2026年03月31日の日記です


家族団欒  2026-03-31 18:15:27  家族

昨日の夜、次女が「そういえば、なんで青や紫は高価な色だったのに、今は安いの?」と聞いてきた。


次女はゲーム(ぽこあポケモン)やりながらだったので、家具にペイントでもしていて急に思ったのだと思われる。


僕は妻と晩酌していた。

ここで、ほろ酔いの妻が集中講義を始めた。


妻は大学は地学科卒で、絵心があって自分でも絵を描くが、美術鑑賞も趣味。


以下、妻の講義の大雑把な要約。

(僕も受け売りなので、間違ってたらゴメン)




まず染料と顔料の違いから。

布を染めるなら染料だが、絵を描くなら顔料だ。そして、染料は生物由来のものも多いが、顔料は岩石由来が多い。


岩石を絵の具にするには細かく砕く必要があるが、通常は細かな岩石は表面で乱反射を起こしてしまい、白くなる。


そして、特に青い岩石で細かくしても青を保つものは貴重で、ヨーロッパではラピスラズリを砕いて使われた。


ここで、ラピスラズリは現代では特定の宝石だが、古代では青色系の鉱物一般。


ラピスラズリから作られた絵の具は「ウルトラマリン」と呼ばれ、海のような深い青…と思っている人もいるのだが、これは「海を越えてやってきた」という意味。

ヨーロッパではラピスラズリは入手できず、アフリカからの輸入に頼ったため。


そんなに高価なものなので、権力を持っている教会でしか使えなかった。

教会では、これを高貴な方である、キリストか、マリアの色として使った。


だから、宗教画で女の人が青い服を着ていたら、それだけでマリアだということになる。

青いおくるみに包まれた赤ちゃんがいたら、キリストになる。


青が非常に入手困難な宝石を砕いて作る絵の具だった、ということも含めて、これを知っていると美術館巡りがずっと楽しくなる。



フェルメールの「青いターバンの少女」は有名だが、そんなに高価な絵の具を、宗教画ではなく肖像画としてふんだんに使った、ということが当時の美術界に大きな衝撃を与えたため。

青をマリアやキリスト以外に使ってもいいんだ、というのは、常識を打ち破る衝撃だった。


実際の絵を見ると小さくてがっかりする、という話もあるが、高価な絵の具なので、その小ささでも普通は描けない。


フェルメールは妻の実家が裕福だったので、妻の親の財力を当てにして、非常に高価な絵の具をバンバン使った。


しかし、それが原因で資産を食いつぶし、時代の流れもあって妻の実家は破産してしまった。




日本では環太平洋造山帯の影響で、金といっしょに算出する銅系の鉱物で、藍銅鉱が使われた。

これだって珍しい高価なものだが、ヨーロッパにおけるラピスラズリよりは入手しやすい。


そのため、日本では比較的青色を使った絵が多い。しかし、それも当時の「武将」の庇護を受けたものだけが使えた。


青色で書かれた菖蒲の絵なんかは、「勝負」に通じるので武将などには受けがよかったり、ある程度権力者に気に入られる努力がないと、青色は使えない。ここら辺はヨーロッパと事情は同じ。




これだけ「青が高価」だと、青色の絵の具を作れれば一儲けできる、と思う人も出てくる。


錬金術の時代、とにかくいろいろなものを混ぜ合わせて組成の変化を調べる、という、化学の原型が出来つつあった。


これで出てきたのが、豚の肝臓を焼いて薬品を加え…いろいろ加工すると青色の顔料が得られる、という発見。

これが、世界初の合成絵の具。プルシアンブルー。


作った人は金持ちになれると思って作ったのだろうし、多分最初はそれなりに設けたと思うのだけど、貴重性が失われてすぐに安くなっていく。

そして、青は特別な色ではなくなった。




…と、妻がここら辺まで一気に説明したところで、僕が話に参加する。


高校の時、化学の実験でプルシアンブルーを作った覚えがある。

時間がかかるからと2時間ぶっ続けの枠で、いろいろな処理をしたら…青い粉が出来上がった。


当時はみんな「だから何?」という反応だったのだけど、青が貴重な時代にこれが発見された、という説明でもあればもっと関心を引いたかもしれない。


ただ、僕はあの時使った吸引濾過が凄く驚いて、電気でモーターとか動かさないでも吸引できるんだ、って…



と話していたら、現役化学科の長男が「なんか面白そうな話してる」と参加。


しばし僕と吸引濾過の話をしていたのだが、次女が「話がずれてる」というので元の話題へ。




青はわかったけど、紫が高価だというのは? と再度次女。

今度は僕が説明。うろ覚えだけど。


あれは、貝紫と呼ばれるもので、昔はそれ以外に紫色を染める技術がなかったんだよ。


小さな貝の、体内の何か分泌する腺を取り出して、その液で染める。

小さな貝なので、ハンカチサイズ一枚染めるのにも、100匹とか必要だったんじゃないかな…


しかも、肉食の貝なので数は多くない。一生懸命探して、100匹見つけてやっとハンカチ一枚。



すると長男が、アメフラシみたいな紫色じゃ染められないの? と疑問を呈す。


アメフラシの紫色は、水の中で広がる煙幕だから意味がある。

水中で広がるというのは、つまり水溶性。染めようとしても、洗うと落ちちゃう。


貝紫は、最初は紫色ではないのだけど、紫外線に当たると紫色になって定着する。水に落ちない。



余りに高価なので、江戸時代は病気の時に紫色の鉢巻きをすると治る、みたいな使われ方をした。

権力者しかできないようなおまじないだが、それでも「鉢巻」レベルで、紫の服を着るとかではない。




紫色はなんで安くなったの? と次女が疑問を出したが、その答えは誰も持ってなかった。


しかしまぁ、プルシアンブルーの件もあるし、「高価な色」があれば、それを合成できれば大儲けだと思う人がいるだろうね。

誰かが上手く合成して、安くなったのだろう。


と、話をしていたら妻が服などを染める合成染料を持ってきた。

50g 入りで、T シャツ4枚染められます、とある。800円だったそうだ。


何か染めようと思って買ったが、結局使わず置いてある、とのこと。


貝紫の染料をネットで検索すると、染料 1g 得るのに、10000匹の貝が必要、とのこと。

ただ、これは話しが大きくなっていて、1000匹程度とする話もある。


ハンカチ1枚で100匹、というのはうろ覚えの記憶で行ったのだが、50g でTシャツ4枚だから、ハンカチ1枚でも 1gくらい必要か。ちょっと桁が足りてなかったようだ。




家族はまだ話を続けていたが、僕は寝る時間だったのでここで離脱した。


子供たち春休みで、遅寝遅起きになってるんだよね。

僕も少し引きずられて遅くなっているのだけど、仕事もあるし家事もあるので4時半には起きている。

あまり遅く寝られない。



まぁ、久しぶりに愉快な「一家団欒」でした。

(うちの家族はこんな感じ)




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