回目の復刊。
1回目は買った。単に X68k を懐かしみ、古い機械をメンテナンスして使い続けるような「後ろ向きな」記事が多かった。
これで幻滅してしまい、2回目の復刊は買わなかった。
2016 年…もう10年も前だ。「ミニファミコン」が発売された。
以前はある程度性能のある PC でないとできなかった「エミュレーション」が、おもちゃのような CPU でもできるようになり、小型化したファミコンのケースに内蔵ソフトを入れて販売したものだ。
これが大人気で、メガドラや PC エンジン、プレステなどの「公式エミュレーション機」が発売される。
そして、その流れで X68k のエミュレータが企画される。X68000 Z という名前だった。
発売は2年前。僕も購入し、日記に書いている。
その半年ほど後に、Oh!X が復刊する、という話が出てきた。
まだ内容は何も決まっていないのに、アマゾンが予約を始めたので、購入することに決めた。
…と、前振りが長いのだが、1年半前に予約した雑誌が、数日前に届いたのだ。
ハッキリ言って、注文したのも忘れていたレベルだよ。
購入時にしばらく遊んでいた X68kZ も、片付けてしまった。
付属ソフトとして X68kZ 用のゲームがついているのだが、まだ遊んでいない。
本誌の内容を読んでみた。
第一特集が AI の話だった。X68k と一切関係ない。素晴らしい。
大ボリュームなのでまだ詳細読んでおらず、流し読みしただけ。
昨今、生成 AI はブームになっているが、ちゃんと理解している人は少ない。
勘違いしたまま誤信している人も多いので、自分で解説記事書いたものかどうか…としばらくもやもやしていた時期があるのだが、基礎的な部分、歴史的な部分も含めてしっかり書いてある。
うん。素晴らしい。AI について興味がある人は、Oh!X 令和版を買って読むべきだ。
(受注生産なので、すでにプレミア価格付き始めているけど)
ただ、先日 元Twitter で見た限りでは、X68kZ 関連の記事を期待していたので、AI 関連いらない、と言っている人もいた。
まぁ、専門誌だと思って購入したのであれば、そうなるよね。
僕としては、こうした技術解説こそ Oh!X らしいと思ってしまうのだけど。
第二特集が、その X68kZ 。これがきっかけで復刊したのだから、当然扱わないとね。
内容は X68kZ をどう活用するか、という内容で、今更 X68k の開発環境を整えてプログラムするような話。
…いや、僕には今更だな。あまり興味ない。
いまからプログラムをしたい人は、今時の環境を学習したほうが良い。
DoGA CGA コンテストの軌跡が書かれたページもあった。
DoGA とは、もともと大阪大学と京都大学のマイコンクラブが共同で始めた「コンピューターアニメのための」プロジェクトだった。その成果発表場として、Oh!X に連載を持っていた。
そして、X68k 用の「3D CG アニメツール」が作られたときは、Oh!X の付録として配布された。
ただ、勘違いしてはいけないのは、DoGA は Oh!X とは独立した組織だし、X68k 以外のコンピューター用にもツールを開発していた。CGA コンテストも、機種もツールも問わない。
CGA コンテストは、1990 年代にはあまりにも無謀な夢だった「個人でアニメを作成」を後押しするためのものだった。
アニメは大量の絵を描く必要があり、個人で作ることは無謀、と思われていた。
それを、コンピューターのパワーでどうにかできるのではないか、というのが DoGA の考えだった。
このコンテスト、2023年の第32回で終了したそうだ。知らなかった。まだ続いているのだと思っていた。
終了理由は、コンテストの設立目的が果たせたから。
今は一人でアニメ作成するクリエイターが、それなりにいる。
質を高める目的で競い合わせる必要はない、ということだろう。
新海誠監督がまだ無名だった頃にDoGA CGA コンテストで受賞していることは有名だ。
付属 DVD に全受賞作のダイジェストが入っているらしいので、今度見てみよう。
とにかく分厚いし、X68kZ 用のゲームの SD カードと、DVD-ROM が付録になっている。大ボリュームだ。
一気に見る時間はないので、少しづつ楽しみたいと思う。
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