5月20日、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の一般公開を見に行ってきたました。
というのも、妻の大学時代の友人がここに勤めているから。
「関係者がいると、いろいろ特典があるかも」という言葉に誘われて(?)ほいほいと出て行ったわけです。
全体の雰囲気がどんなところか、というのは、説明するよりも JAMSTEC のホームページを見てもらったほうが良いでしょう。
「しんかい2000」「しんかい6500」「かいこう7000」「地球シミュレーター」などを持っている研究施設、と言えば、わかる人にはわかるかもしれません。
まず、到着するなり友人から「これあげるー」と、「地球史絵巻」なるものをもらいます。
クイズゲームの景品だそうですが、複数ある景品の中で一番人気のため、なくなる前に確保しておいてくれたのだとか。ありがたく頂戴します。
で、景品をもらってからクイズゲームに参加(笑)
一般公開はいくつかの建物に別れて行っているのですが、このクイズゲームが最初の建物です。
クイズで全体の概要を理解してもらってから、個々の研究を見てもらおうという趣旨のようです。
大学祭のような雰囲気で研究の発表がされているなか、研究のポイントとなる項目がクイズで書かれています。
地球史絵巻は、この展示でも使われているもの。
Q. 地球の歴史を絵巻物にしました。人類の誕生は、現代より3ミリ前に書かれています。全体の長さは何メートルになるでしょう。
A. 1)30cm 2)3m 3)3km。
正解は2番の3mでした。
Q. 海底地震計は、何を観測しているでしょう?
A. 1)かめはめ波 2)屈折波 3)さつま白波
…まぁ、子供向けクイズですからね (^^;;
全問正解して、お土産に「しんかい6500プラモデル」をもらいました。
余談:
研究展示の中で使用されているコンピューターは、ほとんど Windowsでした。
しかし、海洋地球研究船「みらい」の、ドップラーレーダーの解析画像を表示するシステムは、Linux で作成されている模様です。
…壁紙に「Fedora Core 5」と描かれていました。
研究展示を見ただけで12時近くなったので、混む前に食事。
といっても、焼きそばとかパンとかを販売しているので、適当に買って適当な場所で食べます。
「せっかくだから海を見ながら食べよう」と、海の見える場所の芝生に座って食事していたところ、そのうち子供が飽きてぐずり始めます。
妻は友人と楽しいおしゃべりのひと時。
ちょっと子供をあやすつもりで、近くに停泊していた船に行きます。
もともと東大海洋研が所有していたものを、最近JAMSTEC に移管したものだそうです。
うちの子は「船」というものを初めてみたはずなのですが、近くまで行ったら乗りたがりました。
そこで、内部見学。
公開しても良いところだけで順路を作ってあります。
小さな船なので、波でそれなりに揺れていますし、狭い階段を上がったり下がったり…。
しかし、子供にはこれが楽しかったらしい。
結局この後、もう一度僕と乗り、友人氏に連れられて乗り、妻がつれて乗り…4回乗っていました。
船の方に来たので、しんかい2000、しんかい6500、かいこう7000?の実機を見ます。
以前に日本科学未来館でしんかい6500のレプリカを見ているのですが、「あれは横から乗り込むので気持ち悪い。本物に入らせてもらったことあるけど、本当は上から」と友人氏のコメント。
しんかい6500が置かれている倉庫の前には、訓練用のしんかい6500の「はりぼて」があります。
見学などに来た人が本物と間違えることもあるそうですが、ちょっと知っている人なら一目見て「はりぼて」とわかる作りです…
かいこう7000?。
しんかいは有人探査機ですが、かいこうは無人探査機です。
「?」とついているのは、「数年前に、浮上中に見失ってしまい、行方不明なので新しく作った」のだそうで…
でも、新しく作ったのを機に、大幅に機能が向上しています。
ここで、おみやげに「しんかい6500ストラップ」を購入。1個100円と非常に安かったので、5個まとめ買い。
(他のところで売っていた絵葉書は1枚30円。全体に、儲けるつもりがまったくない価格設定です。研究機関とはいえ、儲けられるところで儲けてもバチは当たらないと思うのだが…)
ここでまた、友人氏の顔が利きました。
所長さんから「おみやげにどうぞ」と、深海に潜ったカップラーメンのカップをプレゼント。
「深海の高圧」を見た目で実感できるので人気のお土産物(?)です。
高圧水槽のテストを兼ねて、地上で量産された「土産」もあるのですが、本当に深海に行った証しに、「かいこう7000」の絵が手書きで描かれていました。
(あらかじめ描いてから深海にもって行き、圧縮されている。かいこうは無人船で、船に多少の「隙間」もあるので、土産用にこういうものを作ることもあるそうです)
午後は主に、ラボツアーを入れてみます。
研究室にお邪魔して、どんな研究をしているのかを見せてもらうのです。
ツアー自体は4つ組まれていたのですが、時間の都合で見たのは2つ。
1つ。超臨界水の話。
超臨界水自体は名前は聞いたことあったのですが、どのようなものか把握していませんでした。
簡単に言うと、「高圧にすると、水をどんなに高温にしても沸騰しない。そこで、高圧高温にした水が超臨界水」というものです。
この状況では、普通の水とは明らかに違う振る舞いをします。
あまりにも高温なので、普通なら溶けないいろいろなものが水に溶けてしまうのです。
たとえばセルロース。
野菜や布、紙などはセルロースですが、数分で溶けてしまいます。
たとえばキチン質。
蟹の殻などがキチン質ですが、ちょっと時間はかかるものの溶けます。
しめじ茸。
なんで急にしめじ? と思いましたが、セルロースとキチンを両方含んでいるそうで、普通はなかなか溶けないのだとか。
でも、すぐに溶けます。
結論。
超臨界水でカニスキをすると、全部溶けてしまう。
…このオチを付けたいがゆえに、しめじなどを持ち出していた気がします。
後で質問しましたが、ここでいう「溶ける」は通常の水に溶けるのとは意味が違い、高温のために「燃焼してしまう」と考えたほうが良いそうです。
なので、セルロースを溶かした超臨界水を冷やしたらキチンが得られるか、というとそうではなく、アミノ酸はすでに分解して水と二酸化炭素のレベルになってしまっているそうです。
となると、それ以上分解できないミネラルなどはどうなる?
これは、「塩などは、普通の水よりも溶けません」とのこと。
これにはいろいろな理由があるのだけど、もともと塩を溶かした状態から超臨界水にすると、塩が析出してしまうのだとか。
ラボツアー2つめ。
海底の熱水鉱床周辺の生物。
熱水鉱床…一般にチムニーと呼ばれていますが、海底に噴出する高温の水です。
水を温めているのはマグマで、水にはマグマ由来の硫黄などが含まれています。
この硫黄を食べる細菌などが繁殖していて、その細菌を食べる蝦などが群がっているのですが、この生態系はチムニーごとに驚くほど違っていて、なにがその理由になっているのかはまだ解明されていないとか。
主にビデオを見せてくれたのですが、実際に「硫黄を食べる細菌」を試験管に入れてあるものを見せてくれました。
…肉眼では見えないのですが、「水が濁っている」ことで、何かいるのはわかります。
ところで、この試験管自体、85度に熱されています。
チムニー付近に暮らす微生物ですから、これが適温なのだそうです。
手袋をした研究者から「持ってみます?」と渡されたのですが、落としそうになるくらい熱かったです (^^;;
この菌は、当然嫌気性細菌です。(酸素に触れると死んでしまう)
そこで、窒素を充填したグローブボックス(ゴム手袋を最初からセットしてある箱。映画などの病原菌研究シーンでおなじみ?)を使って実験を行います。
このグローブボックス作業を体験させてもらいました。
顔が近づけられないので細かな作業は慣れが必要そうですが、想像よりは難しくない感じ。
実は、一番難しかったのは手袋を脱ぐ時。
片手を何気なく先に外したら、もう片手を引き抜くための「手」がない。
改めて外した手を突っ込み、両手をお互いに少しづつ引っ張って脱ぎました。
というあたりで、終了時刻も近づいたので終わり。
ペーパークラフト作成コーナーとかあって、「深海魚」とか「潜水艦」とか「地球シミュレーター」とかのペーパークラフトを配布していたのが欲しかったのですが、これは後日、JAMSTEC のページでデータ配布しているのを発見しました。
最終間際に、妻が走り回ってスタンプラリーを終え、景品をもらいました。
…苦労した割にはつまらない(?)ボールペンでした。
しかし、「しんかい6500」を無理やり擬人化したキャラクターが描いてあって、妙なお土産としては合格。
最後に、アンケートに答えてゲノムマップと「サイエンスウォーカー」というフリーペーパーをもらいました。
(アンケートの土産は3種類から選べたが、後のひとつは「圧縮されたカップラーメン容器」でした)
おまけ:
カップラーメンの圧縮容器と、しんかい6500ストラップの写真が載っています。
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